一般人がISを頑張って作る話   作:団子スライム

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短編のやつだけどランキング載ってるね。なんでこんな人気出てるのか分からねぇ……。


凡人と天災は出会うようです

彼女の話をしよう。彼女は天才であった。故に孤独だった。自分の考えを他の者達に理解されず……いや、他人の者達は自分の考えを理解できず、その為彼女は他人を見下していた。自分より優れた人間は居ない、本気でそう考えていた。

 

ある一点に置いては、限りなく少ないが彼女より優れている者はいる。彼女はそんな者を気に入っていた。逆に、何の取り柄も無い凡人達を彼女は嫌い、関わる事はせず関わられても拒絶した。

 

そんな彼女に友人が少ないのは当然の事であり、それを彼女も気にして居ないのだから何の問題も無かった。凡人を水に例えるなら、彼女は油だろう。水は沢山無ければあまり使えないが、油は少ない量でも使い道がある。まあ、だからといって油のほうが優れているという訳では無いが……話を続けよう。

 

そして、水と油であるが為に交わらない。水は水と、油は油としか混じる事は出来ない。そして、世界には油は彼女ぐらいしか居ない。だからこそ、彼女は彼女一人しか居ないのだ。

 

彼の話をしよう。彼は凡人であった。いや、凡人と信じている。故に一人ではなかった。彼は他人の基準を見ることが出来ず、自分が基準だと考えている。自分の才能を正しく計れない……故に彼は凡人なのだ。

 

彼は周りに自分の才能を見せびらかす事は無かった。せいぜい、どこの高校にでも行ける賢い生徒ぐらいにしか見せていなかった。出来ない事があるほうが人間らしい……それが彼の持論だった。

 

凡人が教えを乞えば、彼は丁寧に教え分かるまで教えた。逆に言えば分からないままの時は帰そうとしなかった。習いに来たのに分からないまま帰るとはどういう事なんだろう、彼はそう思っていた。

 

そんな彼を厄介と思う者も居たが、基本的には彼は人気のある人物だった。趣味も色々な所に精通しており、勉強も先生に聞くよりは分かりやすい。そんな彼に人気があったのは当然と言えよう……まあ、彼女はできなかったらしいが。

 

そんな彼の人生が大きく変わったのはISという物が出来てからだ。ISは何故か女性しか使えないという欠点から女尊男卑が生まれ、彼は仕方なく女装をする事にした。

 

だが、そんな生活がずっと続く訳がない。したくない事をし続ければ、不満は貯まる。ゆっくりと、だが着実に彼の不満は積もって行った。高校生初の夏休みが来る頃には彼の不満は溢れ出していた。

 

だから彼は……男性も乗れるISを作る事にした。

 

そんな彼女の考えが大きく変わったのはある動画を見てからだ。自分以外の誰かがコアからISに近い物を作り、しっかりと動く。それが国ではなく、個人が作ったというのだから彼女の興味を惹くには十分だろう。

 

彼女は彼を自分と同じ存在と見た。自分の考えを理解できない単なる凡人とは違う、自分と同じ天才だと。彼女にとってそれはゾンビパニックが起こったあと自分以外の生きている人間をやっと見つけたのとほぼ同じである。

 

だから彼女は……彼に会いに行く事にした。

 

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「あの……[パンが生活の人]ってあの動画の人ですよね?」 

 

俺はうさみみの人の言葉を再確認するためにそう聞いた。だってさあ……今の俺、女装姿なんだぜ?ハイヒール履いているから身長も変わっている。仕草も女性らしくしている。なのになんで気づくんだよ。

 

「うん、そうだよ。」

 

どうやらこのうさみみの人は俺が[パンが生活の人]だと本気で思っているようだ。いや、確かにその通りだが……この姿でいるのに気づかれるとは思わなかった。一応、反論しておくか。

 

「でも、あの人は男の人じゃないですか。」

「いや、君も男でしょ?」

 

いかにも当然そうに言ううさみみの人。うん、あんた何者なんだよ。て言うか、うさみみの人って言いにくいな、うさみみだけにしておこう。しかし、どうするか……おそらく、というか完全に俺の正体はバレている。だが、たかが一般人であろうこの人の情報を信じる者などいるのだろうか。いや、いない。

 

と言うことはここを逃げればなんとかなると言うことだ……やってやる。俺の正体に気づいているんだからこのうさみみを一般人と呼ぶのはあれかもしれないが……もしかしたらこのうさみみは探偵なのかもしれない。

 

まあ、このうさみみが探偵であろうが、一般人であろうが俺の正体に気づいているのは確かなのだ。つまり、俺がとる行動は決まっている。

 

「……私、ちょっと急いでいるので‼」

「えっ、ちょ待って。」

 

