堕ちたあの子がゲイムギョウ界を壊しにかかる話   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。ネプテューヌシリーズは萌えや癒しを求めてゲームを購入したプレイヤーに対し、唐突に重すぎる鬱展開を叩きつけてくることに定評があるため、この作品でも遠慮なく鬱な展開を用意しちゃいますね! やっふー!



第1章 歪み始める超次元
1.ネプテューヌはいつも通り


 

 

「な、なななななんですとぉ!?」

 

 その時。プラネテューヌを治める女神パープルハートに変身する前の姿をした、ネプテューヌは驚いていた。眼前の光景が信じられないと両眼を見開いていた。無理もない、なぜなら今度こそいい加減倒したと思っていた相手がまた次の形態へと移行し始めたからだ。

 

 

「もう何度目だと思ってるの! もう10回目だよ、形態変化! デスピサロだってそんなに進化しないよ! 全7形態で自重してたよ! なのに、ラスボスじゃないのになんでそんなに形態変化してるのさ! こんなのクソゲー確定だよ! うぅぅ、マズいなぁ。もう私は変身できないし……もうダメだぁ、おしまいだぁ! 私、どこで間違っちゃったのかなぁ。何かフラグ回収し忘れてたのかなぁ。直前のセーブポイントからやり直せるかなぁ?」

 

 敵の第9形態を前に激戦を繰り広げ、死闘の末にようやく倒したばかりだったがために、ネプテューヌは絶望する。もう己に勝ち目はないと判断し、ガクリとうなだれる。それでもなお、ネタ発言がやまないのはネプテューヌが生粋のシリアスブレイカーゆえだろう。

 

 

「くくく、死ねぇい!」

「ねぷぅうううううううう!」

 

 敵の殺意に満ち満ちた発言とともに振り下ろされる大剣。ネプテューヌは為すすべもなく、悲鳴を轟かせ――。

 

 

「~~~ッ! ネプテューヌさん、いつまでゲームしているんですか! いい加減、働いてください!」

「あ、いーすん」

 

 と、その時。自室でゲームをしていたネプテューヌの背後から怒声が響いた。ネプテューヌはゲーム画面をポーズで一時停止すると、クルッと後ろを振り向く。その先にいたのは、ネプテューヌが『いーすん』と呼ぶ、イストワール。プラネテューヌの歴史を記録する役目を担いつつ、ネプテューヌの住むプラネテューヌの教祖の役職に就いている女性である。

 

 

「どうしたの、もうおやつの時間? んーとね。今日の私はチョコプリンって気分かなぁ? って、あああ! いーすん! ゲーム機のコンセント引き抜こうとしないでよ! いーすんママってば!」

 

 イストワールが声を張り上げることが既に日常風景と化していたネプテューヌはイストワールの怒りをスルーして今日のおやつの要望を伝える。と、ここで。宙に浮かぶ本の上に座るイストワールが、ネプテューヌがただいま絶賛プレイ中のゲーム機のコンセントの元へとふよふよ移動し始めたため、抗議声明を表明した。

 

 

「私はあなたのお母さんじゃありません! もう我慢の限界です! いつまでも遊んでないで、働いてください! でないと、このコンセントを抜いて、ゲームを強制終了させますよ? まだセーブしてないですよね、ネプテューヌさん?」

「ねぷッ!? ま、まさかいーすんがゲームを人質にするという、卑怯な手段を使ってくるなんて! でも、残念だったね! どうせそれゲームオーバー待ったなしだからね! どうせ直前のセーブポイントまで戻されるんだし、ゲームを人質にしても無駄無駄ぁ!」

「く、何ということでしょう……!」

「それにしても……一体全体どうしたのさ、いーすん! まだ神次元ゲイムネプテューヌVの騒動が終わってから3か月だよ!? 怒るの早くない!? Vが始まった時は年単位で私のごろごろゲームニート生活を黙認してくれてたじゃん! あの頃の優しいいーすんはどこに行っちゃったのさ!? カムバック、優しいいーすん!」

