魔法熟・・・ゲフンゲフン (習作)   作:you-new

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人生の墓場には行きたくない

 結婚、それは人生の墓場である。

 私こと咬ませ犬集合体名称シン・ブリッジス改め、シン・B・ハラオウンは新暦49年、つい先日であるがリンディ・ハラオウンさんと結婚しました。

 結婚式でウエディングドレスを着たリンディは女神か、と言ってしまいそうなほど綺麗だった。

 ちなみに二人とも今年で20歳になります。

 

 何度もデートを重ね、というか外堀が完全に埋められており、予定通りに結婚し、魔法少女は女性になった。

いずれ、原作通りBBゲフンゲフンになるのだろう、これは自然の摂理なのだ…。

 

「あなたどうしたの?」

 

「いや、何でもない」

 

 などとくだらないことを考えていた俺を、若妻風にエプロンを着て朝食を運んできたリンディが首をかしげてこちらを見ていた。

 エプロンを仕舞っているリンディを眺めてやっぱり美人だなと思った。というか歳を取れば取るほど魅力が増してきているような気がする…。

 同時にこれでいいのかと疑問を抱いた。

 原作的に彼女にはベストパートナーとなる夫がいて、それがストーリーに微妙に関係しているし、息子も主要キャラの一人だし、これからどうなるのかといった不安がある。

 だがまあ、別に今すぐ世界が滅びるわけでもないし、気にしないでおこう。気にしたら何かに負けそうだし…主に目の前の彼女とかに。

 これで、運命だとか原作だとかで別れようなどと言ったら、間違いなく心中するだろうぐらいにはリンディに愛されている。俺だって、そんなことが理由で彼女と離れるなんて嫌だ。

 つまりはもう知ったこっちゃないってことだ。俺は俺のやりたいようにやる。

 

「はい、あ~ん」

 

「…あ~ん」

 

 などと決意していいたら、リンディがバカップルが好む行為、「あ~ん」をしてきた。

 とりあえず、差し出してきたおかずをパクリと口に入れ、咀嚼する。味付けが俺好みで、実おいしい。

 リンディは何と言うか、バカップル行動を好む。特に結婚してからは自重という言葉がなくなってしまった。

 執務官として優秀で、いずれは次元航行艦の艦長になるほどなのだが、私生活では、ちょっとスイーツな女性だ。まあ、常識をわきまえているし、少し愛が重いが、恋愛的な行動に積極的になれない俺にはちょうどいい感じなのかもしれない。

 

「あ~ん」

 

「はい、あ~ん」

 

 リンディの口におかずを差し出すとリンディはパクリと口に入れた。

 

 …流されままバカップル、いや馬鹿夫婦をしているが、何だかなぁ…もう慣れてきた自分が怖いです…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結婚してから1年後リンディが長期の出張(ある管理世界の調査)に出ることになった。

 

「というわけであなたも一緒に行きましょう?」

 

「いや、それはおかしい」

 

「愛する夫婦が引き裂かれる方がおかしいわ、レティに言ってごり押しすれば大丈夫よ」

 

「いやいやいや、他人に迷惑をかけてまですることじゃないだろう」

 

 リンディの親友レティ・ロウラン(独身)さんすみません。

 つーか誰だよリンディは常識はわきまえているって言ったの…ああ、俺でしたね…。

 

「だってだって!一ヶ月よ!一ヶ月もの間離ればなれになるのよ!寂しくて死んじゃうわよ!新婚なのに!」

 

「社会人なんだから、我慢しよう」

 

「…あなたなんて働いていないじゃない」

 

「ゲフゥ!!!」

 

 言葉のボディブローが直撃した。

 

 だって依頼こないし、実家があれだし、結婚したし、家柄からどこかに就職するわけにも行かないし、決して俺は無職じゃない。無職じゃないったら無職じゃないのだ。

 一応実家から切り分けられた土地資産を運用して食うに困らないというか、多すぎるほど稼いでいるし(全部実家の関係者に任せているだけだけど)。ハラオウン家だって、総合SSランクになった俺を婿にしているし、現地の管理世界では名家として存続できたし、いろいろな方面で役に立っているのだ。俺は決して存在する価値すらないマイナスのNEETではない。

 そうだ在宅投資家だ。俺は在宅投資家であって無職じゃない。NEETではないのだ!

 

「なら執務官をやめる。予備役とかに成るか、定時上がりできる事務員とかになればいいし、それならいいでしょ?」

 

「いいけど、そんな急にやめられるわけないだろう?最低でも今担当している事件は終わらせないと駄目だろう?」

 

 アルバイトじゃあるまいし。そんな簡単にやめられるほど社会人は甘くないのだ…。ああ、前世のことを思い出す…トラウマが……ガガガ。

 

「そうだけど…くっ、仕方ないから今回は我慢するわ。仕方ないけど…はぁ…」

 

 なんで俺この人結婚したんだろう…?

 最近よく思うようになった…もしかしてこれがマリッジブルーってやつなのか…?

 

「浮気しないでね…浮気したら…相手は死ぬより辛い目に…そしてあなたも二度と浮気できないように調教を…うふふふ」

 

 愛が、愛が重い…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いろいろあったが、何とか夫婦としてやっていくうちに時日は流れた。

 

 そして新暦50年、息子が産まれた。

 クロノとリンディが名づけた。原作通りの子だ。

 子供が産まれるというのは、なんかこう実感が湧かないというか、変な感じというか、経験したことのない気持ちになった。

 同時に父親になるという責任がのしかかり、悩んだこともあった。

 今までのようにリンディと一緒に解決していけばいいと思い、悩みながらも生きていけばいいと結論をだした。

 そして次第に大きくなっていくリンディのお腹を見て今まさに命が育っているんだと感慨深げに思った。

 

 心が不安定になりがちなリンディの世話をしていたら、あっと言う間に月日が経った。

 無事産まれた赤ちゃんを見て思ったのは、猿みたいだということだけだった。

 でも、赤ちゃんを抱いたら、込み上げるものがあってつい言ってしまった。

 

「お疲れ様、産んでくれてありがとう」

 

 子を産むのは男にはできないことだし、男にはわからない痛みとかあるんだろうし、感謝と労いの言葉は自然と出ていた。

 

「…うん、うん…!」

 

 そして感極まったのかリンディは泣いてしまった。

 

 結婚してから2年が経ったが、俺はリンディを愛していると思う。

 そりゃ半ば政略結婚だったし出会いがあれだったが、美人で、スタイルが良くて、性格が良くて、家事ができて、趣味が旦那といちゃいちゃすることだという女性が妻だったら、誰でも堕とされるだろ、常識的に考えて。例外など同性愛者ぐらいだ。

 気がつけば、リンディが短期間でも捜査での出張でいないと寂しくなっていたし、あまりに長期間離れているとイライラしていた。

 外食をしてもリンディのご飯が恋しくなってくる。

 …これってもしかして俺調教されてる?

 いやいやいや、そんなはずはない、これが夫婦の絆なのだと思いたい…。

 

 後、ちゃっかりヤルことヤッているじゃないかと思った奴、あの良妻美人から誘惑されたらどうする、誰だって堕ちる、そう言うことだ。異論は認めん。

 裸エプロンお帰りなさいシチュは最高でした。ごちそうさまでした。

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