勝つのはどちらだ!?
望「俺は負けない……負ける訳には、いかない」
「うーむ……」
翌日。俺は自室の椅子に座り、机の上に置いた26本のガイアメモリを見て唸っていた。
「望。どうしたんですか?」
「あ、リインフォース……」
そうだ、今日はリインフォースが来てたんだった。俺がリュウガと再戦することを話したら、心配だから様子を見に来ると言ってたな。
「あれ? ノックの音は聞こえなかったけどな」
「一応したのですが、反応がなかったので入りました」
「……ごめん。少し夢中になりすぎてたみたいだ」
頭をかきながら、苦笑する。
「ところで、何をしているんですか?」
「今か? ちょっと、ガイアメモリの組み合わせについて考えててな」
「組み合わせ……ですか?」
首を傾げ、尋ねるように言ってくる。
「ああ。前に、リュウガ……ナハトと戦ったことは話したよな」
「はい。確か望が辛くも勝利したと」
「確かに俺は勝ったが、あれはただのまぐれだ。戦闘力ではリュウガが押していた。次の戦いで奴はパワーアップをしてる筈だから、このままでは勝てないと思う」
「ではどうするのですか? 何か策があるんですか?」
「もちろん。だからその為の戦法―――ツインマキシマムを考えていたんだ」
そう言って、ガイアメモリに視線を落とす。
「正面から戦ったら力負けするし、簡単に防がれる。なら、相手の裏をかいた戦い方をするしかない」
「それが、ツインマキシマムと?」
「ああ。同時に発動することで、1本では不可能なトリッキーな動きや強力な攻撃を出すことができる。ただ、それには適した組み合わせじゃないとダメなんだ」
元々26本の同時マキシマムを制御できるように作られてたから、ツインマキシマム程度ならたやすい筈だ。
「だから先ほどから考え込んでいたんですか」
「そういうこと。さて、早く組み合わせを考えないとな」
そう言って、俺は再びツインマキシマムのシミュレートをする。
夢中になってたせいか、再び気づいた時にはとっくに夜になってた。
そして、リュウガとの再戦の日。望達は遠見市にある公園に集まっていた。
フェイトとアルフ、プレシアにアリシアもいる。呪いは解けたが、まだ足が治りきっていないはやても車椅子で来ている。彼女の周りには、シグナムとヴィータ、ザフィーラとシャマル、それにリインフォースが立っている。なのはとユーノも、一緒にいる。全員が、公園に集まっていた。何もできなくても、せめて勝負の行方を見届けよう。そう思ったからだ。
「さあ、出てこい。準備はできているぞ」
望が言って少しした時、望達の前方に魔方陣と共にリュウガが現れた。
「待タセタナ、平田望」
「まったくだ。喋ってる暇もおしいから、さっさと勝負するぞ」
エターナルメモリを取り出して、リュウガを睨む。
『ETERNAL!』
「変身!」
『ETERNAL!』
エターナルに変身したのと同時に、リュウガが結界を張る。前とは違い、範囲はそこまで広くない。2人が十分戦えるだけの大きさだ。
「勝負トイコウカ」
『SWORD VENT 』
リュウガは戦闘開始の宣言をすると、ドラグセイバーを召喚し構えた。それを見たエターナルも身構える。結界の外では、フェイト達とシグナム達、なのはとユーノ、みんなが望を見守っている。
「勝って、望!」
「あんな奴、倒してしまえ!」
一同の声援を背中で受け、エターナルはリュウガと対峙する。そして―――
「ハァァァアアアア!!」
「っ!」
先にリュウガが動いた。ドラグセイバーを振り上げ、走ってくる。
『ACCEL!』
エターナルは素早くメモリを出すと、スロットに入れた。
『ACCEL! MAXIMUM DRIVE!!』
アクセルメモリによる加速能力でエターナルの姿が消える。その瞬間、リュウガが足を止め周囲を警戒する。この後望がどういう行動をとるのか知っているのだ。
リュウガの真後ろにエターナルが再び現れる。同時に、リュウガが振り向き様に斬りかかった。
が―――
『OCEAN! MAXIMUM DRIVE!!』
バシャッ!
