ドゥンケルハイト・トップ   作:サバ缶みそ味

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 やりたくてやった 超反省しています‥‥

 主人公キャラは4人です


プロローグ こぼれた闇鍋

 時は西暦2138年。

 

 数百年前に子供達に大人気だった不思議なポケットを持つタヌキかネコみたいなロボットの漫画にあったようなハイテクで光あふれる明るい未来‥‥とはかけ離れた世の中。

 

 環境汚染で空は霧に覆われ光を失い、海や川はドブの様に汚染され、人々はアーコロジーの中へと逃げて生活をしている。そのせいか政治と治安、統治、秩序が崩壊し裕福層と貧困層に二分されてしまい、殺伐とした社会に変貌してしまった。

 

 そんな世の中でも俺こと月山浩介は今を弱音も愚痴も吐かずに死に物狂いで生活をしている。なんせいくら下を見たってきりもないし、そんなことをしている場合ではないのだ。生活を続けるためにも今を、明日を見て生きなければならないのだから。

 

 しかし、尽きる事の無い労働でやつれていく人々にも救済があった。それは娯楽だ。

 

 巨大複合企業が制作したDMMO-RPGというものだ。その中でも爆発的な人気を誇り、日本は勿論世界中に注目を浴びたのは『ユグドラシル』。人間種、亜人種、異形種と700もの豊富な種族に、2000を余裕で超える職業、好きなアバター作成はおろか数えきれないほどの魔法や技‥‥と底を尽きないゲームだ。

 

 そして何よりも人気だった理由は仮想世界内で現実にいるかのように遊べる事だ。好きなキャラになりきり、ある時は冒険、ある時は戦闘、ある時はビルド、と非現実的だが未知で魅力的なゲームだった。

 

 

 そして今、俺はそのユグドラシルをプレイしている真っ最中だ。

 

 猛毒の状態異常を与える紫毒の毒沼の奥地にあるグレンデラ沼地にある遺跡跡地みたいな場所で突っ立っている‥‥否、観戦をしている。

 

 視線の先には遺跡跡地の入り口の前で超位魔法を絶え間なく放ち続けている大魔法使いチックな黒い装束の骸骨ことアンデットとそのアンデットが放った魔法を龍の頭が付い盾で防ぎ、金色の斧で弾き返している半裸筋肉鉄仮面の激戦を繰り広げているのだ。

 ある時はアンデットの放った魔法が直撃し、ある時は半裸筋肉鉄仮面が接近して金色の斧の一撃を与えたりとどちらも引けを取らない死闘をしている。ここで助太刀するのは野暮だし、あの二人には失礼だ‥‥が、半裸筋肉鉄仮面の体力が半分に達した。勝負ありだな。激闘の真っ最中に水を差してしまうのは悪いが止めないと。

 

 片手にノコギリナタ、片手で防壁魔法を展開して二人の間へと一気に駆けだす。

 

 

_

 

「はい、そこまで」

 

 放った朱の新星<ヴァーミリオンノヴァ>を幻想封殺<イマジナリーキャンセラー>で打ち消され、目の前に振り下ろそうとされていた金色の斧をノコギリナタで止められた。勝負を割り込まれたことに一瞬驚いたが、決着がついたことに気づいて冷静になった‥‥のだけど、あっちの方はカンカンに怒ってるみたいだ。

 

「おぉい!?ブラッド‼なんで止めやがる‼」

「言っただろ、アダー。どっちかが先に体力半分になった方が負けってルールだって。そんで決着がついた。モモンガさんの勝ちだ」

 

 そうだった。『どっちかが体力半分になったら負けな!』と決めての勝負だった。久しぶりの激戦だったからついつい夢中になっちゃったよ。

 黒く尖った帽子を深くかぶり、口はマスクで隠れ、薄汚れた黒緑のコートを着た男性‥‥ブラッドさんは嬉しそうに頷いた。

 ブラッドさんは異形種アバター『月の魔物<ムーンビースト>』のグレートハンターだ。かつて数百年か前に流行っていたゲームのキャラクターをモチーフにしているらしい。モチーフ元となったゲームのコラボイベント『血月闇魂・心折迷宮』とかいうイベントが開かれたくらいだ。

 

「流石モモンガさんだ。やっぱり強いなー」

「いやいやそんな、俺の魔法の発動が遅かったらアダーさんの勝ちでしたよ」

 

 お世辞ではなくホントに一手一手を慎重に見極めなければならない戦いだった。一歩間違っていたらあの金の斧<ゴールデンアックス>の一撃を諸にくらっていただろう。角のついた鉄の兜をかぶり、逞しい筋肉を見せる大男ことデス・アダーさんは駄々をこねる子供の様に仰向けでジタバタしだていた。

 

 デス・アダーさんは異形種アバター『半魔巨人<ネフィリム>』のヘルタイラントだ。

 

