ドゥンケルハイト・トップ   作:サバ缶みそ味

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2杯目 探索選抜

「それじゃあまとめるぞ?結論から言うと俺達はどっか別の世界にまんま移転したということだ」

 

 満天の星空に呆気に取られて暫く呆然と眺めていたが埒が明かないので一旦逢魔の王間に戻って話し合うことにした。自分達が異世界にどういうわけかきてしまったこと、この世界がどんなものなのか若しくは自分達の他にプレイヤーが存在しているのか調べる必要があること、これからどうするか決める必要もあったりとやる事が山程ある。

 

「一先ず地盤を固めておかないと…今後の方針によって俺達だけじゃなく、残された守護者達も左右するからな」

 

 慎重に決めて行かなければならない。この世界が俺達にとって危険な場所なのか、足を踏み入れるだけの安全はあるのか、見極めなければいけない。するといの一番にアダーがドヤ顔で手を挙げる。

 

 

「パイ乙ハーレム王国を築き上げていこうと思います‼名付けて、水龍けry」

「却下‼」

 

 

 

 案の定、アダーの下心満載の提案はブラッドの怒りの鉄拳と共に玉砕された。まあ当たり前だけどね。アダーがふざけてブラッドがツッコミを入れる…この光景は相も変わらず。どんなに変わろうともいつもの二人だと安心した。

 

しかしこうもアダーがおふざけを繰り返していてはブラッドがやつれてしまう。そろそろ助け舟を出さなくては。オレ…いや、ワシ?うん、これから一人称はワシにしておこうか。ワシがやらねば誰がやる。

 

「まずは周辺の探索をしてみるのはどうじゃろう。この目で確かめておく必要がある」

 

 アダーにヘッドロックをかましているブラッドがすっごく安堵した表情をみせた。そりゃあアダーが真面目に話を聞いておらんから仕方ないか。

 

「ノッブ、お前ならそう言ってくれると信じてたぜ」

「いやブラッド、泣きすぎじゃろ。まあアダーがあれじゃあね」

 

「外出ってわけだな!よっしゃ行こぜ‼ノッブ、バナナはおやつに入るか?」

 

 遠足を楽しみにしている子供のようにはしゃぐアダーはすぐにでも飛び出していく勢いだ。このまま4人全員で外へ出るのも悪くないのだが、今回は違う。

 

「そうしたいのはやまやまだが‥‥今回はワシとブラッドの二人で行こうと思う」

 

「なん‥‥だと‥‥!?まさか、逢引きっ!?」

 

「「なんでだよ!?」」

 

 ワシとブラッドのクロスボンバーがアダーに炸裂。気のせいだろうか、アダーのやつその姿になってから筋肉モリモリマッチョマンの変態になってるような‥‥もうラクーンさんは呆れて欠伸しておるし、さっさと理由をはなしておくか。

 

「ワシとブラッドならこの周辺の探索で人間に出会っても多少は問題にならずにすむはずじゃ」

 

「えぇー、俺でも問題ないと思うんだけどなぁ」

「フルフェイスの兜に上半身が素肌マントの大男だぞお前。絶対ビビるから」

 

 鏡を見ろとブラッドに言われてもそれでもアダーは納得いかなそうにぶつぶつ独り言をつぶやきながら首を傾げる。ラクーンさんは仕方ないがアダーがこのままの姿で人間に出会ったら間違いなく卒倒するだろう。人間態の姿であるブラッドとワシなら問題はなかろう。

 

「ワシらはレベルは100、戦闘になっても問題はなかろうし‥‥それに、もしもの時があった場合現ギルドのリーダーであるお前がいなくてはまとまらんであろう?」

 

 ダンジョン攻略時やPVPの時、行動する時はよくワシとブラッドで組んでたし今は強い魔法やスキルだってある。モンスターとの戦闘が起きた場合でも対処はできるだろう。それにもしワシらがやられてしまってもまだラクーンさんとアダーがいる。残ったNPC達を誰かが導く必要があるのだ。

 

「‥‥まあお前らなら大丈夫だろうが、心配かけるようなことはすんじゃねーぞ」

 

