聞いてくれメディア!
きみって確か聖杯戦争経験者だったよな?
やっぱりあれかい?
メディアクラスの魔女なら余裕で勝利しただろう?
え、初手でマスターを殺すって?
……。
いやいや。
いやいやいや!?
裏切りが安直過ぎるでしょ!
そこはさぁ、ほら、色々あるじゃん過程が!
え、見切りつけたら殺すって?
いやいや、私の求めてる聖杯戦争と違うんだよなぁ。
まぁいいよ聞く。
弟子の話を大人しく聞こうじゃないか。
きみのマスターはどんな人だったんだよ。
え、嫉妬されて魔力供給が最低限だったの?
うっはっはっはっは(爆笑)
嘘だろそれ。なんで嫉妬されるのさ(爆笑)
なんでマスターが神代の魔女と勝手に比較した挙句嫉妬で魔力供給最低限にしてるのさ(苦笑)
それは良くないなぁうんいやホントかわいそうっ! はっはっは!
えーそれできみは敢え無くマスターを失ったと。
いやぁ……でも正直聞くに値しない話だったなぁ。
え、どうしてそんな話聞きたかったんだって?
ふふん、ここまで話を聞いてまだ理解できないのかい?
ぶっちゃけきみの思い出話になんて全く興味がない!
思ったんだよ。私は。
もしマスターと普通の聖杯戦争に参加してたら他の陣営が羨むほどイチャイチャした後にサラッと優勝しちゃうんじゃないかってね。
きみの話の有意義だった点はマスターが純粋な魔術師だと失敗するっていう点だな。
その点今のマスターは一般人。
擦れてない真っ当なポジションじゃないか!
これであとはもう結ばれるだけ。
戦う中で芽生えたり芽生えなかったりする絆レベル……。そして意味深な魔力供給……。
完璧じゃないか。
流れに乗じてマスターと聖杯戦争で結婚したいものだね。
この大魔女キルケーがマスターと夜を過ごす。素晴らしい。
この聖杯戦争はキルケー/stay nightと名付けよう。
え、そんな都合よくいかないって?
いやいやどうかな。
普通に考えてみたまえ。
私ならマスター嫉妬されても満更ではない。
あ、君の前のマスターの話じゃないぜ?
今の私の、……。私のっっ! マスターの話だ。
やはりここは王道で攻める。
まず霊体化はあまりせずマスターの家に居座るわけだ。そして認知を集め、公式熱々カップルとして名を馳せる。
食事とか作ったり、いってらっしゃいとか言って見送ったりするんだぜ。
どうだ羨ましいだろうメディア!
聖杯戦争という過酷な戦いの中で愛が芽生えるんだぞ愛が!
マスターは別に何もしなくていい、私が頑張って聖杯をマスターに捧げよう。
いや待て、受肉すれば一生マスターの側にいられる……!?
くぅ、良い感じに欲深くなってきたぞぉ!
そういえばメディアは聖杯への願いは何だったんだい?
まぁきみ負けたから何も叶わなかったんだろうけど聞くだけ聞いてあげるよ!
え、叶った? 負けたのに?
きみの願いってイアソンを蘇らせてボッコボコにすることじゃないの?
違うの?!
うっそぉ! 意外だぁ!
まぁ負け犬の遠吠えは聞いてて醜いものさ。
きみも聖杯戦争で出会いとか求めれば良いのに。
……?
なんだよ、変な顔して。
さっきからきみちょっと変だぞ。
隠し事でもあるのかい?
……貴女には言いたくありませんってどういうことだよ!?
え、聖杯戦争舐めてるって?
いやいや、私大魔女なんだから余裕だって!
……ヘラクレス?
ヘラクレスがいたのかい。
ははは。
え(恐怖)
いやぁ、うん。それはその……。
ま、まぁ頑張ればまだ……。
アーサー王っ?!
対魔力の塊じゃないか。
……ギルガメッシュ王っ?!
いや、いやいやいや。
きみの戦い修羅場すぎるでしょ。
え、佐々木小次郎?
……。
まぁそれならなんとか行けるんじゃない!(慢心)
あ、やっぱりー?メディアも同じ意見かー。
そっかそっかー!
