紅葉の紅い葉がヒラヒラと舞い落ちる季節、零二とサクラは黒い霧に覆われた空間の中にいた。
零二とサクラがこの暗いところに来たのはこういった場所が好きだからーーーーではなく試練に挑戦しにきたからだ。
「……今回の試練の場所は暗闇ーーーーってマジで近くにいるはずのサクラの姿も見えないんだけど……」
「まっ、マスター、近くにいるんだよね?」
「いるぞーってこんな暗闇じゃわかんねーよな」
零二はこの暗闇の中でどうやって互いの位置を把握しようか考えるが途中から面倒になりサクラがいるであろう場所に手を出した。
「ほら、手握れよ。そうすれば場所が分かるだろ?」
「分かったんだよ!」
サクラが零二の差し出した手を握る。それと同時に何処からか強い風を零二とサクラは感じ取った。
強すぎる風に零二は思わず目を瞑り、サクラは慌ててスカートの裾を抑える。そして、風が止むと同時に零二とサクラは目を開けて絶句した。
「ーーーー」
「ーーーー」
零二とサクラの前に広がっているのは桜吹雪。桜の花弁がまるで吹雪のように吹き荒れている場所だった。
その光景にサクラと零二はつい見惚れてしまい、お互いに声も出さない。だが、何時迄もそうさせてくれるほど、試練は甘くない。
「ーーーーっ!」
零二が何かに気づきサクラを押し倒した。サクラはいきなりの事で慌てるがそのすぐ後に先ほどまで頭があった場所に氷の矢が向かってきたのを見てすぐに落ち着き、意識を切り替える。
「遠距離か、サクラ場所は分かるか?」
「ううん。全くわからないんだよ」
零二がサクラに相手の場所を聞くがサクラの答えは否だった。
桜吹雪により視界が悪く、また風が強く音なども拾えない。
「相手はこっちの位置を知ってて、こっちは相手の位置がわからないのは……フェアじゃないよなぁ!」
零二が氷の矢が飛んで来た方を思い出しながら、さらにそこから相手の動きを推測する。
放たれた矢は二本、だがその軌道はまるで横に移動しながら放ったかのような軌道。さらに、
そこまでの情報があれば零二は凡その推測を立てられる。
「サクラ、デカイの頼むぞ!」
「了解なんだよ!」
零二がサクラに声を掛け、サクラもそれで零二が何を求めているのかを理解して実行に移す。
突き出されたサクラの両手に集うは桜色の光。零二はそれを見ながら相手の位置を推測していく。
「準備OKなんだよ!」
零二の耳にサクラの声が届く。零二はそれと同時に相手がいると思われる場所を見た。その場所は奥にある大きな桜の木の頂上。サクラはすぐにその場所に敵がいるのだと零二が推測したのを察した。
「『
桜色の極光が零二の推測した場所へと放たれる。
『
必殺技とも言える最強の砲撃の前には生半可な攻撃や防御は無意味だ。
そうーーーー。
「ーーーーっ!!」
ーーーー
「ーーーー『
零二が『
勘に従い『
だがーーーー。
「マスター!」
「……っ!」
サクラの声で再び黄金の斬撃が飛んできたことに気がついた零二は再び『
零二の体から血が流れる。だが、零二はその傷を癒すことはせずサクラの手を取り走り出した。
しばらく走り続けた零二とサクラだったが、零二とサクラの体力が限界になり近くにあった桜の木の陰に隠れるように座り込んだ。
「……開幕……いきなり……先制……は……、これから……頭に入れとこ……」
「そう……だね……」
息を整えながら零二はサクラと話しながら先ほどまであった『開幕してすぐの攻撃はない』という勝手な思い込みを頭の中から消す。
「それにしても……今回の試練もやっぱりこういう戦闘系か……」
「マスターの……言ってた通りに……なったんだよ……」
何回か深呼吸などを繰り返し、息を整えた零二とサクラは先ほどの斬撃についての考察に移る。
「サクラ、お前から見てあの攻撃はどう思う?」
「私の『
「サクラでも分からなかったのか?」
「うん。何でか靄がかかったみたいにその情報だけが読めなかったんだよ」
サクラの言葉に零二は苦い顔をする。
零二の
その能力はサクラ曰く『相手の持っている
零二は表面上だけでもサクラの『
「……とりあえず、因幡達を探すぞ。後ついでに試練の内容の書かれた紙……ってサクラそれなんだ?」
「さっきそこに突然現れたんだよ。試練について書いてある紙みたいだよ」
サクラが零二に紙を渡す。零二はその紙を受け取るとその文章を覚えるように見る。
『試練名 "偽物を救え"
・挑戦者一覧
・黒鉄零二 ・白金燐 ・因幡月読 ・神代なぎさ ・星川瑠璃
・挑戦者敗北条件
・挑戦者全員の死亡
・勝利条件1を達成せず偽物を討伐した場合
