これは、ヤンデレ千聖の物語
「なぁ、ほんとに俺まで着いていく必要あんのか?」
「えぇ、貴方は私のマネージャーなのだから来て当然でしょ?」
「マネージャーも何も幼馴染だからってこき使うの誰だよ………」
「さぁ?誰かしらね」
はぁ、彼女は白鷺千聖と言って世間では知らない人は居ないと思えるくらい有名な女優だ。一役演じればファンが増え、バラエティに出れば視聴率が上がると言った程の有名さだ。しかし、テレビでは皮を被っている。ひとたびテレビから外れれば幼馴染の俺をこき使ってくるんだから、こんな姿を世間に見せてやりたいくらいだ。
「何か変な事考えてなかった?
「いや、まったく考えてなかったよ」
ほら、読心術まで習得してやがる。芸能界で社交辞令の為にでも鍛えてんのか?コイツは
「私はただ、Pastel❁Palettesの打ち合わせがあるから、その雑用をお願いって頼んだだけじゃない。それに、無理に来なくたって良いのよ?」
「どうせ、来なかったら家にまで乗り込んでくるんだろ?」
「あら?よくわかってるじゃない」
そりゃわかるわ!この前だってそうだったからな、そして連れていく理由もあの口実を作る為だってこともな。
「さぁ、おしゃべりはここら辺にして早く行きましょ?」
「はいはい…………」
正直帰りたい。しかし、帰っても俺に逃げ場なんて無いのかもなぁ………
そして、打ち合わせの場所であるCiRCLEに着いた。今からでも良いから退却したい。帰らせて、帰ろう………
「どこに行くのかな?ゆ・う・せ・いくん」
無理でした。
「いらっしゃ~い、千聖ちゃん。他のみんなはもう来てるから~」
「ありがとうございます。まりなさん」
「頑張ってね~。遊星くんもね」
「はい……………」
頑張るって……逃げ場所無いし出来るのであれば帰りたい。
「ほら、早くみんなが待ってるんだから」
そう言われ、逃げる事も出来ずに着いていくんだからヘタレだよなぁ
「あ、千聖ちゃん。みんな揃ってるよ~」
「それに、遊星くん!今日はよろしくね」
「今日はよろしく」
挨拶をしてくれたのはピンク色の髪をツインテールに縛りしている丸山彩ちゃんである。甘い香りがして、それに優しい。千聖とはえらい違いなんだよなぁ彼女になって欲しい。
「お兄さんも来てくれたんですね!」
次は若宮イヴちゃん。フィンランド人と日本人のハーフであり日本の文化に憧れていて、漫画とかドラマの影響を受けすぎている。『お兄さん』って呼ぶのだって、『日本人は親しい歳上の男性にはお兄ちゃんって呼ぶのが当たり前だと聞きました!』って言われたんだもん。さすがに『お兄ちゃん』は色々な意味でキツかったから『お兄さん』に直させたんだけどさ。
「うん。イヴちゃんもよろしく」
挨拶をしていた所で、こちらに向かってくる足音が聞こえた。本能的には『避けろ!』と言っている様にも思えたが、このタイミングで走ってくるのは彼女しか居ない。ここで、避けて怪我でもしてしまったら俺の身に何が起こるからわからない。だからこそ、受け止める体勢に切り替える。
「遊く~~~~ん!!!」
と、飛びかかってくる。そこでしっかりと受け止める予定だったのだが、受けきれず倒れてしまった。
「会いたかったよ~遊くん!」
「よう、日菜さんや。元気そうじゃないか」
元気すぎて受け止められなかった。抱き着かれるのは、後々で面倒な事にはなるのだろうが怪我されたら危ないからね。自己犠牲ってやつだよ(カッコつけてる訳では無いからな)
「さん付けじゃなくて、ちゃん付けにしてよ!」
「うん……日菜ちゃん」
「うん!」
笑顔も可愛いんだよね。癒されるよ……あの幼馴染は笑顔でも黒い笑顔だから怖いんだよ……うん、怖い
