死するべき者共の悪足掻き 作:決別・裏切りの罪 レイン&ネガ
今回のバトルも一瞬で終わります。
「死ねええ!!蓮!!!」
蓮の親は子供の心臓と精神の境を、先の尖った槌で振り下ろした。このままでは当たって蓮は死んでしまう!!
「蓮!!避けてええ!!」
「お兄ちゃん!!!」
姉妹揃って、絶望しきった顔で涙を飛ばした。それを蓮に気づいてもらえたのか、寸の所で空間移動をした。その上、残像による一閃が、親の頬を掠めた。
「テメェ!!何で避けタァ!!大人しく殺されろ!!!」
それで大人しく聞き入れるわけがない。蓮も黙ったまま、ゆっくり近づいてくる。
彼の振りが大きかったのか、突き刺さった槌を引き抜こうとした。すると、
ブゥウン!!バスッ!!ドチャッ!!
「う、ゴフッ…!…れ、蓮…テメェ!!」
「………………」
「「ええ?」」
蓮はどうやって助けたかも分からない日向を。抱えて、そのまま彼の右腕が、親の心臓部を貫いた。
「れ、蓮君…………なの?」
ええ、確かに彼は……日菜の兄であり、私にとって大切な一人の弟、
『氷川蓮』です。
ですが、今の彼は私たちの知る蓮などではありません。
彼は、郁弥さんのもう一つの人格とよく似ていて、
彼ももう一つの力を解放したのでしょう。
私達の前に立っている蓮の姿は、
首にヒラヒラしたマントのようなものを巻きつけていて、仮面を被りその黒く影のように迫り、獲物を見つけた様な目で睨む姿はまさに、
『忍者』そのものだった。
「テメェ、そんなガラクタみたいな姿で何ができる!!」
「……私は、彼女らに光を導く。それを阻むなら、戦うしかないのだ。私は影とするならば、彼女らはワタシの様な者を照らす光なのだ。」
「だったら!!」
そういうと、白金さんめがけて銃弾をひたすらに撃ち込んだ。
彼女なら確実に一発は当てられる自信があるのだろう。
「燐子!!!危ない!」
今井さんの呼びかけに気づいた白金さんは、体を避けようとするも、銃弾の方が圧倒的に速い。このまま直撃してしまう。Roseliaが悲しみに暮れていた時、
スッ…ガキギギキンッ!!!ガリッ!!シュゥウウウ……
どういうわけか、燐子の体には銃弾の一つも当たっていない。それどころか全弾切り捨てられた様に、
真っ二つに割れていた。
蓮がやったのはわかるけど、あの距離をどうやって。それに、ほぼ同時に放たれた銃弾を、全て斬ったことに驚いた。
「ほう……そんなにそこの女が大事か……」
父親は全く怯まずに私達を馬鹿にする。それを聞いて黙ったままの私達ではない。
「あの!蓮君が苦しんでる理由は分かりません!!でも、それでも死んでいいなんておかしいです!!!どうして死ななきゃダメなんですか。生きちゃダメな理由があるんですか!!」
父親はその言葉に強く反応した。
「黙れ!!アイツに生きるきっかけを与えたお前らなんか、要らねえ!!」
「きゃっ!!」
彼は白金さんを強く殴り飛ばした。その時、私は蓮を見てしまった。
「……………………!」
な、何!?この情の大きさは!
「ああ…蓮……?そんな……!!」
あの状態でもただでさえ黒かった心が、
さらに黒く染まってしまった蓮を。
「……今…………先輩を傷つけたな…?」
「な、何だよこの力は!どこで手に入れた!!」
あの驚きようは、彼も知らなかったのね。
「…………彼女らを苦しめる貴様は、俺が斬る…………!!」
傷つけたら俺が斬る……か…………
燐子がそれを聞いたら、
…………惚れるかもしれないね。
「この一撃でお前を更に地獄に落としてやる!!」
彼は剣に力を込めて、確実に蓮を絶望させようと、剣を白金さんの胸に突き刺した。
グサッ
「…………!!?
な……………………に…………?」
だが、白金さんには傷が全くついていない。
それどころか彼が逆に斬り傷が深まって、あまりの出血で倒れた。
終わった…………これで脅威はしばらくはないはず。
ないはずだった…………。
燐子を除いた私達は見てしまった。
「れ、蓮!」
「………………」
ドサッ
蓮も彼から受けた傷が大きくなって、さらには彼の一撃を込めた剣が蓮の胸に刺さっていた。
だから、体が耐え切れずに蓮は倒れてしまったのだ。
「蓮!?しっかりしなさい!」
「……んう……」
白金さんが目を覚ました!?いけない!これを彼女に見せたら!!
「…………ウ…………………ソ…………?
蓮………………蓮君…………?嘘だよね?ねえ、絶対に私を守ってくれるんだよね。」
「…………………………」
遅かった………。何もかもが間に合わなかった。
「お願いだから、目を開けてよ!!!!」
「ねえ、お兄ちゃん!あたしだって、お姉ちゃんだって、お兄ちゃんのことを信じて、帰ってくるのを待ってるんだよ!!今になって死んじゃうなんて、最低だよ!!!」
白金さん…………
日菜………………
「今井さん、この世界から蓮を連れ出して病院に行きます。後は任せましたよ。」
そういうと、今井さんの表情が、役目を背負い、覚悟を決めた顔だった。私は日菜と蓮を連れて、この電脳世界を後にした。
〜蓮side〜
【肉体と精神の狭間】
「!!今のは、それにここは、」
さっきと同じ場所だ。同じ場所で同じ奴とよりにもよって二度も目にするとはな、
「蓮。姉さんに日菜ちゃんとは和解できたかな?」
「ああ、だが親父が…………!」
「わかってるよ。俺だって親父が許せないから、俺が現れた。」
「何?」
わかってる?親父が許せないから、俺が現れた?一体何が言いたい。
「ほら、二人を待たせちゃダメだよ。それと、二人にちゃんとアレを渡すんだよ。」
アレ…………あーあのことか…何を今更言うか。俺が忘れるわけなかろう。
「また会おう、もう一つの俺。」
俺に纏わりつく迷いは、
今は全部吹っ切れた。
「…………ん………………れ…………ん………………れん………………蓮!!」
誰かが、俺を…………呼んでる…?日菜か?姉さんか?
それとも……………
「お兄ちゃん!!」
「………………ん…………。」
重たい瞼を開けて声の方に向くと、やはり姉さんと日菜がいた。そして、目覚めと同時にこう言われた。
「おかえりなさい、蓮(お兄ちゃん)……。」
「…………………………」
二人のこの強い意志の理解が、俺には出来なかった。
〜to be a continued〜
次章
《何を信じ、何の為に戦うのか》
『尊いアイツと恵みの俺自身』