一般人がISを頑張って作る話 作:団子スライム
今回で最終回と言ったな。あれは嘘だ。
今日も学校が終わった。今頃、クラスメイトも家に帰宅しているところだろう……できれば俺もそうしたい。だが、今俺の家にはあのうさみみ……別名篠ノ之束が居る可能性がある。
俺の正体に気づいているだろう、うさ……篠ノ之束というやつにはできるだけ会いたくない。何を脅されるか分からないからだ。ISを作った張本人という話だし、著作権を理由に金を請求してくるかもしれない。
まあ、ネットで昨日調べて見た限りその人は指名手配されているようだし警察に言っておけばなんとかなるか……?けど、指名手配される程の人物に追われているとなれば逆に俺が警察に何かされる可能性があるんじゃあないか?
実行犯が警察じゃなくても、その天才が欲しい国のトップの人たちとか、テロリストとか……天才を釣れる餌があると知られたら俺の立場は危なくなる可能性はあるな。ていうか、俺も材料さえあればISを作れる訳だし普通に俺のが狙われる可能性もあるわけか……工作してるから大丈夫だよな?
とりあえず、警察には言えないな。だが、あのうさみ……篠ノ之束……いちいち言い直すのもめんどくさいし、もううさみみでいいや。俺にはうさみみの行動を知る方法は全く無い。
俺の家に居る可能性もあれば、もうどこかに移動している可能性もある。だが、俺の家に居る可能性があるかぎり俺は家に帰ることはできない。学校の鞄を置いてるから取りに帰りたいんだけどな……。
「おいおい、何か考え事をしてるようだけど何かあったのかい?」
ずっと席に座って一人考え事をしている俺を不思議に思ったのか社池が話かけてくる。そろそろ帰ろうとしていたのか鞄を背負っていた。これまで何をしていたのだろうか……まあいいや。
「社池は知ってるだろ?昨日俺の家に襲来してきたうさみみを……。」
「ああ、篠ノ之束のことか。もしかしたらまだ家に潜伏している可能性があるから帰ろうにも帰れないってところかな?」
「まあ、そんなところだ……さて、どうすればいいんだろうな。」
安全に走るならそのまま親戚のとある場所に帰るのが最善だ。だが、そうすると鞄を持ってこれず、次の日も学校で暇な時間を過ごしてしまう。これは避けておきたい。けど、なあ……本当にどうしようか。
「じゃあ、賭けをしようか。我は篠ノ之束が君の家に居ることに賭けるぜ。」
「……いや、俺もお前の体質を知らない訳じゃあないけどさ、流石にそれは無理があるくないか?」
社池はあらゆる勝負に負ける。じゃんけん、対戦ゲーム、トランプ等々……この前は五十メートル走でカエルに負けたなんて言っていた。社池はそういう運命が決まってるかのように勝負に負けてしまうのだ。
じゃんけんを一斉に三十人くらいでやっても社池だけ負ける。対戦ゲームならこちら側が放置しておいても、バグでキャラが勝手に動き社池が負ける。トランプはこちらが負けるようにイカサマしても社池は負ける。
五十メートル走で、こちらが走らなくても社池がこけ、その間にこちらがとてつもない風によって飛ばされてゴールに先についてしまうのは良くあることだ。だが、流石に賭け勝負にして篠ノ之束の行動を操る事なんてできるだろうか。
「ふっ……たとえどんな勝負であれ、我が負けるのは当たり前の事なんだ。君はただこの賭け勝負に乗るだけで安全を勝ち取れるのさ。」
「いや、そんなのあり得る訳が無いだろ。社池がずっと負け続けているのは確かに俺は知ってる。けど、これを賭けして勝負にするには少し無茶が過ぎないか?」
「そんなのは単なる思い込みだぜ。確証もなければ理由もない。そんな誰かが決めた常識に囚われるのは単なるバカがやる行為さ。」
「……社池の負け続けるだってほぼ思い込みだろうが。」
少し、社池に言い返す。だが、社池は全く気にしていない様子でへらへらと笑っている。社池は負ける事に関しては圧倒的な自信を持っている。そして、実際に負け続けている。その二つの要因が今の社池を作ったんだろう。
「我の負け続ける体質が思い込み?バカ言ってくれるんじゃあないぜ。我が勝負に勝つなんてあり得ない。天変地異が起きてもそんなのあり得ないさ。それに君も言ってたじゃないか。《明日を見ない者がほにゃららら》ってね。」
「《明日を見ない者が昨日を見れる訳がない》だ。しっかりと覚えといてくれ。」
「ああ、そうそうそういう言葉だった……さて、その言葉は君の座右の銘なんだろう?だったら我の賭け勝負に乗るしかないと思うぜ?」
そう、社池は笑顔で言い切る。確かに今の俺はずっと保身に走って明日を見ようとしていなかった。何もせずに諦めるなんて、何故俺はそんなことをしようとしていたのだろう。
俺は戦いに行かなければならない。ずっと自分の家に鞄をおいたままにするわけにはいかない。まあ、そんな大層なことでもないし、別に命が危機にさらされている訳でもない。賭けにでても大きな危険は無いだろう。
「ならその賭けに乗るよ。俺は自分の家に篠ノ之束が居ない方に賭ける。」
「よし、そのいきだぜ。じゃあ、また明日といこうか。」
「ああ、またな。」
俺がそう言うと社池は教室から出ていった。さて、覚悟も決めたし俺も帰るか。
俺は今、自分の家の前に居る。だが、そのドアを開ける行動をすぐにとることはできなかった。数日前の自分なら簡単にこのドアを開けれたのだろう。だが、今の俺は数日前の俺とは全く違う。
