イノチの理解者は猫と寄り添う   作:shin-Ex-

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今回は小猫ちゃんとの会話がメインです

色々とはしょっていますが・・・・

それでは本編どうぞ


始まりの語らい

悪魔である搭城小猫を召喚し、脱コミュ障のために小猫と会話をすることになった俺。

 

なのだが・・・・・

 

「やはり駅前のベーカリーも外せませんね。味ももちろんいいですが種類も豊富です。あと、その近くにある和菓子屋さんも・・・・・」

 

会話の内容が・・・・・ほとんど食べ物に関するものなのだ。

 

最初はこの町にある施設を教えてくれていた小猫なのだが、俺が食事するならどこがいいのかを尋ねたとたん・・・・・表情を明るくして活き活きとお勧めを紹介し始めたのだ。聞いたのは俺からなので不満はないのだがまさかこの話だけで一時間も続くとは思わなかった。よほど食べることが好きなのだろうか。

 

「ふふふっ・・・・・」

 

「どうしました命さん?」

 

熱心に話す小猫のことをついつい微笑ましく思えてしまい、笑みを浮かべると小猫が小首をかしげながら訪ねてくる。幼い容姿とあいまって、その仕草はいちいち可愛らしく思える。

 

「いいや、何でもないよ。それにしても随分とたくさんお勧めを知っているんだな。小猫はこの町出身なのか?」

 

「・・・・・・いいえ。違います」

 

出身のことを聞くと、さっきまでとは打って変わって小猫の表情が暗くなった。どうやら出自に関しては訳ありなようだ・・・・・・失礼なこと聞いてしまったか。

 

「そういう命さんはどちらの出身なんですか?」

 

詳しくは自分の出身のことは話したくはないようで、逆に小猫のほうが聞いてきた。

 

「俺か?俺の生まれは山奥の小さな集落だよ。はっきり言って田舎だな。正直なにもない」

 

集落の外を旅してはっきりわかった。俺の住んでた集落は本当に田舎だ。一応電気とかは通ってるのだが、物が圧倒的に少ない。レジャー施設など皆無と言っていいしな。

 

「旅をしているって言ってましたけど故郷の暮らしが嫌になったからですか?」

 

「あー・・・・・まあそんなところだな」

 

一応そう返答を返す俺だったが、それは別にあの集落自体が不便だったというわけではない。集落から出たのは一族の皆が俺への悪意に飲み込まれないようにするため。ああいう仕打ちがなかったら・・・・・曹操が教えてくれなかったらきっと今頃も俺はあの集落で暮らしていたんだろうな。

 

ただ・・・・・

 

「旅は楽しいですか?」

 

「そうだな・・・・・何から何まで楽しいってわけじゃないけど、それなりに充実はしてるよ。苦しいこととかも結構あったけど、集落にいたんじゃ絶対に知りえなかったようなことも体験できるのは結構興味深いし。それに・・・・・」

 

「それに・・・・・なんですか?」

 

「こうして小猫にも会えたしな。ここ最近じゃ一番嬉しかったことだ」

 

「なっ!?」

 

なぜか突然小猫の顔が真っ赤になった。どうしたんだ?

 

「小猫?顔が赤いけど大丈夫か?」

 

「・・・・・誰のせいだと思っているんですか」

 

小猫が俺から顔をそらしながら言ってくる。誰のせいって・・・・・この言い方からして俺のせいか?まあ、この場には小猫と俺しかいないから当然か・・・・・けど何がいけなかったのだろうか?

 

「その・・・・・俺、何か小猫の気に障るようなこと言っちゃった・・・・・のか?」

 

正直原因がわからない・・・・・失礼かもしれないが、今後こういうことが起きないように小猫に原因を尋ねてみた。

 

「別に怒っているわけではありません・・・・・さっきといい、今といい無自覚でやってるのならタチが悪いと言わざるをえませんが」

 

「それってコミュ障的な意味でか?」

 

「いえ、天然的な意味でです」

 

・・・・・天然?どういうことだろう?まったく意味が分からない・・・・・

 

「・・・・・まあ、わからないというならあまり気にしないでください。多分考えても無駄ですので」

 

「そ、そうか」

 

考えても無駄か・・・・・・結構きついこと言うな小猫。まあ原因が俺にある以上は仕方ないんだけど。

 

