【完結】吉良吉影のヒーローアカデミア   作:hige2902

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③ がっ……駄目っ……!

 実技試験終了の知らせがスタジアムに鳴り響いた後、それぞれの受験生は手ごたえに満ち、あるいはその逆の表情で集合地点へと向かう。

 辺りは個性によって無残に破壊された仮想敵や、大穴の開いた建築物で物悲しかった。

 葉隠に肩を借りた吉良が、ぽつりと言う。

 

「わたしを助けようとしなければ、まだボーダーに間に合ったのではないか」

「ま、それもそうなんだけどさ。なーんか悔しくって」

「悔しい?」

「最初に会った時、あんな大口叩いちゃったし。他人を蹴落としてまでヒーローになろうとする人は、ヒーローじゃない。どうしたって落ちるって」

 葉隠は小さな丸っこい含み笑いで続けた。

「ね? わたしの言ったとおりになったでしょ?」

 

 その一言で、吉良は端田屋に追い詰められそうになった時以上の敗北感に炙られていた。夢想家とバカにしていた格下に、諭されるだと。

 

「……だがそれで自分がヒーローの道から蹴落とされちゃあ世話無いな」

「いーのいーの。ヒーローになりたいから、誰かを助ける訳じゃないしさ」

 

 吉良はなんとか理屈をこねくり回してして考えたが、諦めた。

 理路整然と理屈を並べれば、ヒーローを目指す葉隠は吉良を見捨てるのが最善手だ。

 クソ重いミサイルを担ぎ、コンクリの破片が散らばる荒れたアスファルトの上を裸足で往復する必要など、もしかしたら吉良ともどもリタイアするハメになるかもしれない地下駐車場に戻る必要など、どこにも無かった。

 だが考えれば考えるほど、現実としてヒーローへの道を捨てる事になった葉隠の行動は、吉良にとってのヒーローのそれに他ならなかったのだ!

 

「理屈じゃないんだよ、たぶんね。それにヒーロー科に落ちたって、普通科やサポート科も併願してるし。学生生活で結果を出せば、ヒーロー科に編入する例もあるから。ねね、吉良くんは他にどこ受けてるの?」

 

 吉良はなんとか平静を保ち続けた。

 借りを作るばかりか、人生観に関して反論に窮する。そんな、こんな事が……これは本当の事なのか!?

 

 救護テントやウォーターサーバーが並べられている集合地点が近いのか、受験生の喧騒が聞こえる。

 

「……は、えす」

「え、なに? どこの高校?」

「借りは返す、と言ったのだ」

 

 吉良は葉隠の肩を離れ、よろよろと足を庇いながら救護テントへ向かう。一歩進むごとに激痛が走った。だがこれは敗北の対価だと内心で呪う。

 

 吉良は本来、争いは好まない。弱いからではない。理由なき闘争は無意味だし、勝ち負けにこだわるなんてバカげている。

 だがその余裕は、もし闘ったとしても誰にも負けないという自負があったからこそだ。

 営業成績で負ける、学校のテストで負ける、短距離走のタイムで負ける。それはいい、一位を取るなんて目立つことはしたくない。些細な事だ。許容できる。それは戦いであって闘いではないからだ。自身の価値観、心の平穏、生命、アイデンティティを脅かすほどの闘いではないからだ!

 

 他人を蹴落とす受験生はいるし、その中には合格するやつもいるだろう。だから全員を警戒する。そうすることで裏切られる事は無く、傷つくことなく心の平穏は保たれる。もちろん葉隠も信用していなかったので、地下駐車場で共闘せずに追い出した。

 

 だが向けられた葉隠の言葉と行動に、そのスタンスを否定された気がしてならない。実際の因果関係は曖昧で不確かだが、だったらこのどうしようもない敗北感はいったいなんなんだ! ちっぽけなクソガキにしてやられたって気分だ。

 このままでは済まされない。これで闘いに勝ったと思うなッ! 葉隠透!

