メルヘンな赤ずきんちゃんの話を現代風にしてみました!
リアルシリーズ第3弾です。なにかとリアルです。小説家になろう様でも投稿。

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赤ずきんの現代風リアル版です。
リアルシリーズ第3弾です!ご感想等頂けると幸いです。


現代風リアル赤ずきん

 むかしむかし、あるところにとても可愛い5歳の女の子がいました。

 

ある日、その子のおばあさんが赤いビロードの布で“ずきん”を作ってくれました。

それはもう立派なものです。

 

しかし彼女は「赤より黄色」と言い、「花より団子」的な言い訳をして受け取ってくれません。

怒ったおばあさんは抵抗する孫に強制し、無理矢理ずきんを被せました。

 

こうしてみんなが赤ずきんと呼ぶようになったのです。

 

 

そんなある日、彼女のお母さんは言いました。

 

「赤ずきんや。 泣いて嫌がるあんたに、無理矢理“ずきん”を被せたおばあさんが病気になったのよ」

 

ざまを見ろです。

(女の子に酷いことするから、バチが当たったのね)

 

赤ずきんは身内にも容赦ありません。

でも口にするとアレなので、ここはグッと我慢します。

 

「だから赤ずきん、あんたがお見舞いに行ってあげなさい」

 

肉親からも本名で呼ばれないとは、もはや虐待の域です。

しかし精神的に強い赤ずきんはめげません。

 

「お母さんは用事で行けないから、赤ずきんは安モンのケーキと毒入りのワインを持って行ってあげなさい」

「承知しました」

 

ちょっと(いき)って、某家政婦の受け応えをして見せます。

親不孝なお母さんもお母さんですが、それを真顔で了承する5歳児も5歳児です。

 

「道中はオオカミに気を付けなさいよ。 ああ、可愛い娘が食べられてしまわないか心配だわ」

 

じゃああんたが行けよという話です。

可愛い子には旅をさせよ、とは言いますが、オオカミがいると分かっていながら5歳児を放出するとは、これまたハードな旅になりそうです。

 

赤ずきんは「承知しました」と真顔で返し、ケーキとワインを持って行こうと準備しました。

 

当初はオオカミの奇襲を考慮して、戦車(タンク)で行くことも考えましたが、羊さんがメェ~と鳴くメルヘンな街中を武装して通り過ぎるのはよくないと反省です。

 

やはり西洋チックに鎧だろう、と、ガッシャガッシャと重い鎧を引きずりながらの出発です。

道中、農夫のオッサンから痴漢されても困るので、スタンガンと水鉄砲も所持です。

 

 

その日はとてもいい天気でした。

 

嬉しくなって赤ずきんもスキップしたくなりましたが、鎧が重すぎて足が上がりません。

3日後に来る筋肉痛は確定です。

 

「ちょっとここでお茶しようかしら」

 

と、木の下でおばあさんにあげるはずのケーキを食べながら休憩です。

すると森からオオカミが現れました。

 

「やあ、赤ずきんちゃん。 今日も可愛――あばばばばばッ!!!!」

 

赤ずきんはオオカミを見るや否や、持っていたスタンガンで首元を攻撃しました。

先手必勝とは昔からよく言います。

 

「い、いきなり何をするんじゃい!!」

「あら、まだ生きているわ」

 

オオカミの生命力は計算外でした。

 

「単に挨拶しただけで電撃攻撃すんな!!」

「でもお母さんがおっしゃっていたわ。 オオカミに気を付けろ、と」

「じゃあ注意だけにしてくれるか!? 敵意の無い相手に、製品の性能を試すノリでスタンガンを行使してほしく無かったな!」

 

うるさいオオカミです。

人を襲う猛獣を倒したところで犯罪にはなりません。

むしろ殺した方が文字通りの『人畜無害』で済みます。

 

「では水鉄砲ならいいですか?」

「水鉄砲だと?」

 

水鉄砲でオオカミを倒せるはずがありません。

オオカミは心の中で「バカめ」と言いました。

 

「そんなチャチな銃で俺を殺そうたって―――」

「バ○スっ!」

 