「そんなことよりも・・・・・・私はそろそろ戻らないといけないのですがどうですか?」

 

「え?どうって・・・・・?」

 

「・・・・・コミュ障は治りましたか?」

 

「コミュ障・・・・・・ああ」

 

って、そうだ。俺はコミュ障を治すために小猫と話をしていたんだった。小猫と話してるのが楽しくて忘れてた。

 

「自分で依頼しておいて忘れないでください」

 

「返す言葉もない・・・・・・」

 

あまりにも小猫の言っていることがもっとも過ぎて反論することができなかった。

 

「それで?コミュ障の方はどうなんですか?」

 

「その・・・・・ごめん、正直治ってるかどうかわからないというか治ってる気がしないというか・・・・・」

 

「そうですか。まあ、少し話をした程度で治れば苦労はしませんが」

 

はい。仰る通りでございます。

 

「ですので・・・・・また呼んでください」

 

「え?」

 

「あなたのコミュ障が治ってない以上、依頼は未達成で報酬ももらうわけにはいきません。今日はこれで帰らないといけないですけど、このままにしておくのは嫌です。だから・・・・・治るまで付き合いますのでまた呼んでください」

 

「またって・・・・いいのか?」

 

「何がですか?」

 

「その、小猫からしたら俺って面倒くさい依頼者じゃないかなって思って・・・・・」

 

「確かに今までコミュ障を治してくれって依頼してきた人はいませんでしたから、変な依頼者だとは思っています」

 

・・・・・自覚はしているけど、ここまでドストレートに言われると結構凹むな。

 

「ですが・・・・・依頼は依頼です。達成するまで付き合わなければ私の気が済みません。それに・・・・・私も命さんとお話するのは楽しかったです」

 

「え?なんて?」

 

「ッ!?な、なんでもありません!」

 

最後の方が小声でいまいち聞き取れなかったので聞き返すと、小猫は口調を強めながら返してきた。一体なんて言っていたのか・・・・・

 

「ともかく、コミュ障が治るまで付き合いますので、また呼んでください。絶対に・・・・・また」

 

なぜか俺の服の裾を掴み、上目遣い気味に俺を見ながら言ってくる小猫。これではどっちが依頼者だか分からないが・・・・・まあそんなことはどうでもいいか。

 

「ああ、また呼ぶよ。その時は相手よろしくな」

 

「はい。それでは・・・・失礼します」

 

小猫が何やら作業を始める。しばらくすると来た時と同じように魔法陣が展開されて・・・・・その魔法陣に入った小猫は部屋から姿を消した。

 

「あれが悪魔・・・・か」

 

ベッドに横たわり、去っていった小猫の事を思い返す。

 

俺よりも30cm以上も小さく、可愛らしい少女である小猫。パッと見は悪魔だとは思えないし、俺も正直普通の人間なのかと思ってしまった。感じたイノチは人間とは全く異なるものだったから悪魔なんだと思えたが。

 

そういえばイノチといえば・・・・・

 

「小猫のイノチ・・・・・似ていたな」

 

俺は小猫に似たイノチを持った女性に旅の途中で出会ったことがあった。その女性のイノチと小猫のイノチは・・・・まるで肉親だと思わせるほどに似ていた。まあ、体型とか性格とかは似てなかったが。髪の色も違うし。イノチ以外で似ているところは・・・・・強いて言うなら猫っぽいところぐらいか。多分たまたま似ていただけだろう。

 

そんなことよりも、だ。

 

「何回ぐらい呼べばコミュ障って治るのかなぁ」

 

正直、自分で言うのもなんだが俺のコミュ障は筋金入りだと思う。十数年人とまともに関わってこなかったのだからな。それこそ、小猫と話をしているだけで治るようなものではないのかもしれない。

 

だが・・・・・・

 

「・・・・・次呼ぶときは小猫がおすすめしてた店で何か買っておくかな」

 

依頼をこなそうとしてくれる小猫には悪いが・・・・・俺はコミュ障とは関係なしに、小猫と会って話をすることが楽しみになってしまっていた。

 

 




フラグを建てるのが早い気もするけど、それが命のイケメン力なのです・・・・・・本人は天然タラシで鈍いですが

それでは次回もまたお楽しみに!
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