死するべき者共の悪足掻き 作:決別・裏切りの罪 レイン&ネガ
どうぞ、
(花咲川学院)
今の私は全くと言っていいこと集中出来ていない。あの郁弥さんのもう一つの顔が、まさかあそこまで歪んでいるなんて、誰も思わないことだろう。だが、現実に………私たちの前に現れたあの圧の強さは、今までに会ってきた悪者よりも遥かに桁が外れている。それくらい郁弥さんの心はこれほどまでの闇に染まってしまった。
……………(一体、どうしたら……!)
私はその事が気がかりで練習のことも、大して入ってはこなかった。
怖くて怖くてたまらない、これ程抱えていた闇が深いことはないと思いたい。
燐子「ひ、氷川さん。」
と、幸いにも仲間が声をかけてくれたことにより、自分を保つことが出来た。しかし、体全体も、声も何もかもに震えが止まらない。
蓮「………(姉さん、悪く思わないでください、俺は……リグを決して恨むつもりなどありません。けどああなってしまった以上、このままには出来ないです。)…ッ!」
そんな彼女を遠くから見ていた。
ジュン「おい、おまえはこの未来をどうにか出来ねぇのか?」
蓮「俺だって何とかしたい!けど、あいつは今死を辿っている!それに、周りのヤツらだって俺たちを盛大に邪魔をしてくる。そうさせている元を叩かなきゃ意味が無い!!」
苦痛に悶えてる彼らを横にして、
「テメェらにアイツらは似合わない……。ジュン、蓮……テメェらのやってきた行動も、全て無駄だ。何故なら、」
『テメェらを殺して全部を手に入れるのはこの俺なんだからよ………テメェらは親の言う通りにして大人しく死ねばいい。それがテメェらの出来る罪滅ぼしだ。』
主人公達を恨んで懐にまたあらぬ刺客が潜り込んでいる。
そう、彼女たちの学校であるにも関わらず、、
蓮「……っ!!」
ジュン「んあ?あんだよ急に黙り込みやがって………。」
奈月「二人とも、ここに居たんだ!!」
蓮「……奈月?」
どこからともなく奈月がこっちに走ってきた。
しかし、彼の顔が珍しく張り詰めていた。
まるで、災厄の序章が開幕すると言わんばかりに…………
そんな奈月の悪感は的中していたようで、個人的にも面倒なやつがこの学校に来ていた。
奈月「……二人とも、これから起こることは誰にも言ってないよね?」
蓮「ああ、俺たちをなんだと思ってる……」
ジュン「さて、久々に暴れられるぜ…………おっぱじめようじゃねえか……」
彼らの待ち受けるものに、彼女は見ていた。
紗夜(あの人、どこかで見た記憶がありますね……何だか凄く強い圧力ですね……、何やら男子寮にむかってるのが気になりますね、いえ…………あそこには海堂さんに、蓮が…)
彼女が気掛かりなことを掴んだ頃、
やって来た刺客に皆が注目していたのは、
ジュン「……………………」
奈月「…………………………」
蓮「……………………………………ッ」
「……………………………………………………」
みんなして言葉が出ずに凝視していた。
あの四人の異様なまでの沈黙だ………。
…あの場から放たれていた殺気と威圧感が、
より一層増している気がする。
下手したら殺されるのではないか、
そのくらい尋常ならぬ雰囲気が醸し出されていた。
この沈黙を破ったのは、大男の方だ。
「おい、いつまでここに留まる気だ…?そろそろ交代時だぜ…?親に優る子なんて必要ねぇんだよ………。」
これを聞いた瞬間、蓮の表情が異常なまでに歪んだ。
その時、彼女の疑問は、確信へと変わった。
あの人は、蓮の………………お父さんッ!!
まさか、今の今まで生きていたというのだ。
ジュン「てめぇ………どうやって戻ってきた?
