Secret Cherry Blossom   作:OCEAN☆S

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お姉ちゃんと従姉妹

早朝…こんなにも朝早く起きたのには理由がある。

 

 

今日は1番早い新幹線に乗ってまた静岡に向かわなければならない…理由は一通のメッセージからだ。

 

 

送り主はそう…渡辺曜。

 

 

『やっほ~柚くん元気?夏休み終わって急に悪いんだけど、もう一度沼津へ来てくれないかな?会わせたい人がいるんだ~!』

 

 

PS.行きと帰りの交通費は後払いで☆

 

 

後払いね…まぁいいか、とりあえず早く家を出ないと…。

 

 

「さて行くか…」

 

玄関を開けると、丁度ばったりと梨子と遭遇した。

 

 

「あれ?梨子こんなに朝早くどうしたの?」

 

「えっと…これ…!」

 

梨子がオシャレなボックスを渡す…。

 

 

「朝…食べてないかと思って。昨日早朝から出かけるって言ってたから…。」

 

「お弁当?ありがとう!助かるよ。」

 

「あと…気をつけてね?この前みたいに変な人たちに巻き込まれたら…。」

 

「大丈夫…ちゃんと帰ってくるよ。」

 

 

俺は梨子の頭にポンっと軽く手を置いた。

 

 

「もうっ…」

 

「…じゃあ行ってくるね。」

 

「うん、いってらっしゃい♪」

 

 

 

 

新幹線に乗り、静岡駅に降り、さらにそこから沼津行きの電車に乗り換え、約3時間ほど…。

 

 

 

…やっと着いたか。

 

 

改札を出ると待ち伏せていたかのように、曜が手を振っている…。

 

曜の隣にもうひとり誰かいる…誰だ?

 

 

「おかえりなさ~い♪はるばるご苦労さまであります!」

 

「ただいま…来るのも楽じゃないのに急に連絡よこすんだから…んで、そこの隣にいる人は誰?曜の彼氏か?」

 

「あぁそうか…今の柚くんは初めて会うんだっけ?」

 

「こんにちは柚くんボクは渡辺月!よーろしく♪」

 

 

曜によく似た口調の人は帽子を取って挨拶する…。

 

帽子を取ったその人の姿は紛れもなく女性だった。

 

 

「あ、あぁ…よろしく。」

 

「月ちゃんはね、私の従姉妹で…柚くんが小さい頃からずっと面倒見てくれてたんだよ?」

 

「そ、そうだったのか…ごめん君のことを覚えていなくて…。」

 

「うぅん気にしなくて大丈夫だよ!…そんなことより」

 

 

そう言って彼女は俺の体を抱いた…。

 

「…会えてよかった。」

 

 

どうしてだろう…何もかも忘れてしまって今日初めて出会ったはずなのに…。

 

暖かい温もりを感じる…絶対にこの女性とはどこかで会ったことがある人だ…絶対に忘れてはいけないくらいに大事な人なのに俺は…。

 

 

「こんなに大きくなっててボクは感激だよ!」ギュゥ~

 

 

痛い…めちゃくちゃ力強いなこの人…やっぱり曜と同じ血を引いているだけある…。

 

 

「こ~ら月ちゃん柚くん困ってるでしょ?」

 

「えへへ~」

 

 

…そう言って彼女は俺のそばから離れた…。

 

 

 

「では、行くとしますか!月ちゃん柚くん!」

 

「…行くってどこへ行くんだよ?」

 

「曜ちゃんの家だよ!ボクも何度もお邪魔してるけどいいところだよ~♪」

 

 

曜の家…か…ってことは俺を産んだ本当の母親に出会えということ。。

 

 

「さぁ行くよ柚くん!」

 

そう言って曜が手を差し伸べる。

 

「え…いいよ別に繋がなくても」

 

「え~なんで~?」

 

俺が手を引っ込めると…

 

「柚くん?」

 

月がウィンクしてサインを送る仕草をした…

 