 アダーは渋りながらぷいっとそっぽを向いた。拗ねるような態度をとりながらもかなり心配してくれてるようだ。

 

「じゃ、お前らが探索している間に俺とアダーは各階層の守護者達を集めて現状を報告しておく。そいつらの様子が気になるからな」

 

 ラクーンさんの言う通り各階層にいる守護者と設定しているNPC達の様子も気になる。シュマゴラスやアルクと同じように独自の意思を持ち、忠誠心MAXなのだろうなぁ‥‥

 

「そろそろ参ろうかの。異界門の唱え方もおおかたわかったし」

「ノッブ、外へ出るのはいいが‥‥お供つけた方が良さそうだ。ほら、アルクがメッチャ不安そうな顔してこっち見てる」

 

 ブラッドが苦笑いしながらクイッと指をさす。玉座から少し離れた隅でずっと話を聞いていたアルクが『お供をつけずに外出するのは危険です…!』と言わんばかりの眼差しで見ていた。うわぁ‥‥忠誠心が引くレベルだこれ。

 

「そ、そうじゃな!誰かお供を連れて出た方が良いな!‥‥で、誰を連れて行こうか?」

 

 最低でも一人、連れて出れば問題はないのだがルルイエ地下迷宮の守備の為に各階層の守護者や領域守護者は今一人でも欠けるわけにはいかない。するとブラッドは察したのだろうか何もない空間に現れた小さな黒い穴に手を突っ込み小さな呼び鈴を取り出した。

 

「こういう時はミリタリヴァルキュリアを呼んでおくか」

 

 ああ成程、彼女らがいたな。彼女らなら問題は‥‥たぶんない、ないと願おう。だって彼女らを設定したツキシマさんとトゥーヤコさん、自分の好きな性癖とかネタとか色々と凝った設定をつけてたような気がする。そんな不安が過りつつもブラッドは呼び鈴を鳴らした。

 

 

 

 ミリタリヴァルキュリア。ルルイエ地下迷宮の第七階層と第八階層の守備を任せているミリタリー部隊の特戦隊で一応メイド(トゥーヤコさんの趣味)の仕事も担っている。トゥーヤコさんの設定でこの呼び鈴を鳴らせばすぐに駆けつけてくるという‥‥この移転された世界でギルメンがつけた設定も影響しているのか確認する機会に丁度いいし、彼女達のレベルは60~70ぐらいだしそれぞれ強いスキルを持っている。

 

「‥‥遅いのぅ」

 

 呼び鈴を鳴らして数分が経過した。逢魔の王間の入り口の扉は開かれず、ずっと静寂が広がっているままだった。

 

「‥‥あるぇ?」

 

 おかしいな‥‥呼び鈴を鳴らせばすぐに来るという設定があったのだけど、一向に来る気配がない。データを消したのか?いや、トゥーヤコさん達なら『それを捨てるなんてとんでもない‼』とか言って残すはず。それとも設定を変えたのか?

 

 そんな事を考えていたらふとどたどたと派手に急いで駆けている音が響いてきた。扉が開かれると白い軍帽に白いマント、そして白い軍服とスカートを身に着けている少女たちがギャーギャーと口喧嘩しながら入って来た。

 

「呼び鈴が鳴ったなら早く言いなさいよ‼おかげでコンディション最悪じゃないの‼」

「うるさいポンコツ。寝坊したあんたが悪いだろ」

「そーいうおめえもマニキュアしたり髪を整えたりちんたらしてただろうが」

「うぅー、もっとマカロン食べたかったなー★」

「そんな事よりボクの死体コレクション知らなーい?」

 

「」

 

 設定も影響しているのだろうかと気にはしていたが予想の斜め上すぎてもう口がアングリ。アダーはすっごくスケベそうにニヤニヤしてるけど。この子達個性的‥‥いや個性的すぎるでしょトゥーヤコさん。一体どんな設定をいれていたのか。

 

「貴女達‥‥至高の御方々の前で何を無様な醜態を晒しているの?すぐにそこへなおりなさい」

 

