ドゥンケルハイト・トップ   作:サバ缶みそ味

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6杯目 全速前進DA‼ 後編

 竜王国出身、羊皮紙および毛織物商人のペルガ・ミーノは改めて思った

 

 

 

 

 ―————この人達無茶苦茶すぎる、と

 

 

 

 有り得ないくらいの速さで駆ける馬車に揺られてどれ位の時間が経過したのだろうか、いやそんなにかかってないような気がする。慣れない速さに酔って吐きそうになったが我が商人魂、人前でしかも命の恩人の前で戻すわけにはいかない。まあ突然盗賊が目の前で上半身を爆散させて肉塊になったのを目の当たりした時は戻しちゃったけど。

 

 ガタガタと激しい揺れに平然とし、外を楽しそうに眺めているノッブさんを改めてみる。鉈で軽々と切り倒していくブラッドさんといい、破裂音を響かせる鉄の筒でいとも容易く倒していったノッブさんといい、こんな人達は見たこともない。

 僻地から来たという旅人だというが、一体何処から来たのだろうか?ノッブさんと従者のバンビさんは黒髪‥‥もしかすると南方の出身なのかもしれない。

 

 しかし今はそんな事を考えている時ではない。私はずっと不安を抱えている。何故ならば今現在この馬車はカッツェ平野へと向かっているのだ。

 薄い霧に包まれた呪われた土地、どいうわけかアンデッドが大量に出現する場所だ。毎年平野から出て行くアンデットを王国や帝国の兵を出兵させて討伐を行い、金稼ぎで冒険者やワーカー達も討伐に向かうのだがそれでも多くの被害者を出している。

 それに魔法が効かないスケリトル・ドラゴンや一個隊の兵隊を壊滅させるほどの力を持つデス・ナイトといった危険なモンスターだって出現するのだ。いくら野盗を簡単に蹴散らしたノッブさん達でも歯が立たないはず、願わくばアンデットに遭遇することなく無事に平野を切り抜けていってほしい。

 

 

 

「のう、ペルガ殿。ちぃとばかし聞きたい事があるのだがよろしいかな?」

 

 ふとノッブさんが声を掛けてきた。先ほどまで子供の様にはしゃいでいた様子が一変、真剣な顔つきでこちらを見ている。この人はブラッドさんと違ってどこか不思議な人だ、無邪気な一面もあれば艶めかしく大人びた一面がある。この人の本当の顔はどっちなのか、気にはなるがこれは聞かない方がいいのかもしれない。

 

「ええ、構いませんが‥‥」

「竜王国はビーストマンの侵攻により風前の灯火、お主の様に他国へと抜け出しいく者は多いのではないか?」

 

「‥‥はい、ビーストマンにより3つの都市が堕とされこの国はもう滅びてしまうと考えた者は多く、私達商人をはじめ財のある国民や兵士、そして王女の臣下までもが抜け出していったとお聞きします」

「ふむ、して抜け出した者達は王国や法国の他に行先はあるのか?」

 

「王国や法国の他に、バハルス帝国へと向かう者がおりましたが‥‥?」

「バハルス帝国?」

 

「はい、王国や法国とならぶ人間の国家で今はジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスというお方が皇帝に就いており、彼の改革で大きく変わった国です。モンスターを討伐できるほどの兵力や大魔法使いを筆頭にした帝国魔法省や帝国魔法学院を設立させる程の大きな軍事力を持っております」

 

「なるほど‥‥この世界にも『魔法』があるのか」

 

 ノッブさんは皇帝の名前や国の軍事力よりも『魔法』という言葉を聞いて納得する様にニィっと笑って頷いていた。その笑みは何か含まれているような気がしたがどういう意味なのかは分からない。

 

 次にノッブさんは冒険者やワーカーについて尋ねてきた。一つ一つ答えていくがノッブさん達は王都までの護衛を終えたら冒険者にでもなるのだろうか。

 

