今回は原作2巻が終わるぐらいの時系列のお話です
それでは本編どうぞ
(さて、どうしたものか・・・・・・)
小猫の言う主の事情・・・・・戦いとやらが終わったらしく、また小猫を召喚した俺なのだが、今の状況に少し戸惑っていた。というのも、小猫は部屋に来るなり無言で俺の胸に顔を埋め、抱きしめてきたのだ・・・・・というか正直痛い。小猫、腕力すごいな・・・・
「どうした小猫?」
明らかにいつもと違う様子の小猫に俺は尋ねてみる。おそらく戦いで何かあったというのはわかるのだが、何があったのかは詳しくわからないから聞くしかなかった。
「私・・・・・役に立てませんでした」
「え?」
「私・・・・・真っ先に脱落しちゃって。頑張って修行して強くなったのに」
体も、声も震わせながら、ポツリポツリと言葉を紡いでいく小猫。
「イッセー先輩は・・・・・私よりもあとに悪魔になったのに私よりもずっと活躍してて・・・・・自分の身を犠牲にしてでも部長のことを助けたのに。それなのに私は・・・・・私は・・・・・」
どうやら件のイッセーとやらは相当な活躍をして、主の悪魔を助けるのに一役買っていたらしい。小猫はきっと、そんな彼と自分を比べてしまい・・・・・無力感に苛まれているのだろう。
「ごめんなさい命さん。命さんに応援もおまじないもしてもらったのに・・・・それなのに私は・・・・」
「小猫・・・・・」
その戦いに俺は何も関係はなかった。ただ、それでも小猫は俺に応援されたからと意気込んでしまったのだろうか?なら・・・・・小猫をこんなふうに追い詰めてしまった責任は俺にもある。おまじないと評して、小猫にイノチを分け与えて力を貸してしまってもいたし。
けど・・・・・それなのに・・・・・
「・・・・・小猫」
俺は肩手を小猫の背に回し、もう片方の手で小猫の頭を撫でる。それぐらいしか・・・・・俺にできることはなかった。
なんて声をかければいいのかわからない。下手に声をかけたところで、それは小猫をさらに傷つけることになりかねない。どんな戦いだったか、小猫がどんな思いでその戦いに望んだのかを理解しきれない俺では、言葉を投げかけたところで責任を持つことができない。
だから俺は・・・・・俺にできるのはただ受け止めること。受け止めて・・・・・小猫の言葉を全て聞くことだけだった。
「命さん・・・・・私・・・・私・・・・」
「小猫・・・・・いいよ。全部聞くよ。全部・・・・・受け止めるよ」
ただそれしかできない自分の無力さを恨みながら、俺は小猫の言葉を聞き、頭を撫で続けた。
「・・・・・みっともないところを見せてしまってごめんなさい」
しばらくして、落ち着いた小猫が恥ずかしそうに俯きながら謝ってきた。
「いいや、気にすることはないさ。それに謝るのは俺の方だ」
「え?どうして命さんが・・・・?」
「ただ聞くことしかできなかったからさ。小猫を慰めることも、小猫が次に繋がるようなことも何も言えなかった・・・・・だからごめん」
「・・・・・・」
俺が謝ると、小猫はなぜかキョトンとした顔をしていた。どうしたんだ?
「命さん・・・・・悪い意味で意識が高いというか、贅沢なんですね」
「え?」
意識が高い?贅沢?どういうことだ・・・・・?
「その・・・・先程あんな姿を見せてしまった私が言うのもなんですが、どうして命さんがそこまで背負おうとするんですか?これは私の問題なのに」
「それは・・・・小猫には恩があるから。だから少しでも小猫の力になりたくて・・・・・」
小猫のおかげで、俺は今・・・・・生きるのが楽しいと思えている。集落にいたときは全く感じなかった思いだ。だから俺はそれを教えてくれた小猫に・・・・・
「その気持ちは嬉しいです。ですが、なんでもかんでも命さんが背負ってしまっては、命さんが潰れてしまいますよ?」
何でもかんでも背負う・・・・・そこまで考えてたわけじゃないけど、小猫にはそう見えてしまったのだろうか?
「命さんは十分に私の力になってくれています。私の話を聞いてくれて、黙って受け止めてくれた。抱きしめて頭を撫でてくれた。私にとってはそれは十分すぎるほどです」
「それだけで・・・・いいのか?」
「だけ、じゃありませんよ。正直そこまでしてもらっただけでも私にとっては贅沢です。その上で命さんに背負わせようだなんて思えるはずがありませんし、背負わせたくありません。命さんが私の立場だったら、自分の弱みや苦しみを背負わせたいと思うんですか?」
「思わない」
そんなこと思うはずがない。そんなの、小猫を苦しめるだけだってわかってるんだから。
「それと同じです。私も命さんに背負わせたくありません。だから・・・・・命さんが背負う必要はないんです。そんなの・・・・私は嫌です」
「小猫・・・・・」
どうやら俺は傲慢になってしまったようだ。小猫の言うとおり、何でもかんでも背負おうだなんて悪い意味で贅沢なのかもしれない。そんなことしても小猫の力になれず・・・・・小猫をより苦しめるだけだっていうのに。
「小猫・・・・・余計な気を遣わせちゃってごめん」
「謝らなくてもいいです。というより、命さん謝ってばかりですね」
「・・・・・そうだな。はははっ・・・・」
「ふふっ・・・・」
なぜかおかしくなって、互いに笑い合う俺と小猫。
「命さん・・・・・私、もっと強くなります」
「ん?」
「負けて、役にたてなくて・・・・・それはとても悔しかったです。だからもっと強くなりたいです。強くなって部長や、同じ眷属の皆のために戦えるようになりたいです。急には強くなれないというのはわかってます。きっとまた悔しい思いをしてしまうかもしれない。それでも私は・・・・」
「強くなりたい・・・・か?」
「はい」
「・・・・・そうか」
もう十分・・・・・小猫は強いと思った。想いが、意思が・・・・小猫は強い。それこそ、そんな強さを持ち合わせていない俺にとっては羨ましく感じるほどにだ。
ならば俺は・・・・せめてそんな小猫の背中を押そう。
「・・・・・小猫」
俺は右手の人差し指と中指で小猫の額に触れる。前と同じように、少しだけ生命力を注ぎ込んだ。たとえ馴染みやすいとは言え、違うイノチを注ぎすぎるのは本当はあまり良くないし、それが正しいことなのかはわからないが・・・・・せめて、それぐらいのことはしてやりたいと思ってしまった。それが俺の我が儘だと理解していながら・・・・
「小猫ならきっと強くなれる。俺はそう信じてるし応援してるよ」
「命さん・・・・・はい。ありがとうございます」
額に手を触れ、クスリと微笑みを浮かべる小猫。
ああ、なんだろう・・・・・小猫の微笑みを見ると・・・・・なぜか安心するというか、俺まで嬉しくなるんだよな。
こんな感覚・・・・・・今までになかった。これは一体何なんだろう?小猫と一緒に居続ければ・・・・わかるかな?
「さて、それじゃあ・・・・・・また色々と話に付き合ってくれるか?会えなかった分、話したいことがたくさんあるんだ」
「私もです。私も・・・・・命さんと話したいことがたくさんあります」
そのあと、いつもどおりに小猫と様々なことを語り合った。
けれど・・・・・・いつもどおりの語らいだが、少しだけ小猫との距離が縮まったように感じだ。
だんだんとじれったく感じてきたのは作者である私だけではないはず・・・・・・
それでは次回もまたお楽しみに!