まぁね、分かってましたけど。
たかが人間ごときがドラゴン様から逃げれる訳ありませんでしたよ。
新しい仮面手に入って浮かれてましたね。
神に喧嘩売ってる生まれ方をしたらしい私ですけどまさかこんな形で人生が終わるとは。
「これは巣に連れ帰ってるんですかねー」
何かもう完全に諦めモードになって私は呟いた。
現在先ほど兎肉を投げつけた飛竜にあっさり追いつかれて尻尾の一撃を喰らって吹き飛び樹に叩き付けられて暫く意識が飛んでたみたいで、起きたらドラゴンの脚にガッチリ掴まれて空を飛んでました。
両腕が動かないので仮面魔術も使えない。
下手に抵抗して落ちても死なので仕方なくされるがままになっています。
暇なので飛竜の観察でもしようかな。
鱗…というか体色は蒼、翼は手と一体化している種類の飛竜で見た目はかなりカッコいいと思う。
竜というのは自然界では最強の生物である。
古龍と化し長生きした個体などは言葉も解し魔法も使えるんだとか。
ギルドの偉い人の中にはそんな元竜の竜人が居るって噂を聞いたことがある。
「………そういや何で無事なの私?」
よく考えたら翼の風圧で脚に掴まれてる私なんか全身の骨バキバキになると思うんだけど、それに喋れてるし。
え、この竜魔法使えるの……?
・ ・ ・
フフフフ………ついに手に入れた。
我は心の底から溢れる思いを込めて付近の森一帯に響き渡る咆哮を上げた。おこぼれを狙っていたであろう獣達が慌てて逃げていくのが感知で分かる。
普段食べてる獲物なら分けてあげてやらん事も無いがこの娘は別だ。
追いかけていたので勢い余って怪我させてしまったが回復魔法を掛けたので平気だと思う。
初めて見かけたのは三か月前程、腹が減ったので近くの森で獲物を探していた時である。
最初は不思議な魔術を使う人間が居るな、といった位の認識だった。
しかし我クラスになると他者のステータスを覗けるのでこっそり
通常、技能は増えこそすれ仮面の付け替え程度で完全な忘却と習得が出来るものでは無い。
常に使っている技能は
まあ魔術だろうが魔法だろうが関係ないので一瞬興味を持っただけで狩場に向かおうと思ったのだが…
「ふう、解除っと」
仮面を外して露になった素顔を見た。見てしまった。
その時我に衝撃走る。
(……めっちゃ我の好みなんじゃがあの人間)
小柄な身体に軽装の冒険服にマントを羽織り、髪は短く肩の所で切り揃えている。
透き通るような白髪で眼は紅い、稀に見かける蛇みたいなアルビノというやつだろうか?
仮面を被ってて正解だと思った。こんな可愛い存在が素顔で歩いてたら速攻で連れ去られるじゃろ。
これが所謂一目惚れというのを知ったのは後でこの話を他の竜友達に話して聞かせた時である。
そこからは毎日狩場に顔を出して彼女が来ていないか探すのが日課になった。
そこそこ強いモンスターがやってきたら潰し彼女が来ている時は付近一帯に魔法を掛けて強いモンスターを寄せ付けないようにした。
そんなこんなで見守る生活が続いてたのだが、我にある欲求が芽生えてきていた。
街まで一緒に付いて行きたい。むしろ我のモノにしちゃいたい。
その為に親から習っていたけど練習していなかった人化魔法を彼女が来ていない日に特訓するようになった。
そして今日、人化魔法も完全に習得できた私の所に彼女がやって来たのである。
何て偶然、我めっちゃ嬉しい。
そんな経緯があって今彼女を我の巣に連れて行っている途中なのであった。
・ ・ ・
着いた。到着してしまった。
巣は殺風景な洞窟かと思っていたけど、予想以上に小奇麗な巣穴だった。
中には木で作られたテーブルと椅子が置かれている。
………人の気配は無いのに人に合わせた大きさの家具があるのは何故だろうか。
人を攫ってきて世話をさせ、気に入らなかったら食べるもしくは殺す……とか?
私なんて肉付き全然良くないし食べる所少ないから出来れば一発で楽に殺して欲しい。
そんな事を考えていると、一人の黒いワンピースを着た蒼髪の少女が入って来た。
竜が来ると思ったら予想外の人が、彼女も竜の世話係なのだろうか?
見た目は私と同じくらいの背格好だが………しかし息を呑むくらい美しい少女だ。
あの竜が来る前に何か情報を訊いておくべきだろう。
「あなたもあの竜に運ばれて来たんですか?」
「む……?あぁ成程そーいう勘違いか」
何か違う、目の前のこの人は……蒼髪?まさか。
「こうすれば分かるか?」
少女が指を鳴らす。すると、少女の背中から蒼い鱗を纏った羽が飛び出して来た。
「ッ!!!」
「そう怯えるな、危害を加えるつもりは無い」
「……じゃあ何で私を?」
「そなたが我の好みドンピシャじゃったから」
「…………え?」
何言ってんだこのドラゴン。
危害を加えるつもりは無い、好みドンピシャ……?
「えーーっと、私は性奴隷にでもされるんでしょうか」
「何でそんな発想になる!?まぁちょっと魅力的な提案じゃが!」
魅力的な提案なんだ?
少々不安を感じるがまずは状況を把握するべく話しかけた。
「自己紹介させて貰うと私はエリスと申します」
「我はグラドじゃ」
「グラドさんが私をここに連れてきた目的は?」
「話してみたかったのと他の輩に渡したくなかったからじゃな。それと、さん付けはいらんぞ」
「他の輩って…………?」
「そなたに言い寄る奴、その美貌なら何人も居たじゃろう?」
「え?……居ませんよ?私基本仮面付けっぱなしですし」
美貌って……目の前の正真正銘美少女から言われるとお世辞にしか聞こえないんだけど。
「それにさん付けは要らないって……人に化けれる竜なんてそれこそ何千年も生きた古龍位でしょう?」
「我の場合親が特殊なだけで年齢は大体そなたと変わらんぞ」
「そうなんですか?」
「そうじゃ。なので敬語も要らん」
何かかなり想像してた竜のイメージとはかけ離れてるな……。
「あのグラドさn……グラド、話すって目的は達成したみたいだけど私をこれからどうするつもり?」
「ここでずっと死ぬまで一緒に暮らすのはどうじゃ?」
「え」
「冗談じゃ。ただドラゴン的にそなたを他の人に取られたくない、四六時中一緒に居たいとは思っておる」
「えーっと……なら一緒に街で冒険者でもやる?」
「ん!やるやる!」