読んでくれる人がたくさんいて下さって嬉しいです。
いつまで書けるか分かりませんが、キルケー怪文書をよろしくお願いします。
やぁマスター。
今日も元気そうだね。
私の部屋にずっといて、嬉しかった? ドキドキしてくれた?
……まさかこんな手段できみを手に入れると思わなかった。
ふふ、……もう逃さないから。
待っててね。今キュケオーンを作ってあげよう。
きみは昔から欲に溺れるのが下手だったよね。
もっと、もっと堕落のために全力を尽くすべきだ。
もう明日を思い煩わなくて良い。
過去なんて忘れてしまえばいい。
全部私に委ねて、そう、安心して私に委ねるんだ。
今を楽しんでこその人生さ。
私がいればもう何も要らないじゃないか。
ほら、この手を掴んで。
ぎゅって、ね?あったかいだろう?
きみは私の温もりだけ感じてれば良い。
きみもきみの温度で私を塗りつぶして。
あぁ、マスター……!
くすぐったい程の距離で私の唇の動きがきみの耳を伝わって、脳の中が全部私で埋め尽くされてしまえばいいんだ。
力んでる。緊張してるのかい?
大丈夫。ほら、キュケオーンをお食べ?
もう動かなくて良い。
安心していいんだ。
きみをもう一人にさせないよ。
例えどれだけ堕落しても。
どれ程までに欲深く、我儘で自己中で享楽に耽ても、大好きだよ。
愛してる。
ずっと、ずっと……離さないよ。
マスター、私の声を呼んで?
は、ぁ……。嬉しい……。
大魔女の私を、ここまで揺さぶったんだ……。
きみの首筋を撫でるように命を奪うかもしれない大魔女を、乙女に変えたのは君さ。
責任、取ってくれなきゃ、嫌だよ……。
頼むから、ずっと一緒にいてね。
私を置いて行かないで……。
好きだよ、マスター。
むちゅぅううううう……。
(ドンッッッ!!!)
ぎゃあああああああああ!?
うわぁ、メディア!
ノックくらいしろよ! びっくりしただろ!?
え、これ?
……マ、マスターを模した人形……///
しょうがないだろ!!!!
マスターと触れ合える時間って意外と少ないんだ!!!
じゃあ人形の一つ作って自分を慰めるだろ!!!!
え、なに?
マスターを監禁したと思った?
そんなことするわけないだろ?!
これだから若者の突飛な妄想力は!!
え、なに? 二人分のキュケオーンがなんであるのかって?
ロープレだよロープレ!!
実際にマスターと一緒に過ごす時が来た時のためのロープレ!!!
すごいんだぞこれ! お腹の部分を押すとマスターの声で私の名前を呼んでくれるんだ!
ほら!
(食堂でキルケーの注文した料理が表に出されているにもかかわらず、当の本人がそれに気付いていなそうなことを察知したマスターがキルケーを呼ぶ声)
え、この人形?
自作だけど。
で? 私の享楽を邪魔して何が楽しいんだよぉ。
ちぇー。もう少しでブツブツ……。
……何だよメディア。
え、マスターが行方不明?
清姫がリアルマスター監禁疑惑だって!?
えー!? うっそー!!ドン引きだよ!!
マスター、今行くからねー!!
メディア、急ごう!
マスターが危ない!!
……どうしたんだいメディア! どうしてそんな顔してるんだい。
なんかこう、お前が救うのはよろしくないみたいな表情浮かべて苦しんでる様な……。
え、私の方が危ない奴って?
……え?
どこが?
……メディア、もしかして君あんまり恋愛してこなかったタイプ?
イアソンでこういうことしなかったの?
うわっ、ごめん。
そこまでマジギレすることはないじゃないか。
ごめんって。
全く、メディアは残念な子だなぁ。
あれ、ちょっと待って。
マスター監禁疑惑ってことは、もしや、マスターと既にあんなことやこんなことを……してるのかい!?
うわああああああああ!!?
嫌だマスター、置いてかないでー!!
え、そんなことしてないかもしれないって?
私ならする!!!!
私ならする!!!!!!!
急ぐぞメディア、マスターの危機だ!
間にあえ私とマスターの爛れた結婚生活フラグ!!!
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その後、キルケーはあらゆる魔術を駆使して独自のレイシフトを行い、清姫と二人きりで仲良く特異点を解決しているマスターの姿を見て、フラグはまだあると安心したとさ。めでたしめでたし……?
日曜の12時に更新します。それが終わったらまた不定期更新します。