俺はすぐさまうさみみが居る方とは真逆に逃げ出す。そして、近くの路地裏に入るとビルとビルの壁を蹴りながら速着替えして、ビルの屋上にたどり着いた。勿論、服は着替えてある。化粧もし直した。

 

さて、ここからどうするか。あのうさみみがここ辺りに居るのは間違いない。下手に動けばまた見つかる可能性すらある。そんな状況下でどう動くべきか……まあ、ビルとビルの屋上を跳んで行けばいいか。

 

俺はそのままビルの上を跳んでいき自分家へと向かった。

 

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例の動画から一ヶ月、新たな動画が投稿された。タイトルは【IS擬きを更にISに近づけてみた】というもの。動画ではこの前映っていたIS擬きが、新素材を使い、宇宙での活動を可能にしたという報告。

 

更にその新素材で作った小さいロボを宇宙に飛ばし、ちゃんと活動出来るとの実験も映されていた。この動画から日本だけでは無く、海外の国々も[パンが生活の人]を探し始めたが誰も見つける事が出来なかった。

 

それはそうだろう。証拠一つも残っていないのに、どうやって探せばいいというのか。また、一ヶ月も経つと日本も海外も彼を探すのを諦めた。

 

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素材はゆっくりだが、着実に集まっている。完全なるIS擬きを作れる日も近いだろう。全く、親戚には感謝するばかりだ。まあ、かなりの日にちを要するだろうが問題はない。この世界には冬休みという物があるからだ。まあ、今は秋だが。

 

しかし、何故秋休みは無いのか。でも、あったら日本人休みすぎだろとかなるだろうけども……そんな事はどうでもいい。さて、本当に動画を投稿してしまってよかったのだろうか。この前の動画ですら正体がバレてしまったのだ。それなのに新しく動画を投稿するという行為はあのうさみみに情報を与えるだけなのでは無いだろうか。

 

まあ、もう投稿しちまったから考える意味は無いし……《明日を見ない者が昨日を見れる訳がない。何故ならその昨日は一昨日の自分が見なかった明日だからだ》これはどこかのラノベで拾った俺の座右の銘である。

 

前を向かなければ、後ろの景色は分からない。未来を考えなければ、過去の自分は見えない。つまり、前向きに生きて行かなくては過去を振りかえれないということだろう……多分、それであっているはず。

 

とりあえず、冬休みぐらいには材料も揃ってしっかりとしたISコアも作れるだろうし、特殊な機能もつけれるだろう……瞬間加速ぐらいなら俺でも作れるよな?ほら、空気放出すれば良いだけだし。うん、いける筈だ。

 

しかし、なんで世界は男性が乗れるISを作らないのか。俺がお手本見せたじゃん。まあ、国からしたらお手本とは言いがたい程の出来だったかもしれないけども。けど、しっかり起動したんだからな‼そこは誉めてくれよ‼

 

いや、誉められるって事は正体バレているのか。やっぱり誉めなくていいです。俺が[生活がパンの人]という事実は墓まで持っていくつもりなのだから……言っても誰も信じないだろうけど。

 

そんなことよりまた動画の再生数が1000万回越えた訳だよ。前の動画は8000万回越えたし。広告つけてたらなぁ……今頃俺は大金持ちだったんだが、金の為に正体バラすのもあれだよなぁ……。

 

ていうか、「今度はドイツ語で『パンが生活』になってた」って、コメントあったけどさぁ、なんでそう言うとこに気づくんだろうね。しかも、前と同じ人だったし……あの人言語に精通しすぎ。いいね800越えおめでとう。

 

言っておくけど、あれも適当に買ったTシャツだからな?ドイツ語で書いてたのは分かってたけど訳す必要無いしなとか思ってたら……また『パンが生活』になるっておかしくない?俺はおかしいと思う。

 

『パンが生活』という服はシリーズ化しているのか?もし、していたとしたら誰得なんだよその服……まあ、次の動画投稿は冬休みまでやらないつもりだし、それまで適当に服を、買う事も無いから『パンが生活』の服と出会う事は無いだろう。

 

俺、女装の時以外服装にこだわらないし。服二着をずっと着続けているからな……洗濯は当然している。親戚の空き家に一人暮らししているので毎日洗濯も大変だがな。 

 

「ピンポーン」

 

静かな空間に突然呼び鈴の音が鳴り響く……こんな日曜日に誰だろうか。遊ぶ約束はしていない筈だが……行けば分かるだろうな。

 

そう思った俺は玄関へと歩いていく。そして、念のためチェーンロックをかけてドアを開く。するとそこには……。

 

「やあ、久しぶりだね。」

 

あのうさみみが居た。俺はすぐさまドアを閉めた。




もう、完結していいよね(白目)
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