「はっはっは‼いやーノッブさん大勝利じゃったな‼」
「ええもう輝かしい大活躍でしたねノッブ様‼」
ノッブは満足そうに高笑いをし、バンビが目を輝かせ大喜びしだす。やっと王都に帰ってきた時にはもう日も沈んで夜中だ。漸く着いたと俺はほっと安堵する。
簡単なモンスターの討伐をしこれから帰るとういうのに、ノッブが『物足りない』とか言いだしてさらに北へと遠出し他のモンスターにも戦いを挑んだり、あちこち調べ出したり、道端に生えてるキノコ食べたりとあっち行ったりこっち行ったりと縦横無尽に駆けだして大変だった。
「後はギルドに行って報告したらクエスト完了だ‥‥あー長かった」
「のうブラッド、報酬もろうたらそのお金で一杯飲みに行こうか!」
「ダメでしょうが。貰った報酬は村や竜王国にいるデス・アダーと帝国調査組の資金なんだからな‥‥っておや?」
ギルドへと向かおうとしたのだが街の様子がおかしい。あちこちから逃げ惑う市民、市民を誘導したり大勢引き連れて何処かへ向かおうとする騎士や冒険者達。特に騎士達は緊迫した面持ちの様子。というか遠くから何か地響きとか甲高い奇声みたいなものが聞こえてくるんだが‥‥
「なんじゃろなぁ?お祭りでもしとるんか?」
「お祭りならこんな慌ただしくないでしょ」
家族で荷物を担いで逃げる者や急ぎ馬車に乗り込む者、なんかこの世の終わりだとかこの国はもうダメだとか叫んでる者と見るからしてどうやら尋常じゃないことが起きているようだ。兵士達も大勢何処かへ向かっているようだし何事なのだろうか‥‥
不思議に思っていると、ペルガさんが荷物抱えて大急ぎで駆けつけてくるのが見えた。
「ブラッドさん!ノッブさん!ここにいらしたんですね!」
「おぉペルガ殿、これは一体何のお祭りなんじゃ?」
「ま、祭りどころじゃないです‼い、急いで王都から脱出しましょう!」
へ?ここから逃げる?ペルガさんの焦り様から事態は深刻な状況だと漸く知ることができた。まさかどっかの国か場所でプレイヤーがいて、世界征服だとか言いだし手始めにこの王都に侵攻し始めたとでもいうのか?
「ペルガさん、一体何が起きたのですか?」
「お、王都の街に巨大な黄金のモンスターが現れて破壊しつくしているんだ‼」
巨大な黄金のモンスター?しかもそれが突然現れて大暴れしていると。この世界でも巨大なモンスターが存在するのか‥‥いやしかし、そんな物が突然現れるはずがない。巨大ならばすぐにでも分かるはずだが‥‥
「今、アダマンタイト冒険者や王国の兵士達が戦っているがあのモンスターを食い止められないんだ。今すぐに逃げましょう!」
「ほほぅ巨大なモンスターと‥‥それは面白そうじゃな!」
あ、ノッブに火が付いたぞこれ‥‥やっぱり退屈だったんだな。まあ確かに俺も気になるし‥‥確かめる必要があるな。敵わない相手ならトンズラすればいいし。
「ペルガさん、俺達で何とかしてみます。ペルガさんは安全な場所へ避難してください」
「いやしかし‥‥‼あれはスケリトル・ドラゴンと比べられないくらい巨大なのですよ!?」
「ははは!心配するでない、わしらはそんなやわじゃないから安心して任せておけ!ブラッド、バンビ、確かめに参るぞ‼」
ノッブは先に屋根へと高く跳んでいく。ああもう、勝手に先に行きやがるんだから!しょうがない、ペルガさんに心配かけるが行くとするか。
俺とバンビもノッブに続いて高い屋根へと跳んでいく。遠くではあちこちで建物が破壊され煙が上がっているのが見える。さて例の巨大な黄金のモンスターは‥‥いたいた。巨大で黄金に輝く‥‥あれ?あの四本角の昆虫型のモンスター、どっかで見覚えがあるぞ?ノッブも気づいたようで少しばかり驚いていた。
「ノッブ、あれって確か‥‥」
「間違いない‥‥マジヤバスじゃ」
____
「急げ‼早く逃げろ‼」
先程の奴とは比べ物にならないくらいの禍々しい気を感じた。はっきりわかる。あれはラキュース達でも私でも勝てる相手じゃない。こんな巨大な化け物、今まで見たことがないぞ!?