 

 他の受験者は幽鬼めいた表情の吉良を見ると、会話を切り上げて黙って道を空けた。

 

 

 

 ――――

 

 

 

 なんとも陰鬱な気分で、吉良は帰宅した。平屋の日本家屋、離れもあり、かなりの敷地面積だ。ゴム弾で撃たれた脚は、雄英の救護班であるリカバリーガールによって完治しているにもかかわらず、どこかふらついている。

 

 門をくぐると吉良の親父、吉廣が玄関から飛び出してきた。暑っ苦しく汗を滴らせ、息を荒くして言った。

 

「どぉ~だった吉影! どうだった、え? どうだった」

 

 ちょうど門前を通りかかった子供が小柄な吉廣を指さして、こなき爺と揶揄してはしゃぐ。吉廣は反射的に口走る。

 

「このヘアースタイルが攻殻の荒巻みてェーだとォ? いや、それはいい、あんなクソガキどもの戯言は……ハッ!?」

 

 そして息子の顔を見上げ、思わず固唾を飲んだ。

 それは吉良が深く絶望した時に見せる、血が出、肉見えるほどに親指の爪をガリガリと噛み続けるという悪癖。

 落第したと察した吉廣は、こみ上げた涙を抑える事が出来ずに泣きじゃくった。

「だ、ダメ……だったのかあ~吉影ぇ。おまえは悪くない、悪くないぞ。悪いのは見る目の無い雄英のクソタレどもだ!」

 

 いま吉良の心の平穏を著しく脅かしているのは、単純に雄英に落ちたという事実ではない。このまま葉隠に借りと敗北感を与えられたまま高校生活を送るという現実に、耐え兼ねているのだ。なにせヒーロー科に落ちてしまったのだ。借りを返すと言ったものの、その機会を得る場はどうすればいい。今から普通科に願書を出しても間に合わない。

 葉隠がプロヒーローになった時にサイドキックとして? バカな。このような精神状態でそれまで待つだと? ありえない。

 

「気にするな、気にするんじゃあない吉影。もう普通科の受験なんぞ、すっぽかしてやれ!」

「なん、今、なんて?」

 と、吉良は唇から親指を話して吉廣を見やった。つぅ、と血と唾液が糸を引く。

 

「すまん、おまえに黙って願書を出したわし達が間違えていた。あんなところはおまえが行くべき場所じゃあない」

「……ひょっとしてだがもしかして、願書を出したのはヒーロー科だけではない?」

「ああ。雄英に願書を出してしまったんじゃ~、全ての科にぃ!」

「なん……だと。そう言えば、そんな事を言っていたような。いや確かに、雄英に願書を出した、と聞いた。決してヒーロー科だけとは言っていなかった! 受験票は!?」

「そりゃ……届いているが」

 

 だとしたらッ!

 きょとんとした吉廣を無視して、吉良はズカズカと自室に向かう。こうしてはいられない、普通科の受験対策をしなければ。ヒーロー科は個性に関する法律や憲法が学科に含まれていたので、芸術や文化は比較的容易だった。だが普通科は違う、補わなければ。

 葉隠は普通科も受けると言っていた。そこで敗北を清算する。それしか平穏に至る方法は無い。

 葉隠と同じ科であれば、機はあるはず。

 

 

 

 ――――

 

 

 

 葉隠透は透明人間である。

 生まれた時からではなく、他の子と同様に幼少の頃に自然と発現したそれは、大いに彼女を満足させた。

 

 男子からは密かに羨ましがられているのを小耳にはさんだし、多くの個性が戦闘系に関連しているのに対し、こういった情報系の個性はレアだ。

 文字通り影も形も無い。物理法則をぶった切った現象。つまり完全な思考の死角。将来はその諜報能力を買われ、大手事務所のサイドキックとしての活躍を夢見ていた。

 両親としては手術等の不安があったが、そこは個性社会。純粋に自然治癒力を高める。食べると傷が癒える謎のやくそう、が髪から生える個性。きずぐすり、やポーション。自動的に傷口を塞ぐ虫。例を挙げればきりがないが、とにかく治す事に長けた個性が当然に存在する。

 

