君の紐は。   作:S?kouji

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その6 紡がれる糸

東京。雑踏と喧噪とめまぐるしく行き交う人々のなか、四ッ谷駅の前で瀧は待っている。

暦の上では秋だというのに、まだまだ残暑が厳しい。電話をかけようと思えばかけられるけど、もう着くころだ。必要ないだろう。

右手を見る。何もないけど、かつてそこにあったものが紡いだ物語は、覚えている。

 

不意に弾むような音がして、三葉のメッセージが画面に表示された。

瀧は顔を上げる。出入り口から、赤い髪紐の目立つ三葉と、その後ろにテシガワラとサヤカがついて出てくるのが見える。

もう何度も会ってるというのに、また“はじめまして”からか。まあ、それも悪くねえか。瀧は思う。

三葉が瀧に気づいた。後ろの二人は、たぶん、「あいつかあ」という顔をしている。

 

吹く風は、最初の時を彷彿とさせて。輝く日差しは、どこか懐かしさを孕んで。瀧も彼女たちに向かって歩き出す。

消えることない約束と、その名前を今、追いかけて行く。

 

 

 

偶然か必然か、入り乱れ、途切れ、そして再び寄り合わされてつながる人の出会い、運命、縁。

それはまるで、君の紐のように。———神のなせる技のように。

 

(おわり)

 

****

 

ありがとうございました!

以下はあとがきになります。

(本当は本文の後書き欄に入れたかったのですが、『ハーメルン』の本文文字数の制約上、こちらに入れさせていただきました。何卒ご容赦のほどお願い申し上げます)

本文とは関係ないイタイ感想の羅列になります。

 

7月1日の掲載開始から二ヶ月近くお付き合いいただいた方もおられるかと思います。

それほどまでに長い期間、作文に付いてきていただけたことに感謝の念が絶えません。言わずもがな、「君の名は。」はスゴイ作品でした。

『君の名は。』の中で、皆様それぞれ印象に残ったシーンがあるかと思います。たとえばラストの手を開く場面とか。切ない。切ないけど良い。この世界のどこかに、想いを寄せてくれている誰かがいる。それだけがわかる、みたいなあの感じ。私が書くとえらく陳腐になってしまうのが申し訳ないです。

 

映画公開から2周年を迎えました。個人的には何周年かの節目にリバイバル上映とかしてくんないかなと思っています。映画を見るために作られた空間ですから、家で見るブルーレイとはまた違った良さがありますよね。

最後に、自己満足ではありますが、もし、この作文が何らかの形で、皆様の娯楽となれたのであれば幸いでございます。

繰り返しになりますが、お付き合いいただき誠にありがとうございました。

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