明朝に集合とは言っていたが、そいつらは既に来ていた。
「あ、おはようございますガガーランさん!」
ブライの奴は俺らが来たのに気づいてにこやかに軽くお辞儀してきた。となりのお供のバンビはうつらうつら眠たそうにしているのだが‥‥
「随分と早いじゃないか、いつから来ていたんだい?」
「日の出前くらいですかね」
いや早いよ、真面目か。まあ早く来てくれた方が仕事も早く済むからいい。
「ところで蒼の薔薇の方々はガガーランさんと‥‥」
「ああ紹介し忘れてた、こいつはティナだ。他のメンバーは少しばかり手が空いて無くてな、まあ俺とティナの2人でも十分な任務だから心配すんな」
「よろしく、お前達の事はガガーランから聞いている」
よろしくとブライは挨拶するとティナを物珍しそうにまじまじと見ていた。なんだ?忍者を見るのは初めてなのか、その職業が珍しいのか?
「任務の荷物は屋敷の庭に置かれている。すまないが取りに行ってくれないか?」
「チラリと見ましたがあの荷車に連れているやつですね?すぐに取りに行きますんで!」
ブライの奴は鼻歌まじりに屋敷へ入り荷車へと向かった。俺とティナはあいつを見送ったが途端にティナがため息をついた。
「本当に只者じゃない奴なのか?」
「まー‥‥そうらしいがな」
「拍子抜けだぞ、特に奴の武器を見てみろ」
ティナは呆れながらチラリとブライの携えている武器を見る。ブライの武器はバンビって子が携えている軍刀みないた刀とは違い、鉄製の太めのステッキだ。殴打にしか使い道がない、寧ろ戦闘には向かないステッキを何故持っているのか見当がつかない。
場違いだとティナは呆れているが、俺はどうも引っかかる。何か隠しているのではないか、戦士としての勘がやけに鼻を利かせていた。
「まあどちらにしろ、奴等を見定めるのは変わりはないぜ?」
「‥‥わかった。鬼リーダー達に決行と伝える」
ティナはこっそりと合図を送る。屋敷の二階、隅の窓のカーテンが揺れた。ここはラキュースのお屋敷、奴等の行動を監視するために待機している。ラキュース達は遠くから気づかれないようについてくる予定だ。
「お待たせしました!さあ参りましょう!」
ブライはウキウキ気分で荷車を引いてやって来た。随分と楽しそうだな‥‥まあいい、お前さんの化けの皮、剥がせてもらうぜ。
____
「それで俺の知り合いに忍者やってた人がいまして、その人は『~でござる』とか『ニンニン』が口癖なんですがこちらでは忍者ってみんなそんな口調なんですか?」
「い、いや‥‥聞いたことが無い」
本当にこいつは何なんだろうか‥‥目的地に向かう道中、ブライは半日ずっと楽しくしゃべっていた。辺りの景色を楽しみながら、俺ら蒼の薔薇の功績を尋ねたり、よくわからない事を尋ねてきたりと口数は全く減らない。
流石のティナも動揺している。いままでこんな相手はしたことないだろう。それにしても面白いほどはしゃぐなこいつ。ティナは嫌がっているようだが俺は悪い気はしない。退屈そうにしているバンビにちょっと聞いてみるか。
「なぁ、あのブライってのはあんな調子なのか?」
「‥‥ブライ様…さんは慈悲深きお方であり探求と人を何よりも愛すお方よ。私達を害さない限り、お怒りにはならないわ」
「お、おう‥‥」
バンビは無愛想に告げるとそっぽを向く。言っている意味はよく分からないが、要は優しくて探検好きってことか?なるほどよく分からん。
「私達の為なら骨身を砕いてお勤め続ける誰よりもお優しいお方、だから私は力になるべく忠誠を誓っているのよ」
バンビの話を聞くからして、どっかの没落した貴族か騎士なのだろうか?それなら生活するために金がいると合点はつくがそれが理由だとは思えない。または元ワーカーだったのだろうか、いやいくら理由が思いついたとしてもどれも当てはまらない。
「お?もしかして目的地の村ってあれですか?」
ブライは気づいて指をさす、草原のど真ん中に建つ木製の壁に囲まれた物見櫓がやけに多い村があった。あの場所が八本指の連中が麻薬を製造している隠れ家のひとつ、今回の征討任務の場所だ。
「ああ‥‥あれが目的地だ」
「それじゃ早速向かいましょう。夕暮れになってますしあちらで夕飯にします?」
