そして、望さんの秘密も同時に……
望「え?」
リュウガとの戦闘に勝利した望の前に、突然ユートピア・ドーパントが現れた。
「な、何だよアイツは?」
「望さんと、知り合いなの?」
望以外のメンバーはユートピアとは初対面なので、困惑している。
「何の目的でここに来た?」
「こいつを…リュウガを有効的に使おうと思ってな」
「そいつは既に死んでいるんだぞ? 死体を手に入れて何の使い道がある」
「見ていればわかるさ」
そう言うと、ユートピアは掌から3つの何かを放った。
「さぁ、終焉の始まりだ!」
その言葉と共に、地面が大きく揺れた。そして―――ソレが姿を見せた。
「っ!? アレは……!」
以前ゆりかごと時の庭園に現れた、巨大ロボット。悪魔の名を冠する、恐るべき存在。
「あ、アレは何!?」
「こんなもの、今まで見たことがないぞ!?」
「これは……あの時現れたのと同じ奴だわ!」
「知ってるのか!?」
驚愕するプレシアに、シグナムが尋ねる。
「ええ。前に時の庭園に現れて、滅茶苦茶にしていったのよ。確か名前は……デビルガンダムって言ったわね」
「でもプレシア、何でまたそのデビルガンダムが3体も出てくるんだ!?」
アルフの言った通り、ユートピアはデビルガンダムを一度に3つ出現させたのだ。
「お前、一体何をするつもりだ!?」
「言っただろう、見ればわかると。……コアを取り込むのだ」
指示を出すと、中央のデビルガンダムがリュウガを触手で持ち上げ、自身のコックピットブロックに入れた。
「なっ!?」
「まだまだ。お次はこれだ」
次にユートピアは、赤に光る石と緑に光る石を取り出し、残りの2体に向かって投げた。
「!? い、今のはまさか……」
「そう、そのまさかだ。キングストーンだ!!」
キングストーン?
聞き慣れない言葉に全員が首を傾げる。その直後、デビルガンダム達の様子が変化した。
「ははははははは! 今こそ進化の時だ!!」
ユートピアが叫んだ言葉の通り、デビルガンダムの姿が大きく変わった。多脚ユニットが大型化し、より有機的なデザインに変わり、上半身と下半身の間にガンダムの頭部を模したユニットが新たに加わっている。
が、リュウガをコアにしたデビルガンダムだけは、ここで終わらなかった。
多脚ユニットから本体が分離し、ガンダムの頭部をした下半身が新たに脚部に変形。更に、背中の突起状パーツが変化し、巨大な腕―――デビルフィンガーになった。
「な、何……これ……?」
「進化と言ってたけど、これがそうなの……?」
「ほほう、最終形態まで一気に進化するとは、さすがは防衛プログラムをコアにしただけあるな」
驚く面々を余所に、感心した様子を見せるユートピア。
「何故お前がキングストーンを持っている!? いや、それだけじゃない。そもそもデビルガンダムがどうしてこの世界に存在しているんだ!!」
望の言葉に、全員が「えっ!?」と反応する。
「お前……知らなかったのか? 俺と同じ存在の筈なのに」
「知る訳がないだろう! それに、お前と同じとはどういう意味だ!?」
「……やれやれ、めんどくさいが話すしかないか」
ため息をつくと、ユートピアメモリを引き抜き、人間の姿になった。
「後ろにいる奴らも、よく聞くがいい。この俺が、どうして……転生者になったのかをな」
俺の名前は江島裕太。どこにでもいる普通の人間だった。ただ1つ違うところは、物語とかでハッピーエンドを嫌っていて、バッドエンドで誰かが絶望するのを見るのが楽しいというところかな。物心ついた頃からこうだったので、生まれつきの性格だったのだろう。
ある日のことだ。俺は事故で大型トラックにはねられて死んだ。だが、気がつくと白い空間にいて、目の前に変な男がいたんだ。そして、俺にこう言ってきた。
「すまなかった。こちらのミスで、君を死なせてしまった」
は? と思って話を聞いてみると、どうやらこいつは神様で、俺は神のミスってやつのせいで死んだらしい。で、お詫びとしてどこでもいいから転生させてくれると言った。
また、能力もいくつかつけてもいいと言ってきた。そこで俺は、こう応えたんだ。