まさか女を全部自分のものにするって下らねえ野望を、
まだ根に持ち続けてるのか?」
「テメェら人間を辞めたクズに、あいつらの何がわかる………
お前らが生きているせいで、アイツらは永きにわたって苦しんでんだぞ…?それに、Roseliaとハロハピ、ポピパって言ったか………奴らもテメェらに脅されたってのにまだ、アイツらを付け狙うのか?テメェらホントに最低最悪な野郎だな!!」
奈月「……ねえ、なんでそんなふうに言われなきゃならないのさ、僕らのすることの何が悪いのさ………」
彼は聞く度に震えている。親が嫌いなのは思春期特有と言われてるが、あそこまで嫌悪感丸出しな関係はあまり無い。
きっと過去に相当に酷いことをされたんだろう。
それを紗夜は気づいてしまったのだ。
「テメェらそのものが悪!!俺たち人間こそ正義!!!親である俺の為に死ねぇ!!」
やはり、何度聴いても気味が悪くて耐え難い紗夜の他、
人類の敵に回す発言しかしてないが、、
そんな彼を賞賛する者がほとんどだった。
「そうだ、そんな奴らやっちまいな!」
「奈月様………奈月様が苦しむ姿を……私に見せてよ。」
「さっすがー!正義のヒーローはやっぱり違うねえ!!」
果たして、こんな悪意が正義であっていいのか。
私はもう後戻りできないところにまで、来てしまったのか。
こんな欲望と支配によって成り立つ世界に…………
刹那…………
蓮「……………………ッ!!」プツン…
殺されろと言われたことに痺れを切らした蓮が、初めて本気の怒りを露にした。夢や希望は兎も角、存在意義を否定されて何も感じない人はそう多くない。
蓮「………………いい加減にしやがれ……、
お前のその下衆な望みを持ったせいで、俺は……!
俺達はッ!!!!
居場所を失ったんだぞ!!!!!!!!」
蓮の顔は俯いていて見えないが、涙を流してるのはわかる。
「……それがなんだ?俺の野望と関係あるのか?
てめえらは殺人、強奪、強姦、という人類の敵になる行為をしてるてめえらが言っても、なんの説得力も無いな。」
しかし、父はそれを切り払い、押し付けた。
紗夜はふと、奈月に目を向けた。それが衝撃だった。
あの女たらしとも言われた奈月さんが、表情が暗い。
そう、日向の弟……奈月は全ての存在を尊重し、他人の沈んだ心を清めてく行動を無意識にするので、比較的信頼に置かれやすい彼。しかし、そんな彼にも、差別とか陰湿なイジメとかいう、存在を全うから否定する行為、輩を決して許さない。そう、蓮の父親なんていい例だ。
心優しい奈月も怒らせてはいけないと、彼女は感じた。
今は下校時刻なだけ、まだいいと感じてしまう。
すると、この騒動を見ていたのか、柔らかい声が聞こえてきた。
「ふ、ふえぇ…ど、どうなってるの〜?」
紗夜「……松原…さん?」
花音「紗夜ちゃん、あれって奈月……君だよね…?」
紗夜「はい、ですが聞いた話とはまるで、別人の様に風格が変わっているので、ハッキリとは言えませんが………。」
噂になってるのは嘘だけど、彼の雰囲気が違うように見えたのはホントだ。
花音「……や………やっぱり…」
紗夜「?どういう事ですか…?」
花音「奈月君………前に私が不良に襲われそうになった時、奈月君が助けてくれたの。」
自分も似た体験をしたから、その気持ちはよくわかる。
「でも……」
しかし、彼女がモジモジした様子で、何かを付け足すように言ってきた。
花音「その悪い人が、私を悪く言ってきたの…もっと早く来ていればって…………そうしたら、普段は明るくて優しい声で話してるのに、その時は目つきも表情も話し方も、凄く暗くて怖くて、まるで怒ってる感じだったんだ。」
彼女がこう言ってきているのだから、
その通りなのだろう。
松原花音は嫉妬とか傲慢など黒い面を、
一切持ち合わせていない。
彼女は純白の鑑だった。
ジュン「てめえ……、それ以上俺の仲間を傷つけるなら、」
「ほう、ジュン……てめぇもただのゴミクズに成り下がったか。折角、俺が復讐の機会を与えてやったというのに……」
ジュン「はあ?んなもん全部、てめえが仕組んだことだろ。人間に値しないやつの命令なんざ、従う気もねぇよ……。」
「………だったら、テメェらの大事な存在を、」
「この世から消してやるぜ!!!」
正義と称し悪行を成すもの、そして、穢れた地獄から這い上がろうとするわずかな希望……その二つの力が、
今、
ぶつかった…………。
〜to be connected〜
あの時仕留めたはずの父親が、再び襲来。
奈月のもつ怒り、
蓮の味わった度重なる悲痛……。
ジュンの差し向けられた悪意。
果たして、この因縁の戦いが終わる時は、
来るのだろうか…………。
そして、三人にまた新たな刺客と、
彼女達の救世主がやってくる。
次回
『激突!!悪意と狂気に満ちた偽善VS悲劇を物語った悪の救済者』