宇宙人などいない! ~IS学園潜入計画~   作:岸寄空路

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昔考えたネタを投下してみました。
問題あるなら即削除します。


白騎士事件
宇宙人には勝てなかったよ


 彼女の人生はある人との出会いで変わった。

 

「あなたの発明は素晴らしいと思うわ。個人レベルどころか世界レベルで既存の技術を凌駕している」

 

 彼女の発明を評価し理解してくれる人物との出会いが彼女の精神を人間に戻した。

 

「それ故に理解してくれる人は地球人にはいないわ」

 

 それと同時に元から知っていた――本当の意味で理解していなかった自分を知ることができた。

 

「IS、インフィニット・ストラトス――これはまだ地球人には早いわ」

 

 この星では異端だけど、広い視野で、宇宙全体で見れば自分など――

 

「私達の、『ガーディアン』の仲間にならない?」

 

 たまにいる優秀な少女でしかないのだと彼女は――篠ノ之束はそう理解し、教えてくれた目の前の幼女にしか見えない宇宙人の手を握った。

 

 

 束がISを発表して一ヶ月後。束は喫茶店ノワールにいた。

 

「うう、えっぐ、えぐ、あうぅぅぅ」

 

 そこに普段の明るさは無く机に突っ伏して泣きじゃくっていた。

 

「そんなに泣いたら可愛い顔が台無しよ?」

「……誰の所為ですか」

 

 束を慰めているのは金髪を左右二つに纏め眼鏡をかけ白衣を着た耳が尖がっている少女エリカ・アシジュポーン。見た目は少女だが『メフィラス=ポテフ第7白色彗星人』という純粋な宇宙人(ピュアブリード)で立派な成人だ。更に一児の母でもあり、今の束にとっても母親の様な存在だ。血の繋がった実の母親よりも。

 

「って言われても困るのだけど」

「分かってますよ! 八つ当たりなのは!」

 

 そう言って束は涙を流しながらテーブルの上の食べ物をやけ食いする。今の彼女に体重に対する恐怖など無い。何も知らぬ女性が見れば明日の悲劇を容易に想像できる光景だが仮に普段通りであったとしても束は何のダメージも受けないだろう。彼女の性格的にも理不尽な胸部の成長的な意味でも。

 

「私の発明品がエリカさんの造ったコアシステムと同じ機能が有るとか! ISコアに意志を宿すのが精一杯なのに擬人化できるUFOが開発されてるとか! もう泣くのを通り越して笑えてきますよ! ちくしょぉー!!」

 

 束の言う通りエリカの所属する『ガーディアン』には地球とは比べ物にならない技術がいくつも存在し、その中には束の技術を更に発展させたものも有った。IS自体は束が個人で発明したもので、その技術は既存の地球の技術を凄まじく進展させるものだ。それ故に理解できる者も地球人の中には皆無であり夢物語扱いされてしまったが、彼女が自他共に認める天才なのは間違いないだろう。

 だが宇宙全体で見れば彼女の技術は既にほぼ通った道だというのだから嘆くのも仕方がない。

 

「所詮私は井の中の蛙でしかなかったんですよ~。知能レベルが妹と一つしか違わない子と同レベルなんですから~」

「さすがうちの子は天才ね!」

「そこで親バカにならないでください」

 

 エリカの娘、ルイージュ・アシジュポーン、通称ルイ。彼女も天才的な頭脳の持ち主であり母であるエリカの実験の手伝いもしている。束もエリカを介して交流した結果、同レベルの天才だからか、はたまた精神年齢が同レベルだからか気が合い、今では束は実の妹よりもルイの事を可愛がっている。……実妹に壁を作られて距離を取られている事から逃避しているとか言ってはいけない。

 

「こほん。……束ちゃんも落ち込むのは分かるけど、その代わりISもちゃんと完成したでしょ?」

「そうですけど……」

 

 ISの完成。それは束が作るはずだった本来のISと言っても良い。発表した時にできていたIS白騎士は試作品、言い換えれば未完成品だった。ISには欠点がいくつか存在する。その代表とも言えるのが女性しか乗れないことだ。だがそれは束が意図して設計したわけではなく白騎士を完成した段階で発覚した欠陥で束にも原因が分からなかった。

