堕ちたあの子がゲイムギョウ界を壊しにかかる話 作:ふぁもにか
どうも、ふぁもにかです。前回はそこそこ激しい戦闘回でしたが、あのレベルの戦闘は今後しばらく存在しないかと思われます。楽しい楽しい戦闘回がお預けとか、悲しいなぁ。
「ただいま、いーすん!」
「お帰りなさい、ネプテューヌさん」
「あ、お帰りなさい。お姉ちゃん」
「お帰りなさいです。ねぷねぷ」
プラネテューヌに機械化病のパンデミックを発生させていたセンシャとシュプレをバーチャフォレストから追い払った後、女神化の変身を解いたネプテューヌが元気いっぱいな声色とともにプラネテューヌ教会内の自室に帰ると、三者三様の返事がネプテューヌの耳に届く。どうやらイストワールの他にも、病院からネプギアとコンパが帰ってきていたようだ。
「お。ネプギアにコンパがここにいるってことは、機械化病への対処方法がわかったって感じ? じゃなきゃ、今も病院でてんやわんやしてるはずだし」
「はいです。ぎあちゃんが1時間でやってくれました。ぎあちゃんに頼って正解だったです。ぎあちゃんは機械化病の全患者さんにとっての救世主なのです」
「おおおお! さっすがネプギアだね! お姉ちゃん、鼻が高いよ! よーしよしよし」
「く、くすぐったいよお姉ちゃん……えへへ」
どうやらネプギアは見事にコンパの無茶ぶりに応え、機械化病への解決策を閃いてみせたようだ。コンパの晴れやかな笑顔を受けて、ネプテューヌはまるで子犬をモフるかのようにネプギアの頭を撫でる。対するネプギアは口ではネプテューヌの好意にわずかながら抵抗の意を示したものの、その表情は完全に照れ顔100%だった。
「しっかし、それだけネプギアが活躍でできたってことは、きっと今頃、『伝説の名医』属性的な新しい属性がラーニングされてるんじゃない? ステータスを確認してみたら、ネプギア?」
「えっと、そういう
「それだけネプギアが愛されてるってことだよ。よ、人気投票第7位!」
「ぎあちゃんが人気者で何よりです」
「そんなこと言われても複雑だよぉ……」
日頃、己が無個性ではないかと悩むネプギアは、ふとしたきっかけで新たな属性を獲得するラーニング技能を持っている。ゆえに、此度の一件でネプギアが医療関係の新属性をゲットできたのではないかと推測するネプテューヌであったが、ネプギアは首を振る。その後、純粋に自慢できるような属性は中々手に入らず、ネガティブな属性ばかり手に入れてばかりだった過去を思い出して憂鬱な気分に陥るネプギアを、ネプテューヌとコンパはそれぞれ自分なりにネプギアを励ますも、ネプギアは沈んだ気持ちのまま、終ぞ両手の指を胸の前でつんつんと触れ合わせるのみだった。
「ところで、どうしてコンパたち病院関係者が思いつけなかった機械化病の解決策を、医療素人のネプギアが思いつけたの?」
「それがね、お姉ちゃん。機械化病は正確には病気じゃなかったんだよ」
「(; ・`д・´) な、なんだってぇぇえええ!? ……え、いやマジでどゆこと? 教えて、ネプギア先生!」
「簡単にいうとね、機械化病はコンピュータウイルスを思いっきり改造して人体に感染させられるような性質にした、機械化ウイルスが原因だったんだ。だから、私は機械化ウイルスから患者の体を守るワクチンソフトを作って、人体に適用できるようにそのワクチンソフトを改造した上で患者に投与して、それで機械化病を抑えたの。……でも、機械化ウイルスはどんどん進化するから、私の作ったワクチンソフトじゃ機械化ウイルスを駆除できなくて……体が機械化する症状を食い止めて、症状を進ませないので精一杯だったよ」
「それでも十分すぎるのです。時間さえあれば、私たち医療の専門家が機械化病の根本的な治療方法をいつか必ず見つけ出すはずです。だからぎあちゃんが力不足や罪悪感を感じることはないのです。むしろ胸を張って、誇ってほしいです」
「コンパさん……そう、ですね」
ネプテューヌの純粋な疑問にネプギアは機械化病の性質と、己が施した対処法を答える。その際、機械化病を完治できなかったという事実を思い出し、ますます落ち込むネプギアに、コンパは機械化病によるさらなる死者発生を防いだネプギアの功績をたたえる形でネプギアを元気づける。結果、ネプギアは個人的には此度の結果に納得しきれていないものの、己の功績を前向きに捉えることにした。
「コホン。まぁ、そのようなわけで。ネプギアさんとコンパさんには機械化病への対応状況を報告してもらっていたんですよ」
「あ、ごめんいーすん。すっかりいーすんのこと、忘れちゃってたよ」
