「出来ちゃった」
「え?」
闇の書編完!から三ヶ月ほど経ったある日、来週にでもクロノ君たちがこちらに来れると連絡があった。
その夜、プレシアと恋人の語らいをしていたのだが、少し不安そうでありながらも、しかしそれ以上に嬉しそうなプレシアに言われた。
「何が?」
「赤ちゃん、あなたと私の子供」
「…え?えーと…本当に?」
「ええ、本当に」
…え?
いや、赤ちゃん?そりゃつけずにヤってたし、いつかはと思っていたけど…マジで?
「………よ、喜んでくれないの?」
俺があまりに動揺していたからか、プレシアが不安そうに訊いてきた。
実感はわかないが嬉しいし、けど、これからどうすればいいのかわからないし、うああああああ……と、取りあえずプレシアのことだけ考えていればいいか。
そう思わないと落ち着かなくなる。
「嬉しいよ」
プレシアを後から抱きしめて、お腹をさするように触った。まだ、大きくなっていないから実感が沸かないが、ここに俺とプレシアの子供がいるのだ。
「でも、実感が沸かないというか、なんだろう…宙ぶらりんというか、経験したことのない気持ちで落ち着かない感じ…かな」
そうは言ったが、お腹を触っているだけなのにいつもと違う温かいような未来に希望ができたような気持ちになってきた。
本当に不思議な気持ちだ。
「ふふふ、父親なんてそんなものなのかもしれないわね?お腹が目立つようになってようやく実感が沸いてくるのかもね」
そう言いながら、俺の手の上に手を重ねた。
「でも、ここにあなたと私の子供がいるのよ。妊娠二か月ですって」
「そうか…その、これからどうすればいいのかな?」
「…ただ側にいて欲しいの。それだけでいいわ」
眼をつむって俺にもたれかかってくるプレシア。その重みは何度体感しても幸せを感じさせてくれる。
温かな生命を感じさせる重みだ。
それは同時に一人じゃないと、孤独じゃないと安心させてくれる。
「あ、でもその前に……俺と結婚してほしい。責任を取らせて欲しい」
プレシアに向き直り、目を見つめてプロポーズをした。
何度も身体を重ねた相手なのに、まるで初めて告白するかのようにドキドキした。
「…はい、喜んで」
微笑んで、でも一筋の涙を流しながらプリシアは頷いた。
今までにない綺麗な笑顔だった。きっと今、この瞬間しか見れない笑顔。
ずっと忘れないように、記憶に刻みこんで、いつか想い出に変わっても思い出せるようにしたい。
「明日、婚約指輪を買いに行こう」
できれば、婚約指輪を用意してから言いたかったんだけど、事情が事情だ、でもやっぱり婚約指輪は送りたい。
今すぐにでも。
「本当?嬉しいわ…でも、しばらくは控えないといけないのね。ちょっとつらいかも」
それだけ俺のことを愛してくれているのだろうが、それは男が言うセリフだと思う。
とはいえ女性にも性欲があるのは彼女と付き合って十分に知ってはいるが。
「あなたもつらいだろうし、そっちのお世話をリニスにでも頼んでおこうかしら?」
「…ぅえ?何を言ってるんだ?」
なぜ、そこでリニスが出てくる?
一体どういうことなんだ?
「…あの娘、あなたのことが好きなのよ、もちろんラブの方で。私の使い魔だからある程度はわかるのよ」
「…えええーーーー!?」
「やっぱり気が付いていなかったのね。あの娘が人をからかったりするのはあなたが関係している時だけなのよ、それだけあなたに心を開いているの」
嘘だろう?
「他の人と浮気したら絶対に許さないけど、あの娘は使い魔で分身みたいなものだから許せるのよ。それに…いつまでも結ばれず、想いを打ち明けられないのはつらいわ…まあ、他の人なら絶対許さないけどね」
そう言ったプレシアの眼は、リニスに対する愛情が含まれていたがかつての狂気を彷彿とさせるものだった。
…めちゃくちゃ怖い。まあ、浮気なんてしないからいいけどね。
「もし子供が産まれたら、二人がかりで真さんを責めてみようかしら?いつもいつも負けてばかりだもの」
確かに最終的には俺が勝っているが、いつもギリギリの闘いなのにリニスまで加わったら…俺は幸せに殺されるかもしれないと思った。
ちなみにリニスはすごく初心だったし、ベッドの上でもネコだったということをここに記しておく。
そして10年の月日が流れた。
プレシアとの間にできたテスタロッサ家の三女シンシア。
その1年後に生まれたリニスとの子供、長男セリス。
さらにその1年後に生まれたプレシアとの子供、二男シンジ。
またまたその1年後に生まれたリニスとの子供、四女アリス。
さらにさらにその1年後に生まれたプレシアとの子供、五女プリンシア。
またまたまたその1年後に生まれたリニスとの子供、三男シング。
10年の間に6人の子供ができた。
とりあえず言いたい…身が持たぬ。
二人がかかりはもうやめてくれと何度も思った。
二人とも美人でスタイルよしで器量よし、ハーレムみたいでちょっと男心がくすぐられたが、1対2でヤルのはもう無理です。
何度干からびてしまうと思ったことか。
とはいえ、子供が多いので最近はそういうことも週一程しかしないほどに落ち着いてきた。
俺は現在、翠屋2号店をミッドチルダで経営している。
はやてもここの従業員だ。
プレシアがチームリーダーとなって闇の書を解析し、修復を行った結果闇の書は夜天の魔導書に戻った。
その結果、重要すぎる古代ベルカの遺産を受け継ぐはやては聖王教会に保護され、所属することになった。
その結果、原作のように管理局には所属していない。
ヴォルケンリッターは聖王教会の騎士として、管理局へ出向したりしている。
管制融合機、リインフォースも翠屋の従業員となっている。
フェイトは原作通り執務官に、なのはちゃんも同様に教導隊に入った。
うろ覚えだが、原作だとなのはちゃんは大きな怪我をしたはずだが、そんなことは起きずにいつまでも全力全開で働いているようだ。
管理局はプレシアへの協力していたデータから、内部での告発が多発し、内紛を起こした。
スカなんとかさんは大きな事件を起こさず、管理局の最高評議会、原作知識だと黒幕?みたいなやつらを暗殺して行方をくらませたようだった。
本局は三提督とかいう人達が、地上はレジアス大将が総括し、管理局は再編している最中だ。
そんな情勢も多くの人には関係なく、平和を享受している。
それなりに繁盛している自分の店。
愛する妻と愛人、子供達、そして家族といえる八神家の面々。
いろいろな人達とともに俺は生きている。
それは、何物にも変えられない大切なもの。
それは、きっと…
「ねえ、真さん。今、幸せ?」
「ああ、幸せだよ。プレシアは?」
「私も、幸せよ」
幸せと呼ぶものだ。
どこかで事件は起きているがそれでも大局的には平和な世の中で、俺はささやかだが、でも幸せだといえる生活を送っていた。
愛する人と、家族と、ともに。
そして、これからもきっと。