Secret Cherry Blossom   作:OCEAN☆S

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Regard du diable

ピアノのコンクールまであと二週間…。

 

 

 

「おはよう、梨子!」

 

「おはよう、柚くん。今日は珍しく時間通りだね?」

「たまには梨子を待たせないようにしないとなって思ってさ。これでも自覚あるんだよ?」

 

「自覚あるならこれからもちゃんと早起きしてね?」ニコッ

 

「あ…はい。」

 

 

とても綺麗な笑顔なのに、何だか心の奥から圧を感じる…。

 

 

「でも、なんか…いいね。」

 

「…?どういうこと?」

 

「いや…なんかさ、梨子もいろんな表情を見せてくれて何だか嬉しいなって。」

 

「そ…そうかな?そんなに私…無表情だった?」

 

「んー、なんだろう…いっぱい笑ってくれるようになったかな?って感じかな。」

 

 

そっか…入学した時に柚くんに会った時…まだ、記憶のことを口に出せなくって…。

 

 

「梨子?」

 

ぼんやりと思い出している私にそっと柚くんは声をかけ、私に手を差し伸べた。

 

「ほら、時間通り起きたんだから、ゆっくり歩いていこうよ。」

 

「え…手、手を繋ぐの…?」

 

「え?だっていつも繋いでるじゃん?」

 

「で、でも…それは学校の時以外だし…制服着ている時はちょっと恥ずかしいよ…///」

 

「別にいいじゃん、早く行こうぜ!」ギュッ

 

「あ、ちょ…ちょっと…もぅ…///」

 

 

 

~~~~~~

 

 

 

「おはよう梨子ちゃん!今日も二人とも仲良しだね!」

 

 

教室に入るとさっそくほかの女子から話しかけられる。普段喋るのは緊張しちゃう方だけど、隣に柚くんがいると、何だか自然といろんな人と喋れる。

 

 

「そ、そうかな?」

 

「えーだって2人とも付き合ってるんでしょ?いつもふたりで何話してるの~?」

 

「こーら、自分に相手がいないからって2人のプライベートを探るんじゃないの!」

 

「え~だって~…てか、あんただって彼氏いないじゃん!」

 

「うぐっ…だ、だって…この学校元々女子高だから…」

 

「ほーら、また言い訳する~」

 

 

特に、柚くんのサッカー部の部員の人達とは特に仲良くなれた気がする。みんな元気でいい人ばかりだから一緒にいて安心する。

 

 

「そういえばもうすぐピアノのコンクールだよね?頑張ってね!」

 

「え…あ、うん、頑張るね!」

 

 

…もう何度目だろうこの言葉を沢山の人達に掛けられたのは。

学校、近所、親戚、たくさんの人から「頑張って」と声をかけられる。

 

別に、応援されることが嫌な訳じゃない、むしろ期待に応えてあげたい。そう思う。

 

だけど最近「頑張って」って声をかけられるたびに、胸の奥からドクンドクンと激しく鼓動を感じるようになった。

 

中学生時代の時もそうだった。とにかく本番に弱くて、いつも心臓の鼓動が激しくなる癖は直っていない。

 

 

でも…柚くんがそばにいてくれる時は、柚が周りにバレないように私の手を握ってくれている。

 

緊張しないと言ったら嘘かもしれない。でも、柚くんの手が私の緊張を和らげてくれる。

 

 

~~~~~

 

~屋上~

 

「さっきはありがとう…柚くん。」

 

「うん?大丈夫だよ。」

 

「私…やっぱり柚くんに甘えてばっかりだ。こんなの良くないって分かっているはずなのに…。」

 

「別に…そんなに気にすることないよ?」

 

「でも…」

 

「あーよしよし」

 

梨子が俯くので、自分の体に寄せて梨子の頭を撫でる。

 

「これじゃあ、普段と真逆だな。」

 

「…え?」

 

「俺だって、梨子にいっぱい甘えて頼ってるんだから、たまには梨子の力になってあげないとな。だから、自分を悪いように思わないで?」

 

「うん…ごめん。」

 

「だーから、すぐそんな風に謝らないで?」

 

「う、うん…ありがとう。」

 

 

柚くんはそう言ってくれるけど、いつまでも甘えてちゃダメだな私…もっと精神的にも強くならなくちゃ。

 

 

~~~~~

 

 

~放課後~

 

「じゃあ、職員室に日誌届けてくるから柚くんは教室でちょっとまっててね。」

 

「うん、行ってらっしゃい~」

 

 

職員室に日誌を届け、窓を見るといつの間にか外の景色が暗くなっていた。

 

そっかぁ…もうすぐ冬になるんだ…このまま過ごしていけば柚くんとクリスマスを一緒にいられるのかな…?

 

あ…いけないけない!今はコンクールで事に集中しないと!せっかく柚くんが協力してくれているんだから。しっかりと結果を残さないと!

 

 

 

「桜内梨子ちゃん…だよね?」

 

「…!?」

 

 

私が職員室から出てくるのを待っていたかのように、1人の女の子が話しかけてきた。

 

 

「そうですけど…何か用ですか?」

 

「いや、ちょっと聞きたいことがあってね~この動画に写っているのってまさか桜内さんじゃないよねーって思ってさ~」

 

その女の子のスマホに映し出された映像は…モザイクがかかって見にくいけれど…見覚えがある…。

 

「髪の長さとか、制服の色とかちょっと似ているからさ~まさかとは思うけど~いや、でも美人でよく噂の立つ桜内さんがそんなことするはずないよね~ってね?」

 

「う…うん、全然身に覚えがないけど…。」

 

「うんうん、だよね~直接確認が取れてよかった~じゃあ、またね~。」

 

 

そう言って、その女の子は私の側から去った。

 

あの映像…間違いない…夏休みに入る前に名前も知らない男子に脅されて酷い目にあった時と同じ動画…。

 

どうしてあの子が…?

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

『ふふっ…あの子の焦り方…あなたの言った通りやっぱり本人だったわ。』

 

『え?…ふふっ…大丈夫よ。私はあなたと違ってそんな簡単にヘマはしないわ。』

 

『えぇ…あなたの仇。しっかり取るわ…そして…。』

 

 

 

 

 

 

 

『二度と立ち直れないほどに叩き潰してやるわ…』

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