いやだ‥‥‥いやだ‥‥いやだ‥‥‥死にたくない‥‥死にたくない‥‥!
腕を斬り落とされ斬られた箇所から真っ赤な血が流れ出て止まらない。溶岩に手を突っ込んだような焼けるような激痛で私は声にならない悲鳴を上げ続ける。いくら叫んでも誰か助けにきてくれるわけがない‥‥今頃村はビーストマンの軍勢に落とされ村の人達は皆殺しにされているだろう‥‥その間に3,4頭のビーストマン達は薄ら笑いを浮かべてゆっくりと私へと近づいてきた。
「ひっ‥‥!」
私は恐怖で動くことも後ずさることもできなかった。ああ、私はここで犯され嬲られ殺されそして喰われるんだ‥‥
「い…いやだ‥‥こないで‥‥こないで‥‥!」
それでもお構いなしにビーストマン達はどんどんと近づいてくる。一番先頭にいた茶色毛のライオンの頭をしたビーストマンがずいっと顔を近づけてきた。
「そんな事を言うなよ嬢ちゃん、俺たちゃぁ竜王国の遠征討伐で長い事溜まってんだ。何処かで発散しなきゃいけないだろぉ?」
私の顔の前で息を吹きかけてきた。独特の獣臭、血に飢え肉欲に飢えた獣の臭いだ。
「お前ら人間は食料だ。弱い者は強い者に喰われるのが俺達ビーストマンの条理だ。なぁに、お嬢ちゃんはなかなかの上玉、たっぷり可愛がってから喰ってやるよ」
そのビーストマンは私に向けて手を伸ばしてきた。私はもうただただ恐怖するしかできない‥‥
まだ‥‥まだ死にたくないよ‥‥!誰か――――――――誰か助けて―――――———!
「へへへ…いい表情だぜ。これからもっと悲鳴を上げさせて満足させ――――――ぺごぉっ!?」
私の目の前で、私に手を伸ばそうとしてきていたビーストマンが突然押しつぶされた。空から何かが勢いよくこのビーストマンめがけて落ちてきたのだ。このビーストマンは踏みつぶされた芋虫のように血と肉を飛び散らせて肉塊となっていた。
「斧‥‥?」
空から落ちてきたものは光輝く黄金の斧だった。こんな大きな斧、見たことない‥‥周りにいたビーストマン達はどよめきだす。一体何処から、一体誰の仕業なのか、警戒しながら辺りを見回した。
その答えはすぐに分かった‥‥空から私の目の前に男が降りてきたのだ。ビーストマンよりも一回り大きく、上半身はマントだけを身に着けた逞しい肉体を持った鉄仮面の大男‥‥言葉では言い表せない程とても恐ろしく感じた。
「‥‥」
鉄仮面の大男は何も言わず黄金の斧を軽々と引き抜く。ビーストマン達は警戒して身構えた。
「て、てめえ‥‥‼何者だ‥‥!?」
大男はビーストマン達の威嚇に怯むことなくジロリと赤い眼光を光らせ彼らを睨み返す。この大男はタダ者じゃない‥‥!歴戦の戦士とかそういうレベルじゃない‥‥とても異常な、恐ろしい雰囲気を感じられ‥‥
「‥‥‥ハンバーグ」
「「「「「は?」」」」」
「てめえらのせいでハンバーグが食えなくなったらどうすんだこの野郎‼人前でグロいもん見せやがって‼」
この大男は何を言っているのだろうか‥‥どういう意味で怒っているのか全く意味が分からない。私はおろかビーストマン達も面食らっていた。
「エロならまだしもエログロじゃおかずにもなんねえじゃねえか!ぷんすか!」
人前でぷんすかと言いながら怒る人初めて見た‥‥というかそんな事を言っている場合ではない。先ほどまで戸惑っていたビーストマン達は威勢を取り戻してきた。
「どっから来たかわかんねえが‥‥俺達の邪魔をして生きて帰れると思うなよ?」
「冒険者か?それとも竜王国の兵士か?人間ごときが俺達に勝てると思ってんのか?」
薄ら笑いを浮かべて剣や斧を構えるビーストマン達に対して大男はまるで興味が無いかのように軽く鼻で黄金の斧をビーストマン達に向ける。
「ふん‥‥死ぬ覚悟は出来てるわけか?」
「お前が死ねやぁぁぁっ!」
大男の挑発にビーストマン達は苛立ち、雄叫びを上げながら大男に飛びかかる。成人のビーストマンは人間の10倍以上の力を持つ、普通の人ではビーストマン達に勝てるわけがない。私は『逃げて!』と叫びたかったがもう力が入ってこない。血を流し過ぎた‥‥大男は無残にも殺され私は嬲り殺され喰われるのだろう‥‥
「‥‥ふんっ‼」
