魔法熟・・・ゲフンゲフン (習作)   作:you-new

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なのは編
高町なのはさんじゅっさいの泥酔


 

 リリカルなのはの世界に神様転生したが、20年間原作関係に全く巻き込まれなかった。

 

 

 

 

 俺は俗に言う神様転生者だ。

 事故で死んでリリカルなのはの世界に転生した。

 俺が10歳の時JS事件と呼ばれる原作の事件が起こっていた。

 当時の俺は魔法系の学校に通っていただけで、戦闘訓練などしていなかった。

 神様から貰ったチートがあるので、そこらの局員よりも強かったのは確かだが、戦闘に対する心構えもなかったので、一般人Aとして過ごした。

 その2年後学校を卒業し、資格を取って嘱託魔導師として働き始めた。

 それから8年後、俺は今年で二十歳になった。

 

 8年間もの間、もらったチート、脳量子波とリンカーコアによるツインドライブを研究し極めることばかり考えて、魔法の研究・訓練漬けの日々を過ごしていた。

 しかし、それもSSランク取得に伴いこれ以上の伸び代は少ないと確信してしまい、俺はミッドチルダをぶらぶらと観光するようになっていた。

 燃え尽きたぜ、真っ白になぁ…という感じだった。

 

 前世とは違う世界に生まれたのに文化の違いを楽しむこともしていなかったのに気が付き、聖王教会の教会を見に行ったりとミッドチルダの観光名所を宛てもなくこっちへふらふらあっちへふらふらとしていた。

 

 危険な仕事ばかり受けていたのでお金はかなり貯まっていた。

 最近は仕事をしていなかったが、偶然、懇意にしている局員からの依頼で事件を解決してきた。

 報告も終わり、あとは借りている安いアパートへ帰って寝るだけ。明日の予定は明日考えようと思っていた。

 そんな帰り道、首都クラナガンの裏路地で何やらいい匂いが漂ってきた。

 はっと気が付き、俺はその匂いの下へ走った。

 その匂いの正体、それはおでんだった。

 この世界で、スパゲティやカレーだのラーメンだのはあったがおでんはなかった。

 俺はすぐさま古き良き時代のおでん屋、屋台の一席に座った。

 

「らっしゃい、何にするかい?」

 

「親父さん、とりあえず全部一つずつお願い」

 

「あいよ。酒は?」

 

「何がある?」

 

「このおでんを作った国の酒か、ワインだけだ」

 

「なら日本酒を」

 

「おお、おでんを作った国を知ってんのかい。一杯はサービスしてやんよ」

 

「はは、ありがと」

 

 つい、日本酒と言ってしまったが誰も転生者とか思うはずがない。

 普通に日本人の子孫とかに純潔の日本人もいるしな、ミッドチルダには。 

 

「はいよ!お待ちどう!」

 

 きたきた。

 では早速。

 

「ハフハフ」

 

 出汁を醤油で味付けしたつゆははっきり言って雑。

 大根、ゆで卵、スジ肉、じゃがいも、ニンジン、ソーセージ、豚バラがおでん種。はっきり言って少ない。

 ちくわ、はんぺん、豆腐などがない。はっきり言って物足りない。

 

 でも、でもなぜだろう?涙が止まらない。

 

 俺の故郷はミッドチルダだ。

 でも、前世の魂に刻まれた記憶が郷愁感をどうしようもなく心から溢れるほど沸き立ってくる。

 本物に比べれば美味くないと舌は感じているのに、でも美味い。魂が美味いと感じている。

 涙を拭って誤魔化す様に日本酒を一気に飲む。

 

「ん、ごほごほっ」

 

 普段酒は洋風のものしか飲んでいないので少し咽た。

 咽ながらもおでんを平らげていく。

 美味くない、でも美味い。美味いぞ、ちくしょう。

 

「ははは。そんなあわてなくてもまだまだ余ってるぜ」

 

 そんな親父の気遣いが余計に日本を感じさせた。

 

 帰りたい…日本に帰りたい。

 明日にでも日本に行ってみよう。

 俺は決意した。

 

 この世界に生まれて魔法に魅了され、魔法のことだけを考えてきた。でも、それは日本を、いや前世のことを考えないようにしていただけなのかもしれない。

 でも、もういいんだ。日本に、魂の故郷に行こう。絶対行こう。

 

 そう思っていた時、隣りに誰か座っていることに気がついた。

 