「あー…ブライ、悪いんだが先に行っててくれねえか?」
ハテナとブライは不思議そうに首を傾げる。本当に疑う様子すら見えないから余計に罪悪感を感じた。俺に見兼ねてティナがジト目でブライを見つめる。
「この周辺に凶悪なモンスターがうろついていると情報があった。私達は見回りをしてから向かう、お前達は荷物の安全を優先しろ」
「なるほど…暗くなってきてますし気をつけてくださいね?」
自分の身の心配よりも相手の身を気に掛けてきた。本当に変わった奴だな‥‥
「それから村人たちは野盗の襲撃があって警戒している、合言葉を言わない限り入る事はできない。『バジリスクの瞳の色は』と聞かれたら『石化の瞳』と答えろ、来た目的を尋ねられたら『例の荷物を届けに来た』と言え。そうすれば中へ入れてもらえる」
これはラキュースとイビルアイが事前に入手した八本指の麻薬取引する連中の合言葉だ。こいつ自身すでに知っている可能性はあるかもしれないが、別に言っても構わない。ブライは何の疑いも無く潔く了解してくれた。
「分かりました、失礼ながら先に行かせてもらいますね」
「おう、気をつけてな‥‥」
さて、問題はここからだ。ブライ達が八本指の仲間か、そうでないかこれではっきりできる。奴等が八本指ならば既に控えているラキュース達と合流し一気に攻めて捕える。
「ガガーラン、情に流されるなよ?」
ティナがジッと睨んで慎めてきた。そんなことは百も承知だ、奴は演技で俺達を騙しているかもしれない。ただバンビが言っていたことがどうも拭えない。
もしあいつらがただの冒険者だったら‥‥八本指の連中は騙されたと怒りブライ達に襲い掛かってくるだろう。いくら強いと言われても複数相手じゃ敵わない。薬漬けにされて殺されるかもしれない‥‥あいつらが冒険者ならば真っ先に助けてやらねえと‥‥!
___
「どうして私達を先に行かせるんですかね‥‥全く、失礼な連中です」
バンビはプンスカと怒りながらチラリと遠くにいるガガーランさん達を睨んだ。
「仕方がないさ、俺達になるべく危ない目に遭わせないように気を遣ってくれてるんだろう」
相手は俺達よりも遥か上位の冒険者で上位の任務に低ランクの冒険者をも同行させてるいるのだ、彼らに危険が及んでしまった時に死なせてしまってはいけない。だからこそ安全を優先して俺達に先に村へ入るよう指示したのだろう。
「今は俺達を心配してくれてるガガーランさん達の好意を受けないとね」
「むぅー‥‥絶対ブライ様の方が強いのに!」
「郷に入っては郷に従え、この世界でのルールに順応していかないと」
さてさてそんな事を話してたら門前に着いた。ノックした方がいいのかとちょっと戸惑っていたら真上の物見櫓から松明の光が。見ればこちらに弓矢を構えている人達の姿が見えた。
「てめえ、何もんだ‥‥‼」
はて?村人の方々なのだろうか、どうもみんな荒くれ者のような形相をしてるなぁ‥‥いや、見た目で判断しちゃいけない。きっと村の用心棒か力自慢な人なんだろう。相手は警戒しているってティナさんが言ってたんだ、敵意がないことを示さないと。
「えーっと、例の荷物を届けに来ました!」
俺の答えに村の人達はピクリと反応した。荷物の中身は見ちゃいけないって言われてたけど、もしかして支援物資なのかな?野盗とか凶暴なモンスターに襲われて荒らされたとか、または中で病気が流行ってるとか?
「例の荷物‥‥おい!合言葉を言え!バジリスクの瞳の色は?」
「石化の瞳、でしたっけ?」
合言葉を答えると村人たちはざわざわと話し合いだした。え、えーと…もしかして間違ってた?
「よし‥‥ちょっと待っていろ‼」
物見櫓にいた村人たちはドカドカと音を立てながら降りていく。直ぐに開くのかなと待っていたが中々開く様子がなく、何やら村の中の方でざわざわと騒がしい声が聞こえてきた。あれなのかな?歓迎の準備だったりして。
ちょっと期待に胸を躍らしていると漸く門が開いた。美味しいご飯でも用意しているのかなと思っていたがそんな様子は無く、大勢の武骨でいかつい面の男達が低く笑いながら待っていた。みんな剣や斧やら武装してるし、本当に村人?あ、もしかして戦闘民族の人達なのかな?