すると大男が黄金の斧を強く握りしめ、力一杯横へ薙いだ。そのひと振りで強烈な風が吹き上がる。ビーストマン達の動きが止まったかと思いきや、ビーストマン達の胴体がずり落ち噴水のように出血しながら倒れていった。
「え‥‥っ!?」
目の前の光景に言葉が出ない。3,4頭いたビーストマン達をたった一振りで葬った。しかもビーストマン達だけでない、彼らの後ろにあった木々も斬り倒されていたのだ。
ありえない、人間よりも遥かに力のあるビーストマンをいとも簡単に倒すなんて。この大男は一体何者なの‥‥!?私が驚愕しているのに対して大男は黄金の斧の斧を見て『うーん』と唸りながら首を傾げていた。
「こりゃあ力加減をコントロールしねえとなぁ‥‥思った以上の威力にびっくりだ」
「デス・アダー様ー、この子どうしますー?」
「ひっ‥‥!?」
私の後ろに長い黒髪で触覚のような2つのアホ毛のついた少女がいた。いつの間に後ろにいたのか、私は驚いて後退りした。この少女、なんだか様子がおかしい。私をまじまじと見て、悦に浸った表情でにんまりと笑顔を見せてくる。
「ジゼル、この子を死体コレクションにするのはダメだ」
「はーい」
し、死体コレクション‥‥!?今さらっと恐ろしい事を言い出してきた。大男は私に近づきまじまじと見つめてきた。ま、まさかこの大男もビーストマン達と同じような事をするつもりじゃ‥‥!?
「怪我してんな‥‥ほれ」
大男は何処から取り出したのか血のように真っ赤な液体の入った小瓶を開けて私に向けてふりかけた。すると斬られた腕が元通りになった。それだけじゃない、体に負った傷の全てか完全に治ったのだ。
「うそ‥‥!?完全に治った…!?」
自由に動ける腕に驚く私に大男は満足そうに頷き、私の剣を拾いその剣をまじまじと見つめだした。ただ変わってたとすれば私の剣を見て少し驚いているように見えた。
「この剣は‥‥お前さん、名前は?」
「は、はい、アストラル・クインリィです‥‥」
「そうかそうか。んでアストラル、この剣はどこで手に入れた?」
「えと‥‥200年前から代々受け継がれている剣で、お、おばあちゃんから授かりました‥‥」
「そうか‥‥」
大男はそれだけ答えると唸るように深く考えだした。この剣を見てから雰囲気が変わった感じがするのだがこの大男は本当に何者なのだろうか‥‥
すると空間に紫色の大穴が開かれ、その大穴から銀色の長剣を持った銀色のフルプレートの背の高い騎士がゆっくりと現れた。この騎士も大男と同じくらいの覇気を感じられ圧倒された。
「デス・アダー様、お待たせ致しました‥‥」
「おおう、アルトリウス。丁度よく来てくれたな」
「して、敵は‥‥?」
アルトリウスと呼ばれた背の高い騎士はこちらを見てきた。銀色のフルフェイスで見えないが恐ろしい程の視線を一瞬感じた。
「今の討伐対象はこの村を攻めてるビーストマンだ。彼女含めて村人たちは保護対象、死なせるな」
「承知いたしました‥‥出遅れた穴埋めを致しましょう」
「それじゃデス・アダー様、ビーストマン達は死体コレクションにしていいんですね!」
「おうよ。アルトリウス、ジゼル、手加減をするな。完璧に仕留めるよう全力でやれ。人にエログロを見せたことを後悔させてやる」
まさかこの人達は私達の村に攻めてきたビーストマン達と戦うつもりなの!?しかもたった3人で!?無茶だと言いたかったが言っても止まることはないだろう。だがその前に言うべきことがある。
「お、お待ちください‼」
村へと向かおうとする3人に大声で呼び止める。彼らは止まってこちらに振り向いた。私は手を地について大きく頭を下げた。
「た、助けて下さってありがとうございます‥‥‼お名前は、お名前は何というのですか…!?」
「名前…?ふっ、俺は名乗るまでもなry「このお方は偉大なる覇王のお方、デス・アダー様だよー♪」ちょ、こらジゼル!かっこよく決めようと思ってたのにぃ‼」
デス・アダーと呼ばれた大男はジゼルに遮られぷんすかと地団駄を踏む。先ほどまでの畏怖と覇気の雰囲気が一変、どこか親しみやすいような雰囲気を感じた。
「あーそうです‼この俺がデス・アダーです!以後よろしくこの野郎‼」
なんかやけくそ‥‥?