「いえ、構いませんよ。皆さんの雰囲気を壊すのはどうかと思って、敢えて黙っていましたし。それよりも、ネプテューヌさんの活動報告を聞かせてください」
「あいあい」
イストワールに促されたネプテューヌはプラネテューヌ教会を出てからの己の行動を簡潔に話す。コンパを病院に送った後、病院にいても自分にやれることはないと病院から出たタイミングでアイエフと会い、アイエフの情報を受けて、プラネテューヌの機械化病のパンデミックの元凶を倒しにバーチャフォレストへ出かけたこと。そして、元凶たるセンシャとシュプレの戦闘は、機械化ウイルスをばら撒く機械の破壊こそできたものの、肝心の犯人の2人には逃げられてしまったこと。
「……やっぱりこのパンデミックは人為的なものだったんだね。機械化病の原因が人間用に改造されたコンピュータウイルスだってわかった時から、そうなんじゃないかって薄々思ってたんだよね」
「ねぷねぷとアイちゃんのおかげで機械化病の新規患者さんが生まれなくなったですね。ありがとうです、ねぷねぷ」
「あはは、どういたしまして。コンパが元気になってくれて何よりだよ」
ネプテューヌの報告内容を聞いたネプギアは悪意ある存在がプラネテューヌを滅ぼしにかかったのではないかとの己の推測が当たったことに複雑そうに呟きを漏らし。コンパはネプテューヌとアイエフの健闘により機械化病に苦しむ患者数が増えずに済んだことに心からの感謝を示すべく、ペコリと頭を下げた。
「しかし……そうですか、逃げられてしまいましたか」
「ごめんね、いーすん。私の詰めが甘いばっかりに」
「あ。いえ、ネプテューヌさんたちのおかげで、機械化病のさらなる感染拡大は防げましたし、世界を滅ぼそうとする、『ネア』という人物をトップに据えた組織の存在もわかりました。これは素晴らしい結果ですよ」
一方。眉を寄せてむむむと唸るイストワールに、ネプテューヌは申し訳なさそうに謝罪する。が、別に怒っていなければ、ネプテューヌを責めるつもりもないイストワールはネプテューヌの誤解を解くべく、ネプテューヌの行いから得られた成果を早口で示しつつ、ネプテューヌに高評価をプレゼントする。
――ここで女神をさくっと殺し、世界の破滅に大きく貢献するとしましょう。そうすれば、必ずやネアも喜んでくれるでしょうし。
――撤退だ。我らの役目は機械化病でプラネテューヌを滅ぼすこと。目的が果たせなくなった以上、ここに留まる理由はない。ネアの元へ帰るぞ。
「……」
今回、ネプテューヌとアイエフがエンカウントしたシュプレとセンシャのこの発言は、かつての犯罪組織のように世界を壊そうとする組織の存在を明らかに示唆している。イストワールには以前、犯罪神マジェコンヌの下で犯罪組織が台頭した時に、四女神+ネプギアを犯罪神の住まうギョウカイ墓場に派遣するという己の愚策のせいで、世界を破滅一歩手前まで導いてしまった戦犯の実績がある。決して前回の二の轍を踏まないよう、心して今回の『組織』に対応しなければならない。イストワールは改めて気を引き締め直しながら、言葉を紡ぐ。
「センシャさんとシュプレさんって人が所属する組織……暫定的に『破滅組織』とでも命名しましょうか」
「破滅組織って、まるで放っておけば勝手に自爆して崩壊しそうな組織だね!」
「名付けた自分でも同じような感想を抱きましたが……くれぐれも油断は禁物ですよ、ネプテューヌさん?」
「はーい。まぁ実際殺されかけちゃったしねぇ。気を付けないと」
イストワールによる組織の命名にネプテューヌが茶々を入れると、自分でもあまりセンスのないネーミングだと考えていたイストワールは安易に破滅組織と名付けたことを若干後悔しつつ、ネプテューヌの心に再び破滅組織への慢心が生じないように釘を指す。が、イストワールの心配は杞憂だったようで。うっかりシュプレに殺されかけたことが意外とこたえていたらしいネプテューヌもまた、気を引き締める。
「話を戻しますが……先ほどのノワールさんの話であった、ラステイションの住民のゲーム離れに集団自殺。これも、おそらく同じ破滅組織の暗躍による結果でしょう。そして、世界の破滅が目的ならば、破滅組織はルウィーやリーンボックスでも何らかの活動をしているはず。……そこで、ネプテューヌさん、ネプギアさん。明日から、2人は他国に助太刀をしてくれませんか?」
「「助太刀(ですか)?」」
「はい。破滅組織は同時並行で4つの国を壊そうとしていると思われます。今回、ネプテューヌさんとアイエフさん、そしてネプギアさんのおかげでプラネテューヌを犯す脅威、未知の病:機械化病によるパンデミックは消滅しました。ならば破滅組織がプラネテューヌに次の一手を仕掛ける前に、各々苦しんでいるであろう他国を助けるべきです。他国の危機に積極的に関わり破滅組織の野望を妨害することで大なり小なり、破滅組織についての情報を掴めることでしょうしね」