 

「…わかったよ。」

 

「やった~柚くん真ん中ね!」グイッ

 

「え?」

 

 

横でニコニコしながら月が手を差し伸べる…。

 

 

 

 

……世の中には両手に花という言葉がある。

 

だけどそれはあまりにも恥ずかしいことであるということをよく理解できた。

 

 

 

 

~~~~~~~

 

 

「じゃーんここだよ~♪」

 

 

結構立派な家だ…人を何人も呼んでパーティができそうなくらい大きい…。

 

 

曜がインターホンを鳴らすと扉が開き、中から曜によく似た綺麗な女性がでてきた…。

 

 

「曜おかえりなさい、月ちゃんもいらっしゃい~。」

 

この人が…俺を産んだ本人…。

 

 

「そして…柚…おかえりなさい!」

 

 

…そう言ってその女性は涙ぐむ。

 

…俺も辛かったかもしれないが1番辛いのはこの人だ…本来育てるはずだった俺を離婚した夫に連れていかれ…

 

その先で俺は記憶をなくし、父親は見捨てるように自殺をした。

 

…そして、小さな体で記憶に負担をかけてしまうと人格まで壊れてしまう恐れがあると警告をされたらしい。

 

 

あれから数年…ようやく大きく成長して…体が安定してきてようやく本物の母親として迎え入れることが出来たのだ…。

 

 

「ごめん…ずっと会えなくて。」

 

「何言ってるのよ…?謝るのは私の方…あなたをあの人に渡さないでいればこんなことにはならなかった…。」

 

 

母親が泣き崩れそうになったのでそっと自分の方に寄せて抱きしめた…。

 

 

「…昔のことなんて関係ない。あなたは立派な俺の母親だ。」

 

「柚…でも…あなたの小さな頃の思い出は…」

 

「記憶が戻らなくたって大丈夫…!もう一度ここにいる家族と楽しい思い出を作れれば…俺はそれだけで満足だよ。」

 

 

俺は涙をこらえながらそう言った。

 

 

「…ほんと、あなたは優しい子に育って良かった…。いいお母さんに出会えてよかったわね…。」

 

「あなただって俺にとってはとても大切な母親だよ…。」

 

 

~~~

 

 

 

母親との話も終わり、一旦曜の部屋に3人で集まる…。

 

 

部屋の辺りを色々見渡してみると、机の上にある1枚の写真が気になった。

 

 

「曜、この男の人は誰だ?」

 

「うん?その人は私のパパだよ♪」

 

「パパ?いつの間に再婚していたのか…母さんは。」

 

「うん!船長をやっていてね、すご~くカッコイイんだ~♪私の一番の憧れ☆」

 

「そうだよ~曜ちゃん隙あらばいっつもお父さんか千歌ちゃんの話ばかりでね~」

 

「つ…月ちゃ~ん…///」

 

「照れなくてもいいじゃん~♪そんなことよりも、あれはやらなくていいの?」

 

「…もちろんであります!」

 

 

曜がそう言うと、2人がニヤニヤしながら俺のそばによる…何を考えているつもりだ…?

 

そして、曜が部屋の鍵をかけ…クローゼットを開ける。

 

すると大量の制服が出てくる…

 

 

「柚くんってさ、可愛い顔してるから結構似合うと思うんだよね~♪」

 

「ささ、ここからはボク達に任せて~♪」

 

 

…どうしよ、2人の笑顔がなんかちょっと怖いな…。

 

「…でも、俺のサイズだとそれはその制服は入らないんじゃ…」

 

「大丈夫大丈夫、柚くん体細いし背もそんなに高くないからきっと似合うよ♪」

 

 

曜…貴様俺が気にしていることをそのまま言いやがって…!