「ねーもう一回勝負しよー!もう一回やろー!も゛っ゛がい゛‼」

「おバカ。そんなする時間はないっての」

 

 ブラッドさんは駄々をこねる子供を叱る親のようにビシッとデス・アダーさんを叱る。ブラッドさんの言う通り‥‥もう時間がないのだ。

 

 かつて大盛況で栄えていたユグドラシルは時を流れるにつれプレイヤーの数が減っていき、過疎状態に。そして今日この日をもってユグドラシルは配信サービスを終了し幕を下すのであった。

 

「‥‥この日まで、このアインズ・ウール・ゴウンに最後まで真剣に付き合い、挑んでくれたのはアダーさん達だけでした」

 

 ユグドラシルで異形種狩りによるPKが多い中、異形種で結成されたギルド『アインズ・ウール・ゴウン』と同盟を組み、理解してくれたのはアダーさん、ブラッドさん達の亜人、異形種で結成されたギルド『ドゥンケルハイト・トップ』だけだった。

 時にイベントや最難関ダンジョンを協力して攻略したり競争したり、時に攻防を繰り広げたり‥‥そして1500人のプレイヤーによるナザリック襲撃時は救援に駆けつけてくれたりナザリック内の修理復興に協力してくれたりした。本当にアダーさん達には感謝しています。

 

「毎日にナザリックに遊びに来て、一緒に冒険したり‥‥ギルドメンバーが次々と去っていく中でずっと付き合ってくれて嬉しかったです」

 

「ややや、モモンガさん頭を上げてくれ。後生の別れじゃないんだからさ」

「ブラッドの言う通りだぜ。ユグドラシルが終了してもまだまだ遊べるゲームはある。今度は俺達で新しいギルドを立てて、ナザリックのような‥‥いや、ナザリックを復活させようぜ!」

 

 

 ブラッドさん、アダーさん‥‥本当に、本当にありがとうございます‥‥

 

「っと、ヘロヘロさんがログインしたみたいです。会いに行かなきゃ」

 

「そっか‥‥俺達もそろそろギルドに帰ろうか」

「おう。もしかしたら俺達のメンバーもちゃっかりログインしてるやも‥‥そだ、モモンガさん。来週にアインズ・ウール・ゴウンの面子とドゥンケルハイト・トップの面子でオフ会をやるんだぜ」

 

「えっ!?」

 

 アダーさんが豪快に笑いながら告げた言葉に驚愕した。俺の知らない間にそんなことが行われるようとしていたのか。するとブラッドさんが慌ててアダーさんを叩く。

 

「ちょ、アダー‼それはモモンガさんへのサプライズプレゼントにしておくはずだったろ!?」

「いいじゃねーか、勿体ぶってちゃ面白くねえし。だからさモモンガさん、楽しみに待っとけよ?なんとサプライズゲストにたっry」

「わーわーわー‼それ以外の言ったらサプライズにならないでしょうが‼」

 

 ブラッドさんが物凄い速さで沈黙の怨念<サイレントヘル>をアダーさんにかけた。喋ろうとしたアダーさんは沈黙状態になって喋れなくなった。ど、どんなサプライズなのか少し気になるがここは楽しみに待つことにしよう。

 

 

「じゃ、じゃあそゆことで‼モモンガさん、また今度会おうね!」

 

「は、はい‥‥ブラッドさん、アダーさん、また会いましょう」

 

 ブラッドさんとアダーさんはマジックアイテム『キマイラの翼』を使ってギルドへと帰っていった。俺もヘロヘロさんのもとへ行かなきゃ。

 

 あの人達のおかげで毎日が楽しかった‥‥かつての盛況を誇っていたアインズ・ウール・ゴウンの時の様に‥‥そうだ、楽しかったんだ‥‥

 

___

 

「いやー‥‥ずいぶんとうちの所も過疎っちまったなー」

 

 アダーと俺は俺達のギルド『ドゥンケルハイト・トップ』拠点である針山の山脈の奥地にあるギルドホーム系ダンジョン『ルルイエ地下迷宮』の中の最下層にある『逢魔の王間』というギルメンの悪ふざけで作った場所でかつての頃を懐かしんでいた。

 

「ここにいるとあの日々を思い出すな‥‥」

 

 ここでダンジョン攻略の会議を開いたり、悪ふざけをしたり、ガチの喧嘩をしたり‥‥泣いたり笑ったりと色んな事があった。メンバーが増えた日もあれば、去った日もあった。

 

「なあ、ブラッド。まだやってない事があるんだが」

「うん?何かやり残したことでもあるのか?」

 

 ふとアダーが言い出して来た。何かやり残したことがあるのかと俺は首を傾げるが、アダーは王間の隅に立っている長い金髪で白いドレスを着たナイスバディのNPCをマジマジと見ていた。

 