ラキュース達が漸くこの化け物には勝てないと気付き退却を決断して走ろうとしたその時、黄金に輝く化け物が片脚をあげて思い切り地面を踏んだ。踏んだ弾みで大きな亀裂が逃げるラキュース達を追うかのように走り出したと同時に亀裂から光が漏れ出す‥‥いや、これはまさか第9位階魔法『大地の怒り《ガイア・バースト》』‼あいつ、詠唱や魔方陣を展開しないで使ってきたのか!?この魔法はまずい‥‥‼
「『最強化《マキシマイズマジック》』『水晶の盾《クリスタル・シールド》』‼」
逃げるラキュース達に水晶の障壁を掛ける寸前、大地の亀裂から強力な爆発が起きた。私は寸前のところで何とか避けて掠めたがあいつらは無事か!?
「ガガーラン!?ガガーラン、しっかりして‼」
舞い上がる煙が消え、見えたのはうつ伏せに倒れているガガーランを起こそうとしているラキュースの姿が見えた。くそっ‥‥間に合わなかったのか‥‥‼
「くぅ‥‥超痛てぇな‥‥イビルアイの魔法障壁があってもこのダメージかよ‥‥」
「っ‼良かった、無事なのね!」
「死んだかと心配した」
良かった‥‥あの様子だと爆発の寸前、ガガーランがラキュース達を庇ったのか。まったく、心配かけさせてくれる‥‥
「ラキュース、ティナ、ティア‼ガガーランを連れてここから逃げろ‼」
「イビルアイ、貴女はどうするの!?」
「私が囮となって時間を稼ぐ!その後隙を見て逃げるから心配するな!」
ラキュース達が安全な場所へ逃げるまで私一人であの化け物を足止めするしかない。何とか危険な攻撃を避けたり引き付けたりして‥‥数分はもつかもたないかもしれないな。いや、どうにかして止めるしかない。
「‥‥わかったわ。でもこれだけは約束して、絶対に生きて帰ってくるのよ!」
「‥‥‥イビルアイ‥‥死ぬんじゃねえぞ‥‥」
「これは鬼ボスの命令、絶対に聞く事」
「鬼リーダーを泣かせたらダメだから」
「そんな事は分かってるさ‥‥さあ行け‼」
やれやれ、心配性な奴等だ‥‥これじゃあ絶対に死ねないじゃないか。あいつらが遠くへ、この化け物が追いかけてこない場所まで逃げるまで守ってやらないと‥‥!
「『魔法抵抗突破最強化《ペネトレートマキシマイズマジック》』『水晶の短剣《クリスタル・ダガー》』‼」
防御突破の効果のついた水晶の短剣を奴のガーネット色に輝く目を狙って放つ。勢いよく飛んだ水晶の短剣は奴の目に刺さることなく砕け散った。防御突破の効果がついても奴にダメージを与える事はできなかった‥‥が、奴がこっちに気を向けたのには成功した。
「来い化け物‼私が相手になってやる‼」
私は逃げるラキュース達とは反対の方向へと駆ける。その間にも奴の気を引く為に何度も水晶の短剣を放っていく。奴は黄金に輝く脚を動かして私の方へと追いかけ始めた。いいぞ‥‥このままこっちへ来い!