・挑戦者全員が勝利条件をみなせなくなった場合
・挑戦者勝利条件
・勝利条件1 偽物を救う
以上を持って第三の試練を開始します』
試練の紙に書いてある内容を全て読んだ零二はため息を吐いた。
「どうしたのマスター?」
「……何でもねーよ。ただーーーーオレなりに決断しようと思っただけだ」
零二が決意を固めたような目をしているのに気がついたサクラはそれについて聞こうと口を開こうとしたとき、遠くから爆発音が聞こえてきた。
サクラはそれに驚いて間抜けな声を漏らすが、零二はその音がした理由にすぐたどり着くとサクラの手を取った。
「走るぞ、サクラ!」
「了解なんだよ!」
サクラが零二の手を取る。それと同時に零二はここ数週間でそれなりに洗練されたとはいえまだ荒さが目立つ身体強化を使って加速して、その場所へと向かった。
一方その頃、爆発音がした場所では月読達が戦っていた。
月読は刀を、なぎさは黒色の重そうな剣を、燐は狙撃銃を持って目の前にいる黒い鎧を見にまとった灰色の髪の少女と向き合っていた。
その周囲には斬撃の後、燃えた後などの戦闘の跡がたくさんあった。
「…………」
鎧の少女が手に持った剣を振るう。たったそれだけの動作。だが、それだけでも月読達にとっては十分な脅威となる。
剣から放たれた黒い何かがなぎさの振るった剣とぶつかり合い火花を散らすがすぐになぎさが押され吹き飛ばされてしまった。
だが、なぎさもただ吹き飛ばされただけではない。なぎさが吹き飛ばされながらも振るった剣は鎧の少女から剣を奪うことに成功していた。
「今だよ!」
「はいーーーーっ!」
なぎさが声を出すと同時に月読が飛び出す。鎧の少女は月読が動き出すとバランスを整えて月読の攻撃に備えた。
刹那ーーーー鎧の少女の視界から月読の姿が消え自身の身体にとてつもない衝撃が来た。
刀が振るわれて攻撃されたのだと鎧の少女は理解した瞬間、畳み掛けるように氷の矢と銃弾が鎧の少女の頭めがけて飛んで来ていた。
燐の銃撃とここにはいない瑠璃からの攻撃だ。先ほどの月読の攻撃に気を取られ隙を見せた鎧の少女への攻撃は普通であればそのまま当たる。
「◼️◼️」
少女が何かを呟いた。それと同時に氷の矢と銃弾が何かに弾かれた。
「なーーーーっ!?」
「…………っ!?」
月読と燐が驚きの声を上げる。だが、この中で唯一先ほどの動きが見えていたなぎさは鎧の少女が持つ剣を見て顔を青くした。
何故なら、その少女が持っていた剣はーーーー今自分の手に持っている剣と全く同じものだからだ。
「逃げてぇぇぇ!!」
なぎさが力一杯叫ぶ。月読達はそんななぎさに驚きながらもその声に従う。
ーーーー刹那、鎧の少女が持っていた剣が弾けた。
黒色の剣の中から出て来たのは黄金の剣。
それを見た瞬間、月読達は自分達の死を感じた。
「ーーーーーーっ!!」
月読達の前に立ったなぎさは自身の手に持っている剣に意識を集中させる。すると、なぎさの剣も鎧の少女の持つ剣と同じように黄金の剣へとなった。
だが、なぎさの場合変化はそれだけではなかった。
なぎさの髪を縛っていたリボンが解け結っていた髪の毛が降ろされ、なぎさの綺麗な黒髪はその色を白銀へと染まっていく。
「ーーーーーー」
二人の剣士が全く同じ構えをする。
防御というものを考えていない、先手を取ることを考えてはいない。そう、後の先つまりーーーーカウンターを取ることのみを重視した構えを。
だが、今回に限っては後の先というものは存在しない。何故なら、互いに後の先を狙っていたとしてもなぎさ達が持っている剣の前にはいかなるものも通じないからだ。
黄金の輝きを増していく、2つの剣。そして、全く同じタイミングでなぎさと鎧の少女はそれを放った。
「「『
『ティルヴィング』、それは北欧神話に出てくる剣。
3回願いを叶えるが、3回目は持ち主の身をを滅ぼすという呪いを持った剣。
そして、これこそがなぎさの持つ特典でありーーーー
3度にわたり所有者に勝利をもたらすが3度目は自身がその力に耐えきれず自壊する。
そして、
だが、そんなデメリットがあると分かっていてもなぎさはこれを使わざるを得なかった。
何故なら、この剣が断つのは剣や体といったものだけにあらず、この剣はーーーー概念そのものを断つ剣なのだから。
距離などのあらゆる概念を一瞬とはいえ切り裂く擬似『
その前にはどんな防御も攻撃も、距離も無意味となる。
「ーーーーッ!!」
なぎさと鎧の少女の『
だが、それも長くは続かなかった。
徐々にだが、なぎさの『
そして、このままなぎさの『
ーーーー『
