望「絆こそ、最大の強さだ」
デビルガンダムFからメガビームキャノンが放たれるが、間一髪のところで望達は回避に成功した(望はエターナルに変身した後、ナスカのマキシマムを発動して難を逃れた)。
「広域結界!」
町の人々にこれ以上被害を出さないように、ユーノが結界を発動させる。緑色の魔法陣を足下に展開させ、公園を中心に結界を張った。
デビルガンダム達は、空へと逃げた一同に目を向ける。デビルガンダムと向き合い、シグナム達は覚悟を決めた。
「リインフォース。主はやてを連れて、遠くへ避難しろ」
「シグナム!? 何するつもりなんや!?」
リインフォースに抱かれてるはやてが、不安を隠しきれない顔で言った。
「主はやて。我等は主を守る守護騎士です」
険しい表情でシグナムは、重々しく自分達の使命を口にする。
「けど……!」
「主はやて。申し訳ありませんが、今回ばかりは貴女の言葉でも私達は止まりません。そのご無礼を、どうか許して下さい」
深々と頭を下げて、シグナムははやてに詫びた。
「シグナム……」
その時、はやてはシグナムの決意の重さと固さを感じた。シグナムだけではない。ヴィータ、シャマル、ザフィーラ―──他の守護騎士達も同じ覚悟を抱いている。はやては、シグナム達が止まらないと確信した。
少しためらいの表情を浮かべ、はやては決意を固めた顔になる。
「ほんなら……私も闘う!」
「えっ!?」
はやての言葉を聞き、シグナム達は目を見開いて驚きの声を上げた。彼女を抱えてるリインフォースも、驚きを隠せずにいる。
「私は夜天の主や。そうでなくても、シグナム達を置いていく事なんて出来ない。シグナム達は、私の大切な家族なんや」
はやては胸の内にある想いを、口から声にして出す。デビルガンダムが暴れているのに、自分は見てるだけで何もできない。そんなのは…嫌だ。そう強く思いながら、はやては両手で抱えてる夜天の書をギュッと握った。
「私にも魔法の力があるなら、シグナム達と一緒に闘う」
「し、しかし……!」
一緒に闘いたいと申し出るはやてに、シグナム達は戸惑う。
「出来るやろ、リインフォース?」
「え、ええ……。確かに、闘う事は出来ます。ですが……」
リインフォースも、はやてが闘う事には気が進まず、表情を曇らせる。
「お願いや、リインフォース! 私に力を貸して!」
はやては必死に、リインフォースに頼み込む。リインフォースは戸惑いの表情を浮かべながら、はやての顔を見る。はやては強い意思のこもった真っ直ぐな目で、リインフォースを見つめていた。家族を助けたいという強い想いが、その瞳から伝わってくる。リインフォースは、静かに目を閉じた。そして何かを決断して、ゆっくりと瞼を開けた。
「分かりました。主、貴女に力を与えます」
「リインフォース!?」
リインフォースの言葉にはやては喜び、シグナム達は驚く。
「リインフォース! お前、何考えてんだよ!?」
ヴィータが、声を荒げて怒鳴った。
「ヴィータ。主は、貴女達が思っているような弱い方ではありません。自分の意思で、あの怪物に立ち向かい、皆と共に闘うと決めたのです」
デビルガンダムを見て、リインフォースが言った。デビルガンダム達は、こちらが動くのを待っているように、ジッと沈黙を守っている。アレが本気で暴れ出したら、安全な所などどこにも無い。闘って勝ち、アレを倒す。それ以外に道は無いのだ。迷いの表情を浮かべていたシグナムが、決意を固めた顔になる。
「……分かりました」
「シグナム!?」
シグナムの決断に、ヴィータ達は驚いて振り向く。
「主はやての決意は本物だ。その決意を無下にする事は出来ん」
苦渋の決断を下したシグナムは、レヴァンティンの柄を力強く握った。シグナムの言葉で、ヴィータ達もはやての覚悟を知る。
「シグナム……ありがとう」
シグナムがどれ程悩み、自分の事を大切に想っていたかを感じ取り、はやては礼を言う。
「リインフォース。私の杖と甲冑を」
「はい。我が主」
はやての言葉に頷き、リインフォースの姿が消える。そして夜天の書が輝き、はやての体が光に包まれた。先端が夜天の書の十字架のデザインになってる杖を右手に持ち、黒いバリアジャケットを身に纏う。
「『祝福の風』リインフォース。セーット、アーップ!」
リインフォースとはやてが『ユニゾン』を行う。髪の色が白銀に変わり、騎士甲冑を纏い、背中には六枚の黒い翼を生やす。夜天の主に覚醒したはやては、体の内から力が溢れ出てくるのを感じた。
「行くで、みんな!」
「おう!」
夜天の主と守護騎士が今、勢揃いした。
一方、エターナルとフェイト達ははやてとは別の場所に避難していた。
「ふぅ、危なかった。もう少し変身が遅れてたら……」
タッチの差だったと、エターナルは冷や汗を流す。そして、フェイト達の方を向く。
「……デビルガンダムが本格的に暴れ出したら、まずいことになる。残念だが、俺1人の力じゃどうにもならない。だから……力を貸してくれ」
頭を下げ、エターナルはフェイト達に頼んだ。
「そんなの、当たり前じゃないか」
アルフが即答し、思わず「え?」と顔を上げた。
「私達は今まで、望に助けられてきた。だから、今度は私が望を助ける番だよ」
そう、闘う理由はそれだけ。母さんとアリシアと本当の家族になれたのは、望のお蔭なんだから。
フェイトは心の中で望に感謝し、彼を助ける決意を固める。その強さを表すように、フェイトの目には光が宿り、デバイスを握る手にも力が込められる。
