Secret Cherry Blossom   作:OCEAN☆S

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夏編: 幼馴染

「俺の…姉…?」

 

「うん、私は渡辺曜。柚くんのお姉ちゃんだよ~」

 

「はぁ…?嘘をつくなよ。だって俺の名前は風早柚…渡辺じゃない。そもそも、君とは今日初めて会った…」

 

「だ~か~ら~君は記憶がなくなってるんだって。風早って苗字じゃなくてさ……」

 

「デタラメを次から次へと言うな。俺は君みたいな女の子は初めて見た。」

 

「ちょ…ちょっと曜ちゃん。それくらいにして……」

 

私は止めに入った…これ以上彼の記憶を揺さぶったら…きっと何かが崩れてしまう…そんな予感がした。

 

 

「ふ~ん…見たことない…か…でも、私達って何か似ていると思わない?」

 

 

曜ちゃんが柚くんのそばに近づいて顔を合わせる…。

 

 

「だって私はあなたの双子の姉……」

 

「黙れ。」

 

「…っ!?」

 

 

柚くんが曜ちゃんをじっと鋭い目付きで睨む…こんな表情をする柚くんは…。

 

あの時…私を助けてくれた時と全くおなじ…。

 

 

「…もし仮にお前が俺の姉だとしよう。じゃあ、なんで数年間も俺の事を放っておいた?」

 

「……」

 

「俺が記憶喪失だとするなら、何故その事を伝えに来なかった!?」

 

「…それは。」

 

「じゃあ、俺をここまで育ててくれた母さんは一体何者なんだよ?」

 

「……ここだと場所が悪いや。旅館の中でゆっくり話すから…来て?」

 

 

曜はそのまま旅館の中に入っていった。

 

 

「柚くん…」

 

「千歌?」

 

「お願い…曜ちゃんの事をそんなに強く責めないであげて…」

 

「…そうだな…ごめん。」

 

「柚くん…ごめんね、私がいつまでも本当のことを話さないからこんな事になっちゃって…。」

 

「いや…これは誰も悪くない、梨子が気にすることは無いよ。」

 

 

私は部屋に戻りながら、柚くんに私達の幼い頃のこと…目の真相、記憶の損失を全て話した。

 

 

「そっか…だから梨子の事…どこかで見たことがあるって思ったのか…。」

 

「うん…いつか言わなくちゃって思ってたんだけど…。」

 

「俺の目…病気じゃなくて事故によるものだったのか。」

 

 

柚くんがうつむく…

 

 

「で、でも…あの時柚くんが私の事を助けてくれなかったら…私はきっと…。」

 

「そうじゃない…なんで俺の母さんは本当のことを教えてくれなかったんだろう…梨子の事もきっと知っていたはずなのに…どうしてずっと黙って…。」

 

「…それは、ちゃんとした理由があるのよ。」

 

俺たちの部屋の前で母さんが待っていたかのように立っている…。

 

 

「母さん…」

 

「あなたは、まだ幼い頃の小さな体で大型のトラックに衝突した…その時の脳への衝撃は異常な物だった…。」

 

 

そうだ…確かあの時…私も柚くんも小学三年生…。

 

 

「周りにすぐに駆け寄ってくれた大人の人たちがいたからあなたは直ぐに救急車に運ばれて、一命を取りとめた。」

 

「だけど…あまりにも強い衝撃だったため…無理に過去のことを話したりすると、人格が大きく変わってしまう恐れもあった。」

 

「それって…どういうことですか…?」

 

「簡単に言えば人格障害よ。記憶もなくし、視力も障害を起こし、さらに人格障害まで引き起こしてしまったら————」

 

 

「柚くん!!」ガラッ

 

 

千歌が勢いよく扉を開けて、部屋に入ってくる…。

 

 

「曜ちゃんが…曜ちゃんが…!!」

 

「…あいつに何かあったのか?」

 

千歌の顔が真っ青だ…

 

 

「どこにもいないの!!電話も繋がらないし…旅館の中にも居ないし…曜ちゃんの靴も無くなってるの!」

 

「外出する…とか言っていなかったの?」

 

「う、ううん…トイレに行くって言った後、消えちゃったみたいに…。」

 

「…すぐにこの旅館の辺りを手分けして探そう。最悪この辺りにいない可能性もあるかもしれないが…。」

 

 

 

いくら夏だからといっても七時前だと日はかなり落ちてくる…東京の街と違ってここは明かりは少ないから危険だ。

 

 

あれ…?これは…?