「ふむふむ、正式に冒険者組合から登録され依頼や討伐を熟すのが冒険者で、組合から除外されルールなしで行動できるが自己責任なのがワーカーと‥‥」

「あの、ノッブさん達も冒険者かワーカーをなさるおつもりで…?」

「うーむ、まだ考え中じゃがお金稼ぎをする必要ができたら、かな?さて次に質問じゃが、この金貨で飯は食えるかのう?」

 

 ノッブさんはポケットから何かを取り出して渡してきた。それは一枚の金貨だ。ただの金貨ではない、見たことのないマークがついた金貨だ。王国や法国、帝国の金貨ではないのは確かだ。

 

「珍しい金貨ですね。これを一体何処で?」

 

 どこかの遺跡で見つけた金貨なのだろうか、少し興味があるので聞いてみたのだがノッブさんは目を丸くして驚いていた。

 

「む、ユグドラシル金貨は流通しておらんのか?」

 

 ゆ、ゆぐどらしる…?聞いたこともない名前だ。けれどもはっきりしているのはこの金貨では食糧を買う事はできない。

 

「この金貨ではどこも取引できません、ですが金として換金をすることはできますよ?」

「そっかー‥‥金稼ぎする必要ができたわー」

 

 ノッブさんはがっくりと肩を落としてどこか遠い眼差しで遠くを見つめていた。もしかしてノッブさん達は今無一文なのか。行く当てのない旅を続けて‥‥よし、無事王都へ辿り着いたら御礼に沢山用意しよう。ふかふかのベッドや温かい食事のできる宿も手配しよう。

 

「‥‥ところで、ペルガ殿。カッツェ平野とやらはスケリトル・ドラゴンも出てくると言っておったな?」

 

 先ほどまでしょんぼりとしていたノッブさんが突然無邪気な子供の様に目を輝かせて尋ねてきた。

 

「え、ええ。出現はしますが‥‥」

 

「捕獲してペットにできないかなー」

 

 

  

  え゛っ!?こ、この人は一体何を言っているのだ!?スケリトル・ドラゴンは優秀な冒険者、オリハルコンやアダマンタイトの冒険者じゃないと倒せないモンスターだ。捕獲なんて以ての外、カッパーでもないこの人達でどうにかできる問題ではないはずだ。楽しそうに笑うノッブさん、この人はスケリトル・ドラゴンの恐ろしさを知らないから言えるのだ‥‥

 

 すると馬車が突然急停止した。思わずぶつかりそうになったがノッブさんに片手で受け止められる。最初は何が起きたのか分からなかったが、まさかと察してしまった。

 

 

「ブラッド、止まるなら止まると言わぬか!ビックリしたぞ!」

 

 ノッブさんはプンスカしながら扉を開ける。目に映るは薄い霧に覆われた赤茶けた土の荒野‥‥間違いない、私達は今カッツェ平野へと入ってしまったのだ。

 

「いや内に言えないでしょ。というか目の前のアレにぶつかりそうになったから止めたまでだ」

 

 プンプンと怒るノッブさんに対してブラッドさんは冷静に答えて指をさす。目の前には我々を見下ろす人骨が集合してできた骨のドラゴン、スケリトル・ドラゴンが唸り声を上げていた。

 

 どこかの国で『噂をすればなんとやら』ということわざがあると聞くがまさにその通りになってしまった。目の前が真っ白になる。嗚呼、もうお終いだ‥‥

 

 

「このままじゃ通れないけど‥‥潰す?」

「いやいや、テイムできるか試してみる価値があるじゃろ?」

「それノッブが持ち帰りしたいだけじゃねえの」

 

「ブラッド様、ここは私が‥‥」

「バンビ、一体だけなら俺が片付けておくよ」

「だーかーら‼テイムしよって‼」

 

 絶望している私に反して、この人達は呑気に会話をしている。そんなことよりも今は回れ右して逃げるべきだというのに‥‥‼そんな事をしている間にスケリトル・ドラゴンが雄叫びを上げて襲い掛かって来た。

 

「よいかブラッドー!捕獲、捕獲だからねー!」

 