刹那、月読達は先ほどまでの衝撃から解放されなぎさは急に変わった景色に驚きつつも何が起こったのかを見た。
そして、見えたのは2人の少年少女の背中。
片方は最近自分たちとよく絡むようになった
そして、その隣に立ち迫っていた黄金色の斬撃を見たこともない魔法陣を展開して防いでいるサクラという
「ーーーーっ!?」
鎧の少女が驚愕しているのがなぎさにはわかった。それもそうだろう、何故ならなぎさでさえ防ぐことは絶対にできないと思っていた攻撃が目の前で防がれているのだから。
「ーーーーッ!!」
零二が凄まじい衝撃に負けまいと歯をくいしばる。
力を入れているからか零二の体のまだ癒えていない傷からポタポタと血が溢れ出る。
だが、零二はそんなことに気をとられることなく静かに気を待つ。
そしてーーーー黄金の斬撃が弱まってきたのを確かに零二は感じた。
「今だ!サクラァ!」
「……っ!?」
「了解なんだよ!」
零二の言葉に鎧の少女は零二の近くにいるサクラの両手に集まっている桜光に気がつき月読達のいる前で初めて表情を崩した。
何故なら、鎧の少女は知っているからだ。サクラのソレを、その威力を……。
「『
サクラが極光を放つ。零二はそれと同時に防御をやめ横に転がるようにしてそれをかわした。
だが、零二の防御を破ろうとして力を込めていた少女はそうではない。急に迎え撃っていた力がなくなったことによって重心が前に行き過ぎていた鎧の少女はバランスを崩してしまう。
このままでは極光に少女は呑まれてしまう。そして、呑まれれば最後……少女は死ぬ。
ーーーー◼️◼️。
少女の頭の中に誰かが囁いてきた。
ーーーー◼️◼️。
それは、少女を縛る呪縛。呪い。
ーーーー◼️せ。
ーーーー殺せ。
「なーーーーっ!?」
なぎさが有り得ないとでも言いたげな顔をした。
いや、なぎさだけではない。その様子を見ていた燐と、その様子を耳で聞いていた月読、そして遠くからこの光景を見続けていた瑠璃も同じ気持ちだった。
バランスが崩れ、もう何もできないはずだと思っていたのに、鎧の少女はその予想を超えてきた。
足にいつの間にか現れた黒色の杭を地面に突き刺して無理矢理に体勢を整え手に持った剣に力を込める。すると、剣は再び黄金色の輝きを取り戻した。
それを見たなぎさは絶望に染まった顔をし、サクラもそれに顔をしかめた。
ほとんどの者がそれに反応している中で零二は目の前で自分達を殺そうとしている少女をまっすぐと見続けていた。
「そういうことか……」
そして、何かに納得したようにそういうとサクラにまで合図を送る。
それにサクラは気づくと小さくだが首を縦に振った。
「ーーーー『
その瞬間、なぎさ達を浮遊感が襲った。だが、それは相手の攻撃を受けて吹き飛ばされたからではない。
この突然どこかに移動させられる感覚をなぎさ達は知っている。
黄金色の斬撃が先ほどまでなぎさ達がいた場所を抉り遥か彼方へと消えていく。
その中に巻き込まれたと勝手になぎさ達が思っていた零二もその中で無傷で立っていた。
「……逃げたか」
零二が土煙が晴れた場所を見ると鎧の少女の姿が消えていた。
それを見た零二は一度息を吐いてからすぐ近くに降りた(落ちた)サクラ達へと目を向けた。
「おーい、大丈夫か?」
「うぅぅ、酷いんだよマスター」
「アレくらいしかさっきは手がなかっただろ。後、お前には事前に言ってあったからお前はそれを言う資格ないな」
「あっ、そっか……じゃないんだよ!それでもあのやり方はやっぱり酷いんだよ!」
頬を膨らませて抗議するサクラを零二は軽くあしらうと月読達に試練について書かれた紙を見せた。
「お前らはこれ持ってるか?」
「いいえ、それらしきものをなぎさが取ろうとしたらいきなり襲撃を受けたので持っていません」
「……なるほどな」
月読の言葉に零二が納得すると、一回首を捻ってから月読達の方をもう一度見た。
いつものように巫女服を着た月読と珍しく同じ格好のなぎさ、前見た時と変わらない黒色のワンピースを着た燐、そして戦闘時の服となっているサクラ。
そこまで見て零二は先ほどまで何か足りないなと思っていたものの正体にたどり着く。
「そういや、星川は何処だ?」
「……っ!そうでした、今瑠璃さんとは別行動を取っていてーーーー」
「ーーーー私ならここに居ますよ?」
ガサッと月読の後ろから瑠璃が現れる。その姿は月読達と同じぐらいかそれ以上にボロボロになって居た。
「無事……ではなさそうだな?」
「ええ、貴方達から逃げ出したあと私の方に来て攻撃して来たので何とか逃げました」
「……その傷とかはその時のやつか?」