「うう~どうせ私は三十路の独身なの。恋人もいないのに14歳の娘がいるの…両親は結婚しろってうるさいし、同僚や部下にも憐れみの目で見られているお局なの…」

 

 どうやらものすごく酔っているみたいだ。

 どんな人か気になったので、隣りを見てみた。

 栗色の髪をサイドポニーにし、管理局の制服を着た女性がいた。

 その横顔を見た瞬間、はっと脳裏に閃くものがあった。

 

「高町…なのは?」

 

「ん?」

 

 無意識に呟いていたその言葉を聞いた女性はこちらを見た。

 目があった。

 

「そうですよ。私は高町なのはですよ。三十路の独身、管理局のお局候補ですよ」

 

 …えー……これが、高町なのは………?

 主人公…?

 え?本当に?

 この酔っ払いが?

 

「うう~~うえ~ん」

 

 泣いてるし、どんだけ酔ってんだよ。

 

「…大丈夫ですか?」

 

 放っておくのもアレだし、こんなのでも主人公で、初めて会った原作の人物。もっとも30歳と言っていたから原作知識は全く役に立たないのだろう。

 というか、彼女に会うまですっかり原作知識など忘れていた。

 

「…ねえ、君。私ってどう思う?」

 

 なぜか泣きやみ、そんなことを聞いてきた。

 酔っぱらいの行動は予測がつかない。

 

 とりあえず、褒めておこう。

 

「可愛いさと美しさを兼ね備えた女性…かな?」

 

「…本当?」

 

「本当」

 

「本当に本当?」

 

「本当に本当」

 

「ぅう~~うわ~ん。ならなんでいい出会いがないの~」

 

 ああ、婚期を逃して焦ってる女性の心理か。

 前世では出世コースだった時にそれなりにいたなぁ…。

 同僚の同じ出世コースのライバルだった奴は後輩の学歴高いややイケメンと結婚して寿退社したし、忙しくて彼女に振られた先輩を堕とした人もいたなぁ…。

 後輩を落とすのに協力する見返りにいろいろ仕事で便宜を図ってもらったんだ。

 人事部に人手が足りないから後輩を部下に下さいって頼んで、部下にした後で食事一緒に食べに行く時に同席させて、忙しいからOJTはライバルに面倒見させてたり…懐かしい。

 

 たしかそいつが言った言葉は…

 

「恋愛や結婚は戦争だ」

 

 だったな。

 

「いい言葉なの…ならば君!私と寝なさい!命令なの!」

 

「…は?」

 

「飲め」

 

 無理やり酒を飲まされる。

 

「ゲホッ!ゲホッ!」

 

 アルコール度数高すぎる…一気に酔った。

 頭がふらふらする。

 ああ、何もかもがどうでもいい。

 

「ふふふふふ、ははは」

 

「よし、行くの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 眼が覚めた。

 

 頭が、痛い。すごく痛い。

 これは…二日酔いか?昔何度か味わったことがある。

 

「んん~?」

 

 起きようとしたら、隣りに誰かいることに気がついた。

 栗色の髪の女性…。

 

 あ!

 ああー!

 あああぁぁー!

 

 千鳥足で女性と共に入ったホテル。

 シャワーも浴びずにベッドに縺れ込んだ。

 そして互いに一糸纏わぬ姿になり…ああ、これが今世の俺の初体験…。

 

「う~ん…おはよう……あれ…?」

 

 女性、高町なのはも起きたようだ。

 

 酔ってはいたが、俺は昨日のことを全部覚えている。

 覚えていてしまった。忘れていたかった…。

 

「あ!」

 

「ああー!」

 

「あああぁぁー!」

 

 どこかで聞いたような三段活用の叫び声を上げてこちらを見た高町なのはと眼が合った。

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

 …沈黙…!圧倒的沈黙……!

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「とりあえずシャワー浴びません?」

 

「…うん」

 

 

 

 

 

 

 シャワーを浴びてさっぱりしたが、それでも重い頭でホテルを出た。

 紅茶とサンドイッチを買い、電車で30分ほどの空気の住んでいる公園のベンチに座った。

 平日の午前10時なので人はほとんどいない。幼児を連れた主婦がいるだけだ。

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

 さて、ここまで来たが…どうしよう?

 酔ってヤッちゃったが、ここは責任を取るべきなのか?それとも一夜の過ちにすべきなのか?