もしかしたら、うさみみが居るかもしれない……それだけの可能性が俺を行動に移らせまいとしていた。学校では覚悟を決めたなんて言ったが、全然覚悟は決まっていなかった。ドアを見るだけしかできていない。
あの動画の情報から俺の正体を見破り、俺の女装を見破り、果てには家に突撃してくるしまつ。そんなうさみみが家に居るかもしれないのだ。本当に怖い。ドアに鍵を持った。右手を出し、それを引っ込める。もう、その行動を何十分は続けた。
しかし、ずっとこの様子では社池にも示しはつかないだろう。俺はしっかりとドアに鍵を差し、捻る。ガチャっと音がして、ドアが開く。俺はそのまま自分の家へと入っていった。
家の中は誰も居ないのか静かだ。だが、息を殺して隠れている可能性もあるし、監視カメラが置いてある可能性も存在している。だからまだ安心はできない。
俺はスマホから家の中に監視カメラや盗聴機があるのか調べる。だが、何も無いのか何も反応しなかった。人の温度があるかどうかも調べたが何も反応しなかった。今、この家にうさみみは居ないだろう。
だが、うさみみは世界から天才と呼ばれている者だ。これ程度の発見器なんて通用しないような監視カメラや、盗聴機を仕掛けてるかもしれない。下手をすれば本人が居る可能性もある。
だから俺は周りの景色と同化するマントを被り、移動し始める。鞄があるのは二階の俺の部屋。もちろん、俺が基本的に暮らしている場所だ。もしも、監視カメラなどを仕掛けるならここ辺りにはもちろん置いている事だろう。
だからできるだけ速く走り抜ける。とは言っても一般的な家なので普通にすぐ自分の部屋につく。すぐに部屋に入った俺は机の上にあった鞄をすぐに手に取り、窓を開けそこから飛び降りた。
そして、道路に着地したあと道の端によりスマホを操作して玄関のドアと窓の鍵を閉める。無事に鞄を取れた俺は親戚のとある場所へと向かって行った。
親戚のとある場所は地下室にある。その地上は何も無さそうなそこら辺にあるマンホールなのだが中は特殊な鍵を使わないと入れず更にその下に降りていくとドアを開けるために暗証番号も求められる。
そのドアを越えた先にあるのがそのとある場所だ。勿論、下水道には繋がっていない。その場所は俺が今住んでいた家よりも広く、様々な部屋があり、機械、実験器具なども色々と揃っている。
昔そこは俺の親戚が色々と物を作っていたらしかったが、親戚のそのまた親戚の子供にとてつもない天才が現れたらしく、その天才に作っていた物を馬鹿にされたらしい。
勿論、俺の親戚は怒った。だが、その天才はその場にあるものですぐにその馬鹿にされた物より凄い物を作ったそうだ。その天才は当時七才だったそうで、その事件により俺の親戚は完全に心が折れ、この施設を放置することにしたらしい。
そして、実家を離れとある高校に進学しようとしていた俺に親戚が空き家とその施設の鍵と暗証番号をくれたのだ。その為、俺はだいぶ親戚には感謝している。色んな場所から材料も持って来てくれるし本当に感謝しかできない。
まあ、さっきはその天才を親戚の親戚と話したが正直言って、親族とか良く分からないからそういう風に説明しただけで間違っている可能性もある。だが、親戚に聞いたところその天才は俺のはとこという存在であるらしい。良く分からんが。
とりあえず俺はとある場所の自分が今暮らし始めた部屋に行き宿題をしようと鞄から宿題を確認しようと学級日誌を取りだそうとする。だが、学級日誌には明日のことは書かれていなかった。
良く考えればそれは当然のことであり、もし書かれていたら鞄は忘れたのにどうやって持ってきたんだという話になってしまう。だが、それが当然の出来事だったとしても問題解決には至らない。暫く、俺は悩んだ後、社池に見せて貰えば良いじゃんと思い社池の家に行くことにした。
とりあえず社池の家に着いた俺はインターホンを押す。するとすぐにドアが開いた。
「こんな時間に来るなんて心辺りは無いんだけど……ってあれ?君か。鞄は無事に取り戻せたのかい?」
「ああ、けど学級日誌を書いて無いことに気づいてな、だから見せてくれないか?」
「ああ、なんだそういうことか。待ってくれ、すぐに持ってくるから。」
そう言ってドアを閉めようとする社池。俺はすぐにそれを止める。
「流石にそこまでして貰わなくてもいい。ちょっと中に入って写すだけでいいから。」
「今日は客が来てるからそれはやめてほしいぜ。学級日誌はちゃんととって来るからさ。」
どうやら社池の家にだれか客が来ているらしい。まあ、家の用事なら仕方ない。
「まあ、用事なら仕方ないな。」
「悪いね、君みたいな素晴らしい者にこれぐらいのことしかできなくて。」
「しゃーくん、別に私は問題無いから入れてあげなよ。私もこの子とは話したかったし。」
そんな言葉と共に誰かが俺の肩を組む。言葉的にはその人が社池の客なのだろう。だからといって初対面の人と肩を組むのはどうかと思うが。
「そりゃあ、篠ノ之さんは問題ないだろ……え?」
突然何かに驚いたのか言葉が詰まる社池。何を見たのかが気になり、後ろを振り向く。
「……え?」
そこには俺と肩を組む、うさみみが居た。
うさみみを出せば話にオチがつくことに気づいた。
絶対次回は最終回です。最終回じゃなくても最終回にします(漆黒の意志)