「はい……」
その時のことでも思い出しているのか瑠璃が少しだけ顔を青くして「もうあんな攻撃はこりごりです」と言った。
「それで?どうするよ」
「どうするとは?」
「今回の試練は前の時のように相手を倒せばそれで終わるわけじゃない。今回の試練はあいつを救わなきゃならない」
「それはーーーー難しいですね。何から救えば良いのか、どう救えば良いのか分かりませんから」
「そうだよなぁ」
零二が頭をかきながら月読に視線を向けて問う。
「星川はどうだ?」
「……遠くからなので、どうとも言えません」
「……本当にか?」
「はい」
瑠璃が零二の質問に答える。すると零二は「そうだなぁ」と何かを考えて月読達に一つの提案をした。
「まっ、アイツを見つけるためにもここで二人組に分かれて捜索しよーぜ」
「各個撃破されるかもしれませんよ?」
「そこら辺は一応考えてオレは星川と探すことにする。オレの能力が有れば全員呼べるからな。
因幡と神代、サクラと白金の二人組でバランスとか多分良いだろ」
「……いえ、もろに偏ってますが……」
「大丈夫だって、
「はい……?」
「あんだけ早いんだから見つからねーだろ流石に……。
あっ、オレ達こっちから探すわ。じゃーまたな」
零二が強引に話を切って瑠璃の手を取って進んで行く。それを見たなぎさ達とそれを耳で把握した月読はため息を吐くと先ほど零二が言って居たようにそれぞれ別々の方へと散って行った。
「星川、そっちに居そうか?」
「いいえ、見つかりません」
「まっ、簡単には見つからないよなぁ」
月読達と別れてから数分、零二達は先ほどの場所よりもそこそこ離れた場所まで来て居た。
何処までも続く桜の木のせいで何処まで進んだのかは分からないが、道端に零二が草を置いているため元の場所に戻るのは多分大丈夫だろう。
「それにしても、星川は何で反対しなかったんだ?」
「はい?」
「さっきのオレのアイディアさ。だって、普通は因幡達みたいな反応をするだろ?だけど、あの中で唯一お前だけは何も反応しなかった……。何でだ?」
零二が瑠璃に問いかける。それに瑠璃は眉一つ変えずに答える。
「貴方のことですから、何か考えがあると思っただけです」
「へー」
瑠璃の答えに零二は納得いって居ないような返事をする。それに瑠璃はムッとして何かを口にしようとするがそれより先に零二が口を開いた。
「……
「はい?」
零二の言葉に瑠璃は何のことかわからずに間抜けな声を出す。だが、零二はそんな瑠璃に構わないでさらに口を開く。
「そろそろ演技を止めろって言ってるんだよ。下手な芝居にそこそこ付き合ってやったんだ。そろそろ、その化けの皮を外せよ
零二の言葉に瑠璃は何も言い返さない。ただ黙って零二の目を見るだけだ。
数秒間、沈黙が周囲を支配する。瑠璃は何かを言おうとするが確信を持っている目をしている零二を見ると息を吐いて観念したかのように口を開く。
「……何で、分かったのですか?」
瑠璃の口から出たのは何で分かったのかと言う言葉。それは、おそらく瑠璃ーーーーいや、瑠璃に扮装した鎧の少女なりの諦めの言葉なのだろう。
「傷とタイミング、後はお前がオレ達の名前を一度も口にしなかったのが理由だよ。
あの傷を見たら普通はお前の説明で納得する。だけどな、あの傷はお前が星川に攻撃したので有れば不自然なんだよ。
お前の体に付いている傷は切り傷が多い。だけどな、その右腕は切り傷じゃないだろ?」
零二が右腕の部分を指差す。そこには、切り傷ではなく何かで焼けたような痕が薄っすらとだが存在して居た。
「それはおそらくサクラの『
可笑しいよな?アイツが使って居たのは剣。オレ達の目の前から逃げ出した時もその手には剣があった。
お前の説明だとお前に攻撃してきたのも剣になるはずだろ?なのにお前の右腕にはその傷があった」
先ずこれがお前が怪しいと思った理由その1だと零二が人差し指を立てる。
「二つ目、タイミングが良すぎる。
オレ達が星川の話題をすると同時に現れた。アレは速すぎだ。
何処かで待って驚かせようとして居たのであれば納得だが、傷を負っているので有ればそれは不自然だ」
これが理由二つ目なと今度は中指を立てる。そして、三つ目と薬指を零二が立てた。
「三つ目、お前達が会話している時、お前は一回も因幡達の名前も、苗字も言わなかった。
さっきの会話の時、お前はオレのことを『貴方』と言った。
だけどな、最近のアイツはオレのことを『黒鉄零二さん』とフルネームプラスさん付けして来るんだよ。
だから、確信にしたんだよ。お前は偽物だってな」