 はしゃぎながら応援するノッブさんに対してブラッドさんはため息をついて迫りくるスケリトル・ドラゴンに向かってスタスタと歩いた。何をしているのか、このままでは潰されてしまう。

 心臓をバクバクさせながら見ていたら、ブラッドさんが手を翳すと何もない空間から突然大きな金槌が現れた。ブラッドさんは凹凸のある面の反対側の突起の様な部分を引いた。突起が引かれた部分からメラメラと赤く灼熱を帯びた部分が露わになる。

 

 スケリトル・ドラゴンがブラッドさんめがけて前脚で踏みつぶそうとしてきた。ブラッドさんは軽々と躱してその勢いで高く跳び上がりスケリトル・ドラゴンの頭部に向けて金槌を叩き付けた。

 すると叩き付けられたと同時に爆発が起きた。衝撃と爆発で頭部が粉々になったスケリトル・ドラゴンは大きな音を立てて崩れ落ち、ただの骨の山となっていく。

 

「」

 

 目の前に起きた事にもう言葉が出ない。あの魔法の絶対耐性を持ち、オリハルコンかアダマンタイト冒険者でないと倒せないスケリトル・ドラゴンをたった一撃で葬ったのだ。しかも爆発を起こす金槌なんて見たとも聞いたこともない。呆然としている私を他所にノッブさんがプンスカと怒りだした。

 

「ブラッド‼だから捕獲と言ったではないか!」

「そんな暇はないでしょうが。今は平野から抜ける事を最優先にしないと、スケリトル・ドラゴンが欲しいならまた今度来れば‥‥あ、まずいな」

 

 プンプンと頬を膨らませているノッブさんを無視してブラッドさんが面倒臭そうな顔をしだした。よく見れば周りにゾンビの群れをはじめスケルトンやスケルトンウィーリアー、スケルトンメイジにエルダーリッチと薄い霧の中からうじゃうじゃと現れていた。馬車を囲うように近づいてくる、数で押し切られたら一溜まりもない。

 

「これじゃ作業ゲーになっちまうし前へ進めないな」

「それならワシの『三全世界・三段撃ち』で一掃しようか?」

「それもいいが‥‥バンビ、頼んでもいいか?」

 

「はい!お任せください‼」

 

 バンビさんはフンスと張り切ると片手を上へと翳した。彼女の手には赤い魔方陣が展開され轟々と燃える炎の球体が現れた。

 

「――――『魔法最強化<マキシマイズマジック>』、『爆炎豪雨<プロミネントレイン>』」

 

「「えっ」」

「えっ?」

 

 彼女が唱えた魔法にノッブさんとブラッドさんが目を丸くして私がキョトンとしている間に炎の球体は空高く飛んでいき、大空に真っ赤に輝いて大きな爆発を起こした。まるで巨大な炎の赤い華が開いたかのようだと見惚れていたら何かが落ちてくるのが見えた。

 

 目を凝らして見ると、それは轟々と燃える巨大な炎の球体。しかも一個だけでない、同じ大きさのものが沢山雨の様に降ってきていた。

 

___

 

「やっべ!ノッブ、ペルガさんを中に!」

「わかっとる!というかなんかマジでヤバそう‼」

「バンビ、全力で飛ばすから落ちないようにしとけよ!」

 

 ノッブが大慌てでペルガさんを馬車の中に入れ、俺は急ぎ馬を走らせた。そんな事をしている間に巨大な火球の一つがアンデットの群れに直撃、そして爆発を起こす。目の前に置きた惨状に俺とノッブはギョッとした。

 

「ええっ!?あれあんな効果だったっけ!?」

「イヤイヤイヤ!?シャレになんねえよあれ!?」

 

 巨大な火球が地面に落ちて爆発を起こす、馬車を猛スピードで飛ばしている間に同じような事が周りに起きている。『爆炎豪雨』、数分の間に敵や敵陣地に向けて業火の火球の雨が降り注ぐ第9位階魔法だ。ユグドラシルじゃ敵だけに影響のある魔法のはずなのだが、僅かな爆風や熱を感じるからしてこれは間違いなく敵味方関係なく影響を与えている。

