どうやら私は強くなりすぎたらしいです。 作:丸いピンクのアイツ
どうやらかなり昔の地球に生まれたらしいです。
「は?」
気が付くと辺りは一面溶岩の海。
「え、なにこれ?」
なぜ自分がこんなにも危険な場所にいるのか。そもそもこれほどの規模の火山帯が果たしてあっただろうか? そんな考えが頭をよぎったが、これだけ規模が大きいと、聞いたことぐらいあってもいいんじゃないかと思うんだけど...。とりあえず周囲の確認でもしようか。
その時_______
「ん............ぇ?」
___自分が宙に浮いている事に気付いた。
「...うあああぁぁぁぁ!?」
.....................あ、そうかこれ夢か。うん、夢以外考えられないな。そうこれは夢、これは夢。ゆっくり目を閉じて、そしてもう一度開くとそこは知ってる天井...............
......なんてことはなく、相変わらずの紅い世界。ならば、と頬をつねってみる。痛い。......何かの冗談だろう。今度は強めにつねってみる。
「っ~~~!!」
めちゃくちゃ痛かった。
え?なにこれ、夢じゃない?現実?現実ならもしこっから落ちたら死ぬぞ?それ以前に今自分はどうやって空なんて飛べ____
飛べているんだ?
そう考えようとした時だった。
一瞬の浮遊感、そして直後に感じる下方向からの風。その感覚を理解したくなくなかったが、自身の体が相当の高さがあったであろうところから落ちているということを理解してしまい____
そこで、死の恐怖に耐えきれなくなったのか意識を落とした。
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「......ん、あ、れ?生きてる?」
おかしい。間違っても運が良かったとかで生きてられるような高さじゃなかった筈だ。体に違和感すら感じない。
......ん?あれ?やっぱり手足の動きに違和感があるような......
「あ、あ、はああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~!?」
え、なんか体縮んでる!?てか何このかっこ!?ブーツは辛うじて茶色の革製だけど、それ以外が袖の広がった白の改造コート、白のショートケープ、白のマフラー、白のニーハイソックス、白のタイトスカート。......白ばっかじゃん!
ほぼ真っ白だよ!え?何?『燃え尽きたぜ......真っ白にな......』とか言ったほうがいいの?
...駄目だ。思考がずれてきてる。...そうだ、忘れてたけど此処は火山のど真ん中だった。なんだってこんな暑い所で分厚い服着てるんだ。下はニーソとスカートだからともかく、上着は...............ちょっと待て、ニーソ?スカート?
最悪を想定しながら恐る恐るスカートの中にずいぶんと可愛らしくなった自身の小さな手を入れる。
__在るべき物の感触が無い。無情に告げられた事実に何かが壊れた音がした。
「あ...............ハハッ......アッハハハハハハッ!無い!玉も竿もなんにも無い!もう此処まで綺麗さっぱりだと寧ろ清々しくなってきた!」
端から見れば、上下の体温調節に苦労するであろう格好の少女、いや幼女と言うべきだろうか。それが、火山の一角で鈴を鳴らした様な甲高い声で笑いながら現実逃避しているのだ。その姿はさぞかし滑稽だと思う。
けどいくらなんでも、情報量が多すぎる。こうでもしないと頭を冷やせそうにない。
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あれから暫くして、漸く現実を受け入れられたので、少し状況を整理してみることにした。
・現在地は今なお猛烈な勢いで火山弾や火砕流を吐き出す火山地帯に空いた空白地帯
・目覚めた時は空を飛んでいた
・相当の高さから落下したが無傷
・自分の姿がほとんど白一色の服で統一された幼女になっている
大体こんなものだろうか。
まずは現在地についてだ。先程空から見た限りは、ここら一帯は火山ばかりで水や食料などが有るとは考えづらい。
ついでに、理由は定かではないが少し息苦しく感じる。...まあこれはえらく上部に寄った服装のせいかもしれないが。
次は空を飛んでいたことだ。これに関しては根拠は無かったが『何で自分は空を飛べているのか』と疑問を持った瞬間に落ちたことから、自分は空を飛べると考えることが大事なのではないかとアタリをつけてみると、どうやら正解だったようで、時間がかかったうえに僅かでしかないが、先程の感覚を元に空を飛ぶことができた。
今度は落ちたのにダメージがなかったことについてだが、これは恐らく自分が“空を飛ぶ”とかいう明らかに人外じみたことが出来ることから、自分の体が人間の物ではなくなったと考えるのが妥当だろう。
ていうか、それ以外の理由だったら、赤い配管工のおっさんも真っ青な紐なしバンジーして生きてられるとかどういうことなんだと小一時間、問いただしたい。