「へへへ…新参者か?待っていたぜ」
村長さんかな、ガガーランさん程ではないが逞しい体つきの男性が不敵な笑みを見せてやってきた。確かに新参者だけど‥‥
「じゃあさっそく荷物を見させてもらうぜ?」
村人の一人が荷車に近づいて木箱を開けた。気になっていた中身だったが‥‥木箱の中にはなんと何も入っていなかった。不審に思った村人は麻布の袋も荒々しく開ける、同じくその袋の中身も空だった。
「なっ!?何も入っていねえじゃねえか!?」
「おいてめえ‼どういうことだ!?」
「およよ?どうもこうもさっぱりですね‥‥」
村人達も驚いていたが俺も驚いていた。ガガーランさん達も気付かなかったのだろうか?それとも貴族さん達のミス?
「おい!ライラの粉末はどうした!?それからタマイの葉や苗もねえじゃねえか!?」
「「粉末?葉っぱ?」」
俺とバンビはハテナと首を傾げた。もしかしてそれが持ってくるべき荷物だったのかな?なんのことだかさっぱりわからん。すると村人の一人が俺を見て何か気付いた。
「アッ!こいつアイアンのプレートを持ってやがる!こいつ、冒険者だぞ‼」
すると村人たちが一斉に警戒して武器を構え出した。え?冒険者に家族でも殺されたの?というかこの人達本当に村人なのか?なんだか怪しくなってきたな。
「はっ‥‥どうやって嗅ぎ付けたかわらねえが、手柄と金と名声に欲が眩んだ雑魚か」
「俺達を八本指と知っててたった二人で乗り込んできたのかぁ?」
ゲラゲラと村人達は嘲笑いながら俺達を囲んでいく。八本指?それはよく分からないが漸く分かった、所謂悪の秘密結社的な奴等か。王都内を夜回りして探索した甲斐があった。
どんな国でも光があれば影もある。栄えている場所があれば貧しい場所があり、治安がいい所があれば悪い場所がある。夜中も王都を歩き回ってみて、娼館みたいな所があったり薬中毒で路地裏で倒れている人もいたりときっとマフィアみたいな組織があるのではないかと考えていた。それが八本指か‥‥いい情報を得ることができた。
「それで、俺達をどうするつもりだ?」
「お前は十分に痛めつけたら薬漬けにしてやるさ。最高な気分で天に召されるぜ?そんでそっちの女は中々の上物だからなぁ‥‥好きなだけ犯してから奴隷売買の連中に売り飛ばしてやるさ。なぁに十分可愛がってくれるぜ」
なるほどなるほど‥‥みんなバンビが好きなんだなぁ‥‥バンビの方はもう殺る気満々で準備万端のようだ。
「ブラッド様、どうします?」
「アダマンタイトの冒険者にはこういった組織の討伐の任務があるって聞いたことがあるしね‥‥バンビ、懲らしめてやりなさい」
___
ラキュース達と合流し静寂になっている奴等のアジトの襲撃の準備に移る。見張りはいないようだ、俺とラキュースは門前へ、ティナとティアは気配を消して物見櫓へと目指す。
「彼はうまくアジトへ入ってくれたわね‥‥」
今頃連中は空箱に驚かされているだろうに、ブライが奴らの仲間なら俺達が来ていることを告げて裏へと逃げる。裏側で待ち構えているイビルアイと戦闘になっているだろう。もし八本指の仲間じゃなかったら‥‥
その時、村の中から爆発が起きた、連続した爆音が喧しく響き地を揺らす。いきなり何が起きたのか驚きを隠せなかった。
「何の爆発だ!?」
「奴らのアジトの方よね‥‥!ティナ、ティア!様子が見えるかしら!」
「鬼ボス、奴等が怒ってブライとバンビに襲い掛かっている‥‥!」
これであいつらが八本指じゃないという事ははっきりした、だが今は安堵している場合じゃない。いくらアイアンの冒険者でも大勢で襲い掛かられてたら一溜まりもない、急いで助けに行かねえと‥‥!
「ティナ、ティア!急いで門を開けろ!もしくは俺がぶち壊してあいつらを助けに行く‼」
「‥‥いや、その必要がない」
ティナの言葉に咄嗟に驚いて睨んでしまった。まさか間に合わなかったのか‥‥!?