 

 原因が判明したのはある宇宙船の一言だった。

 

『この娘プライド高いですね。『私の体に乗って良い男は私に認められた男だけです』と言っています』

 

 なんてことはない。ISコアの人格が無から生まれたわけはなく、元となった人間がいて、その元となった人物は束の交友関係を考えれば束本人とその親友である織斑千冬。後は妹である箒と親友の弟の一夏ぐらいしか選択肢が無い。そうなってくると子供である箒と一夏に実験への協力を頼むわけもなく、性格に問題のある束と千冬を元にプログラミングされた。結果、束の性格を基準にすれば親しくもない相手など等しく無価値と判断するし、千冬を基準にすれば認めた相手以外に心を許さなくなる。それでも譲歩した結果、どちらも女性なので男に対してだけハードルが高くなり女性ばかりが乗れるようになるという欠陥を抱える事となったのだ。

 

 対処法として『大銀河連邦』のUFOと同じ設計に変更した。これにより前のISコアよりも個性も感情も豊かになり、自身の『人間の乗り物』という本来の役目を真面目に実践してくれるようになり男性も使えるISへと変わった。……前のISは公私混同する問題児として扱われるようになったが。

 

「なら良いじゃない。あなたの目的は自力でISを完成させることじゃないでしょ?」

「…………」

 

 ISを発表した時、束には目的があった。それは誰も思い願う事。

 

 誰かに褒めてもらいたい、認めてもらいたい、理解されたい。

 

 天才であるがゆえに同級生はもちろん、実の両親からも距離を取られ、親友である千冬も共感しているのは身体能力の面だけであり頭脳面での理解者ではない。理解されないなら最初から親しくならなければいいと壁を作ったものの千冬に矯正され最低限のコミュニケーションは取るようになった。自分の事を理解してくれない相手と接する事は束にとってストレスでしかなかったが。

 

 だから自身の頭脳を駆使した発明品を発表した。

 

 自分は凄い物を作れると自慢するために、自分は人類に貢献できるのだと認めてもらうために、そして自分の技術を理解し共有できる同レベルの存在を見つけるために。その為に努力した。開発資金を親名義で株やFXなどに手を出して稼ぎ、それを元手に自分の理想通りにはいかなかったが工房を千冬以外には秘密裏に拵えた。そして自分が持てる全てを注ぎ込んでISを開発した。想定よりも欠陥も多かった。だがそれもこれから得られる理解者や協力者と共に改善していけばいい。そんな期待を胸に束はISを発表した。自分よりも年上で知識も経験もある技術者、研究者なら理解してくれると信じて。

 

 しかし、その努力は「夢物語だ」と言う嘲笑で返された。

 

 この世界に自分を理解してくれる人はいない。そう絶望しかけた時に出会ったのがエリカだ。

 

 エリカは自分と同レベル、あるいはそれ以上の知能と科学力を持った宇宙人だった。ISを正確に理解した上で議論をすることができる相手の存在に束は短い人生の中で初めて心の底から「楽しい」と思った。エリカからスカウトされたのもあるが組織の技術の高さに価値観を共有できる存在が多くいるという希望から『ガーディアン』の現地協力者という立場を得た。結果として束は自身の目的通りに理解者を得た。同時に自身の開発したISを更に発展させる事となった。

 

「それにまだISは完成してないでしょ?」

「確かにまだ設計段階の部分もありますけど欠点の改善方法はだいたい出来上がっていますよ。……ほとんどが大銀河連邦の技術で解消されました」

「技術力が違うんだから仕方がないでしょ?」

「私の自慢のISがこんなあっさり改良されたらプライドも多少傷つきますよぉ~」

「そう腐らないの。あなたが技術を発展させることで地球と大銀河連邦の交流できる日が近づく。そうすれば急進派の――」

 

 束は口先を尖らせて不満そうに声を上げる。エリカはそんな束を慰めながら店内のテレビに目を向ける。そこに映ったニュースに目を見開いた。

 

『日本へ向けてミサイルが発射されました! 確認された限りですと2341発のミサイルが向かっているとのことです! 国民の皆様は近くのシェルターに避難を――』

 

 この日、世界は変わった。

 




続きは未定です。
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