The Knight Of DRAGON   作:龍牙

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第十三話

さて、現在『対オーファン部隊』で最強なのは誰か? と問われれば、副リーダーを務める事となった『仮面ライダー龍騎』こと『楯 祐一』、本名(?)『霧島 輝』だろう。

 

一年間に亘る死闘ライダーバトルの経験、そして、彼の持つ仮面ライダーの能力。

 

現在は戦闘では最低限しか手を出さないとは言え、最初に戦ったスライムオーファン戦以来、彼の持つその実力は誰もが認めることだろう。

 

もっとも、最近では度重なる被害に対する小言と、他の生徒達から向けられる冷たい視線に耐え切れず、オーファンを率先して倒して入るが…。

 

そして、まだ手札に残っている数枚の切り札。龍騎だけの力で十分に戦っていける、今のままの戦いが続くようなら、永遠に使うことの無いであろう手札を持っている。そう、今のままの戦いが続いていけば…。

 

…………異世界と言う場所で別人となっていると言う事実が輝の判断を誤らせていた。そう、輝以外には仮面ライダーの戦いの真実を知っていると言う人間が存在していないと言う考えと、カードデッキは自分の手持ち以外に存在していないという考え。

 

それが間違いである事に気付くまで、実はそう時間は掛からなかった。

 

…………そう、そして、いずれ再び彼は切り札を使う事となる………二つの『生命サバイブ』の名を持ったカードを…。

 

これは、戦いが次の段階へと到る事を事を告げる序曲プレリュード…。舞姫達の舞台の新たな幕が上がっていく…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

始業の鐘の音が鳴る中、風華学園の校門前に並ぶ遅刻者達の列とそれを取り締まるために周りに立つ数名の生徒達。

 

『ほら、次!! 早く生徒手帳を出せ!!』

 

生徒達の不平不満も聞え、取り締まる側のそんな声が聞こえる中、

 

「本日の遅刻者35名。現在、学年と氏名をチェック中です。」

 

「………んむ!!!」

 

輝となつきが燭台オーファンと戦っていた際にその場にいた少女…『菊川 雪乃』からの報告にもう一人の…輝達よりも年上に見える少女がそう返す。

 

「遅刻くらいで大げさだよな…。」

「ガキじゃあるまいし…。」

 

無視すればいいのにと思うであろう遅刻者の一部からの声にその少女は敏感に反応し、怒りと共に虚空より己のエレメントを出現させる。

 

「たとえ遅刻といえど! 風紀の乱れは精神の乱れ!!!」

 

巨大なトゲ付きの鉄球の付いたハンマー型のエレメントを大地へと叩き付け、高らかと宣言する。

 

「健全な学園生活を送るためには、忌むべき萌芽!!! 学園の治安を守ることこそ、我ら生徒会執行部の役目!!! そして私こそが執行部部長…。」

 

彼女が名乗ろうとした時だった…。彼女の横をエレメントで有る腕輪を出現させて高速で飛行して舞衣と彼女に掴まる命が校門を潜り抜ける。

 

「ごめ~んなさ~い。」

 

慌てて謝罪の言葉を述べるが、怒りに震えている彼女に届いているのかは疑問である。

 

さらに追い討ちとばかりになつきの乗るバイクが同じ様に通り過ぎていく…しかも、泥をはねて行くと言うオマケ付きで…。

 

「……やはり……。」

 

だが、彼女は忘れている…。そのメンバーには、もう一人いると言う事を…

 

「よっと。」

 

行き成り、近くにあった鏡の中から出現する龍騎、そして、その強化された身体能力で壁を乗り越え、校舎へ向かって走り去っていく。

 

あまりにも堂々とした態度に暫くの間機能停止する風紀委員の一同…その間に他の生徒達も逃げ出していく。

 

「…やはり、あのような者達に…。学園を任せてはおけませんわ!!!」

 

その少女、執行部部長風華学園三年『珠洲城すずしろ 遥はるか』は怒りを込めてそう宣言した。

 

 

 

 

 

さて、こうして今朝も慌しく登校して行った輝の在籍している教室では…

 

例によって周囲から向けられてくる様々な感情の伴った視線にうんざりしながら、次の授業の仕度をしていた。

 

(次は移動教室だったな…。)

 

教科書とノートを取り出しつつ、周囲から聞こえる音に何となく耳を傾ける。

 

「ん?」

 

彼の耳に複数の足音が聞えたのは丁度その時だった…。まだ遠いが確実に近づいてきていて、人数も多い。『何か有ったのか?』と思いながら、他の生徒の方へと視線を向けてみるが、当然ながら他の生徒達は誰もそれには気が付いていない…。

 

次に近くの鏡の代わりになるであろう場所に視線を向ける。ミラーワールドに存在するドラグレッダーへと視線を向けると、ドラグレッダーも自分と同様近づいてきている足音に気がついている。だが、過剰な反応をしていない所を見ると危険はないのだろう。

 

(ほんと、オレってこう言うのに過剰に反応するよな……最近。)

 

