暇だったからキルケー怪文書作った   作:茶鹿秀太

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まさかこんなに伸びると思ってなかったので嬉しかったです。
つい嬉しくてもう一個書きました。お納めください。


キルケー式乙女塾

聞いてくれメディア!

 

知らなかったんだ。まさか日本にも魔導書なるものが現存しているだなんて!

 

島国だからといってバカに出来ないなぁもう!

え、今更私にそんなもの必要ないでしょうって?

 

はぁ……ダメだなぁメディアは。ダメダメにも程があるよ。

 

なんだいそんなやれやれまた始まったって表情は。

 

そんなんだから模型作りなんて魔女としては残念な趣味になるんだぞ!

 

……まぁマスターが趣味模型作りなら、受け入れちゃうかもしれないけどさー。

 

マスターの趣味、メディアは知ってるかい?

 

知らなくてもマスターを深く愛することは出来るんだけどやっぱり好きな人のことは知っておきたいじゃないか!

 

……え、直接聞けばいいじゃないかって?

 

はぁ……これだから大魔女じゃない人は。

 

直接聞いたらなんてそんな、乙女みたいで恥ずかしいじゃないか!

 

バカじゃないのかきみは! 私だってカルデアの中で退廃的でグズグズの愛情の海でマスターを溶かしてあげたいさ!

 

でも私ビックリするレベルの美しい大魔女だろ?

 

乙女の真似事ってほら、未成年のマスターには引いてしまうかもしれない。

 

やはりここは大人の魅力で一気に攻め落とすしかないんだ。分かれよ!

 

ということで今回はこの魔導書の出番さ。

 

魔力自体は込められてないし、年季も新しい。

これの魅力は内容さ。

 

どうも日本では女性の魅力を最大限に引き上げる言霊が込められた雑誌が一般で販売されているらしい。

 

これはある人から頂いたんだが、このページに恋の秘奥が書かれているらしいんだ。

 

メディア、きみには私がこの雑誌の内容を反映した姿を一度チェックしてほしい。

 

そして君がGOサインを出したら私はあらゆる魔術を駆使してマスターと二人きりになって実行する。

マスターが堕ちる。

 

こういう流れなんだがどうかな?完璧な作戦だと思うんだが……。

 

え?

 

大魔女だよ?

 

失敗するわけないじゃないか。

 

……どうしたんだいメディア! 膝が産まれたての子鹿みたいになってるじゃないか!

 

座って作業ばかりするからそうなるんだまったく!

え、内容?

 

まぁ、うん。きみが大丈夫ならいいんだ。続けようか。

 

さて、ここにはマスターの故郷の言語でこう書いてあるらしい。

 

必見、どんな男子もメロメロに! 恋テクマニュアル三箇条! 〜初恋のわななき〜

 

どうだいメディア?

 

信憑性が高そうだろ?

 

メディアなんで上むいてるのさ。

 

震えてる……。何か耐えているのかい?

 

まぁいいや。

 

まず第1箇条、これはなかなか凄いぞ。

 

「年収で攻める」

 

なるほどね、って私は思うわけだよ。

 

確かに経済力は重要だ。

 

私であれば、マスターを豚にするほど愛し続けることができる。

 

なんならマスターは働かなくていいし家事も育児も全部私がやるとも。

 

あーでも仕事とかしたらマスターと会う時間が減ってしまうのがいけないね。要考慮。

 

つまり私が養ってあげれば良いわけだね。

 

完璧なロジックだ。

 

え、パトロン? 違うよ、愛だよ。

 

 

それじゃあ次。

 

「胃袋を掴む」

 

これは余裕だね。私にはキュケオーンがある。

 

マスターに毎日私のキュケオーンを食べさせてあげようじゃないか。

 

もちろんマスターは道具を持たなくて良い。全部私があーんしてあげよう。

 

なんなら着替えも歯磨きも全部私がやってあげるし。マスターより先に起きて後に寝よう。お腹どころじゃなく全部満たしてあげようじゃないか。

 

え、重い? ……そうかな、ギリシャ基準の夫婦生活だと思うけど。(偏見)

 

あー私ってなんて罪な女なんだ!

 

これ以上尽くせるつ……つま、妻……えへへ……妻がいるかい!?

 

なんだよマスターも私のこと大好きだなぁえへへ(幻覚)

 

これが最後……、え?

 

「男の浮気は甲斐性だから認める」……だってぇ!!?

 

だ、ダメだ! 絶対ダメだぞ!!

 

マスターがどっか行っちゃうじゃないか!

 

絶対嫌だよそんなの!!

 

あー行かないでマスター!!(幻覚)

 

ダメだー!! その女はダメだー!! (幻覚)

 

スキュラーー!!!(効果:相手は怪物になる)

 

はぁ、はぁ、はぁ。

 

くっ、私は、なんて無力なんだ……。

 

慰めないでくれメディア、私はもう……え?

 

嘘?

 

この記事が、嘘付いてるって?

 

いやいや、ちゃんと作者名も明記されてるんだよ。ここに。

 

プロフェッサーMって。

 

……どうしたんだいメディア。

 

え、この記事を貰った経緯?

 

あぁいつものようにマスターに話しかけようとしたら胡散臭い紳士が現れてね。

 

この記事を読んでからマスターに話しかけると絆レベルが上がるって言ってたんだ!

 

そのあと紳士の後ろに控えてたホムンクルスの……フラン? だったっけか? その小娘と一緒にマスターは何処かへ行ってしまったよ。なんでもお散歩するらしい。可愛らしいねぇ。

 

まあ私も明らかに記事を読んでから挑んだ方がいいと踏んでね。

 

プロフェッサーMにお礼を言ってここまでやってきたってわけさ!

 

フランって子は彼の腕とかに絡みついてたけど、そこやはり子ども。見ているだけでほのぼのしたさ。

 

あぁうん。最近日課らしいよお散歩。わ、私も混ざりたいなぁって。思うけど言えないよねぇ。

 

あの子いつも顔真っ赤にしてるからかわいいんだよ。

マスターもいつも微笑ましそうにしてるもの。

 

……どうしたんだいメディア。

 

……涙? どこか痛いのかい?

 

今からキュケオーンでも作るかい?


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