 

砂浜を歩いていると1足の靴が見つかった…。

 

あまり汚れていない…でも、なんで1足だけ…?

 

 

~~~~~

 

 

 

「よーちゃん…」

 

「千歌ちゃん、そっちには居た?」

 

「ううん…ごめんね、せっかくの旅行なのに付き合わせちゃって…」

 

「大丈夫よ、気にしないで。私は別のところを探してみるから。」

 

「う、うん…!」

 

 

千歌ちゃんと離れたその瞬間に私のスマホが鳴った…。

 

 

(…柚くん?)

 

 

「もしもし?」

 

「梨子か?」

 

「柚くん!曜ちゃんは見つかった?」

 

「いや…それより、今1人か?」

 

「え、うん…そうよ?」

 

「だったら千歌と合流した方がいいかもしれない、さっき曜の靴が片方だけ落ちていたのを見つけた、もしかしたら……」

 

「…まさか。」

 

 

柚くんの一言で私は察した…曜ちゃんは誘拐された可能性がある。

 

 

私は急いで千歌ちゃんに電話をしたが千歌ちゃんとも連絡がつかなかった…。

 

嫌な予感がする…。

 

 

 

~~~~~~

 

 

暗闇…薄れていく意識の中で誰かの声が聞こえる…もしかして助けが来たのかな…?

 

 

「ふっ…まさかこんな簡単に女1匹捕まえちまうなんてな…あんたの考えた作戦は完璧だよ。しかもこれは中々いい体をした女子高生だ。」

 

「あぁ…あの旅館の1番小さい娘だろう。この2人をまとめて狙いたかったが…。」

 

 

千歌…ちゃん…?どう…して…?

 

 

「この最初に捉えたこの女は中々凶暴だからな…1匹ずつの方が確実だ。」

 

「髪の長い綺麗な女もいたけど、あっちはどうするつもりなんだ?」

 

「…あの女はこの組織に大きく損害を与えた奴だ。あの女のそばには面倒なハエがくっついている。」

 

「まぁ…あの男が相当甘いヤツだったって事だな。」

 

 

私が寝かされているベットの隣に、ガムテープで口塞ぎをされた千歌ちゃんが寝かされた…。

 

私と同じように手足を縛られていて身動きが取れなくなっている…。

 

 

「さて…」

 

男達が私達の口元のガムテープを剥がす…

 

 

「こいつらはどのくらいの価値があるかな…」

 

私は恐ろしくって言葉も出なかった…そう、だって今私の目の前に居る男は…。

 

梨子ちゃんを電車で痴漢しようとした男…!

 

 

「…久しぶり♪」

 

「…っ!」

 

男はそっと…私の髪に触れた。

 

 

「あの時からずっと目をつけていたんだ~君のこと…おかげさんで全部わかったよ…君の個人情報をさ♡」

 

「そんな…」

 

「曜ちゃん…」

 

「もちろん君の情報もわかっているからね…高海千歌ちゃん?」

 

「君たちの恥ずかしい映像もたっぷりと俺たちの手にあることをよ~く理解した方がいいよ?」

 

この人たち…ここまで……!