だんだんとあいつらから距離を離していく。この調子で私を追いかけて来い、もう一度お前の嫌いな魔法をぶつけてやる!奴が再び片脚をあげて地面を思い切り踏み、私を追うように大地に亀裂が走る。『大地の怒り』が放たれる直前に私は『飛行《フライ》』を発動して奴の顔へと迫った。
「これでもくらえ‼『蟲殺し《ヴァーミン・ベイン》』‼」
奴の顔めがけて昆虫モンスターに特に有効な魔法を放つ。白い煙が奴の顔を覆っていく、これで奴はもう一度苦しみもがくはず‥‥と思ったその時、奴は白い煙を吹き飛ばして黄金の角を横へと振ってきた。
「なっ!?がぁっ!?」
小さな体に巨大な鉄の塊を勢いよく飛ばして当てた衝撃よりも強力な一撃が、激痛が体全体に走りだす。
「――――っ、『損傷移行《トランスロケーション・ダメージ』!」
苦し紛れに何とか体に負ったダメージを魔力ダメージへと変える。が勢いよく飛ばされた私はそのまま家屋へとぶつかる。
「くっ‥‥魔力ダメージが予想以上に大きすぎたか‥‥」
魔力は枯渇しないくらいほどあると自信はあったが思った以上にダメージが大きい。だがこんな事で弱音を吐いてる場合じゃない‥‥何とかより多く時間を稼がないと‥‥‼
兎に角動こうとしたその時、奴は角を高々と上へ翳す。黄金の角が光ったその直後、私の足下やその周辺が青白く光り出した。私の周囲がバチバチと電気が走っていく‥‥
「まさか『轟雷《サンダーボルト》』か‥‥っ!?」
急ぎこの周囲から離れようと駆け出すが地面から天へと数え切れないほどの雷が発生した。まだ『飛行』の効果が残っていたためギリギリのところを飛んで躱すことができた。『轟雷』が放たれた場所は黒く焦げている‥‥あと数秒遅れていたら黒焦げになっていたかもしれない。
ほっとしたのも束の間、奴は片脚をあげてもう一度地面へ力強く踏む。今度は地面から鋭く尖った棘が次々と現れ私を追うように棘が次々と生えていく。周囲を巻き込みながら対象を狙う範囲魔法、『大地の刺槍《アース・スパイク》』か。
「『水晶盾《クリスタル・シールド》‼」
球状の水晶の障壁を張って『大地の刺槍』を防ぐ。一定のダメージを防ぐ防壁だが振動と衝撃、そして私の体に痛みが走る。水晶盾を張ってもこのダメージか‥‥張っていなかったら即死だったかもしれん。
頑丈すぎる防御力、角を振り回したり踏みつけたりするだけでかなりのダメージ、『蟲殺し』が効かないし更には第9位階魔法を使えるという黄金に輝く化け物。私一人で奴を止める事はできないのか‥‥?いや、まだ奥の手がある。一か八かやってみるしかない‥‥!
「『最強化《マキシマイズマジック》』、『砂の領域・全域《サンドフィールド・オール》』‼」
最大限に魔力をまわして奴の全体に砂を纏わりつかせて目晦ましさせ、私は距離をとる。奴は単純思考な魔物ならこの砂嵐を真っ直ぐ突き抜けるはずだ。この間に全魔力を集中させる。
邪魔な砂にイラついたのか奴は咆哮し、地響きを鳴らしながら真正面へと砂嵐の中を抜け出して来た。よし、想定通りだ‥‥‼
「『魔法抵抗突破最強化《ペネトレートマキシマイズマジック》』、『龍雷《ドラゴン・ライトニング》‼」
切り札の一つだった『龍雷』に防御突破の効果をつけ、魔力を強く注ぎ込んだ強力な一撃。放たれた白い雷撃は奴の顔面に直撃しバリバリと白い電気を放つ。これで奴に少しはダメージが―――――
その時、私の真上から黄金に輝く角が振り下ろされた。
「あがぁっ!?」
私は羽虫の様に叩き落され地面へと直撃した。叩き付けられた全身から激痛が走る、いくら強固な装備とはいえこれはシャレにならないくらい痛い。何とかしてもう一度『損傷移行』をしようとしたのだが、仮面の一部が割れて少し鮮明に見えてきた私の視界に奴が私を踏みつけようとしてきたのが見えた。
「っ‼‥‥『水晶盾《クリスタルシールド》』‥‥っ‼」
咄嗟の判断で球状の水晶の障壁を展開させギリギリのところ防ぐことができた。この隙に何とか逃れようとするが奴は私を殺す気で何度も踏みつけてきた。奴の足が水晶の障壁にぶつかる度に衝撃が走る。
そして4度目の踏みつけでついに水晶の障壁にヒビがはしる。
「ひっ‥‥!」
吸血鬼になってしまってから数百年、捨てた感情が段々と蘇ってきた。それは死への恐怖、この水晶の障壁が壊れたその時が私の最期なんだと‥‥
奴は立て続けに踏みつけていき、障壁に段々とヒビが広がっていく。全身の痛みなのか、恐怖でなのか体が動けない‥‥
「や、やだ‥‥っ」
今更少女の心に戻って何になる‥‥こんな状況で誰も助けには来ない‥‥ああ、ラキュース達は泣くだろうな‥‥ガガーランは怒るだろう‥‥
何度目かの踏みつけで遂に水晶の障壁が砕け散った。奴は狙いを定めて脚をあげていく。
「っ‥‥!」
そして黄金に輝く足が私めがけて振り下ろされた。まさかこんな化け物に殺されるなんて――――――いやだ‥‥誰か、誰か‥‥!
