「退屈だ……」
「あっ、王様だー! えーっと、えーっと、淑女のあいさつは――ごきげんよう?」
「うむ、苦しゅうない」
「えへへ。……そうだ! 王様には贈り物をしないといけないんだよね? はい、これ」
「ほぅ、花冠か。見たところ、手製の物だな」
「ミクサちゃんといっしょに作ったの! 今まで作った中でも、とびきりきれいに出来たんだよ!」
「職人の一品、か。王たる余に相応しき品と言える。褒美をとらせよう」
「わーい、やったー! 私おかしがいい!」
「その程度の願い、叶えることなど造作もない。茶葉も付けよう」
「ほんとー!? さすが王様、『したっぱら』ってやつなんだね!」
「太っ腹、だ。次までに正すと良い」
「わかったよー!」
「王様、少ししゃがんで下さいな!」
「ふむ」
「王様ー、お帽子ちょっとだけ取ってもいいー?」
「構わん」
「それじゃあ、お帽子を取って……見て見て、王様! すごくカッコよく冠飾れたよ! えっへん」
「ほぅ。鏡はないが、腕利きの仕事を疑うほど余は愚かではない。褒めて遣わす」
「然るに、臣下リトル・アリスよ。そろそろ八つ時にあろう、食堂に向かい給え」
「えっ、あ、ほんとだー! 王様ってば、やっぱり賢い……んー、気が利く? どっちにしても、すごいんだね!」
「臣下に然るべき休息を与えるのも、王たる者の勤めだ」
「かっこいいー! それじゃあまたね、王様!」
「……」
「……」
「貴様ら、王たる余を盗み見するとは良い度胸だ。十を数える間に我が御前に一列に並べ、言い訳くらいは聞いてやろう」
「私はどうやら貴方を誤解していたようですよ、マリク。貴方はか弱き少女にも誠実な、立派な王だったのですね」(ひょこっ
「小さな少女の親切を無下にしないその高潔、確かに見届けさせて頂いた!」(ひょこっ
「いやはや、さすが妹思いの王様だよねぇ。冠、似合っているよ?」(ひょこっ
「なぁなぁ、俺も今度からおーさまにああいうことしていい!?」(ひょこっ
「ちょっち絡み難そうな奴が来やがったと思ってたけどよぉ……なんだい、アンタ意外と人情分かってるじゃねぇか!」(ひょこっ
「おい、これ何の列だぁ? 宴でもやんのか?」(ひょこっ
「……」
「……」
「……」
「あっ、おーさまが逃げた!」
「よく分からないけど、追いかけて担ぎ上げればいいんじゃないかな?」←元凶
「成る程、一層親睦を深めようという訳ですね。賛同します」
「これだけ人数が集まっているのだ、美猴殿の言っていた通り宴にしようぞ!」
わいのわいの
*
ワンダーランドは今日も平和です。