 

 

「じゃあ始めまーす!」

 

 

 

 

…35分後

 

 

「うわぁ~!柚くんすっごい可愛いよ~!不思議の国のお姫様みたいだよ~♪」

 

「うん!お人形さんみたいですっごく可愛いよ!」

 

「…そいつあどうも。」

 

 

鏡を見るとふわっふわなドレスを着せられ、たくさんの装飾品を付けられ、髪もいじられた…

 

…いつもの自分はどこへ行ってしまったのだろう

 

 

「…凄い!こんな可愛い子をボク達しか見ていないだなんて勿体ないよ!」

 

「…という訳で、千歌ちゃーん入ってきていいよ~!」

 

「はーい!おぉ~!すごいねぇ~本当に可愛い女の子になっちゃってるよ!」

 

 

千歌…!?いつの間に呼んだんだ?

 

 

「果南ちゃんも入ってきていいよ~」

 

「はーい…おぉっ…!これは凄い本当に女の子じゃん!」

 

「…男なんだけど。」

 

「でしょ!?柚くん可愛いでしょ?」

 

 

さっきからカシャカシャ音が聞こえるんだが…誰だ?写真がを取っているのは…

 

「果南、その写真をどうするつもり?」

 

「ん~?梨子ちゃんにも送ってあげようかな~って!」

 

「はぁ…好きにしたら…?」

 

 

止めても無駄だろうから適当に流した。

 

 

『梨子ちゃん、この子だーれだ?』

 

『え…!?柚くん!?可愛い~』

 

『でしょ?てか、既読つくの早いね梨子ちゃん。』

 

『果南さん、とりあえずその写真違う角度からもあと5枚くらい貰えますか?』

 

『あ、はーい』

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

あの後、月と曜のふたりと一緒に海を見に行くことにした…夏休みに来た時のように綺麗に夕日に照らされていてとても綺麗だ…。

 

そして、千歌と果南の2人はすぐに家の手伝いに戻って行った。こんな事のために呼び出されたのと思うと…この人達の関係は本当に楽しそうだな…。

 

 

…俺も小さい頃はあんな感じでこの人達と一緒にいたのかな?

 

 

 

「どうしたの?柚くん…そんなに内浦の海が綺麗かな?」

 

「曜…俺思うんだ、さっきは母さんに記憶が戻らなくても大丈夫って言った…。でも…小さい頃の記憶だってかけがえのないもの…やっぱり思い出せなくて辛いんだ。」

 

「柚くん…」

 

「夏休みに千歌と初めて会って…どうして忘れちゃったの?って泣き崩れるように言われた時の事をよく思い浮かべるんだ…。あんなに泣きながら俺に思い出して欲しいもの…そう考えるだけで胸が痛くなる。」

 

「そっか…そうだよね。」

 

「曜は…千歌と幼馴染なんだろ?何か…知っているんじゃないのか?」

 

「…それを曜ちゃんの口から言わせて、きっと1番辛いのは千歌ちゃんなんじゃないかな?」

 

 

 

月が会話に挟む。

 

 

「きっと千歌ちゃんなら…いつか、勇気を振り絞って全てのこと話してくれる…だからその時まで待っていてあげて欲しいんだ。」

 

「…そうか…ごめん曜。」

 

「大丈夫だよ柚くん…それとね?」

 

 

曜がそう言って俺の身体を抱きしめる…。

 

 

「…あなたは大切な家族。記憶が戻らなくてもあなたは大切な人…だから辛い時や不安な時は…私達を頼って?私はあなたの…世界でたった一人のお姉ちゃんなんだから…。」

 

「…そうか…そうだよな。」

 

 

俺には大切な家族がいる…だけどその人達のことは思い出せずにいる…記憶が戻らなくて、まだ初めて会う人のように意識してしまう…。

 

でもこの人たちは俺を家族として迎え入れてくれている…無理かもしれないけれど、やっぱり今すぐにでも昔の頃の記憶を取り戻したい…。

 

でも、そうしたら今付き合っている梨子の事をどう思うようになっているのだろう…。

 

そう考えると不安な気持ちになる…。

 

 

 

 

…俺は今何をすべきなのだろう?

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