 

 怒り心頭なイストワールを前に、ネプテューヌはゲームを人質にしても無駄だと告げると、ネプテューヌを無理やり働かせる手段を失ったイストワールは絶望した。一方、ネプテューヌはイストワールの仕事催促のタイミングが早すぎることに心の底から抗議した。

 

 

「それは優しい私、ではなくネプテューヌさんにとって都合がいい私、の間違いでしょう! 全くもう! しばらく放っていた内にまたレベルが下がってるじゃないですか! Vが終わった時はレベル99だったのにもうレベル49まで下がっちゃってるじゃないですか! 少しは危機感を持って、働こうと思わないんですか!?」

「おお! ホントだ、いつの間に! ということは、あと3か月でレベル5になるっぽいね。じゃあその時が新次元ゲイムネプテューヌVⅡの始まりだね! だったら、それまではダラダラゴロゴロOKってことだよね! 仕事してなくてもいいってことだよね! ハイ論破!」

「そんなわけないでしょう! それにVⅡが始まってから動くということは、何か大変なことが起こった後に、後手後手で対処するってことじゃないですか! しかもレベル5の状態で! 毎回毎回世界の危機レベルの厄介事はごめんです! 世界の危機になる前に、厄介事の種を排除するつもりで、今日からきびきび働いてください! それと、ゲームは1日1時間です!」

「くッ、そんな一般的な常識でこのネプテューヌを縛れると思ったら大間違いだよ!」

「むむむ……!」

「ねぷぷぷ……!」

 

 世界が平和な時はのんべんだらりと暮らしたいネプテューヌと、日頃からきちんと女神の職務をこなしてほしいと願うイストワール。2人は口論の末に、視線をバチバチとぶつけ合う。互いの譲れないもののために、一歩も譲らず、火花を散らし合う。と、その時。

 

 

「あ、いーすんさん。ここにいたんですね。探しましたよ?」

「相変わらず、イストワールに苦労させているのね、ネプテューヌ」

 

 ネプテューヌの自室に2人の女性が入ってきた。1人はネプテューヌの妹にして、プラネテューヌの女神候補生のネプギア。そしてもう1人は、ラステイションを治める女神ブラックハートの変身前の姿をした、ノワールだ。

 

 

「そ、その声は! 公式ボッチのノワール、ノワールじゃないか! どうしてここに!? あぁ、そっか。寂しさのあまり、癒しを求めて私に会いに来たんだね!? それなら、ほら! 私の胸に飛び込んでおいで!」

「ボッチ言うな! VⅡが始まれば私にも友達ができるんだから! それより、ここに来たのはイストワールと情報交換するためよ。ちゃんと事前にアポを取ったんだけど……イストワールから聞いてなかったの?」

「いーすん?」

「すみません。すっかり話し忘れていましたね」

 

 ネプテューヌからのボッチ扱いに軽く不満を口にした後、ノワールは簡潔に用件を告げる。どうやらイストワールはネプテューヌに伝え忘れていたらしく、ネプテューヌから視線を向けられたイストワールはペコリと頭を下げた。

 

 

「ま、ネプテューヌやネプギアがいるのは好都合だわ。2人もこのまま私の話を聞きなさいな、私がここに来たのは情報交換と、プラネテューヌへの忠告よ」

「忠告? 穏やかじゃないですねぇ」

「ネプテューヌ。あんたがシリアス嫌いなのは知ってるけど、今回は茶化さずに真面目に聞きなさい。それぐらい重要な話だから」

「ほうほう(梟)」

「……どうしよう、こいつ追い出したくなったんだけど」

「お、落ち着いてください、ノワールさん。ほら、お姉ちゃんも真面目に聞こうよ? 何かノワールさん、凄く深刻そうな顔してるし」

「それもそうだね。そろそろ真面目モードにならないと、読者の皆に『何だよこの二次創作、全然話進まねぇな』って飽きられちゃうかもしれないからね!」

「……話を続けていいかしら?」

「はい、どうぞ! ノワールさん!」

 