 ギロリとアルクが俺達の前でギャーギャーと騒いでいる少女達を睨み付けた。何という覇気だろうか。静かに激昂し、今すぐにでも惨殺するかの勢いだ。アルクの怒りに気付いたようで少女たちは血相を変えて膝をつき首を垂れた。

 

「も、申し訳ございません…っ!呼び鈴が鳴らされればいかなる時もすぐに御方々の前へ駆けつけるはずが…御方々の前でこの醜態。如何なる罰もお受けいたします」

 

 

 こ、こいつらもかぁ!?ここまで忠誠心MAXだとこっちが逆にくたびれてしまう。

 

「ままま、大目に見てやってくれよ。こ、今回は急ぎの用事なんだし、な?」

「ブラッド様‥‥分かりました。今回は見なかったことに。貴女達、ブラッド様の寛大な御慈悲に感謝しなさい」

 

「「「「「ブラッド様、寛大なる御慈悲、ありがとうございます」」」」」

 

 やめてっ!?その崇拝するような目で見ないで!?すっごく罪悪感を感じるから‼アダーは『羨ましい』と舌打ちするしラクーンさんは『お前そういう趣味だったの?』という目で見てくるし!誤解だからね!?

 

「うむ。ひ、一先ず気を取り直して挨拶からいこうかの」

「「「「「はっ‼」」」」」

 

 ノッブの鶴の一声のおかげで何とか場を流すことができた‥‥ノッブ、ありがと。さて、ミリタリヴァルキュリアの少女たちは今度は自信に満ち溢れた表情で誇り高く敬礼をした。

 

「ミリタリヴァルキュリアがバンビ・アイン!御身の前に!」

 

 長い黒髪を靡かせてバンビはドヤ顔でふんすと胸を張って敬礼をする。

 

「同じく、キャンディ・ツヴァイ、御身の前に」

 

 ホットパンツを穿き、金髪で5人の中でスタイルも良いキャンディは好戦的な笑みを見せて敬礼をした。

 

「リルティ・ドライ‥‥御身の前に」

 

 5人の中で一番小柄で金髪のおかっぱボブなリルティは多少だるそうに敬礼をする。

 

「ミーニャ・フィーファ、御身の前にー★」

 

 リルティとは反対に一番背の高いミーニャはほんわかとした様子で敬礼をする。

 

「ジゼル・フンフ、御身の前にー。後ミリタリヴァルキュリア隊長、ハリベラ・ヌル隊長はミリタリー部隊総司令官カイザー・ナックル様と共に第七階層『千年城』にて警備をしてまーす」

 

 黒く長い髪に頭に触覚のような長い2つのアホ毛がついているジゼルは敬礼を‥‥しないで元気よく手を振っていた。ジゼルの態度にアルクは怒りで目を見開いていたがノッブに宥められる。さ、さっさと本題に入ろうか。

 

「まーそのあれだ。ルルイエ地下迷宮がどこか別の場所へ移転された、今回はその探索としてノッブと共にお供を‥‥」

 

 『お供を』と言ったその瞬間、リルティを除いた少女たちは目を燦燦と輝かせた。その勢いに俺は一瞬ドン引く。

 

「サーチ&デストロイですね!お任せください!私のスキルで殲滅させてみましょう‼」

「強いモンスターの戦闘ならあたしに任せてください‼貫通させてやりますよ!」

「やったー♥マカロンが食べれるんですねー♥」

「ブラッド様、ボクと一緒にモンスターか人間のゾンビコレクションを集めましょうよー」

 

 こいつら殺る気満々すぎぃ!?‥‥騒がしい4人にリルティは五月蠅そうにため息をついていた。よかった、この子は比較的常識がありそうだ。

 

 

「ブラッド、ここはバンビをお供に連れて行こうかの」

 

 成程、大天使<アークエンジェル>のバンビは広範囲攻撃系の魔法を覚えているし爆発系の魔法を得意とし、爆発系魔法や攻撃を強化する職業『ボマー』も持っている。回復系魔法や蘇生魔法も覚えているしもしもの時も任せられる。

 

「確かにバンビが適任だな‥‥」

 

「よっしゃあああああっ‼」

 

