どうぞ。
ソレ―――リュウガが現れた直後は状況が掴めなかったが、すぐにアレの正体に気づいた。
「望……アレは何? アレも、仮面ライダーなの?」
怯えているアリシアを庇いつつ、フェイトが尋ねてきた。
「ああ。仮面ライダーリュウガ………多分、ナハトヴァールが変化したものだろう」
「アレが、ナハトヴァールだと!?」
俺の言葉に、全員が目を見開いて驚く。
「……信じられないが、どうやら奴はプログラムを書き換えられまいと、自分から夜天の書とのリンクを切ったらしい。リュウガの姿をしているのは、俺が侵入した時に向こうも俺の記憶に侵入して情報を得たのだろう」
自分で言ってて信じられないが、そう説明をする。
ナハトヴァール―――リュウガとのにらみ合いが続き、膠着状態になる。と、突然リュウガが右手で俺を指さし、
「……平田、望」
俺の名を呼んだ。
「しゃ、しゃべった……!?」
「……俺ト、勝負ヲシロ。一対一デナ」
皆が驚く中、リュウガはそう提案してきた。
「…………どういうつもりだ? 目的は何だ?」
「興味ガ沸イタ。俺ニ始メテ干渉シ、消去サセヨウトシタ貴様ニナ」
「だから、俺と勝負しろと?」
「ソウダ」
俺はしばし悩んだ。罠である可能性は十分にある。だが、わざわざ俺1人を指名しているのに余計な動きを見せると、他のみんなにまで危険が及ぶかもしれない。
悩んだ末に、答えを出した。
「……わかった。お前と勝負しよう」
「望!? 何を考えているの!? これは罠よ!」
「かもしれない。それでも、俺は勝負を受ける。相手に指名されて、断ったら申し訳ないだろ? それに、危険な目に遭うのは俺1人でいい」
「そんな、ダメだよ―――」
「大丈夫。必ず戻って来るから」
そう言い残すと、窓を飛び越えて庭に出た。
「待たせたな」
「デハ、勝負トイクカ」
「まあ待て。まずは場所を変えよう。ここでは戦闘しづらい。それと、結界を張るのを忘れずにな」
「承知シタ」
短く言うと、街全体が大きな半球状のドームに覆われ、内部の風景の色が殺風景な灰色に変わっていった。そして俺とリュウガの足下に魔方陣が現れた。
『『『望(さん)!!』』』
みんなの声を背後に、俺は姿を消した。
気がつくと、大通りのど真ん中に出ていた。
「確かにここなら問題ないな」
「……始メルトスルカ」
「ああ。最初から全力で行くぜ」
そう言って互いに睨み合う。互いの複眼が光り、灯りの消えた街並みで映える。
…………どこかで、何かが落ちる音が聞こえた。
「うぉぉぉおおおお!!」
「オォォォオオオ!!」
叫びながら走り出し、互いに拳を突き出し、蹴りを繰り出す。
リュウガの右ストレートを避け、左アッパーを放つ。が、それは避けられまたすぐに攻撃がくる。それを避け、また攻撃……と、繰り返していった。
中々攻撃が決まらない。
ややあって、俺達は互いに距離を取った。
「……!」
リュウガはデッキからカードを取り出し、左手のブラックドラグバイザーにセットした。
『SWORD VENT 』
直後、専用剣『ドラグセイバー』が握られていた。俺はエターナルエッジを出し、構える。
「行くぞ、リュウガ……!」
再び接近すると、ドラグセイバーとエターナルエッジで斬り合う。ナイフと剣では相性が悪いと思われがちだが、実はナイフの方が取り回しが効くのでこちらが少し有利だ。
最も、力押しには弱いが。
「ハァッ!」
「ぐっ……!」
言ってるそばから、ドラグセイバーで上から斬りかかってきた。俺はどうにかこらえるが、このままではいずれ押し負けてしまうだろう。
ふと、俺はリュウガの無防備になってる胴体に目がいった。
「うらぁっ!」
「ガッ!?」
隙を突いて蹴りを入れ、距離をとる。リュウガは再びカードを入れる。
『STRIKE VENT』
リュウガの右手にドラグクローが装着され、暗黒龍ドラグブラッカーが現れる。俺はすかさずメモリを取り出した。
『QUEEN!』
「ハァァ……ハァッ!」
溜めの動作をとった後、右手をつきだしてくる。同時にドラグブラッカーが黒煙を放ってきた。
『QUEEN! MAXIMUM DRIVE!!』
クイーンのマキシマムでバリアを展開し、攻撃を防ごうとするが―――
バリィンッ!