「あと、日菜ちゃん。そろそろ、この体勢も問題がありはしないか?」
今の体勢は、俺が下敷きでその上に日菜がいる。しかも、腹の上だ。状況的にはギリギリセーフに近いアウトだ。千聖がいるなら尚さらヤバイ。後で死ぬ。
「私は、遊くんとなら勘違いされても良いんだよ?」
「俺が耐えきれない」
主に千聖からの重圧と日菜推しのファンからの威圧に
「そうよ、日菜ちゃん。遊星も困ってるしどいてあげて?」
「えぇ~良いじゃん。千聖ちゃんは幼馴染だからいつでも出来るし、こっちの方がるんってくるし」
これじゃぁ、どかれそうもないし少し力を入れてっと
「キャッ」
起き上がる。そうすると、日菜は滑り落ちて俺は立ち上がれる。これこそ完璧な作戦、我ながら冴えてるぜ。
「うぅ~、遊くんに傷ものにされちゃった」
「紛らわしく言うんじゃない。ほら、擦りむいたなら絆創膏やるから」
親から緊急時の為にも絆創膏くらいは財布に入れとけって言われてるから常に持っている。
「遊くんからの、絆創膏~るるるんってきたよ!」
「私の遊星だって言うのにっ」
日菜独特のるんっとかるるるんって感じが未だにわからないよ。乙女心は複雑怪奇とでも言うべきなのかねぇ千聖も含めて。
「何やら賑やかだと思えば、白鷹先輩が来てたんですね」
「うん。今日はよろしくね、麻弥ちゃん」
彼女はスタジオミュージシャンだったのだが、代役として入っていたらいつの間にかそのままメンバーになっていたのだ。機材の調整などは彼女無しでは回りきらないだろう。まぁ、俺も機械は得意だからそこら辺は手伝ったりしている。
「そうだ、白鷹先輩に聞きたいことがありまして」
「どうした?」
「ケーブルについてなんですけど、見てもらった方が早いかも知れません」
ケーブルがイカれたりしたのかな?音響機器はあまり得意じゃないから、頼りにされすぎるのも駄目なんだけどね。
「これなんですけど」
見たところ外傷は無いし、断線とかだろう
「これなら、中で断線してるだけなんじゃ?」
「それも思ったんですけど、一応繋がりはするんで何処がおかしいのか……」
繋がりはするなら、接触部か?微妙に汚れが溜まってるようにも見えなくも無い
「なぁ、麻弥ちゃん。何か細い綿棒とか無いか?」
「ありますけど…」
そして渡された綿棒を使って軽く拭いてみる。心無しか取れた気もするけど、まぁダメだろうな
「凄いですよ!ちゃんと繋がったッス」
「Reality?」
それだけで繋がるとか、ありえないよな。そんな所を麻弥ちゃんが見落とす訳ないし
「ホントっすよ」
「思ってた通りだよ(マグレなんて言えないよな)」
「さすが、白鷹先輩です!」
「私の分からない事ばかり話して……」
「何か言ったか?千聖」
「ううん。何も言ってないわ」
何か言ってたような気もするけど気のせいって事か……
「ほら、今日はPastel❁Palettesの打ち合わせするんだろ?」
「うん、そうだよね」
「じゃぁ、次のライブについてなんだけど……………」
それからは順調に打ち合わせは進んだ。途中で日菜が飽きたと言って参加しようとしなかったが、俺が説得するとすぐに参加したのだが、俺の隣に座るって事が条件だった為、打ち合わせ中ずっと視線が痛かった。特に千聖からのが…………後が怖いんだよ。
「今日はありがとうございました」
「ううん。遊星くんのお陰で助かった事もあったし、また一緒に話そうね!」
「うん」
彩ちゃんはその純粋さが痛い。その優しさが俺に牙を向くんだよ…………泣ける
「じゃぁ、今日はお疲れ様でした」
「私も帰るとするわ。行きましょ、遊星」
「はいはい………」
そして、他の皆が見えなくなるくらい離れた時
