Secret Cherry Blossom 作:OCEAN☆S
7年前、まだ私たちが小学三年生だった頃。
「り~こ!一緒に帰ろ?」
「うん!」
放課後、柚くんと一緒に帰宅している時だった。
「ねぇ、このあと一緒に遊べる?」
「あ、ごめんね。これからピアノのお稽古があるんだ~」
「そっかーじゃあしょうがないね。」
曲がり角で私と柚くんは反対の方向へ向かっていった。
「じゃあ、またね!」
柚くんが大きく手を振る…
「うん!またね柚くん。」
柚くんと別れて家に向かっている最中…
物凄いクラクション音が耳を襲った。
あの時私に、トラックが物凄いスピードで襲いかかってきた…私は音に驚いてもたれついてしまい…もうどうしようもなかった。
「りこっ!!」
ドンッ!!!
その時、柚くんが私の事を突き飛ばした…お陰で私は逃れられたけれど、柚くんはトラックに大きくはねられてしまった…
おい何だ今の音は!?
子供だ!!子供が倒れてるぞ!!!
ひき逃げだ!!警察と救急車を!!
音に気づいた大人達が集まってくる…。
「柚くん!?なんでここに…?」
おそるおそる柚くんのそばに近づく…すると、彼の右手には私のランドセルにつけていたピアノのキーホルダーを持っていた。
もしかして…私に届けようとして…。
~~~♢♢~~~
あの後、柚くんの容態を私にだけ担任から知らされた…。
あのひき逃げ事件で、彼は命を奇跡的に取り留めたけれど…最悪な事態を招いてしまった。
はねられた時と地面に叩きつけられた2つの衝撃で視覚障害と記憶障害を引き起こしてしまった。
そして、彼は残りの3年間、1度も学校へ姿を見せなくなった。
偶然が重なり合って最悪な事態を招いてしまった…でも、お母さんは自分を責める必要は無いって言ってくれた。
けれど、柚くんが事件に巻き込まれたのは私のせい…たとえそれが偶然であったとしても、彼が巻き込まれた原因を作ってしまったのは私なんだから。
~~~♢♢♢~~~
今日は少しだけ気温が低いな…まだ4月だし、寒い日はたまにはあってもおかしくないよね。
「梨子~。」
「あ、おはよう柚くん。」
「おはよう、今日はなんだか寒いね。」
「そうよね…この前まで暖かかったのに、これじゃあ体調を悪くしちゃいそう。」
そう言えば、柚くんの家ってどこにあるんだろ?登校時によく一緒になるからもしかしたら近くにあるのかな?
「ねぇ、梨子はどこの部活に入るか決めた?」
「部活?柚くんはどこかに入るの?」
「俺は、中学の時サッカー部に入ってたからもう一度入りたいなーって。梨子はどこか入らないの?」
「私ね、ピアノをやってるの。だから部活とかやっている時間は無いかな。」
「そっか~残念…でも凄いね!梨子はピアノ弾けるんだ!」
「え、えぇ───」
~~~
「やっぱり、りこは凄いね!」
「こ、こんなの普通だよ…」
「ううん、そんな事ないよ!もっと聞かせて!」
「う、うん!!」
~~~
「ねぇ今度なにか弾いてよ、音楽室とかでさ!」
「………」
「梨子…?」
「ぐすっ…」
「どうして…泣いてるの?」
「─っ!ごめんなさい、忘れ物しちゃったから取ってくるね!!」
私は逃げるようにこの場を去った…最悪だ。
柚くんは楽しそうに話しているのに、私は現実から逃れようと勝手な行動をしてしまった…。
「待ってよ!!」
柚くんが私の後を追う…。
「来ないで!!」
「ど、どうしてだよ?今日の梨子…なんだか変だよ。」
「別にそんな事……」
「はい…これ落としたよ?梨子のだよね?」
柚くんがピアノのキーホルダーを差し出す。
「そ、それは…」
なんだかあの時の状況と似ている…
あれ…?なんだかトラックが見える…?こんな狭い道にトラックなんて通れるはずないのに…
どんどん近づいてくる…
「梨子?おい梨子!?顔色が変だぞ!?」
「…やく…はやく…。」
「は…?」
「早く逃げて!!」
ドンッ!!
「いやあああああ!!!!」
~~~♢♢~~~
……………夢?
辺りを見渡すといつもの自分の部屋…寝汗も沢山かいている。
余程うなされていたのかな…体の所々が痛い。
はぁ…朝から酷い夢ね。