 そもそも高町なのはにはユーなんとかっていういい雰囲気になってるやつがいたのでは?

 いや、そもそも何で俺はここにいるのだろう…?

 

 駄目だ、混乱してきた。

 ここは深呼吸を…。

 

「せ、責任は取るの!」

 

「すーはぶふぅっ!」

 

「私が誘ったんだから責任は私にあるの。だから責任は取るの」

 

「えーと…」

 

 ………。

 ま、いっか。

 

「わかりました。なら今から恋人?ってことで」

 

「うん…でも恋人って何をするのかな?」

 

 何をすればいいのだろう…?

 前世のライバルとのことを思い出す…たしか…。

 

「一緒にデートするとか、料理を作ってもらうとか?」

 

 から始めていた気がする。

 

「じゃあ、今からデートする?」

 

「仕事って大丈夫なんですか?」

 

「うん、1週間ほど休暇を取ったから。あ、恋人なんだから敬語はなしでお願い」

 

「わかった」

 

「じゃあ…あ、デートって何をすればいいのかな?」

 

「服とか試着したり、雑誌に載ってる店でごはんを食べたり、公園を散策したり?」

 

 だったはず。たぶん。

 

「じゃあ、ショッピングモールにでも行こっか?」

 

「それでいいよ」

 

 というわけ、なぜか高町なのはと付き合うことになった。 

 酔った彼女にホテルに連れ込まれたのが原因で。

 

「あ、私君の名前聞いてなかった…」

 

「シン・ブリッジス」

 

「じゃあシン君、行こっか」

 

 

 

 

 

 

 

 デートでは定番のことをした。

 まずは服を買いに行った。

 

「に、似合うかな?」

 

 黒いシックな大人っぽいワンピース、その上に白のカーディガン、美脚を包む黒いパンスト、そしてヒールの短めのパンプス。

 昨日の痴態による印象を吹き飛ばすほどの変身だった。

 

「すごく似合ってる。できる大人の女性って感じがする」

 

「あ、ありがと」

 

「それ一式プレゼントするよ」

 

「悪いよ、お金ならいっぱい余ってるし、自分で買うの」

 

「こういうときはプレゼントするのが定番だと思うんだけど」

 

「…なら、私が君に服をプレゼントさせてもらうの。お互いにコーディネートした服をプレゼント、これならどう?」

 

「うん。いいと思う」

 

 その後、彼女のコーディネートでいろいろ服を着てみたが、彼女のセンスはそれなりに良かったことはわかった。

 

 

 

 その後、それなりに繁盛しているレストランで食事をした後、公園に戻ってきた。

 

「うーん、いい気持ち」

 

 二日酔いも吹き飛ぶような温かい日差しと澄んだ空気。

 いい気分だ。

 

「シン君は20歳だって言ってたけど、仕事は何をしてるの?」

 

「嘱託魔導師。5年くらい前から少し前まで危険な仕事ばかりしてた。だから貯金がすごいことになってた」

 

「嘱託魔導師かあ、懐かしいなぁ。私も管理局に入る前までは嘱託魔導師だったんだよ」

 

「雑誌とかに載っていたなぁ」

 

「そういえば、最近も取材があったの」

 

 彼女の主な経歴はネットとか雑誌に載ってるほど有名だから、原作知識がなくてもわかる情報だ。

 

「魔導師ランクは?」

 

「…総合SS」

 

「ええー!?総合SSってええー!?本当?」

 

「ほら」

 

 嘱託魔導師の免許証に魔導師ランクも載っているので見せる。

 

「本当だ…すごいなぁ」

 

「いや、そういうなのはさんだって、空戦SSランクだし」

 

「そうだけど、私君と同じ歳のころは空戦Sだったからね。あーでももっと早くにシン君に会ってたらなぁ…私が育ててみたかった」

 

 そう言えば彼女はこれまでにも何人か教育している。原作でも教官やってたしなぁ…。

 

「どんなスタイルなの?」

 

「剣と銃の二つのモードへの高速切換え可能な反応速度重視のデバイスに、盾とシザースモードのデバイス。どちらも近代ベルカ式。攻め、守り、早さのすべてを高レベルにこなし、敵味方識別型の広範囲の魔法を使用して戦域支配とかもできる…なんか自慢しているようだ…」

 

「うーん、聞いてるだけじゃわからないの…今度模擬戦してみようか?」

 

「OK」

 

 そんなわけで、俺に10歳年上の恋人ができた。

 

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