 一向にふざけるのをやめようとしないネプテューヌの言動にノワールの機嫌が明らかに急降下したのを察したネプギアが間に入り、どうにかノワールが本題を話せる雰囲気作りに尽力する。そんなネプギアの活躍のおかげで、ノワールは無事、話を再開することができた。

 

 

「ここ最近、ラステイションでは異常事態が発生しているの。1つは、ゲームにまったく興味を示さない国民が増えていることよ」

「……ねぇノワール。ちょっと言いにくいんだけどさ、それって国民が、ラステイションのゲームがつまらないって思ってるからじゃないの?」

「お、お姉ちゃん。そんな直球で言わなくても……」

「それはないわ。だって、例えラステイションのゲームが飽きられてるなら、プラネテューヌなりルウィーなり、他国に移住するものでしょう? だけど、彼らは一切移住しない。ただただゲームに興味を失っているのよ」

「それは確かに妙ですね……」

 

 ノワールの言葉にネプテューヌが歯に衣着せぬ物言いで己の推測を披露する。ノワールが怒るかもしれないとネプギアが慌ててネプテューヌを嗜めようとするも、ノワールは怒ることなく冷静に言葉を紡ぐ。その内容にイストワールは眉を寄せた。

 

 ノワールが告げた内容は、確かに異常なことだった。ゲイムギョウ界の住民は誰だろうと、多かれ少なかれゲームをする。息をするようにゲームをする。それはゲイムギョウ界の住民が元々、ネプテューヌシリーズが開発され発売された世界にて、何らかのゲームのキャラクターとして生まれた存在だというケースがほとんどだからだ。

 

 だからこそ各国は国民が飽きないようにあの手この手と趣向を凝らしたゲームを、ハードを提供している。そうして国民から国を、女神を支持してもらうことで得られる信仰(シェア)の力を糧に、女神は国を発展させている。

 

 かつて犯罪神マジェコンヌが台頭した時も、犯罪神を信仰する勢力による侵略方法は、ゲイムギョウ界の住民にマジェコンを配布することだった。安価でゲームを違法ダウンロードできるマジェコンを介して、住民の信仰先を四女神から犯罪神へと切り替えようとしたのだ。

 

 それぐらい、ゲイムギョウ界とゲームは切っても切り離せない密接な関係なのだ。だからこそ、ゲームに興味そのものをなくさせるような活動は、例えラステイションから信仰を減らそうとする一派の暗躍によるものだとしても、異常で、異様だ。

 

 

「でも、これはまだマシな方よ。今、ラステイションではもっとヤバいことが起こってる」

「ヤバいこと、ですか?」

「ええ、集団自殺よ」

「じ、自殺? 自殺ってあの、自分で自分を殺しちゃう、あの?」

 

 ノワールの物言いから嫌な予感を感じ取ったネプギアの問いかけに、ノワールは憂鬱そうな表情とともにヤバいことの内容を告げた。そのあまりに衝撃的な言葉に、ネプテューヌはついボケることを忘れて顔を青ざめさせる。

 

 自殺。それはゲイムギョウ界においては、縁のない言葉だった。ゲイムギョウ界はゲイムキャラたちが息づく世界。そして、ゲーム購入者に満足、希望、癒し、思い出といった夢のあるものを提供するために生み出されるゲイムキャラ。ゆえに、ゲイムキャラはよほどのことでもなければ自殺なんて希望の欠片もないような行いだけは絶対にしない。なのに。

 

 

「最近、ネット上に『集団自殺主義』っていうサイトが立ち上がってね。そこにアクセスした国民が、ラステイションの各地で次々と集団自殺をしているのよ。もうかれこれ200人は自殺しているわ。それも家庭を持っている人や有能なサラリーマンといった、普通に考えてまず自殺しそうにない国民がね」

