Secret Cherry Blossom 作:OCEAN☆S
あの映像…間違いなく私のだ。
夏休みに入る前に脅しに使われ…今でも思い出すのも嫌なくらいな出来事。
そして…この映像が一気に学校全体に拡散され、私の周りを通る人はビッチだの、ヤリ女だの、聞こえないように陰口を言うようになってきていた。
「ねぇ、聞いた?あの桜内さんがさぁ~」
「聞いた聞いた~なんかSNSに自分のをヤってる所を載せたんだとかね~」
…1人で部屋の中で行為をしたのは事実…だけど、あれは盗撮されたもの…いや、今更そんなことを訴えても余計に状況が悪化するだけ…。
「…梨子。」
柚くんが私に声をかけ、教室から廊下へ連れ出す…。
「…柚くん。」
「こんな教室の中にいても、居心地が悪いだけだ。」
柚くんが私の制服の袖を掴んで、歩き始めた。
…私をどこへ連れていってくれるのだろう。
「おいおい、今から2人で何すんだよー?お幸せな事だなー」
2人で学校を歩いているだけで、私と柚くんに悪口の嵐が降り注ぐ。
でも…柚くんはそれに対して何も目を合わせずに、堂々とその場から離れていく。
「…着いたよ。」
「…ここは?」
初めて入る部屋だ…沢山のロッカーが並べられている…
「そう、俺たちサッカー部の部室だ。女子の部屋だけど、部員のメンバーと先生に頼んで、事が収まるまで使ってもいいってさ。」
「…でも。」
「大丈夫気にするな、サッカー部のみんなも梨子の事を悪く思ってなんかない。梨子のことを悪く言う奴らはみんな梨子を全く知らない奴らだ。」
「…でも、それだと柚くんやサッカー部のみんなにも…」
「梨子?」
柚くんが私の手を握った。
「大丈夫、俺達は梨子の味方だ。」
「柚くん…」グスッ
…これは強く心がえぐられている…これは人に暴行を喰らうよりもよっぽど怖いことなのかもしれない。
「なぁ、梨子?」
「…?」
「三日間くらいさ学校休んで、一緒に気分転換しに行かないか?」
「え…?でも…そんなこと…お母さんが許してもらえるはずが…」
「…大丈夫、俺からも説得する。」
~~~~~~~~~~~
俺からの説得もあったのか、梨子の母親からは1週間の時間を貰う事ができた。
「…柚くん。本当にいいの?柚くんの出席も一緒に無くなっちゃうんだよ?」
「今更何を言ってんだよ。」
「でも…」
「俺は梨子の恋人なんだ。好きな人の手助けをするのは当然だろ?」
「う、うん…わかった。でも、これからどこへ行くの?」
「んー、正直どこへ行くのか決めてないんだよなー」
「え…?」
「とりあえず、うんと遠い場所へ一緒に行こう!どこへ行くかはそれからだ!」
「も、もう…柚くん…」
~~~~~~~~~~~~~~~
~学校~
「なんだ、今日は桜内さんは休みなんだ。」
「風早くんも来てないみたい、もしかして2人で…」
『ねぇ、ちょっと?』
「あなたは…サッカー部の部長さん?」
「えぇ、そんなことよりも…うちの大切な可愛い可愛い後輩ちゃんを見なかったかしら?わんちゃんみたいな男の子なんだけどね~」
「風早くんのこと?今日は来てないみたいですけど…」
「ふぅん…そう…でも、なんか足りない気がするのよね~なんだったかしら~彼の隣にいつもいる清楚な女の子は…」
私がそう言うとこのグループの3人は目を泳がせ、私から目を逸らし始めた。
『まさか…しょうもない噂を流して2人を傷つけたのはあなた達じゃないでしょうね?』
私そう言った…すると、また3人の顔色が変わり始めた…汗もかいている…。
「え…ち、違います!私達はただ…噂を聞いたというか…」
「…みんなそう言う。」
私が聞き回った人達はみんなそう言って誤魔化してきた…
