Secret Cherry Blossom   作:OCEAN☆S

31 / 31
よぉ…2年ぶりだな…



マジでごめんなさいマジでごめんなさいマジでごめんなさい…


One Light

〜10月9日〜

 

…うん?あぁ、そうか…もう朝なのか。

 

カーテンの隙間から強い日差しが差し込む…。

 

寝ぼけたまま俺はジリリリ…と鳴り続ける目覚まし時計を止めて、時間を見る…。

 

 

9時…2分…。

 

やっべえ…完全に遅刻だ。

 

 

急いで身支度を済ませて、外へ出る。

 

(梨子怒ってんだろうなぁ…流石に会場へ向かっているとは思うけど。)

 

 

バタバタと走りながら改札を通り、コンサートホール方面の本線に向かう。

 

はぁ…はぁ…あと電車が来るまで5分ある…なんとか間に合いそうだな。

 

息を切らしながら階段を登る…。

 

 

「大切な彼女の大事な日なのに、遅刻なんてひどいわね」

 

…?

 

あ…。

 

階段を登った先にキャリーバッグを持った梨子の姿があった。

 

「…その髪型いいね。」

「遅刻したらごめんなさいでしょ?」

 

そう言うと、髪にシュシュをつけてハーフアップにした梨子が。すこし頬を膨らませる。

 

 

「ごめんね、あまりにも似合っていたからつい…。」

 

「どっかの誰かさんが、髪を結ってくれたからね。前に…」

 

前に…?あぁ、ショッピングモールの時のことか…。

 

「覚えててくれたんだ。ありがと。」

 

「別に…あれが気に入ってたわけじゃないんだから。」

 

「ほんとに?あんなにニコニコしながら鏡見てたのに?」

 

「も、もう…!からかわないの!」

 

 

そう話しているうちに電車が来る…。

 

 

 

「そういえば、この時間帯に電車に乗っても平気だったの?」

 

「大丈夫よ、この電車ならまだ集合時間に間に合うわ。次の電車だったらギリギリだったけどね。…って、昨日LINE送ったわよね?」

 

「え…?あ…」

 

「はぁ…もう…しっかりしてよね。」

 

「う…ご、ごめんよ。」

 

「わかってると思うけど、演奏中は寝てちゃダメよ?」

 

「大事な彼女の演奏中に、寝るわけないでしょ?」

 

「遅刻してきたくせに…でも、ありがと。」

 

「?」

 

梨子が顔を近づけてじっと見つめる…。

 

「実は緊張してたけど…柚くんと話せたから緊張もほぐれたわ。」

 

そのまま笑顔を見せる…。

 

「なんか…変わったね前に比べて。」

 

「何が?」

 

「たまに、俺に気を遣って無理して笑ってる時とか…あったからさ。」

 

「そ…そうかしら?」

 

「うん…この一週間で大きく変わったよ。…もう吹っ切れた?」

 

「えぇ、柚くんやみんなのおかげよ…本当にありがとね。」

 

 

〜〜〜

 

 

そして、会場に着き次々にたくさんの人達が、順に演奏をはじめた…。俺は、音楽に関してはあまり知識がなかったから、梨子の出番が待ち遠しかった。

 

 

(あと4人後か…)

 

 

俺は一度座席を離れ、梨子があらかじめ教えてくれた、楽屋室へ向かった。一応出演者の知り合いで、大勢でなければ大丈夫らしい。

 

(部屋番号は19番か。)

 

 

ガチャ…

 

「やぁ、おつかれ梨子。」

 

中に真っ白なドレスに着替えた梨子の姿があった。

 

「すっげえ…綺麗だ…。」

 

「ほ、ほんと?ありがと柚くん。」

 

「あぁ、お姫様みたいだよ。」

 

「も、もう…いつもからかうんだから…///」

 

 

『桜内梨子さ〜んそろそろ出番で〜す』

 

 

スタッフの方が扉を開けてそういった。

 

「じゃあ、俺は席で見てくるね。じゃあ…頑張って!」

 

「ま…まって、柚くん!」

 

「ん?」

 

「少しだけ、手…握ってもいいかな?」

 

「うん…もちろん。」

 

ぎゅっ…と梨子の柔らかい手の感触が伝わる…。

 

「大丈夫…もう震えてないよ。」

 

「あぁ…!じゃあいってらっしゃい!」

 

「うん!」

 

 

俺の手を離し、自信とやる気に満ち溢れた笑顔で、梨子はステージへ向かった…。

 

 

そして…順番が周り、梨子の出番がやってきた…。

 

(大丈夫、辛いことも苦しいこともあった…それでも、私は…柚くんやみんなにたくさん助けてもらった…。)

 

(でも今度は…私がこのピアノで…この音で…柚くんに…感謝と私の気持ちを伝えるんだ!)

 

 

 

梨子がお辞儀をし、ゆっくりと椅子に腰掛け…演奏をはじめた。

 

 

(この…曲…俺がいつも聴いてる…大好きな曲だ…。)

 

 

あの時ずっと怯えていたあの梨子とはまるで、別人のような演奏を披露する…。

 

その姿に俺は涙なしでは見られなかった…自然と涙が溢れてくる…。

 

よかった…梨子は打ち勝ったんだな…!辛い過去に…!

 

 

〜〜〜

 

 

梨子の演奏が終わり、おれはまた、梨子の楽屋室へ向かっていった。

 

 

「梨子!」

 

「柚くん…きゃっ!」

 

俺はそのまま梨子を抱きしめていた…。

 

「ピアノ…すっごい良かった…今でも涙が止まらないくらい…すっごい感動したよ…。」

 

「柚くん…やめてよ…そんな顔したらこっちまで涙が出てきちゃうよ…」

 

「それと…俺の好きな曲…まさか、あの曲を演奏してくれるなんて思っても見なかったよ…。前に弾いてた曲はコンクールの曲じゃなかったの?」

 

「ううん、コンクールの曲だったんだけどね…変えたんだ。」

 

「…どうして?」

 

「…それはね。」

 

梨子が俺の顔にそっと触れ、そのままキスをした…。

 

「柚くんに…感謝の気持ちを伝えたかったからだよ…。」

 

 

 

そして、全ての公演の終了後、結果が会場に提示された…。

 

 

 

 

 

 

『優秀賞』桜内梨子。

 

 

 

 

 

 

 

 




これからもどうかよろしくお願いします
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(必須:5文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。