主人公:エリス アルビノでショートカット ちっこい
グラド 蒼髪のロング スレンダーな美人
ルイン 黒髪のショート 身長はエリスとどっこいどっこい
暫く街に留まり休息とグラドへの街案内を済ませてた後、グラドが受けた依頼『ホッキョクベアー』の討伐に向かった。
「グラドはAランクだからあっさり受けれたけど、今回の獲物って毒も効かないしやたら大きくて体力も多い化物ってこの街では扱われてるんだよね」
「ホッキョクなんて変な名前しておるの」
「昔の地名らしいよ、今は一つにまとまってるけど昔はこの大地ってバラバラだったんだって」
「よく知ってるのう」
「うん、前にルインが教えてくれたんだ」
「…………ほう」
うーん。ルインの話題を出すとどうもグラドの機嫌が悪くなるな……
そんなに嫌いになる要素あったかな?
って考えてたらグラドの機嫌がどんどん悪くなるし何か話題を変えよう。
「そ、そういえば今日はギルドの馬車は使わないんだね」
「あぁ折角じゃし飛んで行こうかと思ってな」
…………飛ぶ?
何か嫌な予感が。
「そろそろ結構遠くまで来たしの、転身!」
「ちょっ」
グラドの身体から魔力が迸り、肌の上に模様を描く。
その上に重なるように魔力を編んで形づくられた竜の肉体がグラドを包み込み……
頭には頭角、背中に巨大な羽を、腰から長い尻尾を生やした姿に変化した。
身体の一部分をドラゴンに置き換えたって感じの姿である。
「…………よし、完了じゃ!」
「転身って……人化魔法を解くのとは別なの?」
グラドの本来の姿は竜であり、今のきれいな女の子の姿は魔法で見せている仮の姿に過ぎない。
そう思っていたのだが、
「いや、なんかの……何かの切っ掛けはあったんだと思うんじゃがな?」
「うん」
「とっくに人化魔法の効果が切れていたのに何故か人の姿のままでの」
えぇ!?
「色々試行錯誤した結果、そなたみたいな変身を通せばある程度の部位だけ元の姿に戻せるみたいじゃ」
「いやもっと深刻に考えてよ!元に戻れないのをそんなに軽く流していいの!?」
私が訴えるもグラドは「いやー不思議じゃの?」と余り気にしていないようだった。
まぁそもそもスケール感が竜と人で違うんだろうししょうがないか……
「はぁ……で、飛んで行くって事は」
「うむ!我がそなたを抱えて飛ぶ!隠蔽魔法も掛けておるし見られても安心じゃぞ!」
確かに出会った最初の足で鷲掴みに比べたら遥かにマシではあるが。
「……えっと、じゃあよろしく」
「うむ!」
問答無用でお姫様抱っこをされた。……グラドが人型だし、まぁそうなるよね。
「首に手を回しておいてのー」
「はいはい」
・ ・ ・
今までの私の狩りは
現地に到着
↓
周辺捜索、獲物の居る場所を何日かかけて観察する
↓
何か所かに罠を仕掛ける
↓
獲物がかかるまでじっと待つ。
だったのだが、今回はグラドが居るのでかなり楽なものになりそうだった。
「エリスー上空から今回の獲物を視認したぞー」
「おっけー、じゃあ狩り開始しますか」
今回の作戦はグラドの機動力と戦闘力に頼って私は専ら敵の注意を引いたり罠を設置したりだ。
実際ギルドでBランクの人達に言われた「グラドに依頼を手伝って貰ってる状態」だけどそれが一番良い作戦なんだからしょうがない。
「行くよ!!」
仮面魔術で強化された脚力でグラドが示した方角に突き進む。
森の中の樹が乱立する中を駆け抜け、獲物の熊が食事しているその目の前に跳び出した。
牙生成で右手にまとった魔力の爪を熊の右目に向けて突き刺した。
『グギャオオオオオオオ?!!』
痛みで怯んだ。
その隙に地面に着地して身体を反転、逃げに入る。
『ギャオオオオオオオオ!!!!』
一気に怒りの感情をあらわにした熊が物凄い勢いで追ってくる。
「いやちょっと待って早い早い早い!!!」
流石Aランクの討伐対象、もし私が一人で挑んでたら追いつかれて肉片にされて終わりだっただろう。
(めっちゃ怖い!!ああああでも落とし穴までの我慢!!!)