「何っ―――ぐぁ!?」
破られてしまい、攻撃を受けて少し後ろに下がる。
「ちっ、やるな。だがこれならどうだ!」
すぐに別のメモリを出す。
『UNICORN!』
腰のスロットに差し込む。
『UNICORN! MAXIMUM DRIVE!!』
「はああああああ!」
螺旋状のオーラを右手に纏い、近づいてコークスクリューパンチを浴びせる。
『GUARD VENT』
しかし、召喚したドラグシールドによって防御されてしまった。
「デヤァ!!」
「がはっ!」
さっきとは逆に蹴りを食らうが、どうにか立て直す。
(……まずいな。戦闘力は向こうの方が上だ。おまけにカードを出し惜しみなく使ってくるから、向こうはほぼノーダメで逆にこっちはピンチだ。次にファイナルベントかアドベントでも食らったら、持たないだろう。……仕方ない、ぶっつけ本番だがアレをやるか)
思考し、新たなメモリを取り出す。
『HEAT!』
それをスロットに入れる。
『HEAT! MAXIMUM DRIVE!!』
足に炎を纏うと、先ほどと同じく勢いよく走り出した。相手は当然ながらガードを固めている。そこで、俺は別のメモリを出すと、胸のスロットに入れた。
『ACCEL! MAXIMUM DRIVE!!』
高速移動で、リュウガの視界から消える。
「ッ!?」
見事に戸惑ってるが―――
「俺はここだ!!」
―――それが命とりだ。
「ガァァァアアアア!?」
後ろに移動した俺の回し蹴りをまともに食らい、リュウガは大きく吹き飛んだ。
「ウ、グ、ゥゥゥゥ……」
ふらつきながらも立ち上がると、こちらを見る。
「ナカナカ……ヤルナ。油断ハシテナイツモリダッタガ、モロニ食ラウトハ」
そこで一旦間を開け、
「勝負ハオ預ケトシヨウ。少シパワーアップガ必要トワカッタノデナ。再戦ハ、3日後ダ」
そう言うと、魔方陣を展開してどこかへ消えた。同時に結界も消えていく。
危なかった……予想以上に手強い相手だった。各スペックが、こちらを上回っている。実際、俺はほとんどダメージを与えられなかった。思いつきの技がうまくいったので勝てたが、あのままだったら俺が負けていただろう。
悔しさを握りしめ、俺は現れた魔方陣によってその場から消えた。
「ほう、面白いことになってきたな。特にリュウガ……あの戦闘力、利用させてもらうか」
影で見ていたユートピア・ドーパントが、そう呟いた。
望「一応勝利したが、ほぼ偶然勝ったようなものだな」
このリュウガは原作よりスペックを若干強化してますので。
望「戦いを終えた後に現れた魔方陣って、どうやって出したんだ?」
リュウガがあらかじめセットしておいたようです。望さんは自力では転移できませんから。
望「それと、最後に奴がちらっと出てきたが、またよからぬ事をしでかすんじゃあるまいな?」
……さあ?
望「おい、今の間は何だ?」
それより次回は、夜天の書の起動とバクの消去になります。
望「思い切りスルーされたんだが……とりあえず、次回もよろしくな」