「なるほどなるほど。わかったよ、いーすん」
イストワールの提案を前向きに受け止めたネプテューヌはここでスッと目を瞑り、考えを巡らせる。明日から他国の窮状を救う助っ人として介入することになった以上、どの国を最初に訪れるべきかをしばし考える。そして、考えを纏めたネプテューヌはパチッと目を開き、己の定めた方針を口にする。
「そういうことならまずはラステイションに行こっか。ノワールの話からして、相当深刻なことになってるみたいだしね」
「ユニちゃん、大丈夫かな……」
「大丈夫大丈夫、こうして主人公の私が動くんだから、ラステイションの危機もパパッと解決できるって! ラステイション編のハッピーエンドとユニちゃんの満面の笑顔スチルは約束されたようなものさ! ……ところで、コンパはどうする? 私たちと一緒に行く?」
「いえ、私はプラネテューヌに残るです。ぎあちゃんのおかげで機械化病の進行は止まりましたが、機械化病の患者さんの心労は計り知れないです。だから私がナースとして患者さんの側にいて、励ますべきだと思うです。ねぷねぷとぎあちゃんと一緒に行けないのは残念ですけど……」
「いえいえ。私たちのことは気にしないでいいですから、コンパさんは自分のお務めを果たしてください!」
「ま、聖母の権化ことコンパならそう言うと思ってたよ。機械化病にかかった人たちのこと、お願いね?」
「はいです!」
まずはラステイションに向かうことに決めたネプテューヌは、ラステイションの女神候補生&友達たるユニを心配するネプギアを、持ち前の元気さをフル活用して励ましにかかる。その後、ネプテューヌはコンパも自分たちに同行するかどうかを尋ねるが、コンパはプラネテューヌに大量搬送された機械化病患者に寄り添うつもりだったため、ネプテューヌとネプギアはコンパが負い目を感じないように、プラネテューヌの患者を託す旨をきっちり伝えるのだった。
「ところで、ずっと気になっていたのですが……ネプテューヌさんはアイエフさんと2人で破滅組織の2人を倒しに行ったんですよね? では、そのアイエフさんはどこに行ったんですか? アイエフさんの性格からして、私への報告をネプテューヌさんだけに任せて、1人でどこかへ行くとは考えにくいのですが」
「……え?」
と、ここで。イストワールから投げられたふとした疑問に、ネプテューヌは思わず困惑の声とともに硬直する。この時。ネプテューヌはグルリと周囲を見渡し。ようやくこの場にアイエフがいないことに気づいた。
「あ、ホントだ! アイちゃんがいない!? いつの間に!?」
「いつの間にって、ねぷねぷがここに来た時はもうねぷねぷ1人だけだったですよ?」
「……お姉ちゃん。もしかして今までずっと側にアイエフさんがいるつもりだったの?」
「そそ。そういやさっきからアイちゃんやけに無口だなぁとは思ってたけど、まさかこの場にいなかったなんて! てっきり、この作品は小説だから、多人数が一気に話すことで、各セリフを誰が喋っているか読者が把握しきれないなんて事態にならないようにアイちゃんなりに配慮して喋らないでいるものと思ってたのに……」
「その様子だと、ネプテューヌさんに何も言わずに姿を消したってことですか。……心配ですね。アイエフさんの身に何も起こっていなければいいのですが」
「それ言っちゃいけない類いのフラグだよ、いーすん! うぅ、大丈夫かなぁ。アイちゃん……」
ネプテューヌの慌てっぷりに、コンパとネプギアはコテンと首を傾げつつ、ネプテューヌがプラネテューヌ教会に帰った時点からネプテューヌの隣にアイエフがいなかった事実を告げる。ネプテューヌに何も言わずにアイエフがいなくなった。そんなアイエフらしからぬ行動に嫌な予感を覚えたイストワールの発言により、イストワールの心配が移ったネプテューヌは、アイエフの無事を心から祈るのだった。
◇◇◇
(……さて、そろそろ私がさらっと離脱しているのをネプ子に気づかれてる頃よね)
一方その頃。アイエフは1人、バーチャフォレストの遥か北部の山岳地帯の岩陰に身を潜めていた。アイエフの視線の先には。さすがにここまでネプテューヌとアイエフが追ってくることはないだろうと安心しきって歩調を緩め、まるで周囲を警戒していないセンシャとシュプレの後ろ姿。
(心配かけて悪いわね、ネプ子。でも、今回ばかりはあの2人をそう簡単に逃がすわけにはいかないのよ。……絶対に、絶対に仇を取ってやるんだから!)