「…………それは、盲点でした。これは、うっかり」
ボロボロと崩れていく瑠璃の身体。その中から出てきたのは零二達が探していた鎧の少女の姿だった。
だが、格好はあの黒い鎧では無く真っ黒なドレスを着ている。
「しかし、そこまで分かっていながら何故私と二人っきりになるのですか?あの場で、全員で私を殺せば良いのでは?」
「お生憎様、オレの……いや、オレ達の目的はお前を救うことなんでな。殺しはしない」
「救う?無理ですよ。だってーーーー」
少女の目から理性の色が消え去る。右手にはいつのまにか黄金の剣が握られていた。
それに零二が気づくと同時にその剣が振るわれた。
「ーーーー貴方達は私に殺されるのだから……」
確かな手応えを少女は感じた。完全に防御は間に合っておらず零二の身体の深くまで付いた切り傷からは大量の血が地面に落ちて島を作っていく。
確実に致命傷。いくら転生者であろうとこの傷であればそう時間はかからずに死ぬ。
「頭が良くても……戦場では関係ない」
「ーーーー残念だが……それじゃあ、オレは殺せねーよ……っ!」
最も、それは黒鉄零二が
零二の体から傷が消えていく。その異常な光景を目の前で見た少女は勢いよく跳躍し零時から距離を取る。
「何で……死なないの……っ!?」
「それを教えるわけねーだろ」
黒鉄零二が死ななかった理由、それは黒鉄零二が
「そう、だから貴方は私と二人っきりになったのね」
「まっ、理由はそれだけじゃないけどな」
「…………?ーーーーっ!!」
零二の言葉に少女は一瞬だが何かを考える素振りを見せたがすぐに自分に迫ってきていた桜色の極光に気がつき急いで回避運動をする。
だが、その際に手から剣が離れ極光に呑まれていった。
「サクラは近距離での戦闘はダメダメだが……こういう遠距離戦にはかなり強いんだよ」
零二がサクラと別行動をとった理由は大きく分けて二つ。
一つ目はこの少女から自身の命そのものであると言っても過言ではないサクラを離すため。
もう一つは、サクラを遠くに移動させ少女の認識外からの砲撃によって少女の武器を奪うためだ。
なぎさも使った『
だが、少女の意識の範囲外からの攻撃であればーーーー少しだけでも気づかせることに遅らせるのに成功したのであれば話は違う。
零二はなぎさと少女が『
「お前のアレは神代のものよりも溜める時間が長いんだろ?」
「ーーーーっ!?」
「だから、こうした。多分今頃サクラの行動に疑問を持った白金が因幡達に連絡してるだろ」
「……なるほど、ここまで全部貴方の作戦通りというわけですか。
でもーーーー」
少女の目から理性の色が消え失せた。刹那、零二が少女から放たれる殺気に一瞬だが怯む。
殺気と狂気が混ざり合ったようなもの、純粋な殺意だけならばまだ零二は怯むことはなかったが謎の狂気も混ざったそれは今世と前世を合わせても感じたことのなかった何かだった。
「ーーーー貴方では、私を絶対に救えない」
そうはっきりと口にした少女。それとともに剣が振られるが零二はそれらを完全に見切ってかわす。
「目……いえ、どちらかと言えば勘?」
だが、その零二のかわし方を見た少女は零二が攻撃をかわせたタネーーーー人並み外れた直感だと気づくとすぐに剣の振り方を変えた。
一瞬で複数の布石を打ち、零二の行動によってどの攻撃を使うのかを使い分けるという荒業。だが、直感に頼っていた零二にとってそれは最悪な攻撃だった。
全ての布石が後々の死に繋がり、零二の人並み外れた直感はそれを全て汲み取ってしまい徐々にだが攻撃を回避しきれなくなる。
「ち……っ!だけど、これならどうだ!」
「ーーーーっ!?」
だが、零二もただ攻撃を受けていたわけではない。少女の動きのクセを見つけ出し徐々にだがそれに順応していく。
それによって数分経つ頃には零二と少女はほぼ互角の戦いを繰り広げられるようになっていた。
「……っ!このぉ!!」
このままではいずれ不利になることを察した少女は零二の攻撃を敢えて受けてカウンターの蹴りを放つ。
それに零二は反応できず飛ばされてしまうが少女は確かに見た。
その時の零二が笑っていたのを。
「…………っ!」
少女の背中に冷たいものが走る。本能が警報を鳴らし少女は無我夢中でその場をかけた。すると、先ほどまで少女がいた場所を呑みこむように桜色の極光がその場を抉り取っていった。
「流石に2回目はねーか。けどなーーーーっ!」
少女が避けた場所に突然現れる水色の魔法陣。そこから現れた氷の鎖は少女の身体を拘束していく。
「これーーーーはーーーーっ!?」
「助かるぜーーーー星川!!」