はははー。
……。
聖杯戦争で恋愛って無理じゃない?
え、ヘラクレスいるんだよ?
金ピカもいるんだよ?
無理でしょ。そっちの方に意識行くでしょ。
他に誰がいたのさ。
……アーチャー? 赤い外套の?
彼ってシェフじゃないの?
あんま強くなさそうだけど。筋力とか。
……。えー!
きみアイツに負けたのー!
えー!
だっさー!
そういう記憶が残ってるって、えー!
どう見ても勝てるでしょー!
腕相撲でも勝てるでしょー! 魔術使えば!
あの筋肉は見せかけだよ??
フェイクだよフェイク。ストレンジフェイクだよ。
ん?
ちょっと待って。
負けた?
え、マスター失ってから戦ったの?
……。なんで黙るのさ。
マスターいないなら負けても仕方ないかもしれないけど……。
あれ、時系列よくわかんないな。
というか結構知ってるね。
序盤に脱落したんじゃないの?
メディア。
メディアこっち向いて。
何かあったでしょ。
聖杯戦争で何があったのさ。
なんで私には言いたくないって言うんだよ!
待て。きみそういえば聖杯に願う前に願いが叶ったって言ってたよな?
生き延びたんだろ。言い訳は無用だぞ!
……どうやって生き延びたんだい?
街の人から魔力を吸い取った?
おー魔女っぽい。
それでマスターと契約せずに生き延びたってわけだ。
メディア。
なんでそこで目を逸らすんだい。
再契約した?
へー、で、相手はどんな魔術師だい?
……一般人?!
へ、へー。そうなんだ。
そ、それで?
一緒に住んだ!!?
い、いやまぁ普通だねサーヴァントだし。
うん。
うん。
アーサー王を吹っ飛ばせる一般人!?
なんだよそれー! 一般人ってそういう感じなの?!
はぁー、意味がわからない。
そうだ。顔はどんな感じなんだい?
マスターの容貌だよ。
せっかくなら相手のマスターの様子も気になるから教えてほしい。
あ、絵を描いてくれるんだね?
……。
いやいや、誤魔化さないでくれよメディア。
これイシュタルとパールヴァティじゃん。
いやこれパールヴァティ、BB、……メルトリリス……あれ、パッションリップだっけ……。なんだろう、私もこんがらがってきた。
後これ見たことあるぞ。
リミテッド/ゼロオーバーって礼装の人じゃん。
後魔法少女までいる!確か白いのと黒いのがいるんだよねこの魔法少女。
いやいや。
これが聖杯戦争……?
地獄絵図じゃないか。
これじゃあ恋愛なんて余裕なさそう……、あれ。
メディアのマスターはどれだい?
メディア。
マスターは?
いや初手で殺したマスターはどうでもいい。
二人目のマスターは?
ねぇメディア聞いているのかいーーー、ん?
メディアお客さんみたいだぞ。
ってマスター!?
どうしたんだいこんな辺鄙なところに来て!?
え、メディアから魔術を学んでる?
弟子入りしたって!?
たまに勉強しに来てるだって!?
……。
メディア。
私は聞いてないぞ。
今言った? 良い度胸じゃないか。
……ねぇメディア。
マスターがきみの弟子ってことは、私の弟子ってことでもあるよね。
ってあーっっっっ!
ちょっと待ってメディア、追い出さないで、あー!
メディア! 待ってー!
追い出さないでー!
マスターも何か言うんだ!
え、集中したいから私はダメ?
私がいると勉強すらギャグ時空になる?
そんなー! マスターを愛する私がハブられるわけがな(扉が閉まる音)
(滅茶苦茶扉を叩く音)
(鼻をすする音)
(メディアへの嫉妬を口にするキルケー)
(呪詛)
(通りがかったエミヤの説教)
(マシュ、清姫、静謐、頼光、メルト、アビー、エリちゃん、エリちゃん(術)、エリちゃん(剣)、フェルグス登場)
(キアラ参戦)
(エミヤ逃亡)(追いかける殺意のメルト)
(混乱に乗じて再び扉を叩き続けるキルケー)
(キルケーを口説くフェルグス)
(煩すぎてガチ切れするメディア)
(今日も平和な日常を送るカルデアであった)
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