『人のことを貶しておきながら、自分が問いつめられるとすぐに逃げたがる…卑怯ったらありゃしないわ。』
「…それは。」
「言い訳なんて聞きたくなーい♪
…とりあえずあの子が部活に来なくなるのはこっちとしても迷惑なの。その話をほかの人間にでも広めたりしたら次は無いことを…肝に銘じなさい?」
そして、私は教室から出ていった。
「ぶちょー流石に攻めすぎですよ~」
「いやだって~こういう時こそ、部長の…いや、生徒会長の威厳を使わないとね♪」ウィンクパチリ
「わーかわいいーすごくいいー」
「ちょっと、あんた馬鹿にしてんの?」
「まさか~♪そんなことないですよ?それよりも、柚くん達が心配ですね…」
「大丈夫よ、彼ならきっと上手くやれるわ。」
~~~~~~~~~~
「…という訳で、あなたの彼女さんの件はもう少し時間がかかるかなー、少し落ち着いてきた感じはするけど。」
「そうですか、ありがとうございます…わざわざ電話して頂いて。」
「んーん、大丈夫よ。それより貴方達は一体どこへいるの?」
「今、大阪のカプセルホテルに泊まってて…」
「大阪!?そんな遠くまで行っちゃったの?」
「えぇ、とりあえず遠くへ行って一緒に気分転換出来ればと。」
「そ、そう…で、貴方の彼女さんは何をしているの?」
「…泣き疲れてぐっすり寝てしまいましたよ。」
隣でぐっすりと眠っている梨子の頭にそっと手を添える…どうして、梨子ばっかりこんな目に遭わなくちゃならないのか。
学校の男子達に強姦されそうになったり、動画で脅されたり…こんな目にばっかりあってたら…嫌になって人と関わるのが嫌になるに決まっている。
でも、そんな梨子はいつまでもこんな俺を信じてくれていてくれる…だから絶対に守ってやらないと…そう思って学校から一旦離れてここへ来た。
「風早くん…風早くん?」
「…あ、はいなんですか?」
「何ぼーっとしているの?、とりあえず決められた日にちには必ず帰ってきなさいよ?理事長に許可を取るのはすごく大変だったんだからね?」
「…うん、分かってる。それまでに梨子をなんとか…。」
そして俺は電話を切った…。
「…私を学校へ連れて行くの?」
「…梨子?いつから起きて…?」
「…いやよ。絶対にいやだ…!」
「でも…そしたらお前の将来…」
「私の将来なんて今はどうでもいい!ただ学校へ行くだけで…私があの時どんな目にあったのか分からずに…私に…私に…沢山の悪口を言い続けて…」
「梨子…!落ち着けって…俺はそんな無理やり連れて行かせるつもりは…」
「いや…!来ないで…それ以上近づかないで…!」
どうして…どうして…?私の味方だと思っていたはずの柚くんにこんなことを言っているの…私…?
『結局ただのスケベなんだろ?』
『ほんとほんと~やっぱり大人しい奴って貪欲なんだよね~』
何…これ…どこからか…知らない人の声が聞こえる…どうして…どうして…?違う…これは柚くんの声じゃない…!
違う…違う…!柚くんは…こんな…こんな酷いこと言わない!
…言うわけ…無いのに…。
「…こ…梨子!」
「…柚…くん?」
「大丈夫か?途中から気を失って…」
「私が…?どうして…?」
「大丈夫か?とりあえず、朝食買ってくるから待っててな?」
「う、うん…」
さっきのは…なんだったんだろう。
「梨子。俺は無理に学校行けなんて言わない…あくまで今は気分転換のためにここに来ているんだ。
そして、少しでも気を落ち着かせるためにここへ来ている。その事を忘れないでくれ。」
「うん…分かっている。」
「…じゃ、買いに行ってくるからちょっと待っててな?」
「…待って。」
「ん?」
「私も行く…貴方のそばから離れるのは嫌なの…」
『お願い…もう私をひとりにしないで…』