イノチの理解者は猫と寄り添う   作:shin-Ex-

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今回はサブタイトル通りあの方が・・・・・・

それでは本編どうぞ


元聖女との邂逅

ある日、また俺は小猫を部屋に呼び出したのだが・・・・・その日はいつもと違っていた。小猫のほかにもう一人・・・・・長いブロンドヘアの清楚そうな少女が居た。

 

「えっと・・・・君は?」

 

「は、はじめまして。アーシア・アルジェントといいます。きょ、今日はよろしくお願いします」

 

少女・・・・・アーシアは緊張した様子で挨拶をし、俺に深々と頭を下げた。イノチの感じからして悪魔であるということはわかるが・・・・・これは一体どういうことだろう?

 

「彼女は先日悪魔になったばかりで、悪魔の仕事に不慣れということで今日は私の補佐として付いてきてもらったんです」

 

俺の考えを察してか、小猫が説明してくれた。なるほど、アーシアは新米悪魔なのか・・・・ん?新米ということは・・・・

 

「小猫、もしかして前話してた先輩って・・・・」

 

「いいえ、アーシア先輩のことではありません。アーシア先輩よりも前に悪魔になった先輩がいて、前に話したのはそっちのほうです」

 

どうやらアーシアが件のおっぱい先輩ではないらしい。まあ、アーシアはそもそも女だし、こんな清楚そうな子がおっぱいに執着してるとかありえないか。

 

「あの・・・・・イッセーさんについて何かお話をしたんですか?」

 

アーシアが小首を傾げて尋ねてくる。イッセーというのがどうやらおっぱい先輩の名前であるらしい。

 

「あー・・・・・まあちょっと。それよりも自己紹介が遅れたな。俺は一夢命。命って呼んでくれ」

 

「はい命さん・・・・え?俺?」

 

返事を返すアーシアであったが、俺の一人称に対して疑問を抱いている様子だった。これはまさか・・・・・

 

「・・・・・一応言っておきますアーシア先輩。命さんは男です」

 

「ええっ!?」

 

俺が男だと小猫に説明され、アーシアは大変驚いた様子だ。ウン、コウナルコトオレシッテタ。

 

「す、すみません命さん。すごく綺麗でしたので私てっきり・・・・」

 

申し訳なさそうに謝るアーシアだが・・・・・アーシアの言葉で俺はさらにダメージを受けてしまっていた。

 

「・・・・・大丈夫ですか命さん?」

 

どうやら俺がダメージを受けたことに気づいたらしい小猫が声をかけきた。

 

「大丈夫だよ小猫・・・・・これからもどうせ女に間違えられることなんてザラにあるんだ。そのためにも早めに慣れる必要があるからこれぐらい・・・・」

 

「それは厳密には大丈夫とは言えないのではないですか?」

 

言うな小猫・・・・・それぐらいわかってるんだ。だけど、実際問題精神的な意味でも慣れないと辛いんだ・・・・・

 

「えっと・・・・・本当にごめんなさい命さん」

 

「いや、気にしなくてもいい。それよりも、今日はよろしくな」

 

「はい。よろしくお願いします」

 

手を差し出してくるアーシア。これは握手・・・・ということでいいのだろうか?あんまりしたことないから緊張しながら右手をだしてアーシアの手を掴む・・・・・・柔らかいな。それに言い方は変かもしれないけど優しい感じがする・・・・・どこか安心するな。

 

「・・・・・」

 

「痛っ!?」

 

突然、左手に痛みが走った。見てみると、小猫がジトっとした視線を俺に向けながら俺の左手を抓っている。なぜだ?