未だ治ることの無いライダーバトルによる影響に対して心の中で溜め息をつき、関係ないだろうと思いながら、教室を出ようとして出入り口へと視線を向けると『バァン』と教室のドアが乱暴に開かれる。

 

「楯祐一!!! 大人しく今朝の遅刻分の減点を受けなさい!!!」

 

お供に気弱そうな眼鏡の少女と数名の眼鏡を掛けた生真面目そうな男子生徒達を引き連れて入ってきて早々、その少女は何の脈絡も無くそう叫んでくれた。

 

「誰?」

 

思わずそう返した後…後ろにいる少女へと視線を向ける。今までは気のせいと思っていたが…先日の夜の戦闘の際に感じた気配と視線の持ち主がその少女だと気が付くと、自然と視線が鋭くなる。そんな輝にビクっと震えながら、その少女はもう一人の偉そうな少女の後ろへと隠れた。

 

「私を知らないですって!?」

 

「いや、転校生だし…オレ。」

 

「学園の治安を守ることこそ、我ら生徒会執行部の役目!!! そして私こそが執行部部長…高等部三年『珠洲城すずしろ 遥はるか』!!!」

 

「アシスタントの高等部一年『菊川 雪乃』………。」

 

思わず、執行部所属と言う点以外繋がりの見えない二人だと思いながら、次の授業の支度を始める輝であった。

 

「ってか、遅刻したのはオレだけじゃないだろう。」

 

輝の呟きに遥の顔が真っ赤になり、何かを思い出している様な様子で怒りに震えている。

 

「~~~ッ。上級生の話を聞かないとは…!!! それもこれも…!!! 全てあなたのせいですわ!!!」

 

「だから………何所から、何所でどうつながって、何でそうなる?」

 

前後の事情を知らない人間にとっては当然とも言えるコメントを呟いてしまう輝だった。

 

「見てなさい!! 間もなく…。」

 

周りに誰もいないのを見て、これ以上付き合いきれないとばかりに荷物を持って輝は遥の横を通り過ぎて教室を出て行く。

 

「あの…ちょっと…遥ちゃん? 次の授業体育だって、みんないなくなっちゃったよ。」

 

「え!? あ!?」

 

雪乃の言葉に我に返り周囲を見回す遥の視線の先…そこには…誰もいない無人の教室が広がっていたのでした。

 

 

 

 

 

 

さて、時は放課後、第三十二回と書かれた幕が掛けられた理事長室で行われている、対オーファン部隊反省会

 

「これまで報告されている通り……喜ばしい事に対オーファン戦の戦闘時間、被害が縮小しています……が。」

 

そこで言葉を切ると陽子は溜め息をつく、それに反応して、思わず目を逸らす輝。

 

「その理由が、二人がチャイルドを呼び出せたからではなく、その全てが楯君の活躍による物なのが問題よね。」

 

寧ろ、その二人のチャイルドは被害を拡大させていた。出ている被害が全て、チャイルドの攻撃の余波だから。

 

しかも、被害を最小限に抑えている要因はすべて輝が素早くオーファンを倒したり、余波の影響から守っているからなのだ。

 

まあ、輝に言わせれば、いきなり強力な力を持ってしまったのだ、それをすぐに完全に使いこなせ等と言われてできる訳が無いそうである。

 

もっとも、彼がその言葉を言ってもいいのかは疑問ではあるが。

 

 

 

 

「…玖珂は…?」

 

「逃げたのよ。」

 

「…オレだって来たのにか?」

 

 

 

報告が続く中、舞衣と輝のそんな会話が小声で交わされる。

 

そんな中、真白が嬉しそうに微笑みながら撃龍剣と陽子へと問いかける。

 

「それだけチャイルドの戦闘力が高いと言う事と、楯さんの存在が大きいという事ですね!!」

 

「そうですけど……。」

 

「オレばっかりが活躍してる状況は大問題じゃ…。」

 

そう、最大の問題が有るとすれば、出てくるオーファンの大半を悪評を受けたくない輝が倒してしまっている事だろう……。いつも、輝が闘えるとは限らないのだから、彼が戦えなくなったら、それだけで戦力が半減するどころか、想像したくもない程の被害が出てしまう可能性もある。

 

「ここのところ、オーファンの出現も頻繁になっています。楯さんの活躍もありますし……。それに比べれば大した事有りませんよ。」

 

一切表情を変えず彼女は言い切る……。

 

「このくらいの被害は。」

 

そんなトゲだらけの一言に思わず目を背けてしまう、ケーキを食べている命以外の三人でした。

 

「今後は楯さんを見習って、学園施設にも注意して戦ってくださいね。」

 

真白のその一言で全ては終わるはずだった……余計な乱入者が現われなければ。

 

 

『その程度のお説教で無罪放免にしてもらっては困りますわ!!!』

 

 

そんな叫び声と共に扉が開かれたのだった。

 

 

 

 

 

 

ただ一つだけいえるのは……これから先、輝の地雷を踏む事となる不運な人間が一人いると言うことである。

 

 

つづく…

 

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