望「何事もなければいいが……」
では、どうぞ。
翌日、海鳴市の中丘町。
シャマルさんの案内で、俺達は八神はやての家に訪れていた。
「ここがはやての家か」
「どうぞ、お入り下さい」
そう言って、家の中に案内してくれるシャマルさん。
「ただいま〜」
「お邪魔します」
扉を開けて、シャマルさんを先頭に家の中に入る。
「おかえり」
奥の方から声が聞こえて来て、車椅子に乗った少女が俺達を迎えた。短い髪を髪留めでセットした、フェイトと同い年の少女。この少女が夜天の主である、八神はやてだ。
「あっ、シャマル。その方達がシャマルの言ってた知り合い?」
「はい」
はやてがこちらに気づき、シャマルさんが頷いて答える。
「どうも。お話はみんなから聞いてます。私は八神はやてって言います」
「こんにちは。平田望です」
「初めまして、はやてちゃん。私はプレシア。プレシア・テスタロッサよ」
「こんにちは。フェイト・テスタロッサです」
「私はアリシア! アリシア・テスタロッサだよ!」
「初めまして。私はなのは。高町なのはだよ」
「初めまして。あたしはアルフ」
「僕はユーノ・スクライアだよ。よろしくね」
「はい! 皆さん、宜しく」
順番に自己紹介をしていき、はやては笑顔で返す。ちなみにユーノは人間の姿だ。最近はこの姿でいることがほとんどだ。
「立ち話もなんですから、どうぞ上がってください」
はやてに案内され、俺達はリビングにやってきた。ソファにはシグナムさんとヴィータが座っていて、青い狼―――ザフィーラが横になっていた。シグナムさん達も振り向き、こちらに顔を向けた。
「みんな、よく来たな」
「はい」
「ヴィータちゃん! こんにちは!」
「おう」
フェイト達がシグナムさん、ヴィータと挨拶をする。シグナムさん達とフェイト達が仲良くしてる光景を眺めて、はやては嬉しそうに微笑む。
「今お茶を用意しますので、ゆっくりしてて下さい」
「あっ、私も手伝うわはやてちゃん」
プレシアとシャマルが、はやてと共に台所に向かう。
「すみません」
「いいのよ、気にしないで」
3人がお茶を用意してる間に、俺はザフィーラに近寄っていく。
「やあ、ザフィーラ」
「……何だ?」
俺が声を掛けると、小声で返事をしてきた。
「あー、その、よければ……友達になってくれるか?」
「何?」
「いや……俺の周りって、女性ばっかだから、男友達はユーノしかいなくて……それで、よかったら……友達になってほしいなと」
何か恥ずかしいな……。
「……我でよければ、友になろう」
少し考えた後、ザフィーラは答えてくれた。
「いいのか?」
「ああ」
「ありがとう。これからよろしくな、ザフィーラ!」
ザフィーラの右手(というか前足?)を握って握手をした。
その日の夜。
俺達は八神家で夕食を食べることとなった。沢山のオカズが並ぶテーブルを囲み、食卓は賑わっていた。料理に手を伸ばし、オカズを取り合ったり、話し声や笑い声が飛び交っている。
「コロッケ、もーらい!」
「あぁーっ! ヴィータちゃんずるいー!」
狙っていたコロッケを先に取られたらしく、アリシアが頬を膨らませた。
「あの、おかわり、いいかな?」
「はいよ。任せとき」
なのはが空のお椀を差しだし、はやては笑顔で受け取ってお椀にご飯を盛る。
「……やっぱりいいな。こういうのって」
俺は自然とそう口にしていた。
「え? 望、どうしたの?」
隣に座ってるフェイトが、箸を止めて顔をこちらに向けた。
「フェイト達とご飯を食べた時にも思ったんだが、こうやってみんなと楽しく食べるのって、平和でいいよなぁって思ってな」
今考えると、未来でスバルやティアナ達と食べた時もそうだったんだよな。……もう少し楽しめばよかったと、今更ながら思う。
「望さんの気持ち、私もよく解ります」
ふとはやての声が耳に入り、俺は顔を向けた。
「両親が事故で死んでから、私は毎日1人でした。けど今はシグナム達が居て、こうして望さん達とも楽しく食事が出来て、ホンマに幸せです!」
明るい笑顔で、はやてはそう言った。
「はやて……そうか、そうだよな」