 

「あの・・・・・小猫さん?これは?」

 

「・・・・・知りません」

 

手を抓るのはやめてくれたが、小猫はそっぽを向いてしまった。本当になんだと言うんだ・・・・・

 

「その・・・・・重ね重ねすみません命さん。それに小猫ちゃんも・・・・」

 

「え?なんでアーシアが謝るんだ?」

 

「それはその・・・・・・大変ですね小猫ちゃん」

 

「・・・・・はい」

 

え?大変って何が?というかなんか二人で通じ合ってるけど本当にこれどういう事なんだ?まるで意味がわからないよ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、アーシアって元々はシスターだったんだな」

 

「はい。今は訳あって悪魔になりましたが」

 

結局、先ほどの一件については理解できないまま、いつものように他愛のない話が始まった。今日はアーシアがいるということで、話題はアーシアのことになっているが。

 

「悪魔とシスターって立場的に結構正反対だよな?苦労したりはしてないのか?」

 

「その・・・・・祈りを捧げると頭が痛くなるのが少し」

 

「悪魔なので神様に祈りを捧げればダメージを受けるのは当然です」

 

「それはまた大変だな・・・・・」

 

シスターであるアーシアにとって、神への祈りは習慣になっているだろう。それが今やダメージを受けるモノになるとは・・・・・なんともまあいたたまれない。

 

というか、それなのにシスターから悪魔になったって・・・・・どうやら俺では伺い知れないような自称があるようだ。さすがにそこまで踏み込んだ話を聞くのはやめておいたほうが良さそうだが。

 

「命さんは神様に祈りを捧げたりはしないんですか?」

 

「あー・・・・俺は無宗教だから。こうして目の前に悪魔がいるわけだから神様も居るっていうのは納得できるけど、祈りを捧げたりはしないかな?」

 

「・・・・そもそも、命さんが神に祈りを捧げるような人なら私を呼んだりしていません」

 

アーシアには悪いが、小猫の言うとおりだな。そもそも神に祈りを捧げたとしても意味や価値があるとは到底思えない。祈ったとろこで何かが変わるとは到底思えないし・・・・・

 

「そうですよね・・・・・残念です」

 

目に見えてシュンとするアーシア。悪魔でありながら人一倍信仰心が強いため、一人でも多く神に祈りを捧げる人がいたらいいなと思っていたのだろうか?そんなアーシアの期待に添えないのは正直少し残念だ。

 

「・・・・やっぱりおかしいですよね。悪魔なのに神様に祈りを捧げたいと思うのは」

 

少々表情を暗くしながらいうアーシア。経緯はどうあれ、悪魔になること自体は受け入れているのだろう。だが、それでもアーシアにとって祈りは大切なものでそう易々と切り捨てることができるものではないのかもしれない。たとえ、それが立場上許されないものだとしてもだ。

 

「・・・・確かに、悪魔の身でありながら祈りを捧げたいと思うのはおかしなことかもしれないな。だけど・・・・別にいいんじゃないか?」

 

「え?」

 

「たとえ悪魔になろうとも、信じたいものは個人個人それぞれだ。俺は詳しいことはわからないけど、アーシアの神への思いや祈りを捧げたいという思いそのものは誰であっても否定してはならないものだと思う。アーシアだって、神に祈りを捧げたいと思う自分を恥じたりはしてないだろ?」

 

「・・・・・はい。私はたとえどんな存在になっても神様を信じています。神様に祈りを捧げたいと思っています」

 

強い決意を秘めた目でアーシアは言う。これなら俺がとやかく言う必要はないかもしれないが・・・・・まあここまで来たんだ。最後まで言わせてもらおう。

 

「なら、それでいいんだよ。誰に何を言われようとも気にしなくてもいい。むしろそんな自分を誇ってもいいぐらいだ。そこまで信じられるものがあるっていうのは結構凄いことだと俺は思うし、羨ましくも思うよ」

 

「・・・・・私もそう思います。さすがに目の前で祈りを捧げられるのは・・・・・私も痛いのでやめてほしいですが、それでもアーシア先輩の信仰心を否定するつもりはありません。きっと部長や皆も同じ気持ちです」

 

「命さん、小猫ちゃん・・・・・はい。ありがとうございます」

 

パッと、満面の笑みを浮かべるアーシア。とても可愛らしいというか愛らしいというか・・・・・・アーシアみたいな妹がいたらなと思ってしまう。まあ、俺の方が年下なのだが。

 

「っと、もうこんな時間か」

 

ふと時計を見ると、結構な時間が経っていることに気がついた。だいたいいつもはこれぐらいの時間で小猫は帰っているのだが今日はどうだろうか?

