緋弾のアリア―β―   作:もみもみじ

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《前回までのあらすじ》自分と似た力を持つ少年、遠山キンジと共にS級ランクの依頼を受け、命を救われた水戸 朱莉。何とか連係し、犯人を捕まえたが、この事件はそれだけでは終わらなかった……。


第三弾 戦姉妹

 現在時刻、午後2時をまわった。私はそんなに来たくはない超能力育成科(SSR)に来ていた。ここは胡散臭いし、調子が狂う。でも、来ないと行けない用事があった。

 

「失礼します」

 

 私はそう言いながら扉を開ける。中には巫女服を来た黒髪のロングヘアーの少女と、白い髪でポニーテール状ににしている眼鏡をかけた綺麗な少女がいた。

 

「来たか」

 

 白い髪を持つ少女――――ジャンヌはそう短く言った。私とジャンヌは初対面だ。理子から色々話は聞いていたが……美人だ。女として悔しい。

 逆に巫女服少女――――白雪とは何度か顔を会わせている。先日、遠山に学校の案内という意味で同行してもらった際、刀を持って襲われたのが印象深い。……本気で殺されると思った。

 

「何でここなの? あと、何で白雪?」

 

 個人的な話だが、できればこの二人――――胸が大きい組とは会いたくなかった。自分の貧相な胸と較べてしまい、テンション下がる。アリアと較べてならまだ勝てる(しかも余裕で)が、この二人と比べてしまうと……はぁ。

 巨乳二人と微乳一人……欝だ。

 

「いや、深い意味はない。ただ、さっきまで話し合いをしていてな」

「超能力の話を少ししていまして……」

 

 なるほど。理子から話を聞く限り、ジャンヌは情報科(インフォルマ)に入っているが、超能力を使えるらしい。しかも、白雪と互角――――それ以上とも聞く。相手にしたくない相手だ。

 

「そう。んで、話って?」

「この間、お前と遠山が捕まえた犯人が吐いたんだが、他のグループの拠点が判明した。複数あるらしく、手分けで一気に落とす作戦を立てているのだが、お前にも参加してほしい」

 

 なるほど。さすが尋問科(ダギュラ)と言うべきか。まさかこんな早くにも拠点を吐かしてしまうなんて……。あぁ、怖い。

 とりあえずそれはいいが、ジャンヌが遠山の名を出した瞬間、肩をビクリと震わせたぞ。こ、怖い……。何か、私へ私怨でもあるのだろうか。うーん……何かしたっけな。

 

「それは、まぁ、いいけど……やはり応援がほしい。いい?」

「元よりそのつもりだ。メンバーはお前と遠山だ」

 

 またビクリと白雪が反応する。殺気が怖い。今や蛇に睨まれた蛙の気分だ。

 

「な、なんで遠山なの?」

 

 アリアとかいるだろうに。あと、ここの殺気放ちまくりの巫女も。

 

「一度戦果をあげているからだ。他のメンバーも考えないわけではないが、やはり、共犯者なら、最後まで同じメンバーのほうがいいだろう?」

 

 確かに、依頼が延長しているのなら、そのままのメンバーがいいだろう。でも、前回の私と遠山のコンビネーションでは危険性が高い。やはり、遠山を活かせるメンバーのほうがいいのだ。

 

「アリアか、理子を頼みたい。連携しやすいし」

 

 私も遠山も知っているメンバーだ。この二人がいれば、心強いのだが……。

 

「二人とも駄目だ。アリアは今回、別の場所で戦姉妹(アミカ)が所属しているグループと別事件の犯人を捕まえることになっている。理子は、何か用事があるようで、参加不可だ」

 

……この間のあれか。

私はつい先日、理子からコスプレの大会に参加しないか、と言われた。私は即刻拒否したが、どうやら自分で参加するようだ。

 というより、依頼よりもコスプレを優先するって……。彼女も変わっている。

 

「ジャンヌは理子の用事知ってる?」

「一応、な」

「……ジャンヌは参加しないの?」

 

 ふと、そう頭で考えたことを口走ってしまった。

 すると、ジャンヌは異常なほどに汗をかき始めた。その顔は、羞恥というか、なんというか……判断しがたい表情で、顔を真っ赤にしていた。そして、その行動が異常に乙女らしい。

 

「い、いや。わ、私は、む、むむむ無理だ!?」

 

 何でそこまで動揺するのだろうか。

 動揺は興味がある、と捉えることもできるのだが、まぁ、彼女に限ってはないだろう。

 ……と信じたい。彼女のイメージのために。

 

