死するべき者共の悪足掻き 作:決別・裏切りの罪 レイン&ネガ
大事なことなので二回言いました。
➖数年前➖
「ここには人間様だけで充分だ!!」
「《化け物》は出て行け!!!」
「…………………………」
僕らは嫌われてるのかな。一部から嫌がられてるだけなのか、全部から否定され続けてるのかな。そのどちらか……………
そしていつしか、周りから否定されてきて数ヶ月…………
あの大惨劇が起きてしまった。
ー大惨劇まで、後二カ月…………ー
「…先生。」
「ん、何かな。」
俺たち3人は、
寺子屋の先生に身寄りのない俺たちを、引き入れて………
周りからの嫌がらせは絶えないものの、
「俺らこいつらと勉強したくない〜!!」
「そうだそうだ!!」
そんな小さな嫌味では………全く俺たちには響かない。
先生もそれは知っていた。
「静かにしてください。
この人たちが人間じゃないなんてのは、あくまで噂……………本気にするようなことではありません。
さ、再開しますよ。」
噂……なあ。
正直、俺たちには不思議でしょうがない。
俺たちは周りからとても非難を受けてる。それが何度も繰り返していれば、言わずもがな警戒するに決まってる。
なのに、この人は俺たちの話を聞いてもなお俺達を、
我が子のように育ててくれている。
それがあの人には有って、
俺達に無いものなのかもしれんな。
「ふむ、では君らが嫌がらせをしているのではなく、
逆に被害者である、という事だね?」
俺達が泣いてる時だって親身になって聞いて……
「では、私がそう厳しく言っておくので、何かあればまた言いなさい。」
「……………ハイ…先…………生……。」
もはや生みの親といってもおかしくは無い位だ。
この人になら、少しは甘えても……良いのかな…?
"大惨劇まで後二週間……"
「日向。俺らと遊ぼう!」
「…良いよ。どういうので遊ぶ…?」
俺たち3人は、同じような理由で親に捨てられて、同じような理由で孤児院に引き取られ、同じような理由でいじめられる。
俺たちはそんな奴らとは大きく違う。
俺たちはただ、英雄の血を継いだだけだったのに………。
「今日も楽しかったね!!二人とも!!!」
「…お前がそう言ってくれるなら、いつだって付き合う。」
「じゃあ、次はどうしようか。」
俺たちは遊んでは集まって、
次の事を話し合って、明日を迎える。
そこで、丁度ネタが切れてどうしようかお悩んでいたら、
「そうだ!!それがあったんだ!!!」
突然リグが立ち上がって喋り出した。
何事かと思って聞いていたら、
思いの外単純なことに気づいてなかった。
「先生をさ、今度誘ってみよ!!」
「ああ、そうだな。なると良いな。」
"あと一週間……"
「せ、先生。あの、僕らと……遊びませんか……?」
リグは弱々しくも、勇気を奮って誘ったのだ。その思いが伝わったのか、先生は……
「ええ、私も最近はあまり休めていないので、少しくらいは羽を伸ばしても良いですよね。
それで、何をしましょう?」
「〜!!」
この時の彼らはあの後に起きる事を知らない。即ちとても喜んでた。これ以上の喜びはない位に……。
「じゃあ、問題を出しましょう。
《16段は何の段?》
頭を柔らかくして考えて下さい?」
「???先生、言ってることがよくわかんないです。」
確かに、ノーヒントで答えられる人は一部しかいない。
何かポイントが見つけられたら……
「先生が言った問題に、気を取られてはいけません。掛け算などではなく、三文字の言葉に変えれば良いのです。
蓮君、君ならもうわかってるのでは?」
!!!!!そうか、そんな単純なことに何故、気づけなかったんだ!!そう来たら答えはこれしかない!!!
「……一の段…そうですよね、先生……」
「正解。流石に蓮君からしたら、簡単過ぎたかな。」
蓮君……良いなあ………羨ましいなあ……。
僕も頑張んなきゃ!!
そして、
あの大虐殺が始まった…………。
辺り一面が、赤い鮮血の海と立ち込める炎がたび重なり、
一瞬にして僕らの世界は…………
【地獄】と化した。
僕は人助けをしたり、街を直したり、色々な事をして僅かな可能性の光を求めるも、現実はそんなに甘くない。
感謝どころか、逆に嫌悪だけが放たれ、僕の瞳は……
少しずつ少しずつ輝きを失っていく。
更には僕らが勉強してたあの寺子屋の、面影は何も無い。
全てが
壊されていった。
「せ、先生………………?」
先生の姿が見えない。何処にいるの?