 

 

「ひどいよ…こんなことしてあなた達は何がしたいの!?」

 

「…決まってんじゃん。」

 

 

 

 

『辱めだよ』

 

 

 

そう言って彼は千歌ちゃんの太ももを撫でるように触ってきた……気持ちが悪い、さっきまで狂気な表情をしていた彼らが。

 

まるで人が変わったかのように…性欲に強く飲まれこんでいるような顔をしている。

 

 

 

「ひっ…いや!!やめてえぇ!!」

 

「いいね…その声…もっと足掻け…足掻けぇ!!!そしてもっと俺達を楽しませろおぉ!!!」

 

「あ~あ…あんなに騒いじゃってさ…でも、安心して?俺は曜ちゃんに乱暴なことするつもりは無いさ。」

 

「もっと…楽しく…そして…ゆっくりと堕ちていくのを見てみたいからさ…」

 

「……ない。」

 

「あぁ?」

 

「私はお前達みたいな卑怯者には絶対に屈しない!!」

 

「卑怯者…ね…」

 

 

私を触っていた男がゆら~っと立ち上がり、千歌ちゃんの方へ寄っていった。

 

 

「卑怯者…そう呼ばれるのは嬉しい褒め言葉のようさ!!」

 

 

男が大声を出し、千歌ちゃんの服を破り捨てた…。

 

 

「いや…いやだ…」

 

「ふふっ…この子が崩れていく姿をよく見ておけ!!」

 

「曜ちゃん!!たすけて…たすけて!!!」

 

「千歌ちゃん…」

 

 

私のせいだ…私がまいた種なのに…みんなに迷惑をかけて…そして、千歌ちゃんが私の前で辱めを受けている…。

 

なのに…私は…何も出来ないの…?

 

 

胸を触られ、首を舐められて…いつか自分と愛し合ってくれる人となら…ってずっと思ってたのに…。

 

こんなに気持ちの悪い男達に触れられると涙と吐き気が止まらないよ…、

 

 

「下着の隙間から挿れてやる…普通にぶち込むよりも何倍も興奮するからなぁ…!!」

 

「いやっ…んんっ…」

 

「いま…甘い声が出ちゃったね…分かるかな?今俺の大事なところと千歌ちゃんの大事なところが当たっているのが…」

 

「お願いします…それだけは…それだけはやめてください……」

 

「ここまで来たら引き返せないね————」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「引き返せないから…なんだよ?」

 

「——っ!?あつい!?あづっ!!!!背中が焼けてる!?」

 

 

暗闇でよく見えない…けど、もうひとり誰かいる…今の声…

 

柚…くん?

 

「お前達のだろう?このライターは…馬鹿だなぁ…こんな馬鹿みたいに騒いでいたら俺が部屋に入るのも気づかなくて当然だ…。」

 

「バカな…どうしてここが…」

 

「千歌が教えてくれたんだ。」

 

 

柚くんがちぎれた貝殻のネックレスを見せつける…。

 

 

「おかげさんでこの辺りに千歌がいるんだろうなって思ったよ。そして小さな小屋を見つけて来てみたらこの有様だ…。」

 

「てめぇ…よくも俺の服を…!!」

 

「服…?お前みたいな性欲野郎に服なんか必要ないと思ってな。」

 

「このやろう!!!」

 

「……」

 

 

一瞬だった…バキッと大きく鈍い音が部屋全体に響き渡った…。

 

 

「あぁぁぁ!!!??足が…俺の足があぁぁぁ!!!!」

 

「なんだよ…もう折れたのか?」

 

「お、おい!お前も早く戦え!!!」

 

「あ、あぁ…」

 

 

もう一人の男が柚くんに襲いかかろうとするが…。

 

 

 

「……なんだよ?何震えてんだよ?」

 

「ち、ちげぇ!!震えてなんかいねぇ!!」

 

「お前らってさ…汚いやり方で女の子を脅すくせに…いざって時にはすぐに足がすくむ…ほんとに情けねぇよな。」

 

「な…なに…?」

 

「なんかもう、相手にすんのもバカバカしくなってきたよ。」

 

「ふ…ふざけるな!!!」

 

 

ドゴォッ!!