「アンタは、フェイトの笑顔を取り戻してくれた。だから、アタシも一緒に闘う!」
アルフの気持ちもフェイトと一緒だった。彼女にとっては、フェイトの幸せが一番の望み。そのフェイトに笑顔を与えた望は、アルフにとって恩人のようなものである。フェイトとアルフの想いを聞いて、エターナルはびっくりしていた。ここまで感謝されていたとは、思ってなかったのだ。そして、闘う決意を固めた者が、もう1人いた。
「フェイト、アルフ。私も一緒に闘うわ」
プレシアだった。杖を片手に持ち、デビルガンダムを睨んでいる。
「プレシア……」
「お母さん!?」
エターナルは呟くように言い、アリシアは驚いて声を上げた。
「私の家族を護る為に……大切な家族を取り戻してくれた貴方を護る為に、私は闘うのよ」
プレシアの瞳にも、強い決意の光が宿っていた。望のお蔭で、本当に大切なモノが何なのか気付く事が出来た。それに、今の望は自分の恋人でもある。助けるのは当然だ。
アリシアは、プレシアの中にある覚悟を感じ取ったのか、我が儘を口にしなかった。引き止めたい気持ちを必死に抑え、自分の服を強く掴む。涙が溢れそうになるのを、必死に我慢する。
フェイト達の決意を聞いて、エターナルももう一度覚悟を決めた。
「アリシア。貴女はここに残って、戦いが終わるまで待っていなさい」
「……うん」
涙目のアリシアは、プレシアの言葉に頷く。アリシアの気持ちを察して、プレシアは身を屈め、娘の頭を優しく撫でた。
「大丈夫よ、アリシア。母さん達は必ず帰ってくるから」
優しく声をかけられ、アリシアは我慢出来ずに涙を溢れさせた。
「アリシア」
涙を流すアリシアに、フェイトが近寄る。
「フェイト……」
「行ってくるね、アリシア」
アリシアは気持ちを抑えられず、目の前のフェイトに抱きついた。
「フェイト……行ってらっしゃい……」
「うん」
フェイトも腕を回し、そっとアリシアを抱きしめる。
必ず帰る。勝って、自分達を待っている大切な家族の元へ帰るんだ。
フェイトとアリシアが離れると、プレシアは足下に魔法陣を展開させ、アリシアを護る結界が張られた。
「……フェイト、アルフ、プレシア。みんな、ありがとう」
フェイト達に視線を向け、エターナルは礼を言うと、
「これから、デビルガンダムを破壊する……!」
決意を固めた。
デビルガンダム達の前に、なのはとユーノの姿があった。
「ディバイン、バスタァァァー!」
レイジングハートを構えたなのはが、デビルガンダム第二形態の片方(以降、デビルガンダムA)に向かって桜色の閃光を放つ。デビルガンダムAは、避ける素振りすら見せず、真っ正面からディバインバスターを受けた。閃光が直撃し、桜色の爆発が起きる。煙が晴れていくと、無傷の状態のデビルガンダムAの姿が現れた。
「き……効いてない!?」
自分の攻撃が通用していない事に、なのははショックを受けた。目の前にいるデビルガンダムAは、ガンダムヘッドを伸ばしてなのはに迫る。
「チェーンバインド!」
すかさずユーノが、緑色の魔法陣を展開させて、バインドを放った。ガンダムヘッドの胴体に、バインドを巻き付け、動きを止めようとする。が、動きを止めるどころか、全く勢いが落ちず、バインドも軽々と千切れてしまった。
「ダメだ! 一旦逃げよう、なのは!」
「あ……あ……!」
ユーノが声をかけるが、なのはは動けない。猛然と迫り来る醜悪な蛇に圧倒され、金縛りにあったように体が動かないのだ。
やられる……!
そう思った時だった。
「飛竜一閃!」
声と共に、炎に包まれた一本の線が横から現れ、ガンダムヘッドに激突した。ガンダムヘッドを破壊されたデビルガンダムAは動きを止め、乱入者に不気味な目を向けた。視線の先にいたのは、シグナムだった。レヴァンティンの刀身が連結刃へと変わっており、炎を纏って蛇のような動きをしている。これがレヴァンティンの三形態の内の一つ、『シュランゲフォルム』。そしてガンダムヘッドに放った一撃は、連結刃に炎を纏わせて放つ『飛竜一閃』だ。
シグナムの姿を見て、なのはは笑顔になった。
「シグナムさん!」
「大丈夫か、高町?」
「はい!」
なのはの無事を確認して、シグナムは軽く頷いてからデビルガンダムと向き合う。シグナムの周りには、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、はやての姿もあった。
「は……はやてちゃん?」
騎士甲冑姿のはやてを見て、なのはとユーノは驚いた顔になる。はやては、そんな2人に笑いかけた。
「なのはちゃん、ユーノ君。私とリインフォース、シグナム達も闘うから、一緒に頑張ろう!」
「はやてちゃん。うん!」
仲間と友達の応援に、なのはは元の元気を取り戻していく。なのは達の無事に安心したはやては、表情を一変して、険しい顔でデビルガンダム達を見る。その時だった。
(みんな、聞いてくれ!!)
「この声…望さん!?」
望が念話を使い、全員に語りかけてきた。
(今からデビルガンダムを倒す策を教える。しっかり聞いてくれ)
望「まさにクライマックスって感じだな」
ええ。こういう展開は、大好きなんですよ。
望「いい趣味してんな、アンタ。で、次回は?」
次回はデビルガンダムとの決戦となりますが……
望「どうした?」
……いえ、やはり次回のお楽しみにしておきましょう。それでは!