「何で、私がいるのに他の女とイチャついてるのかしら?」
「あれは不可抗力ってやつだろ?」
とくに日菜の事件は不可抗力だ。俺は悪くねぇ
「関係ないわ。貴方が避けていれば起きなかったもの」
「避けて怪我でもしたら悪いだろ?」
ファンにバレたらたたじゃ済まない。
「そんな人達が何人来ようと私がいれば、そのファンの人達が悪者になって遊星は安全なのよ?それに、私以外の女なんて怪我したって私達には関係ないじゃない」
「同じバンドのメンバーだろ?」
「あのバンドは私が活躍する為の段階に過ぎないの。もっと私が活躍してお金が貯まられば遊星とずっと2人で暮らしていけるのよ?幸せでしょ?」
やっぱり、最近の千聖には慣れない。昔はもっと純粋だったのにさ。
「だって遊星が約束してくれたじゃないの。『お前は俺が護ってやる』って」
「あれは、その場の流れって言うかなんと言うか」
「少し子役をやってるって理由でいじめられてた私を助けてくれたのは遊星だけだった。他の子は自分がいじめられるのが怖いからって助けてくれなかった」
確かに、あのいじめっ子は気が強いし絡まれたらしつこいからなぁ。あの頃の千聖が懐かしいよ。
「だからね、今度は私が遊星を救うって思ったの。受験や就職なんてめんどくさい事はしないで、私と一緒に暮らすだけで良いのよ」
「就職しないで、ヒモになると?」
「そういう事ね」
最高じゃん。働かなくて女の子に養って貰う。俺は専業主夫になるだけ……………
「ヒモってダメな男じゃん」
「私は良いと思うわよ?」
「………考えさせてくれ」
ここまで話していたら家の前まで着いていた。
「また、明日な」
「えぇ、また明日」
そして、家に入ろうとドアを開けた瞬間背中を押された。
「っ!何が」
見えたのは夕焼けで輝く金色の髪だった。
「油断したわね」
「何を………するんだ!」
「今日、何回他の女に抱きつかれたり、話をしたりした?」
メンバー全員と話して、日菜に押し倒されて…………ヤバイヤバイ
「たくさんしてたわよね?」
「………………はい」
いやね、貴方が打ち合わせに連れて行かなければ話しませんからね?連れていく理由が襲う口実を作る為だって知ってるんだからな
「言い訳はそれだけ?」
「なんで、わかったんや!」
「遊星が考えている事なんて私が分からないわけ無いじゃない」
えぇ怖い
「今日は遊星の両親も帰って来ないんでしょ」
「だから、何で知ってるの?」
「私が遊星の事で知らない事はないの。どんな事が好きなのかもね…」
これは、本格的にヤバイぞ。今までより本当にヤバイ
「夜は長いんだし、愛し合いましょ?他の女の匂いを消して私色に染めさせてアゲルから………」
逃げようにも抑えられて動かない。本当に女子なのか怪しいくらいだ。
「やっぱり遊星はいい匂いがする。でも、他の女の匂いがするせいでダメになる……………」
「一緒にお風呂に入って、愛し合って、私達だけの世界を作りましょ?」
確かに俺だって1度は逃げようとした。確か何も言わずに2~3日隠れた事があった。その時が酷かった。髪の毛はボサボサで肌は荒れ、まるで物に当たっていたかのように部屋は乱雑になっていた。そんな所に俺が顔を出したら、そのまま離すまいと抱きついて離れなかった。それからは、どこに行くにも着いてきていた。仕事で忙しい時はいなかったがな。ただ、俺が隠れた後に千聖がどうなるのか怖くて逃げれていない………簡単に言うとだ、
俺は千聖から逃げれない。
いかがだったでしょうか。誤字や脱字、不可思議な点が多いと思われますので、何かあれば感想欄等にご報告下さい。直して行きたいと思います。
ではまた、次のお話で