「私は情報科だからな! 無理だ!!」

 

 いや、それは理由になってないよ。しかも、そこまで大声を出さなくても。

 そして、何を話しているのか全然解っていない白雪は、うーっ、と唸っていた。どうやら、先程の会話で、どんな話をしていたか当てようとしているらしい。

 白雪には無理だと思うよ。ジャンヌとはまた違った気品を持っているし、なんか世間知らずな印象を受けるし。そんな彼女から、コスプレという単語が出るかどうか。

 

「しかしどうする? お前と遠山だけでは厳しいだろう」

 

 ジャンヌはこほんと咳払いをしたあと、そう言った。その表情からは羞恥は見られない。この切り替えの速さ。私にも譲ってほしいものだ。

 さてどうするか……。戦力的にはあと二人いてくれると嬉しいのだが。

 そういえば、遠山には妹がいたな。彼女に力を借りるのも一個の手か。

 いや、だが連携がとれるかは不安だな……。遠山は私に合わせてくれるが、その子が合わせてくれる保証はない。

 となると、どうするか……いや。

 

「ジャンヌ。その作品の決行日は、いつ?」

「今日……と言いたいが、こちらも準備がいるからな。明日になるだろう……」

「了解。それじゃ、メンバーはたぶん集まる」

 

 私はそれだけ言うと、そそくさとその部屋から立ち去った。ジャンヌが何か言おうとしたが、私にちゃんとした考えがあると解ったのか、何も言わずに私が立ち去る姿を見ていた。

 そして、相変わらず白雪は何の話をしていたのか、考えていた。

 

 

 

「さて」

 

 SSRと巨乳部屋から退散した私は、すぐさまポケットの中に入れていた携帯電話を出す。そして、私はとある電話番号を打ち、耳に当てる。

 

「お久~。元気にしてるー?」

「せ、先輩っ!?」

 

 いきなりの電話に、相手はとても驚いているようだった。

 まぁ、彼女らに何も言ってなかったからなぁ……。

 

「ど、どこにいるんですかっ!!」

「んー、東京の武偵校に来てる」

「えぇっ……あ」

 

 そう言うと、電話の相手はすごく驚いたようで、一瞬耳障りな音が聞こえた。

 どうやら、携帯電話を落としたらしい。はぁ、我が妹分ながら、ドジやってるなぁ。

 

「そうそう。私、使ってた武器、一振りだけ忘れてたんだ。だからさぁ……持ってきてよ」

「え、あ、はい。この無銘の刀ですね……え?」

 

 さて、本題に入る。

 としたのだが、どうやら相手が意味を理解したらしく、しばらく絶句していた。代わりに、もう一人のほうが出てくる。

 

「代わりました」

「話聞いてたよね? うん。お願い。あなた達の力が必要なの」

「……それはそちらに行け、ということですか?」

「そうね」

「……うぅ」

 

 そう言うと、電話の相手は唸り声を出し始めた。その声を聴いて、相手の正体がやっと掴めた。

 はぁ、この二人は本当に見えないと扱いに困るわ……。声の違いは判らないし、携帯電話は二人で共用だし。ちょっとした仕草でしか判別できないのである。あぁ、厄介厄介。

 さて、どうやら結論を出してくれたらしい。

 

「解りました。とりあえず、無理やりにでも説得させます」

 

 ふむ、納得してくれたようだ。やっぱり妹分2の方が、話が通りやすくて楽だなぁ。さすが、情報科と尋問科をしていただけはある。

 まぁ、そこから強襲科(アサルト)に引き抜いたのは私なんだけどね。

 

「では、いつまでにそちらへ行ったらいいでしょうか?」

「明日」

「え?」

「明日」

「……もう一度お願いします」

「明日。トゥモロー。ネクストデイ」

 

 そう言うと、また唸り声を出し始めた。まぁ、いきなりで悪いことは解っているんだけどね、でも、頼れるのってあなた達しかいないのよね。

 私が戦闘上、最も信頼できる仲間である、戦姉妹しか。

 

「はぁ……。解りました。明日、東京へ行きます。手続きなど、早急にお願いしますね」

「解った。無理なこと、ごめんね」

「解っているのなら、言わないでください。でも、またお願いします」

 

 そう言って、通信が途切れた。やっぱり、この一方的に切るのは、白の方だね。

 さて、ならば私も準備しなくちゃ。大事で、大切で、大好きな後輩たちのためにも。

 

「さ、準備しますか」

 

 そう言って、私は教務科(マスターズ)に向かうのだった。

 ……怒られないといいんだけど。

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