最後に今の自分の姿だが、あれだ、さっきの通りの真っ白な服装に加えて髪の毛とかも改めて調べてみた。まずは、透き通るようなサラサラのロングヘアー。腰ほどまで伸びていて、何故最初に気付かなかったのかと思うほどに長く、艶がある。そこから髪の毛の根元の方へと手を滑らせると、よくわからないコサック帽のような物に触れる。勿論、これも白だ。
鏡やそれに準ずる物が無いので、顔を見ることは出来ないがペタペタと自分の顔を触ってみたところそれなりに整った目鼻立ちであることがわかった。
正直、何で最初に気付かなかったのかと思いたいが、火山と熔岩で溢れかえってた景色と空を飛んでいたことにかなり動揺していたんだろう。
身体能力も検証してみたかったが、火山地帯のど真ん中で試せることもあまり無いので、一旦後回しとした。まあ、こんな暑い場所にいて汗ひとつかいていないことを考慮すると、既にぶっ飛んでいるが。
ついでに言うと、下着も白一色だった。
...ふう。ちょっとは落ち着いたな。とりあえずこれからはなんとかして火山地帯以外の場所を見つけて食料を探しつつ、この体のこととかこの環境について調べるのを目的にしよう。
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あれから体感数ヵ月。かなり空を飛ぶことにも慣れたので、色々な所を飛び回ったけど、大した収穫もなく火山ばかりが広がる景色にもそろそろ飽きてきた。現状は、落下した時のこぢんまりした空白地帯に小さな拠点を作って生活している。
道具も無いのにどうやって拠点作ったんだって話は後でするとして、まず食料に関してだけど、どうやら食べなくとも平気らしく、空腹感は欠片も無い。当然、食べないので排泄の必要も無いけど、やはり何も食べないのは精神的にクる。
あぁ、考えたら何か食べたくなってきた......。おうどん、お寿司、アイスクリーム、カレー、ハンバーグ、ケーキ、マカロン、シュークリーム............はっ!いけないいけない考えるな私。というか、いくらなんでも精神が女の子に引っ張られすぎでしょ!
............そう、最近の悩みがこれだ。少しずつ精神がこのロリぼでぃーに引っ張られて女の子みたいな好みになってきているのだ。だがしかし、この体のお蔭で助かったことは既に数えきれないので「こんな体!」とは言えないのだが。
というか前世の体でこんな難易度ルナティックな世界来たら一日ともたずに死ぬ。それほどこの体はハイスペックなのだ。
まず、おおよそ生物が生きられないであろうこの環境で少なくとも数ヵ月は生きている。
これだけでも驚愕に値するのに、空をほぼ無制限で飛べるのだ。“ほぼ”なのは、この時ほんの僅かにエネルギー的なsomethingを使っていることに気づいたからである。
只、私はこのエネルギーの量が尋常じゃ無さそう且つ、今まで一度も無くなりかけたことが無いので、“ほぼ無制限”なのだ。
更にこのエネルギー、空を飛ぶ以外にも使えるようで、その辺の岩を両断するくらいの力がある。拠点もこれを利用して作った。
......まあ食事の必要が無いのでその実態は、目印の代わりと寝る時に、熔岩の光が邪魔にならないようにと小さな豆腐建築があるだけだけどね。
はあ......スイーツ食べたい......。
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あれから人間の感覚では途方も無い時が過ぎた。あの有名な五億年ボタンで体験することになる時間くらいは生きているだろう。
まあ、あっちの何もない空間の五億年と違ってこっちの五億年は、えらく暖かくてシュワシュワする(多分人間の体では高温の酸)雨が長いこと降ったり、それで海が出来たり、暫くして冷えたその海にバクテリアだったか?が誕生したりで、飽きるようなことはなかった。
かといってこの五億年、ぼーっと景色を眺めていただけではなく空を飛ぶ練習をしたり、ボール状にしたエネルギーを飛ばして遠距離の攻撃方法を確保したりした。
お蔭で今では、地球一周に10分もかからないところまで速く空を飛ぶことが出来るし、エネルギーの扱いもかなり上達した。......代わりに、男としての感性は失ったも同然だけどね......。
まあ、この五億年くらいで気付いたこともある。それは、この五億年間で起こった事象が地球の誕生後数億年の間に起こる事に酷似しているということだ。よって今まで見当もつかなかったここが何処で、いつの時代なのかのおおよその見当がついたのだ。ここが地球なら、最初に生物が誕生したのは2000年代から遡って、およそ三十五億年前になる。
......それで?って気がしないでも無いが、確かに大事なことだ。
幸い、この体に寿命のようなものは感じられないのでいっその事、のんびりまったりスローライフでも楽しむとしよう。
そうするとなると、平穏を護る為にもそれなりに力もつけるべきかな?
「そうと決まれば早速修行だー!」
しかし、この時私は周囲に自分以外の大きな生き物がいなかったために気付かなかった。自分がどれだけ強くなったか比較する対象がいないことに......。