「ナニッ!?」
―――エターナルの体は水のようになって攻撃を避けた。オーシャンのメモリでバイオライダーみたく液体になったのだ。
「はぁっ!」
今だ動揺しているリュウガに、エターナルはラッシュを叩き込んだ。
「グッ、ガッ、ァァァ!?」
「肘打ちぃ! 裏拳正拳! とりゃあああああああ!!」
反撃の隙を与えず、次々と攻撃を加えていく。
「だりゃあああああ!」
「グァアアアアアア!? オ、オノレェ……!」
『STRIKE VENT』
最後の一撃で大きく後ろに吹き飛ばされた後、カードをセットした。それを見て、エターナルも行動した。
『GENE! MAXIMUM DRIVE!!』
ジーンメモリのマキシマムをエターナルエッジで作動させ、エターナルエッジを専用銃エターナルマグナム(見た目はトリガーマグナムの色違い)に変化させる。更に、
『SCULL! MAXIMUM DRIVE!!』
『LUNA! MAXIMUM DRIVE!!』
エターナルマグナムにスカルメモリを、腰のスロットにルナメモリを装填し、マキシマムモードに変化させる。
「ハァァ……ハァッ!」
「エターナル・スカルイリュージョン!」
リュウガがドラグクローファイヤーを放ち、エターナルは横に飛びのきながら紫の弾丸を放つ。それは黒炎とぶつかって相殺するかに見えたが―――直前で軌道が変わり、炎を避けた。
「ンナッ!?」
当然リュウガは驚く。弾丸が曲がり、黒炎を避けたと思ったらそれが自分に向かって飛んできたのだ。
「クッ!」
『GUARD VENT』
咄嗟にドラグシールドを装備して防御するが、
ドガーン!!
「ウォオオオ!?」
2つのメモリのマキシマムが重なった弾丸の為、防ぎきることはできずに吹っ飛ばされた。
その様子を、エターナルが黙って見ている。
「クソ……クソガァァァアアアアアアア!!」
前回とは逆に自分が追い詰められているという事実に、リュウガは激高する。
怒りのままに、デッキの紋章と同じものが描かれているカードを取り出し、セットした。
『FINAL VENT』
発動と同時にドラグブラッカーが周囲を取り巻き、自身は宙に浮かぶ。一方、エターナルも既にメモリを装填していた。
『JOKER! MAXIMUM DRIVE!!』
『XTREME! MAXIMUM DRIVE!!』
腰のスロットにジョーカーを、胸のスロットにエクストリームをセットしマキシマムを発動する。
「ハァァァァ!!」
「おらぁぁぁ!!」
リュウガのドラゴンライダーキックと、エターナルのエクストリームライダーキックが同時に放たれ、距離が近づいていく。やがて2つのキックがぶつかり合った時―――エターナルの姿が消えた。
「ナ、何ダトッ!? ドコニ消エタ!?」
大きく取り乱し、キックによる急降下をしながら周囲を見渡す。直後、エターナルが姿を見せた。
「その状態では、防御も回避もできまい!!」
ただし、リュウガの真横からエクストリームライダーパンチを発動した状態で。
「ッ! シ、シマッタ!!」
「もう遅い!!」
エターナルはダミーメモリのマキシマムを発動し、実体のある偽物をつくっておいたのだ。さっきキックを放ったのは偽物。本物はこっちだ。
完全無防備のリュウガの腹に、右拳で思い切り殴りつける。
「ガァァァァァァアアアアアアアアア!?」
エクストリームライダーパンチは、ダブルエクストリームに匹敵する威力を持つ。それを食らったリュウガは、地面に勢いよく激突した。
「や、やったの!?」
「どうなったんだ!?」
着地を決め、変身を解除した望に、フェイト達が一斉に駆け寄る。結界は既に消えている。
「倒したのか?」
「いや…まだだ」
望が見つめる先を見ると、リュウガがボロボロになりながらも立ち上がってきた。
「あいつ、まだ―――」
「ソンナニ警戒シナクテモイイ……俺ハ既ニ敗北シテイル」
バリアジャケットを纏って身構えるフェイト達に、リュウガは言った。
「敗北?」
「俺ノ体ハ、致命的ナダメージヲ受ケテイル。モウスグ消滅スルダロウ……フフ、コンナニ全力ヲ出シタノハ初メテダ」
何かを悟ったように言うと、まっすぐ望を見た。
「シカシ、俺ノ攻撃ヲ全テ避ケルトハナ。驚イタ」
「普通の戦い方では負けると思ったからな。どんな攻撃でも、避けてしまえば無意味だ」
少し興奮気味で望が言う。戦いの余韻が、まだ抜けていないのだ。
「ソウダナ……サスガ望ダ。見事ダヨ。コレデ、悔イルコトナナク消エルコトガデキル」
リュウガの死が近づいてきている。
「……礼ヲ言ウゾ、望。………最初デ最後ノ、本気ノ勝負ヲシテクレタコトヲ……」
そして、意識が闇に落ちた時―――
「悪いが、そうはいかないんでな」
謎の声と共に、無数の触手がリュウガの手足を縛り上げた。
「っ!? お前は……!」
「久しぶりだな、平田望」
ユートピア・ドーパントが、望の前に姿を表した。
望「ツインマキシマムの連発か。エターナルじゃなかったらボロボロになってたな」
エターナルのコンセプトは本編に書いた通り、26本のマキシマムを制御することですからね。
これぐらいならできて当然かな? と思ったので。
望「確かに。で、オリジナル技の名前に何の捻りもないことにはツッコまなくていいのか?」
…………ごめんなさい、センスなくて。
望「……俺が悪かった。ところで、ついに奴が姿を見せたが、次回はどうなるんだ?」
次回は、長い間謎だったユートピア・ドーパントの正体が明かされます。お楽しみに。