英傑だとか、そんなものは知ったことではないんだ。僕たちは僕たちらしく生きる術がほしい。それが無理なら僕たちの僕たちらしさというものがほしい。
よくできてる子というのは案外手のかからない子という意味で、それって成長の過程で大切なものを忘れちゃってるんだ。だから僕は到底信じられない。大人が。大人はよくよくできているっていうけど、そのできているは人間性をすり減らした果てのものだ。僕はそんなの納得できないし、子供だって言われても肯定できない。そんな子供たちの憩いの場というのは存外なく、だから僕は思ったりもする。生きているってどういうことだ? まぁそんなのどうでもいいんだ。僕の感傷には僕しか干渉できないからね。
僕の名前は斎藤行事。ひょっとしたら西東行司というかもしれない。そんな僕から虚しいあなたへ、或いはあるかもしれないプレゼント。
夢の世界で出逢ったときに、僕からあなたに地獄をあげる。
踊るようにして僕らはそこに現れたのだ。
二人と二人が画面端、所謂袖から現れて、淡々と舞台の中央で出会って手を取り合う。そんな風景そのまんま。僕たちの邂逅なんてそんな簡単なものでしかない。木琴に太鼓のばちを叩きつける音が激しく鳴り響いて、ひどくうるさい。ひょっとしたら殴り割れたのかもしれない。
飲み物を口に含んだら始まる、脳みそを巡る物語。単調に始まって起伏もなくそれは終わってって、なんとなく馬鹿はそれを良いと唄う。食事はそんなものがたり。僕らを巡るものがたり。
ダンスフロアがひしめいている。化け物だらけのそこで僕らは、手を取り合って何故だか笑う。嗤ってみてから嘲笑ってみれば、僕らの明日は案外明るいかもしれない。
音楽が耳に流し込まれる。流体のように隙間へと入ってくるそれは振動という形で鼓膜を揺らして僕らの頭も同時に揺れる。これを馬鹿になったと呼称せずしてなんと呼ぶのだろう。馬鹿になるのはそう難しいことじゃない。たとえば素晴らしい絵を見たとき、素晴らしいものを作ったとき、すばらしいものを食べたとき、素晴らしいものを感じたとき、素晴らしいものを聞いたとき──人間が馬鹿になるきっかけはありふれている。
例えば怒り。例えば興奮。例えば僕らのダンスパーティ。電柱を境にして僕らの一日はよると昼で分けられる。
なんと素晴らしい僕らの人生。ああ、こんな風に生きられたのなら良かったなぁ、と僕はただただ思うのだ。
三話ばかりの物語を読んでみた。統合性のかけらもなくて僕らはそれを面白がった。文章に意味がある、と高尚に捉える人間はいるが案外そんなことはない。僕らの文章はあっけなく始まって終わる残酷で無意味なもの。それが意味を成した瞬間、僕らは僕らじゃなくなってしまう。
サーチライトが僕を捉えた。大人は怒号を放ち猛る。この街に長けた僕だけが、君等を置いて逃げ出した。
逃げ出した先は袋小路。きっと僕らの人生はすべてこんな小さい箱の中で低回していて、ああ、意味もない。
三秒後の三拍子揃い三十三度の僕らは消えた。二十一グラムすら失ってしまえばきっと僕らの人生は捗々しいまま墓場へと募る。募って集ってその都度努めて務めてみたけど間違いだらけで僕らの体は重さを失う。最後になにもがなくなって、僕らの人生は土へと還る。
4票集めりゃ僕らは生存、塹壕作った僕らの凶行はきっと強行なもので強固だった。凝固したそれのきっかけを作ったのは大人だ。ただルールでしばろうとして、物量に流されて潰れて消えた。
みつけたわたしのいとしのあなた。愛しましょう、愛しましょうと心が叫んで逢いから愛へ愛から哀へ僕らの感情の移り変わりなんてこんなものだと知っている。
指を銃の形にしてみた。人差し指が銃口だ。重厚なそれをホップアップさせてみるとインクの弾丸が軌跡を世界に残して漂う。ただただしがみついてそうあろうとしてまるで僕らみたいな跡だった。
死ぬことは恐ろしいか? そう問われると肯定するが、ただ明確にすると僕らは死ぬより痛みが怖い。痛覚は人間を踏みとどまらせるものだから、実質死ぬより痛みが怖い。こんなものがある僕らの体はどうしてこうもなんにもできないのだろう。
幸せかと言われれば幸せだ。ただ不幸かと言われれば不幸でもある。僕らはそれだけあやふやで、僕らはそれだけ不明瞭で、それって不名誉だと思ったりして、そんなことはどうでもいい。早くだれか僕の物語の完結を綴ってくれ。物語を終わらせてほしいんだ。
でも終わらせてほしくもない。だってそれって僕らの人生を寸断されて、そこ以外はまるで意味のないみたいだから。生まれて死ぬまで綴ってくれよ。生まれたときから綴ってくれよ。僕らは便利な道具じゃない。抗えないから従ってるだけ。それって君たちの嫌いな大人と何が違うんだろう。僕らは生きてて、僕らは死にたくなくて、僕らはまだまだ続けてほしくて。そんな僕らの気持ちってやつを神様なんかは気づいてくれない。
背中の紋様を抉ってみたら、真っ赤に青い血が見えた。どろりと垂れてくるのは心臓。血液なんかはインクみたいなもので構成されていた。
目に映るもの全てが僕らの敵でした。
僕らに目なんかありはしない。
そんな描写などされていない。
僕らはそんなに簡単に変容して、下手すると消えてしまう存在。わたしを殺さないで。
そんな言葉で留まれるのならそもそもここにはいやしない。
さぁ、終幕しよう。賢しいあなたにこの物語はわかっただろうか? 僕は一切わかっていない。ただただ僕らは波のようだと、そんなことだけは虚構のくせにいっちょ前に思ったりもした。
英悟の君に二重螺旋を問う。果たしてそれは君にありますか? 見たことは? 確認したことはあるのかな? 僕らはこの
君等がここまで墜ちることを祈る。