Secret Cherry Blossom 作:OCEAN☆S
今は夜の8時20分頃…ようやく落ち着いてきたので、部屋に集まって話の組み合わせが始まる…。
今わかっていることは、
俺は記憶を失っていること。
目が見えにくいのは病気ではなく事故によるもの。
そして、離れて暮らしていた姉と幼馴染がいたということ。
この3つだ…。
「…じゃあ話してもいい?」
曜が口を開いた。
「…まず、私達の両親はまだ私たちが幼い頃に離婚しているの。そして、父親は柚君を連れてお母さんは私を連れて…。そして、父親はその二年後に自殺…仕事を上手くいかないことに精神を崩し、自殺してしまった。」
「…そんな時に1人になったあなたをいち早く見つけてくれた人がいたわ。」
母さんが話に混ざる…。
「そこの…梨子ちゃんの母親があなたを保護したのよ?」
「え…?梨子の母親が…?」
「そして、あなたはすぐに私のところに預かることになったわ。」
「預かるって…じゃあ、母さんは俺の本当の母さんじゃないのか…?」
「えぇ、私はあなたの母親じゃない…。」
『自殺したあなたの父親の妹よ。』
母さんの一言で周りの空気が一気に凍りついた。
「そう…だからあなたに言ったのよ…本当の母親になれなかったって…強く当たってごめんね…。」
「いえ…私も何も知らずにこんなことを…」
「本当の母親になれなかった?何言ってんだよ母さん。」
「俺をここまで育ててくれたのは紛れもなく貴方だ…そんな人が母親じゃないだなんてこれっぽっちも思うはずがない…。
…だからそんな悲しいこと言わないでくれ。」
「柚……」
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話が終わり、俺と梨子は旅館の外で星を眺めていた。
「…今日はなんかすっきりした。今まで知らずにいた事が全部わかったような気がしてさ…」
「うん…私も。」
「梨子も?」
「うん!だって幼い頃の柚くんとの思い出は私にとっても大切な思い出の1部なんだから!失ってもいい思い出なんてないんだよ…!」
そう言うと、後ろから千歌と曜そして、果南が旅館から出てきた。
「…ほら千歌ちゃん?隠れてないでこっちおいでって!」
「…で、でも…。」
「しょーがないなぁ~じゃあ私が代わりに聞くから…」
「?」
「柚君と梨子ちゃんってやっぱり付き合ってるの?」
「…あぁ。」
「…そっか、そうだよね…。」
千歌が少し顔を暗くしてうつむく…そして、その場を去ろうとしたその時…。
「まって、千歌ちゃん。」
「梨子…ちゃん?」
梨子が千歌の手を握った…。
「柚くんに…伝えたいことがあるんでしょう?」
「…どうしてわかったの?」
「…なんとなく、そんな感じがしたから…で、どうなの?」
「千歌ちゃん、ここで伝えないと…きっと後悔するよ?」
「曜ちゃん…」
「迷ったらすぐ行動!これがいつもの千歌のはずだよ?」
「果南ちゃん…!」
千歌が小さく「よしっ」と声を上げ、俺のそばに近寄る…。
「これ…覚えてないかもしれないけど……」
千歌が少し背伸びをして、貝殻で出来てているネックレスを俺の首にかけた。
「柚くんが引っ越しちゃう前に私にくれたんだよ…?だから…また会えるまで…だからずっと大切に持っていたの…!そして…ずっと待って————!!」
…何気ないほんの一瞬だった…柚くんの手が私の背中を包むようにして…そっと私の体を抱きしめてくれた…。
「今は何も思い出せなくて本当にごめん。だけど…ずっと大切に…そして忘れずにいてくれて…ありがとう。」
「柚くん…」
小さい頃からそうだ…あなたの体は本当に暖かくて…辛い時も悲しい時も…その胸で優しく抱きしめてくれていた…。
あなたは本当に変わらないね…。
「いいの?梨子?」
果南さんが私に少しちょっかいを出すように話しかける。
「はい♪今日は特別…かな。」
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夏休みも無事に終わり、またいつもの日常が戻ってきた…。
そして俺はいつも通り遅刻ギリギリになっていた。
『また遅刻?』
『ごめん…』
『どのくらいかかるの?』
『もう少しかかる…先に行ってもいいよ?』
梨子のLINEを返しながら急いで準備をする…。
そして、玄関を開けると、梨子が出迎えていた…
「どうして先に行ってなんて言うの?」
「え…いや…ごめん…なさい。」
「ふふっ冗談よ♪」
梨子が笑顔で俺の手を握る…
「いっしょに走ろう!」