前もって仕掛けておいた落とし穴まで全力で走る。
強化されている身体能力をもってしてもジリジリと追いつかれていく。
「っ!!ここ!!」
目印をつけておいた樹を通ってから10歩歩いた場所で跳躍をする。
今まで走ってきたスピードも相まって物凄い飛距離を稼いだ。
「グラド!どう!!?」
「……かかった!!」
見れば私が掘った深さ5メートルの穴に下半身を埋もれさせている。
あの穴の中には鋭く尖らせた樹の枝を大量に立てて置いてあるので全部ではなくとも6割くらいは足に刺さってダメージを与えているだろう。
「よくやった!後は任せよ!」
グラドが自身の肉体に身体強化の魔法を何重にも掛けた状態で上空から急降下し突貫する。
「はああああああ!!」
竜の肉体から繰り出される拳が獲物の頭部に突き刺さる。
私が今まで見た事のある獲物なら今の攻撃で跡形も無くなってたであろう一撃、しかし。
『ギャアアアアアア????』
「聞いてはいたが耐久ぱないの!?」
熊が上げたのは悲鳴だけであった。
今回の作戦でグラドの不意打ちで一撃で倒すのではなくワザワザ落とし穴に掛けた理由がこれである。
この無駄に耐久が高いホッキョクベアーはどんな攻撃もその厚い筋肉で和らげてしまう。
よって捕縛魔法で拘束し火以外の属性魔法で遠距離から集中砲火するのが定石なのだが、
「我が属性魔法使えたら良かったんじゃがのお!!!」
そう声を上げながらタコ殴りしているグラドの言う通り、グラドは自分を強化する魔法以外は練習した隠蔽魔法しか使えなかったのだ。
てっきり属性魔法を使えると思いこんでた私だったが、それを聞いて急遽作戦変更。
私が罠を使って足止めし、魔法で最大限パワーを上げたグラドにボコってもらって仕留める作戦にした。
「このっ……いい加減に死なんか!」
「グラド!ちょっとそいつの頭抑えてて!」
「お?分かった!」
先程眼球を抉った場所を目掛けて駆ける。
そして跳躍、グラドが押さえてカチッと動かない頭部に取り付き、牙生成で生み出した30㎝ほどの魔力爪を……脳に達するように右手を傷口にぶち込んだ。
熊が死に物狂いで私を引き剥がそうとしてくるが、その両手はグラドの羽と尻尾に防がれる。
私は返り血で右半身が真っ赤になりながら魔力を注ぎ魔力爪を更に倍の長さにして腕を肩まで突っ込んだ。
書いてた続き
「いやー倒したね」
「……水浴びでもするか?お主全身血まみれじゃぞ」
血以外に脳みそも混じってそうだね。
早急に水浴びをしたい所だ。
「先程飛んだ時に川が見えたがそこに向かうか?」
「そうしよっか」
「しかし、水浴びするにしてもこの死体はどうする?早めにどうにかせんとコレ目当てで別のモンスターが来そうじゃが」
「首だけ切って収納魔法で仕舞うよ」
さっさと血を流したいので魔力爪を振るって首を落とす。
さて仕舞おうかと考えた所で、私の言葉にグラドがポカーンとした顔をしているのに気が付いたので一旦作業を止めた。
「どうしたの?」
「収納魔法ってそんなに容量のある魔法じゃったっけ……」
「えっと?」
疑問に思っているようなので右手の収納魔法を発動させて熊の死体を仕舞う。
生物以外ならば何でも収納できるのだ。
「いやいやおかしいじゃろ!?我が知ってる収納魔法はどんな術者でも自分の何十倍の物体は入らんぞ!?」
「でも収納出来てるよ?」
「それはそうなんじゃが……」
収納しているから収納魔法でいいと思うのだが。
(仮面魔術だけが特異なのかと思っておったが収納魔法もどこかズレておるのな……)
ジト目のグラドをスルーして熊の頭部を掴んで仮面魔術を発動させる。
「仮面作成っと…………あれ?」
普段はごっそり魔力を持っていかれるのだが、今回は何故か魔力の消費量がほぼゼロであった。
しかも一瞬で作成されて熊の生首が片目に傷のある仮面へと変化した。
「あれ?やけに早いな」
疑問は残るものの、せっかく出来た仮面なのですぐに被ってみた。
「おお~こいつはいいね」
結果は、狼の仮面と同じぐらい着けてて安心する。
狼の仮面といい何でここまで着けてて心地がいいのだろうか。
単に人と話すのが苦手だと言っても、グラドとルインは例外だし……本当に人間嫌いなら二人も嫌って然るべきだと思うんだけど。
・ ・ ・
「難儀な魔術を持って生まれたものだね君は。死んだ者の能力を奪い取る『暴食』とは」
「かつて僕も持ってたよ君と同じ魔術を『愛する者も、敵対する者も、全てを自分の力へと捻じ曲げる。何と強欲な事だ。お前の牙は』
」
「仮面魔術ライドシステムは■■■■■の複合状態のほんの一部分であり、その本来の目的は……」
・ ・ ・
あれ……?何を考えてたんだ私は?
ふと仮面を被ってたら意識が遠くなってしまった。