「どこ!先生!!
何処にいるの!!!!」
僕は走った。
ただひたすらに走り続ける。倒れそうになっても、
諦めちゃダメだと自分を奮い立たせ、立ち上がり走り続ける。
そして、少し離れた場所に先生はいた。
「……郁弥君。先生は嬉しいよ。あの子達はみんな逃げてしまったけど、君達はここに来てくれた。ありがとう。」
「…先生。」
「時間がない。郁弥君、そこにある刀で私を斬るのです!」
そう言うと先生は、こちらに背中を向けそのまま座り込んだ。
この時に、
"自分の手で先生を殺めろ"と告げてる事を、
察してしまった。
「……出来………ないです。僕には、そんな事が……出来ないです!!」
そんな事、出来るはずがない。今まで世話になった人を殺せなんて言われたら、簡単にはできない。僕も同じだ。
僕らを助けてくれた先生を今更、斬り捨てろなんて……
出来っこない……。
近くに置いてある刀も、
模造刀である事を願って持ってみた感覚が、
模型にしてはあまりにも輝きと重厚感が出来過ぎている。
本物と思わざるを得なかった。
だったら尚更そんな事出来ない。
「早く!!ここで私を斬らなくては、
君らがそれ以上に苦しむことになる!!!!!」
彼は酷く震え出した。殺す事がどれだけの罪を背負うかを、知っているからこそ怖くて出来ない。腕にうまく力が入らない。
でも、これ以上お互いに苦しい思いをしたくない思いで、
全力で目を瞑り、
「…………!!!ごめんなさい!!!」
……バスッ!!
彼は先生の頭を…手に握られた刀で斬り落とされた。
それも、教え子の手で……赤く染め上げた。
「……う、…蓮君……日向くぅん…………」
「リグ!!何か手掛かり…………!!!?」
「………お前…………冗談だよな……?
なあ……嘘だといってくれ!!」
俺は目の前の光景の意味への理解に時間がかかっていた。誰かの血を見たくないとあれほど言っていた、アイツが……
どうして、
先生を殺した?
「!!!」
そして、一つの答えを見つけられたと同時に、
そのまま…俺たちの前で。
「…う………ああああああああああああああああああああああああああああ……ああああああああああああああ!!!!」
アイツは、俺たちの前に膝ついて、大きく泣き叫んだ。
俺たちは、リグの涙を始めて見てしまった。
それ以降、リグは一切話さなくなり、何をしても無反応のままだ。俺たち二人が見ても分かるように、奴は物言わぬ傀儡に成り果てていった。
アイツは、
『全部』を見失った。
悔しかった。
何も出来ずただ眺めている自分のひ弱さに……。
…嫌気が刺して俺は全力で主犯を調べ尽くした結果……
その犯人こそが俺たちの心を、黒く醜いものに変えていった。
「…………日向……リグ………。」
「なんだ蓮。お前から言い出すなんて珍しいな。」
俺たちがやることはたった一つ…だけだ。
「アイツら『人間』を、
《消すぞ》……。」
「…………」
日向は分かりきったようなため息をついて、
俺の考えた計画に賛同してくれた。
覚悟しろよ………。
『お前らがどれだけ謝ろうとも、
お前らがどんなに罪を償っても、
例えどんな怒りを持ちかけてこようと、
俺たちはお前らを………
………許すわけにはいかない!!!!』
この時から、俺たちは[俺たち]という、
唯一の希望をさえも…………
何もかもが、
…………………………砕け散った………。
〜to be a continued〜
ハイ。
始めの方で、哀しげな目を見せたのは、コレが原因なんです。まあ、一般的なストーリーですよね。
悪の主人公って大体そういう過去を背負って、悪として染まっていった、というケースが非常に多いのです。
次は元々の時間に戻ります。主に登場してくるのは、一時的に有名になった、リグ君、日向君です。お楽しみに。
すいません。蓮君は学校が違うので、出番がそこまでないんです。ゆるしてくれ。
次回
『激情の仮面の戦士』