イノチの理解者は猫と寄り添う   作:shin-Ex-

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今回から原作3巻のお話になります

それではどうぞ


復讐の意味

 

「命さんは復讐についてどう思いますか?」

 

ある日、小猫が突然そんなことを聞いてきた。それも嫌に神妙な面持ちでだ。

 

「復讐?急にどうした?」

 

「それは・・・・その・・・・」

 

言葉を濁す小猫。どうやらそれを尋ねるに至る経緯は話したくないらしい。まあ、おそらくは小猫の仲間の悪魔に関する事なんだろうとは思う。だからこそ、部外者である俺には詳しくは話せないのだろう。

 

・・・・・それでもこうして俺に聞いてくるっていうのは、信頼されているからと思ってもいいのかな。

 

「・・・・まあ、そこは詳しく聞くつもりはないさ」

 

「ごめんなさい・・・・・」

 

「謝らなくてもいいさ。悪魔じゃない俺に言えないのは仕方がない事なんだからさ。それよりも、質問のことえだが・・・・復讐自体を否定するつもりは俺はないよ。受け取り方は人それぞれだが、それでも復讐が意味の無いものだとは俺は思わない」

 

ひとまず、小猫に俺の考えを伝える。

 

「怒り、悲しみ、憎悪、絶望・・・・・復讐ってのはそう言った感情に対して折り合いをつけるためのものだと俺は思う。たとえ復讐に正義がないとしても、復讐しなければ前に進めない者もいる。そしてそれは・・・・たとえどれだけ親しい間柄だったとしても、止める権利なんて存在しないんだ」

 

復讐は負の感情によって生じるものだ。負の感情は自らを苦しめ、縛り付ける。たとえ復讐した後に得られるものがないとしても、どれだけ虚しさを感じることになっても、そういった縛りから解放されるための手段として、復讐というのは決して否定できないものだと思っている。

 

そう考えるのは、俺自身も僅かにでも復讐を考えたことがあるからだった。集落を出て、冷静に集落での暮らしを思い返したとき・・・・・俺は確かな憎悪を抱いていた。なぜ自分があんな目に遭わなければいけなかったのかと、理不尽に対して怒りを覚え、いっそ復讐してしまおうかとも思ったこともある。まあ、俺は復讐するまでもなくどうにか自分の気持ちと折り合いを付けることができたのだが。

 

「・・・・・命さんの言っていることは理解できます。でも・・・・・・私は恐いです」

 

「何が恐い?」

 

「復讐に囚われて・・・・・居なくなってしまうんじゃないかって思えてしまって。それに、復讐に囚われてしまっている姿を見るのも・・・・・辛いです」

 

「・・・・・そうか」

 

小猫の抱いている恐れは、きっと正当なものだろう。復讐ってのは結局は自分だけものも。それとは関係なくても、親しい者からすれば、復讐にとらわれている姿を恐ろしいと感じるのも、復讐に固執して離れていってしまうことに対し恐いと感じるのも仕方がないことだ。

 

・・・・難しい問題だな。復讐を志す者は身近で見ている仲間の思いに気を回すほど余裕はないだろうし、見ている方は復讐する気持ちを理解し切ることは難しい。双方が納得いくようにするのは困難と言えるだろう。

 

「なら、小猫はどうしたいと思っている?」

 

「私が・・・・ですか?」

 

「ああ。小猫が今辛い気持ちでいるっていうことはわかった。その上で小猫はどうしたいと思っている?さっき俺は復讐を否定しないと言ったが、それは俺の考えだ。それを抜きにして小猫自身がどうしたいか・・・・考えたことはあるか?」

 

「私がどうしたいか・・・・」

 

俺に言われ、考える素振りを見せる小猫。果たして小猫はどうするのか・・・・

 

「私は・・・・・可能なら復讐のお手伝いをしたいと思っています。部長・・・・主には怒られてしまうかもしれないけど、それでも私は放っておくことができません。私の力が役に立つかはわかりませんが・・・・・それでも私は・・・・・」

 

「それが小猫の選択か?」

 

「はい。私は仲間として・・・・・復讐の手助けをします」

 

「・・・・そうか」

 

小猫の目からは強い意志を感じる。それだけの覚悟はできているということか。

 

正直・・・・・復讐をするという小猫の仲間が羨ましく思った。そこまで小猫に思われているなんて・・・・よほど大切な仲間なのだろう。

 

「もしも、それが俺だったら・・・・・」

 

「命さん?」

 

「いや、なんでもないよ」

 

危ない・・・・・まさか声に出てしまっていたとは。俺が復讐する立場だったら、小猫は手を貸してくれるかだなんて・・・・・聞けるはずないのに。

 

「そうですか・・・・・ならいいです。命さん、相談に乗ってくれてありがとうございます」

 

「俺は大したことしてないよ。自分が思ったことを言っただけだから」

 

「いえ、私にとっては十分な助けになりました・・・・・よくよく考えてみると、最近はこんなことばかりですね?」

 

「え?」

 

「呼ばれているのは私の方なのに、私の方が命さんに頼ってばかりです・・・・・これじゃあちゃんと仕事をしているとは言えません」

 

シュンと落ち込んだように肩を下ろす小猫。まあ確かに最近は小猫の方から頼ってくることが多い気はするな。

 

けど・・・・・

 

「別に落ち込むことはないさ。正直な話、コミュ障を治すなんて小猫からしたら迷惑でしかない依頼を受けてもらってて、今まで何も返せてなかったから・・・・・こうして少しでも小猫の力になれてることは俺にとって嬉しいことなんだ。だから小猫が落ち込む必要なんてないよ」

 

「そう言ってもらえると助かりますけど・・・・・」

 

それでも腑に落ちないといった様子の小猫。どうしたものか・・・・

 

「まだ不満だって言うなら仕方ない・・・・・今日は俺のコミュ障治療のために徹底的に話に付き合ってもらうとするかな」

 

「それはいつもやってることです」

 

「今日はいつも以上にってことだよ。いつも以上に色々と話すつもりだから覚悟しろよ?俺は結構面倒くさいんだからさ」

 

「・・・・・ふふっ。はい。わかりました」

 

クスリと微笑みを浮かべる小猫。とりあえずもう落ち込んだ様子は無さそうだな。

 

さて、そうとなれば・・・・・・話のネタを考えなければ。ほんと、行き当たりばったりであんなこと言うもんじゃないな・・・・・

 

 




少々スランプ気味なので短めで申し訳ありません・・・・・・

ただ、次回からはとうとう命さんが・・・・・?

それでは位階もまたお楽しみに!
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