_____
あれは何者だ‥‥?
ビーストマン王国が最強を誇る『十騎士』、9番隊副隊長アムル・レオパードは目の前の光景に目を疑っていた。
遠征討伐によって減っていた食料を確保するため、竜王国の兵士達や冒険者達に守られていない村を攻めていた。ここは守りが薄く食料となる人間も多くいた、つまみ食いをする者もいたが楽にこの村を堕とすことができた‥‥と思っていた矢先、そいつは現れた。
人よりも一回り背の高い銀色のフルプレートの騎士が村の外れから現れて銀色の長剣で部下たちに襲い掛かって来たのだ。抵抗しようと戦う者、女を犯している最中の者、人を喰らっている最中の者、村人を襲おうとしていた者、我々ビーストマンを一刀で軽々と屠っていく。
ようやく異変に気付いた部下達が集まり武器を構えて警戒し、俺の指示を伺う。油断した、まさかこの村に兵士か冒険者がいたとは。だが相手はたった一人だ。
「憶するな!囲め‼」
たかが人間ごときで我々ビーストマンに勝てるわけが無い。囲って槍で突きさすか袋叩きかにすればあっという間に方が付く。
「今だ‼殺せ‼」
合図と共にフルプレートの騎士を囲った部下達は一斉に槍で突いた。このまま串刺しに‥‥なると思いきや、フルプレートの騎士は高々と跳んだのだ。あんな重厚な鎧を着ているのに軽々と動けるのか!?
そして騎士は勢いよく急降下して長剣を振り下ろした。その一撃はとても強力で衝撃が放たれると部下達が肉片と血を散らして吹っ飛んでいく。フルプレートの騎士の勢いは止まることなく長剣を振るい次々と部下達を斬り殺していった。
「な、なんなんだ‥‥あいつは一体なんなんだ!?」
我々ビーストマンよりも劣る人間が、我々の食料となる人間が、我々に抗い軽々と屠っていくなんて‥‥あんな人間がいたなんて聞いたことがないぞ‥‥!?人間に恐怖を与えていた我々ビーストマンが、あの人間に恐怖を抱いた。部下の幾人かは戦慄し後退りし、この場から逃げようとしている。
これは異常事態だ。隊長に知らせなくては…だがこうなってしまった以上、私が逃げるわけにはいかない。覚悟を決めるか‥‥
「お前達、今すぐこの場を離れ事態を隊長に伝えろ‥‥俺が時間稼ぐ」
「で、ですが副隊長‼貴方を置いて逃げるわけには‥‥‼」
「指揮官が部下を見捨てて逃げるわけにはいかんのだ‼部下の命を守るのも指揮官の務め、お前達は生きて務めを果たせ‥‥‼」
副隊長の替えなどいくらでもいる‥‥それに今は脅威になるやもしれない存在がいると隊長に知らせなければいけない。部下の幾人かは命令を聞いて走り出していった。あの速さならあのフルプレートの騎士でも追いつく事はできまい。
「『猛毒の擲槍<ベノム・ジャベリン>』」
何処からともなく数本の毒々しい紫色の槍の形状をしたものが俺の横を通り過ぎた。俺の後ろから悲鳴が聞こえ、振り向くと隊長に知らせに逃げようとしていた部下達が紫色の槍に突き刺されて倒れていた。
「もー、ボクのコレクションになるんだから。逃げようとしたってダメだよぉー」
「アルトリウス、あとはこいつらだけか?」
フルプレートの騎士の後方に、黒髪の少女とこの騎士と同じくらい体格の大きい大男がいた。少女は恍惚な表情を浮かべながら魔法陣を発動させ、大男の持っている黄金の斧には血が滴っている‥‥あの大男の発言からして村にいた他の部下達はやつらに殺され、残りはここにいる我々だけか‥‥どうやらもう逃げられないということか‥‥