 

「アーシア先輩。今日のお仕事はここまでです」

 

どうやら今日もこれで終わりらしい。今日も充実した時間が過ごすことができてよかったけど・・・・強いて言うなら、もうちょっと小猫と話がしたかったかな?今日はアーシアの話が中心になってたし。もちろんそれが悪いというわけではないのだが・・・・・

 

「ただ・・・・私は命さんと少し話したいことがあるので先に戻ってもらっていいですか?」

 

俺が少々名残惜しく感じていると、小猫がアーシアに先に買えるように促していた。俺にまだ何か用があるのだろうか?

 

「わかりました。それでは先に帰りますね。命さん、今日はありがとうございました」

 

アーシアは小猫に返事を返し、俺に挨拶をした後に魔法陣を展開して帰っていった。

 

「えっと・・・・話したいことってなんだ小猫?」

 

アーシアを見送ったあと、俺は小猫に視線を向けて尋ねた。

 

「いえ・・・・・今日はアーシア先輩がいたので命さんとあまりお話ができなかったので・・・・その・・・・・」

 

これは・・・・もしかして小猫も俺と同じで物足りなく感じていたのか?

 

「少しだけ話するか?」

 

「ッ!?し、仕方がありません。命さんがそういうのなら少しだけ・・・・」

 

一瞬驚いたような表情をしたあと、小猫は頬を赤く染めながらぷいっとそっぽを向きながら言う。

 

・・・・普通に可愛いなと思ってしまった俺は正常なはずだ。

 

「命さん・・・・・随分とアーシア先輩に優しかったですよね」

 

小猫の口から出たのは、アーシアのことだった。わざわざアーシアを帰したのだから別のことを話すのかと思っていたが・・・・・まあ、確かにこれはアーシアの前では話せないことだけども。

 

「特に意識していたわけではないんだがな・・・・アーシアが純真そうだったから自然とそういう態度になっちゃったのかもな」

 

特に自覚していたわけではないが、思い返してみれば確かに普段の俺よりどこか柔らかい感じだったかもしれない。

 

「まあ気持ちはわかりますが・・・・・むぅ」

 

「どうした?」

 

「別になんでもありません」

 

なんでもないという小猫だが、どう見ても様子が少しおかしかった。一体どうしたというのか?

 

「まあ、そのことはもういいです。それも命さんのいいところの一つですから」

 

「あ、ああ・・・・ありがとう?」

 

何がどういいのかよくわからなかったため、返答が疑問系になってしまう。

 

「それよりも・・・・・・コミュ障はあまり治ってないみたいですね。アーシア先輩と話していたとき、緊張してましたよね?」

 

「あ、バレた?」

 

実はそうなんだよな・・・・・平静を装ってみせたけど、実はアーシアと話をするとき、結構緊張してたりするのだ。小猫にはそれを見破られてしまったらしい。

 

「アーシア先輩を連れてきたのは命さんのコミュ障が治っているかどうか確認するためでもあったんですが・・・・・あの調子じゃまだまだです」

 

「・・・・・・おっしゃる通りです」

 

何も言い返せず、俺もただ肯定することしかできなかった。

 

「・・・・ふふっ、仕方ない命さんです。もうしばらくは私が付き合ってあげます」

 

「はははっ・・・・・そうしてもらえると助かるよ」

 

俺と小猫は互いに微笑みを浮かべる。依頼が解決に向かっていないというのに・・・・・なぜだかホッとしている自分がいるような気がする。

 

「それでは命さん、私もこれで失礼しますね」

 

「ああ。またな小猫」

 

「はい。また」

 

アーシアと同じように、小猫も魔法陣を展開して帰っていく。

 

「・・・・ずっとこの時が続けばいいのにな」

 

柄にもなく、そんなことを呟いて、俺はベッドに背を預けた。

 

 

 

 

 




平然と話してる様に見えて実は緊張していた命さん。

そして小猫ちゃんの様子が・・・・・(・∀・)ニヤニヤ

それでは次回もまたお楽しみに!
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