 とはいえ、通常の人よりも手間になるのは確かだ。だから葉隠は健康面には極力気を使った。紫外線不足によるビタミンDの低下が気になっていたが、個性制御が上手くいっているらしく問題はない。炎を手から出す個性の人間が、自分の手を火傷しないのと同じ具合だ。

 

 よーするに葉隠は人一倍病気を避ける生活をしている。栄養管理、規則正しい生活リズムを保っているし、睡眠はぐっすり八時間ほど。失敗してもクヨクヨせず、ストレスは極力抱え込まない。基本的にラフで、悩むより考えて即決。

 さばさばした性格で、性別を問わず友達も多かった。

 

 ただ、思春期を迎えた中学時代、友人と学校帰りにショッピングモールでたい焼きを食べ、洋服を見ていた時。

 

 あ、これカワイー、とか。んー今月はちょっとピンチなんだよねー、とか。ちょっとカッコよ過ぎ、とか。そんなきゃいきゃいしたガールズトークの合間にふと思った。

 

 確かに、カワイイ。と、たっぷりとした深いグリーンの、丈が長めにとられたジャケットを手に取る。かっちりとしたホワイトのシャツにアイボリーのスラックスと合わせたらさぞ映えてステキだろう。

 葉隠は店内の姿鏡をちらと見やる。ジャケットと制服が浮いている。

 

「どしたの、とーるちゃん」

 友人が怪訝な顔で心配そうに言った。

「それ、そんなに気になる?」

 

 ううん、なんでもない。と葉隠は首を振った。

 

 帰宅して、夕食と入浴を済ませて日課のスキンケアをする。乾燥肌は皮膚炎に発展するかもしれないし、爪の手入れも重要だ。スプーンネイルや巻き爪と、意外にトラブルは多い。

 そして、自室に鏡が無い事に今更気が付いた。洗面台の前に立ち、呆然と自問した。

 

 あのジャケットはカワイイ、今着てる寝間着はカワイイ、通学鞄に付けてるキーホルダーはカワイイ、ドラマに出ているあの子はカワイイ、プーさんはカワイイ、猫はカワイイ。

 じゃあわたしは?

 

 ぺたりと顔に手をやる。なんとなく顔の輪郭や目鼻の位置はわかった。髪は美容師をやっている母に切ってもらっている。髪型は、子どもの時と変わらない。邪魔にならない程度に、たぶん女の子っぽいやつ。

 次いで胸を確かめる。身体検査ではけっこうあった。下半身も、そんなに無駄肉はついていない。どちらかといえば筋肉質だ。雄英を受けるのだから当たり前か。とにかくスタイルは悪くない。はず。

 

 親は、可愛いと言ってくれる。でもそれは、我が子は可愛いの可愛いを多分に含んでいるのであって、容姿のカワイイじゃないかもしれない。透明じゃなかった頃の写真はあるが、あまりにも幼すぎる。

 

 その日から葉隠は、雑誌を買ってきて母親に髪型を指定したり、実は適当にやっていた眉の処理を丁寧に手触りだけで判断して試行錯誤した。どうせ失敗したってわかりはしないのだから、大胆に挑戦した。学校で禁止されていた化粧もやってみた。しかし身体の一部と個性は判定したらしく、無駄だった。無駄でなければそれはそれで怖い事になるので構わなかったが。

 

 自室に小さな鏡を置き、出かける時は必ず軽いメイクをした。今ではバッチリ左右対称にキマった眉。控え目のリップでふるりとした唇がそこにある。そのはずだ。

 

 葉隠透をカワイイと言う人間は、この世には誰も居ない。それは多感な女の子にとって果てしなく絶望で、絶望はストレスだ。ストレスは病の原因。だから葉隠は少なくとも自分だけは、自分をカワイイと言ってあげようと思った。それで満足だった。

 

 

 

「ただいまー」

 

 葉隠の母親は、その娘の上機嫌な声を聞いて玄関口まで出迎える。もうずっと居間でやきもきしながら、どうでもいいテレビ番組を眺めていたのだ。

 