零二がこの周辺にいない瑠璃に感謝しながら少女へと走り出す。
それを見た少女は自身に残った全ての理性を一瞬で消しとばし拘束から何が何でも逃げ出そうとするが氷の鎖はビクともしなかった。
零二はそれを見ると右手を前に出して自身の能力を使う。
「ーーーー『
『
攻撃力がほとんどなく戦闘には不向きだと思われる能力だが、今回の試練においてはクリアする鍵となりうる能力だと零二はこの少女と戦闘を行って直感的に理解したのだ。
零二の右手が少女の身体に触れる。後はそのまま少女の中にあるなにかを『
だがーーーー。
「くーーーーっ!」
ーーーー黒い霧が少女から放たれ、鎖と零二を纏めて吹き飛ばした。
いや、それだけではない。それと同時に少女の手に現れたのは黒色の剣。零二の記憶が正しければそれは『
そこまで思い出した零二は強引に体勢を整えるのをやめ、背中から地面に落ちる。
だが、そこで零二にとって最大の誤算があった。
少女の手に持っている剣が黒色の光を纏っていく。
「マジかよ……っ!」
急いで零二は体勢を整えようとする。だが、既に放てる状態にあるあの剣は零二が体勢を整える前に振るわれる。
既に、構えられ放つ寸前のそれを前に零二は何か手はないか模索するが、そんなものは既にない事は零二自身既に理解している。
だから、今模索するのはあれを躱すのでも防ぐのでもなくーーーー最小限のダメージで抑える手段だ。
零二が目を瞑る。それと同時に黒の剣は零二を断つべく放たれる。
「『
放たれるは概念を断つ黒の斬撃。この攻撃の前には防御も距離も関係ない。
放たれればほぼ、負ける事は無い無敵の斬撃が零二へと襲いかかった。
遠くから轟音が聞こえ、走っていた燐はその足を止めた。
「さっ、……サクラちゃん……、今の……って……?」
「……急ごう燐ちゃん、マスターが時間を稼いでる間に瑠璃ちゃんを探さないと」
「……でっ……でも、…………ううん。そうだね」
サクラの言葉に燐は何かを言おうとするがサクラの不安そうな横顔を見てしまった燐はその言葉を途中で止めてすぐに足を進める。
零二が稼いでくれているこの時間の間にサクラ達は零二達の近くにいるであろう瑠璃と合流しなければならない。
何故なら今回の試練は
零二の能力『
だが、そんな能力にはある弱点が存在する。
それは、魔力消費が激しいことと時間制限だ。
零二達
つまり、明らかに24時間を超えているあの少女の呪いを零二が解くことは出来ない。
ならば、何故零二が一人であの少女と戦闘をしているかというとその理由は2つある。
一つ目は星川瑠璃の探索だ。
零二達が別れる前の時点で居場所が分からなかったのは星川瑠璃ただ一人。つまり、瑠璃は今だにこの世界のどこかで一人のまま。
そして、それは今の状況では危険だ。あの少女の能力などは未知数、さらには月読となぎさを同時に相手取り奇襲にも対応してきたその実力はかなり高いだろう。
そんな相手に後方から支援するタイプの瑠璃が一対一で勝てるかと言われるとーーーー不可能だ。
だから、零二は自身を囮にしてサクラに瑠璃を探索することを頼んだのだ。
そして、二つ目の理由は零二だけで戦えば
零二達
それならば、なぎさでもいいのではないのか?という疑問が現れるが零二はなぎさの放った斬撃の名前からあの力の弱点を正解に近いところまで推測していた。
そして、その推測が正しければなぎさはあと2回しかアレを使えない。そして、その2回目の後になぎさに待ち受けるものは自身の死。だから零二は一人で戦うことを選択したのだ。
「マスター……」
サクラが燐にバレないように音のした方を見る。大きな煙が今だ立っていて凄まじい威力を持っているのが遠目からでも分かってしまう。
だが、サクラがバレないようにそこを見ていたことを燐は自身の能力を使って知っていた。そして、サクラが零二の事を心配していることも……。
「…………っ、……みっ、……見つけた……よ……っ!」
燐が瑠璃を見つけたことをサクラに伝える。
サクラが足を止め燐が先導してその場所へと向かった。
キチンと見ていなければ見失ってしまいそうになる道を通ってサクラと燐は瑠璃がいると思われる場所へと足を進める。
そして、ようやくゴールと思われる場所に着くとそこにはーーーー。
「ほよ?やっと来ましたか……」
「予想よりは遅いですが、特に問題はありませんね」
瑠璃だけでなく別行動を取っていたはずの月読となぎさが座って待っていた。
サクラはそれを見ると「マスターが言ってた通りなんだよ……」と呟き燐は何故ここにいるのかといった目を瑠璃となぎさに向ける。