アイエフはセンシャとシュプレを決して見失わないよう細心の注意を払って尾行しつつ、武器のカタールを強く握りしめる。この時。センシャとシュプレを見つめるアイエフの両眼は、復讐の炎で煮えたぎっているのだった。
ネプテューヌ:プラネテューヌの女神。何かを発言する度に何かしらネタを放り込むスタイルなネプテューヌだが、今回は比較的真面目にイストワールに報告を行った。
ネプギア:プラネテューヌの女神候補生。医療素人なのに機械化病を食い止める方策を閃き、1時間で対処しきったチートな子。そして、そんなネプギアに頼ったコンパも名采配であった。
コンパ:プラネテューヌの病院のナース。ネプギアが機械化病をどうにか食い止めてくれたおかげで患者のさらなる大量死展開によるメンタルブレイク展開を回避できた。
アイエフ:プラネテューヌの諜報員。ネプテューヌと一緒にセンシャやシュプレのことをイストワールに報告する、と見せかけて独断でセンシャ&シュプレの尾行に走っている。
イストワール:プラネテューヌの教祖。ネプテューヌとネプギアのおかげでプラネテューヌを襲う機械化病の脅威がなくなったため、2人を他国に派遣する方針を決めた。
センシャ:オリキャラ1号。破滅組織に所属する、青髪に白衣が特徴的な少女。マッドサイエンティストなキャラ。
シュプレ:オリキャラ2号。破滅組織に所属する、白髪ポニーテールが特徴的な少女。人を斬るのが好き。
――アイエフさんがパーティから離脱しました。
――ネプギアさんがパーティに加入しました。
・現状のパーティメンバー:ネプテューヌ、ネプギア
というわけで5話は終了です。ネプテューヌシリーズは何だかんだで『プラネテューヌ→ラステイション→ルウィー→リーンボックス』と物語の舞台となる国が移るのが通例ですから、この作品もその流れに乗っかる所存です。何かと原作のノリを模倣してばっかりですが、原作の雰囲気を再現するには、原作っぽい流れを構築するのが一番なんですよねぇ。だからこれは仕方のない処置なのです。
~おまけ(本編に不採用な会話)~
ネプテューヌ「お。ネプギアにコンパがここにいるってことは、機械化病への対処方法がわかったって感じ? じゃなきゃ、今も病院でてんやわんやしてるはずだし」
コンパ「はいです。ぎあちゃんが1時間でやってくれました。ぎあちゃんに頼って正解だったです。ぎあちゃんは機械化病の全患者さんにとっての救世主なのです」
ネプテューヌ「おお、凄いじゃんネプギア! さすがは私の妹だよ! これがいーすんだったら最低でも3日はかかってたね、絶対!」
イストワール「そこで私を引き合いに出さないでほしいのですが。まぁ確かに、私が機械化病の治療法を見つけ出そうとしたら3日どころか、3か月はかかったでしょうけど」
ネプテューヌ「うわぁ……」
コンパ「いーすんさん……(´・ω・`) 」
イストワール「な、何ですか、その仕事のできない無能なダメ人間でも見るような目は……」
ネプギア「お姉ちゃん、コンパさんも! 時間さえかければいーすんさんは今回私が見つけた方法よりももっと正しい方法を見つけられるんですからそんな、まるで可哀そうなポンコツを憐れむような眼差しで見下しちゃ可哀そうですよ!」
ネプテューヌ「おおっと! ここでネプギア選手、いーすん選手に手を差し伸べると見せかけた痛烈な一撃を放ってきたぁー! これはいーすん選手に手痛いダメージとなったかぁ!?」
イストワール「ネプギアさんなりに私をフォローしてくれているのでしょうが、そのように言われてしまうと少々複雑ですね……」
イストワールは緊急性のない仕事なら完璧にこなす。個人的にそんなイメージです。