「まず能力で、全ライダーの変身アイテムを制作、調整できる能力がほしい。ついでにそれらの詳しい知識もだ。後、特注で俺との適合率を極限まで高めたユートピアメモリと、手駒としてデビルガンダムを何体かくれないか。それと、俺の行動がカリムって奴の予言に引っかからないように手配してほしい」
最初は難色を見せた神だったが、デビルガンダムについては普段は圧縮して機能を止めているということを条件に出したら認めてくれた。そして俺は、転生先として今の世界の10年後を指定した。
「これが全てだ」
男―――江島裕太の話を聞いて、望を含んだ全員が唖然とした。
転生者……そんなのが実際にいたなんて。だがここで、あることに引っかかった。
「ちょっと待て。テメェが転生したとか言うのは10年後なんだろ? 何でこの時代にいるんだよ」
「……何だ、望はそれすらも話さなかったのか」
ヴィータの質問に、呆れたように返す裕太。同時に、全員に新たな疑問が生まれた。
「望が、何か関係あるの?」
「大ありさ。俺は奴と、未来で戦ってたんだからな」
「っ!? や、やめろ! それ以上は言うんじゃない!!」
「いいや言わせてもらう。俺と望は10年後の未来で戦った。俺は犯罪者。こいつは……時空管理局としてな」
『『『!?』』』
思わず、耳を疑った。
「望が、未来からきた……」
「管理局に、入っていたのか?」
「望、本当なのか?」
詰め寄るメンバーに、望は声を絞り出した。
「……ああ。アイツの言う通りだ」
そこでいくらか間を開けると、望は続けた。
「俺は未来で、管理局として戦っていた。成長したフェイト、なのは、はやて……それにシグナムさん達と一緒に」
望が言ったことに、フェイト達は驚いた。自分達が、管理局に入局していたとは……
「そこで俺達は、ある犯罪者を逮捕する為に特殊部隊として動いていた。だが、俺達は負けた。こいつの策略によって」
裕太を見ながら、望は言う。
「俺以外の全員が死んだ。俺は怒りに任せてエターナルを奪い、変身して戦いを挑んだ。その時に、次元の裂け目みたいなものができて、吸い込まれた。……気がついたら、子供の頃のフェイトと出会ってた」
それを聞いて、フェイトとアルフは初めて望と会った日を思いだした。
「俺は、過去に飛ばされたことは何かのチャンスじゃないかって思うようになった。だから、プレシア達や、はやて達を助けようと行動してきたんだ」
そこで一旦区切ると、全員の方を向いた。
「……最低な奴だろ? 自分の素性を隠して、知らないふりして、何食わぬ顔でみんなと一緒にいたんだからな」
どこか自嘲したような、諦めたような感じで望は言った。
(もう、終わりだな……)
そう考えてた時だった。
「そんなこと……ない」
「え?」
「望が未来から来たとか、管理局にいたとかは関係ない……。望は、私達を助けてくれた。母さんを、アリシアを、助けてくれた」
フェイトが言ったのをきっかけに、他のメンバーも次々に言い出す。
「そうだよ……望さんは、フェイトちゃんやはやてちゃん達の力になってくれた」
「望がいなければ、主やリインフォースは救われてなかっただろう」
「貴方がいたから、今の私達がいるのよ」
自分を受け入れる言葉を聞いて、望は心から感謝した。
「みんな……あり、がとう」
涙が、溢れてくる。
「望さん、どうしたの?」
「何でもない……何でもないよ」
アリシアに、精一杯の笑顔を向ける。
「ちっ…つまんねーの。絆が崩れて絶望する様が見れると思ったのに、な!」
不快な様子を隠さない裕太。
「……デビルガンダム、やれ」
それだけ言って下がると、デビルガンダム最終形態(以降、デビルガンダムF)がメガビームキャノンの発射態勢に入った。
「逃げろ!」
シグナムの言葉に、全員が行動を開始した。
望「よかった……みんなが、全てを知った上で、俺を受け入れてくれて」
今更拒絶する人なんて、いないと思いますよ。
望「そう、だな……それにしても、ユートピア―――江島の奴が、転生者だったとはな」
ありきたりかと思ったんですけど、個人的にはこの方が動かしやすかったので。
望「ところで、次回はどうなるんだ?」
次回は、デビルガンダムを前にして、各々が決意を固めます。お楽しみに。