「……あの瑠璃さんが偽物だとわかっていたからですよ。
あの偽物さんは瑠璃さんのフリをしている時、心音が不自然でしたから
月読が燐にそう説明する。その説明を聞きながらサクラは零二はどうしてそれに気づいたのか少しばかり疑問に思ったが、すぐに雰囲気が変わったことに気づくと先ほどまでの疑問を頭の隅に置いて月読達の方を向いた。
「……サクラさん、零二さんに何を言われたのかを教えてください」
「……流石に……これは……キツイ……な……っ!」
月読達が話合いをしている頃、零二は『
いや、正確には寝転がっているのではなく身体が切り裂かれているので動けないと言ったほうが正しいのだが。
ダメージを最小限にした結果、零二は本来であれば身体の大半が切り飛ばされるほどのダメージを右腕と右足を切り飛ばされるだけにとどめた。
零二はすこしだけ体を起こすと自身に『
だが、まるでそれを狙っていたかのように黒い影が零二に近づいてくる。
「ち……っ!いったいいくつ持ってんだよ!」
零二はすぐにそれが自分が今まで見てきた少女の能力の誰にも当てはまらない能力だと気付いてそう言うが少女は何も言わずにその影を肘と膝を使って挟んでそれを止めるがその時にできた死角からきた攻撃を防ぎきれず零二の体にまた新しい切り傷ができる。
「な……めんな……っ!」
零二が回し蹴りを放つが少女はその時には既にその場から遠く離れた場所から今度は何処からか取り出した弓に矢をつがえて放ってくる。
それらを零二は躱しながらこれまでに相手が晒した能力などを数えて行く。
(神代と同じ剣と弓、星川に化けていたあの高度な変装能力、動く影、不可解な能力向上、黒い霧、その他にもざっと受けた限りだと10を超える。
だが、所々で新しい能力があったり、何処かで見たような能力もある。だとしたらーーーー)
そこまで零二は思考すると、ある一つの答えに達した。そして、それと同時に少女がいつのまにか手に持っていた鞘に収まっていた刀に手を添えて居るのが見えた。
(……確定だな)
目に見えないほどの速さで刀が鞘から抜かれ振るわれる。だが、零二はそれを余裕を持って躱す。
「そろそろか……」
零二はそう呟くと攻撃をしてこようとしていた少女の身体を強化した脚で蹴り飛ばして右手を横に出す。
「ーーーー『
零二の右手に魔法陣が現れ、そこに現れたのは零二の半身と言えるサクラ、そしてーーーー月読達だ。
いきなり召喚されたことに誰一人驚いていないことから零二はサクラがキチンと伝えたのだろうと推測するとサクラの近くまで警戒を解かずに移動する。
「何処まで話した?」
「マスターに言うなって言われてたところ以外は言ってあるんだよ」
「よし、なら大丈夫……とは言えないよなぁ」
零二が飛んでくる矢を躱す。そして、その後ろから飛んでくる影と小太刀もかわして反撃までしようとする。
それにとっさに気づいた少女はその場から急いで離れる。そして、それと同時に先程まで少女がいた場所に零二が掴んで投げた小太刀が飛んできた。
「サクラ……撃て!」
「了解なんだよ!」
零二の言葉にサクラは返事をすると両手を前に出して『
そのとてつもない威力を何度も見ている少女はそれを何とか阻止しようとサクラへ攻撃しようとする。
だが、それを易々と許す者はここにはいない。
「させるかよ!」
零二が前に出てその攻撃を防ぎ月読が刀を抜き攻撃を仕掛けようとするがそれよりも早く少女は攻撃対象をサクラから月読と零二に変更して新たな剣を出す。
「それは……さっき見たぜ!!」
だが、その剣は振るわれるよりも先に零二が剣の柄を蹴ったことにより消滅した。
それを見た少女はまた剣を変える。そして、その剣を見た零二たち全員の顔が強張った。
それは、漆黒の剣。なぎさが持っている真の姿を現していない……いわば鞘に収まった状態のままと言えるそれはしかしなぎさのそれとは違い得体の知れない威圧感を放っている。
月読達はそれに怯むがそれを実際に体験している零二はそれを振るわれる前に対処しようとする。
「サクラ……っ!」
零二が慌ててサクラの名前を呼ぶ。サクラはそれだけで、零二から伝えられていた牽制のために準備していただけだった『
「『
放たれたのは桜色の極光。零二はそれが放たれると同時に少女の近くにいた月読を担ぐと急いでその場を移動する。
月読と、それを近くで見ていた月読達は少女を倒せると思っていたが零二とサクラは倒せないことを既に知っているのでその後の動きに対応できるように零二が動く。
「ーーーー『
零二がすぐにサクラを召喚する。すると、先程までサクラがいた場所を『