赤ずきんはオオカミの顔面に水鉄砲を噴射しました。

 

「ぐぁああ!!!! 目が、目がぁ!!!」

 

ちなみに中身は硫酸です。

学校の理科室からパクリました。

 

「スタンガンも硫酸鉄砲も無し!」

「むぅ」

 

オオカミに説教され、スタンガンと硫酸は川に投げ捨てました。

 

するとどうでしょう。

スタンガンの高電流と硫酸の高酸性溶液で川の魚が浮いてきました。

 

「これはいいお土産になるわ」と、赤ずきんはケーキに代わる品をゲットしたのです。

 

さて、お魚をゲットしたところで、おばあさんの家に向かってレッツゴーです。

『地球にやさしい』というフレーズが叫ばれるこんにちで、躊躇いなく環境汚染とは末恐ろしい問題児です。

 

「ところで赤ずきんちゃん♪ これからどこに行くのかな?」

「ババアの家」

 

目と声が荒んでいます。

普通、5歳児の女の子なら「おばあちゃんの家だよ!」とか元気に言ってくれそうなのに、この子の過去には凄まじい何かがあったようです。

 

(ババアの家か……。 赤ずきんに家まで案内させといて、あとでコイツも食ってやろう)

 

そう思ったオオカミは赤ずきんのおばあさんの家を聞き出しました。

あとはおばあさんの家に先回りし、赤ずきんが来るのを待つだけです。

 

(よし、適当に時間を稼ぐか)

 

「赤ずきんちゃん。 周りを見てごらん。 綺麗な花が一杯咲いてるし、小鳥は歌ってるよ? 折角だから楽しく遊びながら行ったらどうだい?」

「間違いを……指摘していいですか?」

「え?」

 

オオカミは戸惑いました。

自分が言った言葉に間違いなど微塵も見受けられなかったからです。

 

「どこかおかしかった?」

「間違い其の1。 あなたは『こんなに綺麗な花が咲いている』と言いましたが、一口に綺麗な花、と言っても感じ方は千差万別です」

 

面倒くさい5歳児です。

オオカミはこういう論理的思考の幼女が大の苦手です。

 

「間違い其の2、小鳥は歌いません。 電線の上で糞を垂らしている頭スカスカ野郎にそんなチートは存在しません」

 

単なる表現です。

許してください。

 

「間違い其の3。 私は他人が心底苦しむ様を見て、悦に入るタイプの人間なので、『楽しく遊べ』ば大変なことになります」

 

末恐ろしい幼女です。

むしろここで彼女を食べた方が、結果的に人類の繁栄に貢献できるんじゃないか、と思えてなりません。

 

「さっきの台詞、全部言いなおしてください」

「あ、赤ずきん様……。 周りを…ご覧ください。 赤と青のコントラストが印象的なお花が咲いており、小鳥は鳴いています。 折角ですから、人に苦痛を与えないよう注意を払いながら、おばあ様の家に行かれてはいかがでしょうか……」

「よろしい」

 

メルヘンな空気はお堅い空気に変貌しています。

 

もうオオカミに逆らう気力はありません。

 

しかし、ここで引き下がってしまっては男のプライドもなんちゃらです!

オオカミは必死に彼女を足止めする策を練りました。

 

「じゃあこういうのはどうかな? ここに咲いているお花を摘んで、おばあさんにプレゼントするって」

「私には野の花々を殺めることはできません」

 

赤ずきんは仏教徒です。

無益な殺生は好まぬ性質(たち)のようです。

 

これにはオオカミも困りました。

キリスト教信者の自分には解りかねる感覚です。

 

仕方なくオオカミはダッシュでおばあさんの家に向かい、即行でおばあさんを食す計画に移行しました。

赤ずきんが来る前に食べてしまうつもりです。

 

コンコン、

 

「おばあ……さん」

 

オオカミは息切れしながらおばあさんの家をノックしました。

30分間のマラソンは身に堪えます。

 

「はいはい、どちら様?」

「赤ずきんです。 お見舞いの品をお持ちしました」

「あっそう。 鍵はかかってないから、中に入ってそこらに適当に置いといて」

 