 

 

「…図体は俺よりでかいくせに弱々しいやつだな。」

 

「かはっ…ふふ…馬鹿め…油断したな!!!」

 

 

柚くんが相手に腹パンした瞬間だった…赤い光が柚くんの瞳を照らした…その途端…柚くんがもたれるようにたおれた。

 

 

「…レーザー…ポインター…?」

 

やばい…強い光浴びすぎるなって医者からも言われていたのに…左目が…全く見えない。

 

 

「奴はどこだ?」

 

「柚くん、君の左側に居る!!」

 

 

曜の声が聞こえたが…遅かった左側から思い切り首に蹴りが飛んできた…

 

初めてだ…こんなに深く蹴りを入れられたのは…。

 

倒れ込んだのに相手の姿が見えない…

 

 

「おい、お前もう立てるだろう?」

 

「あ、あぁ…いってぇ…右足が少しヒビが入ってる感じがするぜ…」

 

「それくらいならまだマシだ…早く引き上げるぞ。」

 

「で、でも…女は…」

 

「そんな足じゃ無理だろう、今は自分たちが優先だ…さぁ早く…」

 

 

 

『早く…?どこへ行くつもりなの?』

 

 

 

「ちぃっ…今度は誰だ!?」

 

 

あれは…果南ちゃん…?

 

 

「ほぅ…また女か…二人がかりでぶっ潰すぞ!」

 

「……ふっ」

 

 

鋭い音が部屋に響いた…。

 

「ぐは…あぁ…」

 

「悪いけど…幼なじみをこんな目に遭わせて…手加減なんかするつもりは無いからね。」

 

「…そんなこ、こんな女なんかに!!」

 

 

男が果南ちゃんの胸ぐら掴んだ…

 

 

「女だから…何?」

 

そのままレーザーポインターを取り上げる…。

 

「随分と面白いもので戦うじゃない…」グシャッ

 

「…そんな片手で…。」

 

「お、お願いします!警察だけは…警察だけは勘弁してください!!」

 

「警察?」

 

 

彼の言動に私は少し鼻で笑った…

 

 

「警察に行っておけばよかったと思えるくらいの…地獄を見せてあげるよ。」

 

 

私はもう一度拳を振り上げた。

 

 

「やめろ…!」

 

「…!?」

 

「もう…警察は呼んである…これ以上君が手を出したら君も罪に問われる危険性がある…。」

 

「だけど…コイツらは私の大切な…。」

 

「分かってる…だからその千歌と曜の為にも…これ以上は止めてくれ。」

 

「…わかった…私も少しやり過ぎた。」

 

 

~~~~~

 

 

「柚くん!!」

 

「梨子!悪い…警察を呼んでもらって。」

 

「そ、そんなことよりも大丈夫なの?そのケガ…目も…危ない状態になったって…」

 

「あぁ、今は普通に見えてる。心配ないよ。」

 

「よかった…」

 

 

曜、千歌、そしてもう一人の女性が俺のそばに近寄る…。

 

 

「ごめん…柚くん…私お姉ちゃんなのに何も出来なかった…これじゃあお姉ちゃん失格だよ…」

 

「別に曜のせいじゃない…そして、君が本当に俺の姉かどうかは信じてないけど…。」

 

『話…聞かせてよ、お姉ちゃん。』

 

「柚くん…お姉ちゃん嬉しいぞー!!」

 

 

ぎゅっと曜が俺の体を抱きしめてきた…胸の圧迫が物凄い…ここの地方の人達は一体どんな体をしているんだ…?

 

 

「へぇ~あの子が昔千歌が恋した柚くんか~」

 

「べ、別に今は好きじゃないし…」

 

「あ~別の子に取られて嫉妬してるの~?悲劇のヒロインだね~」

 

「う、うるさいなぁ……」

 

 

 

梨子が俺たちのところに近づく。

 

「曜ちゃん?柚くんは怪我人なんだからそれくらいにしなさい!」

 

「あれあれ~?梨子ちゃん嫉妬してる~?」

 

「むっ…こら~!!!」

 

「おい曜やめろ!!怒った梨子は俺が見た中で誰よりも怖いんだぞ!?」

 

「それはやばい…逃げるよ!」

 

「こら~!待ちなさ~い!!!」

 

 

 




恐らくこれが2018年最後の投稿になると思います。

では、良いお年を!
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