「……まさか……。あの鞘の状態で撃ったのですか?」
月読が信じられないとでも言いたげな顔でそう呟く。いや、月読だけではない。少女と同じ剣を持つなぎさもあり得ないものを見たような顔をする。
「みたいだな。さっきからああいうイレギュラー的な攻撃があって本当に嫌になる」
零二はそう月読に言いながら少女の動きを見ようと視線を向けて、「はぁっ!?」と驚愕の声をあげた。
何故なら、先程必殺の剣を放った少女は今度はお前達だとでも言いたげに零二達漆黒のオーラを纏った剣を振ろうと構えていた。
「アレ連続でうてるのかよ!」
「なぎささんは撃てません……。恐らく、彼女だから撃てるのでしょう……っ」
「ち……っ、やりたくは無かったが……」
零二が月読をなぎさと瑠璃の方めがけて投げる。一瞬、零二が何をしたのか分からなかった月読達だったがすぐに我に返り月読を受け止めることに成功した。
そして、それを横目で見ていた零二は振り下ろそうとしている少女を真っ直ぐに見るとその右手を上に出した。
「ーーーー『
零二の手の先に現れる魔法陣。そして、そこから現れたのは先程まで零二の視線の先にいた少女。
少女はいきなり自分のいた場所が変わったことに一瞬だが、動揺しさらにここが空中であることを理解する。
だが、少女はここが空中であることを理解すると同時にすぐに落ち着きその剣を振るおうとしてそれをやめた。
「ーーーーッ!!」
少女が貯めていた力をそのまま地面にぶつけて強引にそのまま落下することを阻止する。そして、それを狙っていたかのように月読となぎさが攻撃を仕掛けるが少女はそれらを紙一重で躱すと今度は2人の体を蹴り飛ばす。
「……一か八かの賭け……か。若しくはーーーー」
零二がなぎさを見る。それは、この試練をクリアするために必要な能力をなぎさが持っていると確信しているからだ。
だが、それと同時にそれは自分達の敗北条件を達してしまうかもしれないリスクを含んでいることを零二は何となくだが理解している。
だとするとーーーーっとそこまで零二は考えるとサクラに小声で話しかけた。
「サクラ、時間を稼いでくれ」
「分かったんだよ」
サクラが月読達のもとに援護をしに行く。それを見た零二は一瞬だけサクラの後ろ姿を見ると、僅かな可能性にかけてこの試練の鍵となるかもしれない人物のもとへと歩き出した。
零二が歩きだしてからだいたい五分ほどの場所にある人が隠れられそうな場所がたくさんあるところ。そこに来た零二は地面を見て足跡があることを確認するとその足跡を辿っていく。
辿って行った先には少し他の場所よりも広いスペースがあった。そして、そこには零二が探していた人物がそこで狙撃銃を構えていた。
「……ここから狙えるのか?」
「……っ、……はっ、はい……」
零二が声をかけた人物というのは燐。今のところ、零二が全く情報を持っていない人物でーーーー恐らく、この試練に対しての切り札ともなり得る力を持っているかもしれない人物でもある。
「白金、一つ聞いていいか?」
「……は……っ、はい……っ」
「お前の特典の中に今回の試練で使えそうなヤツは何個ある?」
「ーーーーっ」
燐が零二の言葉に息を呑む。零二はその反応を見て自分の考えが正しかったことを確信する。
燐はそんな嶺二の目を見てあわあわとするが、すぐに何回か深呼吸をするとゆっくりと話し始めた。
「……はっ、はい。……その、……一つ……だけ……」
「それは、今使えるのか?」
零二が燐に質問する。燐はその質問に少しだけ目を伏せて答える。
「……その、……私……では、……使えません……」
燐の言葉に零二は疑問を持つ。だが、その疑問はすぐに解消された。
「……私……では、……その、……魔力……?が足りなくて……使えません……」
「私では……ってことは他の人だと使えるのか?」
「……つ……使える……というよりは……使って……います……」
「…………は?」
燐の言葉に零二は一瞬、理解ができずに呆けてしまうがすぐに燐の言葉を頭の中で思い出してある一つの仮説を立てる。
「……お前の能力ってもしかして、他の人の能力を使える能力なのか?」
「……はっ、……はい……っ。……条件が……あります……けど……」
オドオドとしながら燐が零二に言う。零二はその言葉を聞きながら頭の中でどうするかを考え、すぐに一つの答えにたどり着くと燐に質問する。
「なぁ、星川と連絡取れるか?」
「……はっ、……はい……。……すぐに……と、……取れます……」
「なら、星川と話をさせてくれ。この試練をクリアするために星川の力が必要だ」