「おかえり、透。その様子だと手ごたえアリって感じ?」

「ううん、たぶんボーダー以下。ごめんね」

「そっか。でもよくやったね。謝る事なんて無い。偉いよ透は」

 

 そのまま葉隠は、足取り軽く自室へ戻って普段着に着替えた。ヒーロー科には落ちてしまっただろうが、まだ普通科がある。

 それよりなにより、とベッドに転がり込んでにんまりする。憧れのヒーロー科に落ちてしまった事よりも、嬉しい事があった。

 

 美しい女性、か。

 

 まさか自分以外に自分の容姿を褒めてくれる人がいるとは、思ってもみなかったので。

 

 

 

 そう! 葉隠は吉良に嘘を吐いていた!

 実はバッチシ端田屋とのやり取りを聞いていたのだ! もう少しで地下駐車場の入口、という所で吉良の若干怪しい事を大声で口走っているのが聞こえ、意図せず身体が固まり、そのまま会話が耳に入ってきてしまっていたのだ!

 

 んー、と背伸びをし、葉隠は勉強机に向かった。なんだか心強い気がする。心の奥底に封じていた絶望を、消し去る事が出来たのだから。

 

 

 

 ――――

 

 

 

「なかなか、面白い学生だな」

 

 試験監督官の集まる一室で、モニタを眺めていた雄英教師が言った。

 視線の先は、地下駐車場でカメ型と吉良が戦っているシーンが映し出されている。そう、超一流校である雄英は、当然に仮想敵へのクラッキング対策を行っていたのだ。

 試験開始前に、あえて上空のドローンで監視している事を印象付ければ、それ以外のカメラへの意識力は低下する。ドローンの目がない所は、雄英の目も届かないと錯覚してしまう。実際は隅から隅まで隠しカメラが仕込まれているのだ。

 

 故に地下駐車場からではあるが、カメ型が戦闘能力の低い受験生を狙っていたのにも気づく。が、止めなかった。それは現場で最も必要とされている協調性による観点から、吉良と葉隠にレスキューポイントの名目で加点されるからである。もちろん監督官の判断でストップするが、特に接点の無い急ごしらえのチームワーク、その実務的な視点を重視して十分に加点される。

 そのポイントは、二人が試験開始から終了まで仮想敵を倒し続けていれば得たであろうポイントよりも多い。

 

「だがこの二人のどちらかの個性が、提出された書類とは異なるように見受けられる」

 一人の監督官がコンソールを操作して場面を変えた。カメ型にミサイルが衝突した瞬間がコマ送りされる。

「なぜか弾頭と、ミサイルそのものので二つの爆発が確認できる」

 

 ミサイルを爆弾にする事による、自身の能力の偽装は端田屋と葉隠に対して行ったもので、高性能の隠しカメラに対してではない。

 室内に小さなざわめきが起こった。

 

 個性とは生まれながらに不変のものではない。本質を理解すれば応用が効くし、関連する別の現象を引き起こせるようにもなる。たとえば水を放出する個性だとしても、その水を極小の粒として放出すれば、霧になる。

 進化、と評していい例も過去に多々あった。

 だが今回はそれに当てはまらない。葉隠は透明化、吉良の個性はテレキネシス。爆発に発展したという言い分は聞き入れ難い。

 

「つまり葉隠透が吉良吉影にミサイルを渡す際に、あるいは吉良吉影がミサイルを飛ばす際のどちらかの段階で、秘密の個性が使用された?」

 

 個性に関する法整備は、依然として遅れている。個性を役所に届ける事は義務ではあるが、個性を他人に教える、あるいはそれを強要するというのはプライバシーの権利に反するのではないか? という学説がある。

 

 事の発端は、サメになれるという個性を持った小学生だ。まだ幼かった彼は、人間とサメの身体の差異が大きすぎる故に、使いこなせなかった。もし慣れないまま陸で個性を使えば、最悪の場合は個性の解除を行えないまま干上がって死ぬ可能性もある。なので両親は成長するまで固く個性の使用を禁じたし、誰にも秘密にするように教えた。

 

 もしもクラスメイトからやってみてくれと強くせがまれたり、あるいは断り切れない状況を想定しての事だった。

 