厚かましいおばあさんです。

赤ずきんが荒む気持ちがわかります。

 

オオカミは戸を押し開けると、ベッドの上で昼ドラを見ていたおばあさんに飛び付きました。

熟女好きもいいところです。

 

 

5分後、スマホのGPS機能を駆使した赤ずきんがヘイコラとやってきました。

ヤケ酒でもやったのか、千鳥足です。

 

「うぃ~っく。 おいばあさん! 見舞いにきたぜぇ~」

 

口調が変わってしまっています。

このまま中に入れてしまえば、延々と説教されそうな予感です。

居酒屋で酒に酔った上司からいつも説教されているオオカミには勘弁してほしいところです。

 

「ど、どうぞ、お入りなさい (裏声)」

 

おばあさんが寝ていたベッドに包まり、裏声です。

おばあさんが食べられたとは知らず、酒に酔った赤ずきんは中に入って来ました。

 

「見舞いだぜ~。 ん? ばあさん?」

 

返事がない。

ただの屍のようです。

 

(しばらく見ないうちに、おばあさんも美容整形したのね)

 

美容整形した割に、耳や口が変です。

ヤブ医者でも掴まされたようです。

 

いやらしい精神満載の赤ずきんは、皮肉って訊きました。

 

「おばあさんの耳って大きいのね」

「誰かさんに硫酸をぶっかけられたからね、腫れてるのさ」

「おばあさんのお口って、タラコ唇だったっけ?」

「誰かさんに硫酸をぶっかけられたからね、腫れてるのさ」

「おばあさんの目は何で少女マンガのヒロインより大きいの?」

 

「全部お前が硫酸をぶっかけたからさ!!!」

 

硫酸攻撃を喰らい、顔が腫れたオオカミは赤ずきんをペロリと食べてしまいました。

 

(ふぅ、満腹)

 

オオカミは家を出ると、近くの樹にもたれかかって寝てしまいました。

 

そこへ一人の猟師が通りかかりました。

 

(おや、オオカミの腹の中で何か動いているぞ)

 

妊娠中のオオカミかと思いましたが、腹に赤ずきんの顔のシルエットがくっきり映っていたので、仰天しました。

 

最初はキモいので銃殺してしまおうと考えました。

しかしもし腹の中に赤ずきんが入っていたら、人道的非難は避けられません。

 

やむを得ず猟師は有名大学医学部教授の立ち会いのもと、致死量の麻酔を打ってから解剖にトライしました。

 

するとどうでしょう。

中からドロドロの粘液に包まれた赤ずきんとおばあさんがでてきました。

 

アニメ『進撃の○人』を彷彿とさせます。

 

赤ずきんは腹の中から出た後、開口一番にこう言いました。

 

「オオカミに倍返しだ!」

 

と。

 

「赤ずきん、この悪いオオカミはこらしめてあげなさい」とおばあさんに言われ、赤ずきんは上半身に力を入れました。

すると彼女の身体はメコメコと膨張し、都合よく服だけが破れます。

 

「あ、あなたはっ!!」

 

なんと胸に7つの傷があったのです。

彼女は迷わずオオカミの経絡秘孔を突きはじめました。

 

「ん?」

 

オオカミは体をタッチされて起きました。

なんと食べたはずの赤ずきんとおばあさんは目の前にいます。

 

赤ずきんは振り返りざまに、こう言い残しました。

 

 

「お前はもうすでに死んでいる」

 

 

オオカミは「ひでぶッ」と、爆発して死んでしまいました。

 

(な、なんてお強い……)

 

夕日に向かって去って行く彼女の後姿を、狩人はただじっと眺めていました。

おばあさんは服も着ないで外を出歩く赤ずきんを嘆きます。

 

「ああ、またあの子は人様から盗んで……」

「盗む? 俺は何も盗まれてないぞ?」

 

狩人は否定しましたが、おばあさんは首を横に振るだけです。

 

「いいえ。 赤ずきんはトンデモナイものを盗んでいきました」

「え?」

 

 

「あなたの心です」

 

 

 


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