その時、鈍い金属音が響いた。踏みつぶされる音はこんな音なのか‥‥いや、違う。痛みがない。何が起こった?私は恐る恐る目を開けた。
「―――――な、なんとか間に合った‼」
私の眼の前にいたのは土埃で薄汚れた赤いコートを着て帽子を深くかぶった男、確かよく一緒にクエストを受けているブライ‥‥!?
驚くことにブライは奴の踏みつけを仄かに緑色に光る大剣で防いでいた。
「ふんごぉぉぉぉっ‼」
ブライは力を込めて大剣で押して奴の足を弾く。奴のバランスが崩れたその隙をついてブライは再び大剣を振る。すると大剣から緑色の剣閃が飛び、奴の顔面へと直撃した。奴は奇声をあげて少し後退した‥‥あの巨大な化け物にダメージを与えたというのか‥‥!?
「っらあ!もう一発!」
再び大剣を軽々と数回振り緑色の剣閃を飛ばし、その都度奴は奇声をあげて後退した。初めて見た。ブライ‥‥さんが本気になって戦っている姿。見ただけで分かる、ブライさんは私よりも遥かに強い。そして逞しくて‥‥ってイヤイヤイヤ!?私は何を考えていたんだ!?乙女の心なんて数百年前に捨てたというのに‥‥
「イビルアイさん、無事かい!?」
「ひゃ、ひゃい‼」
奴が怯んでいる隙にブライさんが突然駆け寄って来た。か、顔が近いから思わず変な声がでてしまったではないか!
「怪我をしてるじゃないか‥‥兎に角、今は一旦安全な場所へ離れないと」
「え?‥‥ひゃ、ひゃあっ!?」
いきなりブライさんは私を抱きかかえ、姫抱っこしだした。な、なんということでしょう‥‥人生で初めて姫抱っこされるなんて‥‥なんと、何と心地いいものなのだろうか。なんか乙女の心が蘇った私を祝福するかの様に周りが白く‥‥バチバチと‥‥ん?バチバチ‥‥?
「ま、まずい‼ブライさん、『轟雷』だ‼」
「しっかりつかまってろよ‼」
雷撃が放たれる寸前、ブライさんは私を姫抱っこしたまま勢いよく跳んだ。そのまま屋根という屋根を飛び伝ってどんどん遠くへと離れていく。
「さ、ここなら安全だ」
あの黄金に輝く化け物から遠くへ離れた場所で私を降ろし、懐から血の様に真っ赤なポーションの様なものを渡してきた。
「これを飲めば怪我も完治する。あのタイラントテラヤバスオオカブト相手によく頑張ったな」
「あ、あう‥‥」
ブライさんは私を優しく撫でてくれた。なんだろう‥‥心の中が温かくなって、体が少し火照ってきた‥‥まさかこれが、これが‥‥
「よし、ここからは俺達に任せてくれ」
「え…!?まさかあの化け物と戦うつもりなのか!?」
ブライさんはあの巨大な化け物と戦うというのか!?無茶だ、あの巨大な化け物を一人で相手するには厳しすぎる!