 このNPCはセブンミッドナイトさんが作ったアルク・スカーレットムーンと名付けられた『死祖<オリジン・ヴァンパイア』であり、各階層の守護者統括を務めるルルイエ地下迷宮のNPCの中で最強の魔力を持つ。

 

 

 そんなアルクをアダーはマジマジと彼女の谷間を見つめた後、俺の方に顔を向ける。鉄の兜で顔はよく見えないが、恐らくリアルでは気持ち悪い笑顔をしているのだろう。

 

「おっぱい触ってもいい?」

「このおバカがっ‼」

「あわびゅっ!?」

 

 

 聞いた俺がバカだっと後悔しながらアダーを思い切り殴る。ユグドラシルは18禁に触れるようなことはご法度。触れてしまえば運営に即アカウント削除されるのだ。

 そしてこのおバカことデス・アダーは本当は性欲の塊のド変態だ。ネカマだった殺生inさんや数少ない女性プレイヤーのひとりスキマムラサキさんにガチ告白した事もあった。内容はいきなり『子・づ・く・り♪しましょ!』と謳いだすくらい惨劇だったよ‥‥ほんとそれで通報もせずギルドを去らなかった皆の優しさも垣間見れたけど。

 

 

 というかこんなことしている間にもそろそろサービス終了の時間が近づいてきてた。ふざけてる場合ではない。

 

「もうすぐ終わる‥‥皆が一生懸命に作ったこのギルドも、NPCも消えちまうのは本当に申し訳ないな」

「しゃーねえって。いずれ訪れる日が来ちまったんだ。それに楽しかったんだからいいじゃないか」

 

 アダーは笑いながら背中を叩く。ダメージ入ってるんですけど。だけどアダーの言う通り、楽しかった。この日々は忘れることは無いだろう‥‥

 

 

「ありがとな、アダー‥‥」

「こっちこそ。リアルでも遊びに来いよ?おっ、カウントダウンに入ったぞ。ブラッド、最後にあれやろうぜ?」

 

 アダーは金の斧<ゴールデンアックス>を掲げ、俺はその意図に頷いてノコギリナタを掲げる。二つの刃がぶつかりキンッと火花を散らして音を響かせる。

 

「「ユグドラシル万歳!ドゥンケルハイト・トップ万歳っっっ‼‼」

 

 

 そうだとも。このゲームが終わったって、俺達の『ドゥンケルハイト・トップ』は永劫に不滅だ。ずっとずっと思い出はこの胸の中に‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「あるぇ?」」

 

 

 ‥‥‥おかしい。もうとっくに次の日の時間帯になって、画面はブラックアウトするはずなのに一向に変化がない。インテリアで置かれた時計は動いている。さ、サービス終了と見せかけて『ユグドラシル2』でも始まったドッキリなのか?そう思い、運営のお知らせを見ようとしたのだが異変に気付いた。

 

「な、何だ…どうなってんだ‥‥!?」

 

 コンソールはおろかチャットもGMコールもそしてログアウトもできない。気づけば自分の声も変わっているし、感触もある。一体何がどうなっているんだ!?

 

「た、大変だブラッド‼」

 

 混乱している最中にアダーが大騒ぎしだした。何だろうかアダーがいつもより迫力というか気迫というか雰囲気が変わっている気がした。

 

「アダー、何か気付いたのか!?」

 

「俺のご立派様がいつもよりもすげえご立派様になっててマグナムマンモスみたいでやべぇ‼」

 

「ちくしょう聞いた俺がバカだった」

 

 このおバカのおかげか冷静になれた。勿論、すぐに殴ったけど。ゲームになかった人を殴るような感触やアダーが「ぎゃふん」と言ってのたうち回るように痛みがある‥‥俺達の身に何が起こったんだ‥‥

 

 

「あの‥‥ブラッド様、デス・アダー様、どうかなさいましたか?」

 

「「ほへ?」」

 

 突然かけられた声に俺とアダーはキョトンとして声のした方へと恐る恐る振り向いた。そこには先ほどまで微動だにしなかったNPC、アルク・スカーレットムーンが動き、心配そうな表情でこちらを見ていた。

 

 

「「しゃ‥‥しゃべったぁぁぁぁぁぁっ!??」」

 

 

 なんということでしょう。普段、喋ることのないNPCが声を発し、表情を持ち、会話をしてきたのだ。これはもう本当にただ事じゃあない。

 

 

 

 




 デス・アダー‥‥ゴールデンアックスというゲームに登場する敵キャラです。某動画のとあるごちゃ混ぜ格闘ゲームではブロッキングのヤバイキャラに。あと変態の暴君とか

 \コロンビア/

ブラッド‥‥みんな大好きブラッドボーンから。友達に進められてやってみたら初見はSAN値直葬に。でも楽しい。漁村はこわかったけど

 人形ちゃんかわいい

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