「どういうこと‥‥?」
「あいつらあの数に渡り合ってる‥‥いや、たった二人で一掃してる」
‥‥は!?言ってる意味が分からねえぞ!?たった二人でそんなことができるわけがない。
「ガガーラン、兎に角今は彼らを救援することを優先するわよ!」
そうだ、兎に角今は助けに行くことを優先しねえと。鉄砕きで思い切り門をぶち破って中へと突撃した。何時でも戦えるようラキュースも駆けるが目の前の光景に俺達は足を止めてしまった。
ティナの言う通り、ブライとバンビの2人で襲い掛かて来ている連中を軽々とあしらっていた。バンビは軍刀で斬り倒し、片手で魔法を唱えていた。今放たれたのは第3位階魔法『火球《ファイヤーボール》』‥‥のはずなんだが、着弾すると物凄い爆発を起こした。い、今の本当に『火球』なのか?あんな爆発なんてしないはずなんだが‥‥
ブライの方は、携えていた鉄のステッキを使って相手を叩き、突き、撃ち払いと軽々と相手を打ちのめしていく。そんなブライに向けて奴等は四方から一斉に飛び掛って来た。いくら鉄のステッキでもこれでは相手にできない。今度こそ助けなければ、そう思って駆けようとした。その刹那、ブライは鉄のステッキを思い切り縦に振った。
その瞬間、鉄のステッキが何枚も連なる刃をもった蛇腹剣へと変貌した。振りますように振るうと鞭のように撓り四方から襲い掛かって来た敵を切り刻んでいく。あれはただの杖じゃない、仕込み杖だったのか…‼
なんて面白れぇ戦い方をしやがる、ここでぼさっと突っ立っている場合じゃねえな!俺は居ても立っても居られず思わず駆け出していた。
「おらぁぁっ‼」
ブライの背後へと飛び掛ってきた奴をフルスイングでかっ飛ばす。俺が来たことにブライは目を丸くしていた。
「ガガーランさん!ここ八本指とかいうアジトだったみたいので正当防衛は問題ないですよね!」
「おうよ、もとより知ってて来たんだからよ!説明は後だ、ここを一掃してこのアジトの偉い奴を捕まえるぞ!」
ラキュース達も加わり麻薬製造所及びアジトの破壊と征討、ここの親玉は裏口と逃げていたが待ち構えていたイビルアイに捕まりあっという間に終わった。
「ほんっっっとうにごめんなさい!」
ラキュースが代表して頭を下げた。ブライ達が怪しくてもしかして八本指の仲間じゃないかと疑っていた事、任務と称し二人を囮にして使わせたこと等々、事情をブライに全て話した。
「成程‥‥そういう事だったのですね」
ブライは納得して頷いていたが、バンビは「ブライ様を騙した」と殺気を放って俺達を睨み付けていた。今すぐに襲い掛かって来そうな勢いではあったがブライに静止されている。
「まあ仕方が無いことですし、気にしないでください」
「え、怒っていないのですか‥‥?」
怒る様子が全く見えないブライにラキュースがキョトンとした。怒ってなかったら本当にどんだけお前は聖人君主なんだよ‥‥
「そりゃまあ気に障ることですが、俺達も貴女達に怪しまれるような事をしたからこちらにも非がある。ですのでお相子でいいんじゃないですか?」
ブライは本当にあまり気にしていなかったようだ。それでもこちらの非が大きい、ラキュースは少々戸惑っていた。
「で、ですが貴方達を危ない目に遭わせてしまったのですよ?」
「覚悟の上ですし突っ込むのは好きですね、それにこれで報酬が貰えるのですから」
「ところで報酬で手に入れたお金はどうするんだ?」
俺達がずっと気にしていることをずっと黙って見ていたイビルアイが尋ねた。ブライは悩む様子すら見せずニッコリと笑う。
「(今後の活動の資金やお小遣いで)困ってる大事な仲間や子達に送るんですよ」
ブライの答えと笑顔で漸く分かった。こいつは生活に貧しい子供達や人達の生活の為にただ只管クエストを受け続けていたのか。本当にこいつはどれだけ優しいバカ野郎なんだ‥‥そんな奴を俺達は危ない橋を渡らせた。ラキュースも理解したようで頭を下げさ。
「そうだったのね‥‥せめて何かお詫びをさせてちょうだい、このまま無かった事にするのは気がすまないの」
「そうですね‥‥でしたらまたクエストに誘ってください」
「そんなのでいいのか?ラキュースならポケットマネーで賠償金を渡せるぞ?」
「ちょっとガガーラン!」
ラキュースはプンスカと俺にポカポカと叩く。軽いジョークだっての。
「冒険したり皆さんとクエスト受ける方が楽しいので、今後とも御贔屓によろしくお願いします」
「ははは!ブライ、お前本当に面白い奴だな!気に入った、俺が抱いてやろうか?」
「あ、それはいいです」
即答しやがって、遠慮すんなっての
____
「やっぱり3割でも結構な報酬だな」
王都へ戻った俺はルンルン気分で星空が綺麗な夜の街中を歩く。思った以上の量の報酬で嬉しいのだ、蒼の薔薇の人達もみんないい人だったしまた今度一緒にクエストを受けたいくらいだ。
そういえばとチラリと後ろ見る。後ろではバンビが不機嫌そうについて来ていた。まあしょうがないか、俺はあまり気にはしていなかったが、バンビはとても怒ってたし。
「バンビ、もう許してやってくれないか?」
バンビはムスッと頬を膨らませてプンスカと怒りだした。いや泣いてるのか?いや怒りながら泣いてるのか?