 だが学校で、将来なにをしたいかを発表する場があったのだ。彼はそこで目撃した。

 次々と輝かしく自分の個性を夢に抱き、誰かの助けになったり、役に立ちたいと口にするクラスメイトを。なんて希望に溢れているのだろうか。

 そこで彼は両親からの言いつけを破り、実はサメになれる個性である事を明かした。

 

『ぼくは、海水浴場で他のサメさんにヒトをおそっちゃダメだよーって言って、みんなが安心に泳げるようにしたいです!』

 

 なんとも微笑ましいが、両親の恐れていた事態に発展した。ちょうどプールの授業が後に控えており、とうぜんクラスメイトは彼の個性を見せて見せてとせがんだ。

 当然彼は断る。だが断ると、今度は嘘つき呼ばわりされ出した。本当は無個性なんだろ? と。

 こうなってしまっては、彼は個性を使うしかなかった。プールの縁でじっと水面を見やり、意を決して飛び込んで個性を使った。

 

 だがまだ使いこなせていない個性。しかもいきなり他の種族になる事は難度が高い。呼吸器官が違う種は特に。慣れないエラ呼吸にパニックを起こし、サメはプールに溺れたのだ。すぐに教師が救出したので命に別状は無かったものの、この事件で両親が学校を相手取った裁判を経て、法学者は個性を秘密にする権利を唱えた。

 

 その時の裁判は教師の監督責任を焦点に当てたものだったので、判旨では個性を秘密にする権利には触れられておらず、未だに裁判所による判断は無い。

 ちなみにその少年は、いまではハリケーン・シャークのヒーローネームで一線を張っている。ある映画に着想を得た戦い方で、ハリケーンと共に多数の空を泳ぐサメを従えてヴィランをアレする様は圧巻だ。コアなファンもいるし、映画の題名は伏せられたままのオファーも来ている。

 故に雄英学校としては、爆発の個性の秘密を無理に明かす事ははばかられた。

 

「爆発の個性については学生生活の中で追い追い、という事で。ではこの二人にレスキューポイントを付与し、葉隠透は合格に達しますが、吉良吉影の方は……」

 

 教師はなんとも惜しいといったような顔をする。

 吉良はスタートダッシュを観察という行為に費やしていたため、合格ラインにギリギリで到達しなかった。今年のボーダーは例年よりかなり高く、それは後の1-A組の優秀さが物語っている。

 

「けっこう観察力があって、機転が利く学生っぽかったんだがな」

「しょうがないでしょう。前年なら合格ラインだったのですが……残念ですね。教師としては、今年の豊作を喜ぶべきでしょうが」

「やや攻めっ気に欠けるけどね、視野は広いんだけど」

「初動が少し臆病すぎる気もしますけどね。まあ、残念ですが」

 

 

 

 ――――

 

 

 

 後日、葉隠透! ヒーロー科に合格! 両親は手を取り合って喜んだ!

 そのまた後日、吉良吉影! 普通科に合格! 吉廣はやはり一流高校である雄英こそ、わが息子に相応しいと褒めたたえた!

 

 時は流れて四月! 雄英高校、普通科に入学した吉良は何の変哲もない学生生活を送っていた。

 

「なんであいつだけスーツなんだ」

「いや、なんか個性の関係で学生服は着れないって噂が……」

「ヒーロー科の実技試験でもあんな格好だったらしいから、マジかも」

「てか学生に見えねえ、大人び過ぎだろ」

 

 ひそひそと遠巻きに推察するクラスメイトを無視すれば、普通科に入学した吉良は何の変哲もない学生生活を送っていた。

 少なくとも外面を見ればそうだ。内面はというと……

 

 吉良が授業の合間に教室の窓の外を見やるとヒーロー科の面々が個性把握テストを行っている。もちろん、体操服が浮いているようにしか見えない彼女もその一員だ。

 

 バカな。こんな事が。てっきり葉隠も普通科だとばかり……いったいいつ、借りを返せる……

 

 吉良のぐっすりとした熟睡は遠い。

 

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