「貴公は他のケダモノと違うようだ‥‥このような場で貴公と出会ったのが少し残念だ」
無言で部下を屠っていった銀色のフルプレートの騎士が言葉を発した。本当に残念だ‥‥
「有難い言葉だが‥‥部下達の敵をとらせてもらう」
わかっている、俺はここで殺される。だが一方的に殺されてたまるか。死しても一矢報いてやる‥‥ああレオ殿、貴方に剣の指導を願うことができなくなるのが残念です‥‥
「いくぞ‼」
俺は駆けて一気にフルプレートの騎士の懐まで迫る。剣に力を込め、全身全霊の一撃を放つ。
「武技‼『剛斬』‼」
副隊長に就任される前に、憧れていた尊敬していた『十騎士』の1番隊隊長のレオ・ライオネス殿から教わった剣技。
命を賭して放った一撃は‥‥‥銀色のフルプレートの騎士には全く通じなかった。銀の鎧に弾かれ、剣は見事に折られた。
「‥‥いい覚悟だ」
銀色のフルプレートの騎士アルトリウスはそう呟くと銀色の長剣を振り下ろした。いつ戦場で死ぬか、覚悟はしていたが、この男に歯が立たなかった…ああ、無念だ‥‥
____
「あ゛ー‥‥疲れた」
ようやく村長との話を終えて村長の家から出た俺は背伸びをする。生き残っていた村長に自分達は遠方から、僻地から来た世に疎い旅人だと称し、たまたま通りかかった所にこの村がビーストマンに襲撃されていたのを見かけたから助けに来たと話した。
ついでに助けたかわりに一息入れる場所の提供と路銀を少々、後はこの周辺の詳細を求めた。無償の施しは怖がられる、というかグロいのを見せられて怒っただけなんだけどなぁ。あそこまで拝めると逆に困るわ。
あと長ったらしいのはあまり得意でもないんだがなぁー…そんな事考えて貸してもらった空き家に戻ったらジゼルがトテトテと駆けよって来た。
「デス・アダー様お疲れ様です!よかったらボクに発散してもいいんですよぉ?」
「ばかたれ」
色気を発して艶めかしく誘ってくるジゼルにチョップを入れる。まったくなんでいつもこんな事を考えるのやら、いつもの俺なら「喜んでぇっ‼」とルパンダイブするが場所が村だししかも村人が入る前で言うもんだからとんでもないったらありゃしねえ。あぁ~タマモとかアルクとかにパフパフしてもらいてぇ~‥‥
「んでジゼル、ビーストマンの処理は終わったか?」
「はい!さっそく新しい死体コレクションにして送っておきました」
『死霊使い<ネクロマンサー>』であるジゼルのスキルで死んだビーストマン達はゾンビにされてお持ち帰り。やっと死体コレクションを手に入れてジゼルはご満悦の様子。ビーストマンは死体でも利用価値はありそうだしな、問題はないだろう。
「ですがデス・アダー様、人間の死骸も手厚く葬らなくてもよかったのでは?」
ジゼルは勿体ないと呟いて窓から外を見る。村人たちの死体はアルトリウスに集めてもらい手厚く葬らせておき、生き残った村人たちでビーストマン達に殺された村人たちの墓を建て、墓の前で生き残った村人たちが悲しみに泣き崩れ嗚咽と号泣の声を上げているのが聞こえた。
「生き返らす事はできるが、聖人君主になるつもりはねえし神として拝められるのもまっぴらごめんだ。だからせめて礼儀として人としてやっておいた方がいいだろ」
まあ今の俺達は人間じゃないのだけどな。皮肉だがここまで人間に対しては一切の同情もわかない。あったとしても小動物をめでる程度だ。だがだからといって人間を軽んじて見ているわけではない。
「ジゼル、人を甘く見ちゃいかんぞー。やるときゃやるのが人間だからな」