「……200人、相当多いですね」

「どう考えてもヤバいじゃん、そのサイト! どうして取り締まらないのさ、ノワール!」

「もうとっくにやってるわよ! でもいくら潰しても次の瞬間には何事もなかったかのように復活してるのよ! しかも日に日に集団自殺主義へのアクセス数は増えてるし、どうにかこんなサイトを運営している奴を見つけ出さないことにはどうしようもない状況になってるわ」

「「「……」」」

 

 ラステイションで集団自殺が流行っている。しかも取り締まろうにも根本的な原因をどうにかしなければ話にならない。ラステイションの現状がかなり悲惨だと知ったネプテューヌ、ネプギア、イストワールの3人は言葉を失った。

 

 

「とにかくラステイションは今散々よ。タイミングからして、国民がゲームへの興味をなくしたり、自殺したりといったことは何らかの国家転覆をもくろむ組織が関与しているとみているわ。だから、もしかしたら他の国でもその手のケースがあるんじゃないかと思ったんだけど……プラネテューヌはいたって平和のようね」

「なるほど、これが日頃の行いの成果って奴だね」

「……私はツッコまないわよ。で、まだ情報交換してないからわからないけど、ブランやベールもここの所かなり忙しそうにしているし、きな臭いうわさも届いている以上、ルウィーやリーンボックスでも、ラステイションと似たようなことが起きていてもおかしくないわ。……となると、プラネテューヌでもこれから何か大変なことが起こるか、それかもう水面下で何かが進められているか。いずれにせよ、警戒するに越したことはないわ。くれぐれも、気を付けなさい」

「あ、うん。わかった」

 

 絶句状態から復活したネプテューヌは場の空気が重くならないように努めてボケようとするが、結局はノワールからの忠告を素直に受け止めた。ノワールの眼差しが、ネプテューヌを、プラネテューヌを心から心配するものだったからだ。

 

 

「わかりました。情報提供、ありがとうございます。ノワールさん」

「どういたしまして」

「え、ノワールもう行っちゃうの? せっかくここまで来たんだからお茶くらい出すよ? ネプギアが」

「はい。お茶菓子と一緒にすぐに用意できますよ?」

「申し出はありがたいけど、今回は遠慮するわ。今はあまり、国を空けていたくないから。それじゃ、また会いましょう」

 

 要件を終えたノワールが早急に帰ろうとする中、ネプテューヌとネプギアはノワールを引き留めようとする。が、ノワールは2人のお誘いを断ると、速やかにプラネテューヌの教会から去るのだった。

 

 




ネプテューヌ:プラネテューヌの女神。基本的に働いたら負けだと思っている。が、仕事ができないわけではなく、やる時はやる。また、息をするようにネタ発言に走る上、メタ発言もかなり多いため、ネプテューヌへの好き嫌いは結構はっきり分かれる傾向にある。
ネプギア:プラネテューヌの女神候補生。超次元ゲイムネプテューヌmk2では主人公を務めたこともある。お姉ちゃんのネプテューヌが大好きなため、姉を甘やかしがち。
イストワール:プラネテューヌの教会の教祖。仕事をサボるネプテューヌの代わりに日々忙しく働いている。最近は平和な時でもネプテューヌを働かせるにはどうすればいいかを常に考えている。
ノワール:ラステイションの女神。女神としてしっかり仕事をこなすものの、不器用な性格をしているせいか、友達がいない。他国の女神を友達と言えないこともないが、本人はおそらく認めないだろう。今はラステイションが大変なことになっているため、いつも以上に働きまくっている模様。

 というわけで、1話は終了です。1話から割とシリアス目な話が展開されていますね。これが『シリアス展開』や『鬱要素』タグの効果なのでしょう。ちなみに、ゲイムキャラ云々辺りの設定はオリジナル設定です。本編でもそのようなノリの設定なのかは私にはわからないのです。
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