自分と似ている人間を知ると、誰だって会いたくなるものだ。
私はとある情報を元に、仙台の武偵校からこの学園島の武偵校へ転校することになった。
私の力に似ている武偵がいるなら、一度だけでいい、戦ってみたい。感じたいのだ、その力を。
だが、
「失望した」
それが私の感想だった。
ネクラそうな外見、やる気のなさそうな目、そしてタラシというあだ名。何もかもが失望した。
しかも、そうはっきり言ってやったのに、
「それを俺に言われてもな……」
と流されてしまったのだ。
私は自分とほぼ同等の存在がいると聞いて来たのに、結果がこれだと意味がない。
私は放心状態で校舎をブラブラしていると、
「――――あのバカキンジ、私が置いてあった桃まんを勝手に捨てたのよ! 酷くない!」
「へぇ~。キーくんは何で捨てたんだろうね~」
知っている顔に出会った。
一人はピンク色の長いツインテールが印象的な背の小さい少女、神崎・H・アリアだ。仙台校の時に、外国に行った時に共闘することがあり、顔見知りだ。才能的に、彼女の剣さばきには一目置いている。
もう一人は、制服のフリフリが異常な程に印象的な金髪少女、峰 理子だった。こいつとは……以前とある組織に誘われた時に知り合った。まぁ、あまりしゃべりたくないから、ここでは伏せておく。
「あっ、ミーちゃんじゃーん。おっ久~」
最初に私に気づいたのは理子だった。相変わらずのハイテンションである。しかも、前にあった時よりも更に明るくなっているように見えるのは、私の目の錯覚だろうか。
「あ、ミト。お久しぶりね」
それに合わせてアリアも私に気づき、こっちを向いた。……相変わらず小さい。これ言ったら怒られるだろうけど、胸も一応勝ってる。まぁ、この世界で容姿はハニートラップぐらいにしか使えないから、意味はないんだろうけど。
「久しぶり、アリア、理子」
そう言うと、アリアが驚いたように理子を見た。ん、まずい事でも言った?
「理子。なんでミトと知り合いなのよ」
あぁ、なるほど。アリアは知るはずないもんな~、あの組織――
「一度イ・ウーに誘ったことがあるからね~」
理、理子! あの組織って、そんな公にしていいの!?
と、聞こうとしたが、目の前のアリアは、
「へぇ~、ミトを誘ったんだ」
と、平然として答えていた、それ以上は言えなかった。アリアも関係者なんだろうか?
まぁ、そこはあえて触れない方向で行くとしよう。
「ん~、ミーちゃんここにいるっていうことは~、キーくんと会ったんだ~」
「え、ま、まぁね……」
失望したけど。
ついでに情報提供者は理子だったりする。組織のお誘いからしばらくの間、メールによる他愛のない交流があり、その時に遠山キンジのことを知ったのだ。
「え、え、ミト、キンジと会ったの!?」
アリアの異常な食いつきに違和感を覚えるが、素直に頷いておく。
ていうより、アリアも知り合いなのか。まさか、タラシの名前の由来って……いや、あれは確かあいつの能力によるものだったはず……。
「まぁ、正直失望した。あんなに暗いやつとは……」
アリアはうんうんと頷くのに対して、理子はフフフッという奇妙な笑いを発している。
……少し怖い。あの眼は、何かよからぬ企みをしている眼だ。関わらないでおこう。
「あっ、あと私は探偵科(インケスタ)だからね、アリア」
「えっ、強襲科(アサルト)じゃないの!?」
アリアはとっても驚いていたけど、それは当然だ。なぜなら私は、仙台時代は元々強襲科だったからだ。だから、アリアにも知り合えたわけだけど。まぁ、やめた理由はとても簡単。
「飽きた」
だった。流石にアリアは呆気にとられたようでしばらくの間、つっ立ていた。まぁ、自分でもこんな適当な理由はだめだと思う。でも、新しいことに挑戦は必要だから。
そのあと、アリアは何か用事を思い出したようで、どこかへ去って行った。残ったのは私と理子。
すると理子は、小さなメモ程度に折られた紙を渡してきた。
「お誘い。まぁ、考えておいてね~」
そう言って、理子はどこかフラフラと去って行った。私はその紙の中身を確かめる。そこには、『近々コスプレ大会があるから、考えておいてね~。きっと、楽しいよ~』、と理子らしい文字で書かれていた。
全く。相変わらず理子らしい。考えれば、彼女とのメールもこんな調子だった。と、紙をスカートのポケットの中に入れようとしたとき、違和感を感じた。
私はすぐさま、女子寮のほうへと足を向けるのだった。
まだ、段ボールだらけで女子らしくない部屋の中、私はもらった紙を火であぶっていた。理子らしからぬ古典的な方法だが、これもまた機密的な情報に違いない。
「おっ?」
しばらくして、紙から浮かんだ文字列を私は睨んでいた。そこには、コスプレとは無関係な、今後の私にとって重要な情報が複数存在した。