まだ小さいのに、はやては力強く、精一杯生きている。
―――この少女の命、絶対に救ってやる。
そう心に誓い、夜天の書の改修作業を今夜行うことに決めた。
夕食を食べ終えた後、一同はリビングに集まった。
俺は、一連のことをはやてに話した。夜天の書の事、バグと防衛プログラム『ナハトヴァール』の事、バグを直せばはやての足が治る事も教えた。ただし、シグナム達が蒐集活動をしていた事は、言っていない。これだけは秘密だ。
話を聞いたはやては、手に持っている夜天の書に視線を落とした。
「それじゃあ、そのバグを直せば、この子はもう破壊をしなくて済むんやね?」
「ああ」
こういうところは、やっぱりはやてらしいな。
「ほんなら、望さん。この子をお願いします」
はやては俺に、夜天の書を差し出してくれた。
「わかった。任せてくれ」
夜天の書と共に、俺ははやての想いも受け取った。
夜天の書の管制人格―――リインフォースと一緒に、みんなで賑やかな食事をする。
そんな風景を、作りたい。
決意を新たにし、夜天の書をテーブルの上に置くとロストドライバーを装着する。
『ETERNAL!』
「変身!」
『ETERNAL!』
エターナルメモリを差して倒し、エターナルに変身する。
「それが仮面ライダーか。カッコええなあ……」
初めて見るはやては、目を輝かせていた。
(さて、気を引き締めていくぞ)
俺は左手を夜天の書にかざすと1つのメモリを取り出した。
『KEY!』
腰のスロットに装填する。
『KEY! MAXIMUM DRIVE!!』
キーのマキシマムを使ってバグを探り当てる。次に、もう1つのメモリを用意する。
『GENE!』
今度は胸のスロットに差す。
『GENE! MAXIMUM DRIVE!!』
ジーンのマキシマムを発動する。以前プレシアにやったのと同じだが、こちらは破壊と修復をほぼ同時にこなすのでより難しい。
作業手順だが、まずはナハトヴァールを見つけて消滅させる。途中で邪魔されないようにする為だ。その後にバグを直し、ナハトヴァールが二度と誕生しないようにする。そうすれば万事解決だ。
少しして、俺はナハトヴァールを見つけた。最初はこいつを夜天の書から完全に切り離すようにプログラムを書き換える。消滅させるのはその次だ。
このままいけば何の問題もなく終わる―――筈だった。
バチッ!
「おわっ!?」
突如、夜天の書に電流が走り俺は思わず手を離した。
「望さん! 大丈夫ですか!?」
心配してはやてが駆け寄ってくる。
「望、一体どうしたの!?」
状況が掴めない一同の中から、プレシアが尋ねてきた。その時、シグナムが何かを察して庭の方へ顔を向けた。
「なっ!?」
庭に視線を向けた瞬間、シグナムは目を見開いて驚きの声を上げた。
「どうしたの、シグナム?」
「何かあったのか?」
フェイトとザフィーラが反応して、他のみんなも庭に顔を向ける。
『『『えっ!?』』』
全員の声が重なった。夜で暗くなった庭に、人の形をしたモノが立っているのだ。
月明かりと部屋の光に照らされ、ソレは立っていた。黒いボディに所々龍の意匠があり、左手には龍の顔を模したガントレットがつけられて、腰のベルトには黒いデッキがはまっている。それがじっと、こちらを見ているのだ。
何の気配も無く、突然現れたソレに一同は警戒心を抱いた。シグナムさん達は騎士甲冑を身に付け、それぞれのデバイスを構え、はやてを守るような陣形を敷く。プレシアも杖を構え、フェイトもバリアジャケットを纏いバルディッシュを構えた。
その中で俺は、別のことを考えていた。ソレの姿に見覚えがあったからだ。
「あれは……」
主人公の影が変身する、悪の戦士。密かに気に入っていた、黒き龍の騎士。
「仮面ライダーリュウガ……!?」
それが今、俺の目の前にいた。
望「おい、何か最後におかしなのが出てきたぞ!?」
リュウガのことですか?
望「それ以外に何があるんだよ! アレは何者なんだ!?」
奴の正体が何なのかは、次回明かされます。
望「じゃあ次回はどうなるんだ?」
次回はリュウガと望が対決します。勝負の行方はどうなるのでしょうか?
望「次回もよろしくな」