「許さないです!至高の御方を騙し、剰え捨て駒として扱い、ブラッド様を危ない目に遭わせた所業!あいつら絶対に許さないもん!」
「しょうがないさ、俺達では当たり前だったことがこっちでは異常だった。それに気づけなかった俺が悪い」
ユグドラシルじゃ複数のクエスト受注はランク上げするのに当たり前だったが、あっちはゲームだからこそ出来た事。この世界じゃやり過ぎてはあの様な人達に怪しまれてしまうようだ。うん、こちらでは当たり前であることや常識を無暗に押し付けるべきではないか‥‥注意しないと。
「だから俺に免じて許してはくれないか、バンビ?」
「うぅ‥‥ブラッド様は優しすぎます、あんな人間に情けをかける必要ないですよ‥‥」
「人間だからこそだ。あの人達は、この世界ではいい人達だ」
人間というものはいい人と悪い人がいて、それがとっても複雑に絡み合っている。なので見分けが付けることなんて難しい。でもガガーランさん達の顔や活気を見てみるとはっきりと分かる。
「そうだな‥‥俺達ドゥンケルハイト・トップやモモンガさん達アインズ・ウール・ゴウンに攻めてくるプレイヤーにはな、『異業種狩りを狩る物騒な奴らだからぶっ潰しちまえ』と中指立てるプレイヤーもいれば『楽しかった!また挑戦したい!』と喜んでくれるプレイヤーがいる。アインズ・ウール・ゴウンの1500人の襲撃時やドゥンケルハイト・トップへの二次襲撃時、本気でギルドをぶち壊してきた奴もいれば襲撃後一緒に修復や支援をしてくれた奴もいた‥‥そんな感じかな?だから俺はいい人間も悪い人間も全部ひっくるめて好きだ」
「‥‥わ、私にはまだよく分からないです」
「じっくり理解していけばいいさ、考えてたらきりがないくらいだし人間というのは複雑なもんさ。あ、でもバンビ達に害を及ぼす奴には容赦ないけどな」
「でも‥‥ブラッド様はお優しいから、無茶だけはしないでください‥‥」
バンビはキュンと上目遣いで見つめてくる。まさかここまで心配してくれるとは‥‥可愛いなちくしょう、バンビをわしゃわしゃと撫でてあげた。
「心配してくれてうれしいぜ。そうだバンビ、報酬もたっぷり貰ったし贅沢に豪華な料理とスイーツ食いに行くか!」
「え!?い、いいんですか‼やったーっ!」
先ほどまでの怒りと心配が嘘のように消え、バンビは大喜びではしゃいだ。まあ今回は手伝ってもらたんだ、たんとご褒美を上げないとな。この辺りで一番値段の高く料理もうまいと言われているお店へと向かった。
尚、貰った報酬の8割を使ってしまい、その後ノッブに「ワシも連れてけよバカ野郎」とプンスカと怒って説教を滅茶苦茶くらった
ノッブはお金を使われたことよりも美味しい料理をたくさん食べたかった模様
仕込み杖のモーションや仕組みとか、蛇腹剣とかロマンがあって好き