まったく人間というものは想像以上の動きを時たまやるからな‥‥果たしてこの村人たちにはあるかどうかは分からないが。NPC達にも言い聞かせておかないとな‥‥そんな事を考えてたらアルトリウスが作業を終えて空き家に戻って来た。やっとひと段落つけそうだな。
「アルトリウス、ご苦労さん。今日は大活躍だったな」
「勿体なきお言葉‥‥デス・アダー様、少しお尋ねしてもよろしいでしょうか」
「おう、なんなりと言ってみ?」
「何故、この村を保護対象に置かれたのでしょうか?村なら他にも点在しているはず、それなのにこの村を選ばれたのです?」
流石はブラッドが作成したNPCだ、勘が鋭いというか作った奴に性格が似ているというか‥‥本来ならジゼルの死体コレクション集めでたまたまこの村を見つけたと言いたいが、別の理由が見つかった。
「‥‥剣だ」
「剣?あのアストラルという少女が持っていた剣のことですか?」
「ああ‥‥サイズは違っていたがあの剣は間違いなくユグドラシルの剣だ」
「「!?」」
俺の言葉にジゼルとアルトリウスは驚愕する。正直言って俺もあれを見た時はびっくらこいた。あの紫色の刃に金の装飾…あの剣は見覚えがある。
「あの剣は『冥剣リベリオン』に違いねぇ」
詳しい効果はあまり覚えてないが強力な闇属性を付与する超がつくほどのレアな武器だ。しかもその剣はとあるプレイヤーが所持していた。名前は忘れたが人間種の高レベルの女性プレイヤーだったのは覚えている。
「つまりその持ち主だったプレイヤーがこの世界に転移していたってことか‥‥」
しかも200年前に、そして代々受け継がれてきたということはこの村に移住したのか、村を起こしてひっそりと子孫を残したということか。それにしてもユグドラシルの冥剣リベリオンはもう少し大きかったがあの少女に合うような大きさに変わっているのだろうか。
「つまりあの剣を手に入れる為ですね?今すぐあの子をゾンビにして従わせますよ!」
「いや‥‥恐怖による支配はダメだ。この村、この村人たちの信頼を得るのが大事だ」
折角の情報収集に最適な村なんだ、それをすぐにぶち壊すなんて勿体ない。他に利用できないか検討する必要もある。ラクーンさんに‥‥いや、ブラッドかノッブに相談してみよっかなー‥‥間違いなくラクーンさんに勝手に外出したことがバレて処されるし。
ま、後はアストラルって子は見た感じでは冥剣リベリオンを使いこなせていない。しばらく様子をみるのも一手だろう。
「さて、この村でやることは済んだ。一旦帰るとすっか」
気が付けばもう日が暮れている、早く帰らないとラクーンさんに見つかって処される。何事もなかったかのようにするために急いで帰ろう。
いざ異界門を開いて帰ろうとしたのだが、突然外が騒がしくなった。作業を止めて外を覗くと村人たちがどよめいていた。村人たちは焦り、声を荒げているようで村長が何とかして宥めているようだ。
「あー‥‥もうひと頑張りしなきゃいけないやつだこれ」
嫌な予感を感じつつ外へ出て村長に伺う。
「村長殿、何かあったのですか?」
「デス・アダー様‥‥実は、新たなビーストマンの軍勢がこの村に近づいているようでして‥‥」
あかん‥‥これ、すぐに帰れないやつだ。さっさ帰らないとラクーンさんに怒られるのに帰れないやつだ。
異世界に転移して国を立ち上げ、名を広めたプレイヤーもいればどこかの村に住んでひっそりと生涯を過ごしたプレイヤーもいるんじゃないかなぁと思いました(コナミ感