 

「ブラッド様、ノッブ様、どうですか?」

 

 降り注ぐ爆炎の火球に当たらないように馬車で駆けている中、バンビはドヤ顔で嬉しそうに伺ってきた。バンビは対アンデッドの最高魔法職『ホーリー・バニッシャー』を持っている上に爆発系のスキルや魔法を強化させる『ボマー』の職を持つ。即ち『ボマー』の効果により『爆炎豪雨』は第10位階魔法に匹敵する威力があり、低レベルのアンデッドなら一瞬にして消し炭にしてしまうのだ。

 

 そして今、カッツェ平野は火球の雨が降りあちこちで爆発が起きている。そんなやべー事を起こしたバンビは知らないのかワクワクしながら俺達の答えを待っている。

 

「お、おお。えらい、えらいぞー‥‥」

「よく頑張ったぞー、次は威力を抑えてもいいと思うぞー…」

「えへへへ‥‥」

 

 俺とノッブに撫でられてバンビは嬉しそうにへにゃぁっと笑う。ま、まあユグドラシルとは効果が違う事を知らなかったしバンビも悪気がないのだから仕方ないか。被害が及ぶけど‥‥いや『爆炎豪雨』でまだましと考えた方がいっか、バンビが『核爆弾<ニュークリア>』を唱えてたらもっとシャレにならない状況になってたと思うし

 

 ってそんな事を考えていたら少し離れた先にある丘陵に見える大きな要塞らしき建造物に火球の雨がぶつかり爆発を起こし崩壊していくのを見てしまったよ‥‥俺とノッブは互いに顔を合わせる。どっかの国の建造物じゃないよね?と互いに伺う。

 

「あー‥‥ブラッド、ワシらは何も見なかった、いいね?」

「あっはい‥‥って、そんな事してる場合じゃねえ!?」

 

 

 俺は再び手綱をとって馬車馬を更に駆けさせる。どうやら術者には当たらないようで、雨のように降る火球の中を飛ばすことができた。

 爆風や爆炎に巻き込まれないようにと必死に駆けさせている間に赤茶けた荒野の殺風景がとは変わって辺りは緑の草原の景色の大地に変わっていた。どうやらいつの間にかカッツェ平野を切り抜けることができたようだ。

 

「よ、よかったー、無事に出れたみたいだな」

「ほれ、ワシの言う通り全速前進したおかげじゃろ?」

「ほぼほぼバンビのおかげだろ‥‥確かこの先にエ・ランテルとかいう場所があったよな?一先ずそこに行って一休みしよう」

「回りくどい、このまま一気に前進じゃ!」

「馬を休ませなさいって」

 

____

 

 私は一体何を見たのだろう‥‥目の前に起きていた惨状にただただ茫然とするしかなかった。

 

 大量に降り落ちてきた火球、直撃し爆散するアンデッド、地面に落ちれば炎を上げて爆発する。そして駆ける馬車の窓からバハルス帝国の大要塞や王国の砦が次々と火球に直撃し崩壊していった。まるで世界の終わりかと思えてしまった。

 

 スケリトル・ドラゴンを一撃で葬ったブラッドさん、見た事もない武器を持つノッブさん、見たこともない魔法を唱えたバンビさん‥‥この人達はタダ者じゃない。そして改めて思う。

 

 

 ―————やっぱりこの人達は無茶苦茶すぎる、と




【またまた続き】

ヴァジラ‥‥ソーシャルゲーム、グランブルファンタジーから。めっちゃピンときた。犬っ子、スカートも穿いてないピッチリ黒タイツってエロイと思う。でも持ってない
 石砕く→Rキャラだけor出ない→石砕く→召喚石、武器ばっか→石砕ry 無限ループってコワイ(血涙

グラーフ・シュペー‥‥同じくソシャゲのアズールレーンから。ちょっと怪獣っぽい艤装のデザインが好き。あと下乳好き(オイ
 イベ中の大型建造以外に手に入れるには60回も周回するとか‥‥(白目
 

 
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