 肝心のバンビは選ばれて物凄く嬉しそうにガッツポーズをとっていた。そしてバンビは恨めしそうに見ているキャンディ、ミーニャ、ジゼルにドヤ顔をする。

 

「見ててなさいあんた達、私が至高の御方々の為にこの身を尽くして私がミリタリヴァルキュリアでいっちばん有能であることを知らしめてあげるわ!」

 

「チッ…ボコられちまえ」

「バンビちゃん、お土産のマカロンお願いねー」

「死んだらゾンビにしてあげるから、調子に乗ってへまこいて死んでね!」

 

 キャンディは舌打ちして睨み、ミーニャは彼女の話は全く聞いてないし、ジゼルは‥‥ヤンデレ特有な恍惚な表情をみせてとんでもないこと言うし、仲いいんだよな?お前ら仲いいんだよな?大丈夫だろうかと気にしていたらリルティが少し心配そうな様子で伺ってきた。

 

「ブラッド様、オレは心配です…バンビ、ポンコツですし」

「ちょっとリルティ‼だれがポンコツよ‼」

 

 バンビはプンスカと地団駄を踏む。トゥーヤコさんは「ポンコツかわいいという言葉があり、それはとてもそそるものだっ!」とか熱演しながら設定してたっけかな。ま、まあレベルも高いし強いスキルも持ってるし大丈夫だろう。しかし作られた設定がどれだけ影響しているのか気になる。

 

「そ、それならもう一人‥‥」

「いやブラッド、バンビだけの方がいい。ほらアダーが嫉妬に満ちた目でこっちを見てる」

 

 ノッブが呆れた様子で指をさす。アダーが低く唸りながら体から黒緑の光、嫉妬のオーラを放ちながらこっちを見つめていた。アダーの嫉妬のオーラに気づいたミリタリヴァルキュリア達は再び血相を変えて騒ぐのをやめてビッシリと背筋を伸ばして直立する。いやいやいや、そんな緊張して怯えた表情にならなくていいから。アダー怒ってないから。

 

「あ、アダー、そろそろ行くからな。そっちは任せたぞ?」

 

「‥‥お土産。お土産持ってきてね!」

 

「子供かっ!」

 

 会社に出かけるサラリーマンじゃねえんだぞとツッコミを入れて異界門<ゲート>を展開してノッブとバンビと共にくぐっていく。

 

 ルルイエ地下迷宮の入り口、洞窟の外は満点の星空が見え静かな森が広がっている。遠くには深緑に溢れた山々が連なっていた。

 

「けっこう広いな‥‥十分に探索するのに時間がかかりそうだ」

 

「では手始めにこの近辺を焼き尽くしますか?」

 

 俺がボソッと呟いたのを聞いたバンビは自信満々な笑顔で片手に炎の球を展開して今にも投げようとしていた。いきなりのことで俺とノッブはギョッとして慌てて止める。

 

「待て待て待て!?やらなくていいから‼焼け野原にしなくていいから‼」

「そ、その通りじゃ!ほら、探索と情報収集は大事だからの!」

 

 それも大事ですね!とバンビは笑顔で炎の球を消す。よかった至高の御方でよかった。あのまま言う事を聞いてくれてなかったら間違いなくこの辺りが焼け野原になっていただろう。リルティの言う通り、ちょっと心配になってきたぞ‥‥

 

「ささ、ブラッド、とりあえず見て回ろうか。後衛は任せておけ」

「まー何事もないことを願うよ」

 

 俺はノコギリナタを片手に持ち、先頭に立ってノッブとバンビを連れて深い森の中へと進んでいった。





アルク・スカートムーン‥‥モデルは某型月から朱い月ことブリュンスタッド。色々と設定が綿密で細かいですが、にわかですので設定をマイルドにしてます。

 ところで、月姫リメイクはおろか月姫2はいつ出るのだろうか‥‥(白目

ミリタリヴァルキュリア達‥‥モデルはなん‥‥だと、で有名な漫画BLEACHから、見えざる帝国編のクインシー、『バンビーズ』。どの子もかわいい

 ただお気に入りのキャラがどんどん死んでいく(血涙
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