Secret Cherry Blossom   作:OCEAN☆S

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そしてあの子は悪魔になる

私は二人の会話を聞いていた。

 

沼津で一緒に暮らす…って。じゃあ同じ学校に柚くんと梨子ちゃんが来るってことなのかな?

 

 

柚くんと梨子ちゃんが学校に来てくれるのは凄く嬉しい…けど…。

 

2人がくっついているところを近くで見るのは正直嫌だ。

 

 

「…どうして思い出してくれないんだろう。」

 

心に思った声が言葉として出てしまった。

 

…なんだかいつもの私じゃないや。

 

 

ベットに寝っ転がり、天井を見つめる…

 

 

聞いた話によると、梨子ちゃんは幼い頃に柚くんに車に轢かれそうになったところを身代わりになって助けて貰ったらしい。

 

そして高校生になって、再会して…柚くんは記憶喪失でも梨子ちゃんは忘れることなく、キチンと覚えていた。

 

そりゃあ二人がくっつくに決まってるよね…。

 

 

 

 

 

 

…私も危ない目に合えば柚くんが助けに来てくれるのかな?

 

この前みたいに…誰かに襲われて辱めなことをされそうになれば…柚くんは助けに来てくれるのかな?

 

…でも、知らない人にヤラシイことされるのは嫌だなぁ…

 

 

 

ちらっと机を見ると、ハサミが置いてあるのが目に入った。

 

 

…このハサミでどこかに傷をいれれば心配になってきてくれたりするのかな…?

 

 

私は起き上がって机の上に置いてあるハサミを握った。

 

 

「……何考えてるんだろ私。」

 

 

 

 

「おーい千歌~!ちょっとお隣さんに荷物届けてくんなーい?」

 

 

私が手首に刃先を当てたその時だった…

 

 

「わかったー!すぐ行く~!」

 

 

その瞬間私はすぐに我に返った…何やってんだろ私…

こんなの本当のバカじゃん…だからみとねえに言われちゃうんだよ…バカちかって…。

 

 

 

~~~~~~~

 

 

「はい、ありがとうね~」

 

 

隣のお家に荷物を届け終わった…何か家に帰りたくないなぁ…ちょっと海でも見に行ってみようかな…?

 

 

…キレイ。

 

悩み事があるときにここに来れば何かが思いつくって気がしたけど…

 

ダメだ…今回は何も思いつかないかも…。

 

 

「どうして…忘れちゃったんだろ。」

 

 

 

~~~

 

 

「お~いちか~!こっちきていっしょにあそぼうぜ~!」

 

「うん!いくいく~!」

 

 

 

……

 

 

「なんでおまえおとことばっかりあそんでんだよ~!」

 

「あ~こいつゆずのことスキなんだ~!」

 

「ち…ちがう…!ちか…そんなんじゃ…」

 

「やめろ!!おまえら!!!」

 

 

 

……

 

「むこうでもげんきでね?ゆずくん。」

 

「うん、ぜったいまた、あいにいくよ。」

 

「ほんと?ぜーったいだよ!?」

 

「うん!やくそくする!あ、そうだ!!これ…やくそくのしるしだよ!」

 

「わぁ…キレイ…ありがとう!!」

 

 

~~~~~

 

 

…私はあの時くれた貝殻のネックレスをギュッと握った。

 

 

約束してくれたのに…。

 

今の柚くんは…私の知っている柚くんじゃないよ…。

 

 

「千歌?」

 

 

月の光に照らされていてあまり顔は見えなかったけど、私の後ろに柚くんがいた。

 

 

「どうして泣いてるんだ?嫌なことでもあった?」

 

「…そんなんじゃないんだ。もう行くね。」

 

 

私は逃げるように、柚くんから離れる…。

 

 

 

 

 

 

 

「…あの時はありがとうな。」

 

 

 

 

…!?

 

私は柚くんの発言に足を止める…。

 

 

「…今…なんて?」

 

「…ついさっき、頭の中によぎった気がしてさ。いつも泣いていた俺を…優しく慰めてくれてありがとうな。」

 

「柚くん…そうだよ…!私…!」

 

「…なのにごめんな。」

 

「え…?」

 

「俺は…あの時…傷ついた心のままの千歌に…あんなに冷たい態度を取ってしまった…。」

 

 

私は柚くんが沼津に帰ってきた時を少し思い出した。

 

 

「…私もごめん…何も分かってない柚くんに…強く当たって…。」

 

「…」

 

「柚くん…?」

 

 

私が柚くんの顔を見つめると…彼は涙を流していた…。

 

 

「…ごめん…君は…俺にとって大切な人だったかもしれないのに…何もしてあげられなくて…」

 

「柚くん…そんなことないよ…」

 

私はハンカチで柚くんの涙を拭く…、

 

 

「大丈夫…私は待ってるから。柚くんが記憶を取り戻して、私が知っている柚くんに戻ってきてくれるまで…ずっと待ってる…。」

 

「千歌…」

 

「…これ、もってて。」

 

 

私は貝殻のネックレスを彼の首にかけた。

 

「…これはね、私にとって大切な宝物なの。それと、大切な思い出でもあるの…。だから…私のことを思い出してくれるまで…ずっと持っててね。それと…」

 

私は自分のかぶっていた麦わら帽子を取って柚くんの目が隠れるくらいにかぶせる。

 

そして…柚くんが何も見えないまま、私は柚くんにキスをした。

 

 

「…これも大切にしてね?」

 

 

 

梨子ちゃん…ごめんね、私はあなたとはいい友達になれないかもしれない。

 

 

…柚くんは渡さない。

 

いや…絶対に絶対に取り戻すから…!

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