「大丈夫、俺の仲間と一緒に戦う。あれは協力して戦わないと攻略できないボスだからな‥‥それに、
一度戦った‥‥?ブライさんはあ、あの巨大な化け物と一度戦ったことがあるのか!?し、しかしそれでもあの巨体相手に‥‥
「イビルアイさん、必ず戻ってくるから。どんと胸張って待っててくださいね!」
ブライさんはもう一度私を撫でた後颯爽と黄金に輝く化け物の下へと駆けていった。あの背中を見て分かる‥‥ブライさんは幾度も窮地を抜けてきた、私よりも遥かに屈強な戦士なんだと‥‥私は信じて見送ることしかできない‥‥
「‥‥がんばれ、ブライ様‥‥」
頑張って‥‥そして無事に帰ってきてブライ様‥‥
____
「悪い、待たせたなノッブ」
あの金ぴかから少し距離を離した場所でノッブとバンビと合流する。
「大丈夫じゃ、あれをどうやって攻略するか考えていたところじゃ」
ノッブはにっ笑って首を横に振る。確かに考える必要があるよな‥‥ユグドラシルなら簡単な動作で済む相手なのだが、相手も思考を持ってリアルに動く。ゲームとは違う、もはや本物の化け物だ。巨体というものだから本当に迫力があるよな‥‥
「それで、わしら3人でいけるか?」
「ちょっと難しいな‥‥相手はあのレイドボスでしかも最終形態だ」
90レベル相当の相手だ、簡単にはいかないだろう。あの攻略法でいけるとしたら、もう一人応援が欲しい。だとすれば‥‥俺は早速『伝言《メッセージ》』を発動する。
「‥‥聞こえるか、アダー?」
『おぉっ!?びっくりしたー‥‥なんだブラッドか。なんかあったのか』
「四の五の言わずこっちに来てくれ。説明は来てから話す」
『はあ!?たった今竜王国に来て冒険者登録してやっとこさ宿に泊まれたというのにこいって急すぎだなおい‼』
「お前の力が必要なんだ。急いできてくれ」
『‥‥ったく、しゃあねえなぁ‼くだらない事だったら激おこぷんぷん丸だぞ?』
竜王国でやっと宿が取れてさっそくカワイ子ちゃん呼んでキャッキャウフフでもしようかと考えた矢先にブライからこっちにこいと言われた。
断ろうとしたけど何やら急ぎの用事らしく、兎に角来いと。アルトリウスとオーンスタインを宿に待機させ、『異界門《ゲート》』を開いてブラッドの下へと向かう。なんだろうな、しょうもない事だったらプンスカして帰ってやる。
「おう、待たせたなブラッ――――」
異界門を抜けたら辺りは戦場のように滅茶苦茶に壊れた景色が見えた。そんで遠くには黄金に輝く昆虫型のモンスターが‥‥‥‥あるぇ?あれ、なんかすっげえ見覚えのあるぞー‥‥
「アダー、お前も覚えてるよな‥‥あれはタイラントマジヤバスオオカブト。しかも最終形態のタイラントテラヤバスオオカブトだ」
「」
あかん‥‥絶対に俺がついうっかり召喚して逃がしたやーつだあれ‥‥誰だよ、誰がこんなにまでしやがったんだよ!?
「アダーも驚くよな。まさかユグドラシルのモンスターまでも存在してるなんてな」
「ウン、ソウダネ」
違うんです。あれ、俺が召喚しちゃった奴です。どうしよう、これバレたら処刑もんじゃね?特にラクーンさんにバレたら拷問、処刑コース間違いなしじゃね?
「ふふふ、アダーが武者震いしとるのう。それもそのはず、2匹目が手に入るチャンスだものな」
「ひぃっ!?お、覚えてるのかノッブ!?」
なんということでしょう。ノッブさんが鮮明に覚えてました。やばいよやばいよ、これ俺が召喚した奴だとバレたら非常にヤバイよ‼マジヤバスだよマジヤバス‼
「デス・アダー様‼私も協力します、一緒にあのでかい金ぴかを討伐しましょう!」
俺の焦りに気づいてないようでバンビちゃんが物凄くやる気満々。そうだ‥‥バレる前に倒せばいいんだ。と、兎に角証拠隠滅しねえと‥‥‼
「アダーも呼んだし、ついでにラクーンさんも呼ぶか?」
「ノッブ、いい考えだな。ラクーンさんもいれば更に効率がいい。そんじゃさっそく‥‥」
「待て待てーい‼ら、ラクーンさんは呼ばなくていいよ‼ほ、ほらあっちは忙しいし、ラクーンさんにはゆっくりしてあげなきゃね!」
うん、ラクーンさんは勘が良すぎるからな。絶対にバレてしまう!ラクーンさんに見つからないように、ノッブとブラッドが気づく前になんとか、なんとか倒さねば‥‥‼
「よ、よーし‼ブラッド、ノッブ、バンビ‼俺達で力を合わせてあのタイラントテラヤバスオオカブトを倒すぞ‼」
「‥‥のうブラッド、アダーの奴やけにやる気満々じゃな?」
「あれじゃないのか?あいつ昆虫好きだし、ユグドラシルのあいつにも出会えてテンションが上がってるんだろ」
「そうかそうか‥‥楽しそうで何よりじゃな‼」
イビルアイさんの死亡フラグは回避‥‥されたのかな?
果たしてアダーはバレずにタイラントテラヤバスオオカブトを討伐できるのか…